「ゼネコン」や「サブコン」はどちらも建築業界独自の言葉として用いられているもので、ニュースなどで耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、実際にどういった意味を指す言葉なのかよくわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、建築業界を支える重要な役割を担うゼネコンとサブコンの違いについて詳しくご紹介します。
それぞれの特徴や違いについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ゼネコンとサブコンについて
私たちの日常生活に密接するあらゆる建築物は、ゼネコンやサブコンの手によって成り立っています。
しかし、どういった業者なのか、どのような仕事をしているのかなど、詳しい内容を知らない方も多いはずです。
まずは、ゼネコンとサブコン、それぞれの特徴や違いについてご紹介します。
ゼネコンとは?
ニュースなどでもゼネコンと略して用いられることが多いですが、正式名称は「General Contractor(ジェネラル・コントラクター)」と言い、総合建築業者のことを指します。
建築業界には28の業種が存在しており、そのうち土木一式工事業と建築一式工事業を元請け業者として請け負い、専門のサブコンに依頼します。
建築物は設計・施工・研究の3つから構成されており、工事全体の総合的な取りまとめを行っているのがゼネコンの特徴です。
マンションや公共施設、医療施設の建設工事、道路やダム、トンネルなどの土木工事なども、ゼネコンの仕事です。
ゼネコンは数百名の作業員が働く現場の監督役となるため、高度な知識や経験が求められます。
ゼネコンは売上高によって、スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中堅ゼネコンと3つに分類されており、その中でも売上が数億円~数兆円ある会社はスーパーゼネコンと呼ばれています。
また、基本的にはゼネコンからサブコンへと仕事が流れますが、別途工事の場合、関係性が異なるようです。
別途工事とは発注者がゼネコン、サブコンとそれぞれに工事を依頼することです。
この場合、ゼネコンがサブコンに外注する際の手数料が省けます。
サブコンとは?
一方、サブコンとは「Sub Contractor(サブ・コントラクター)」の略で、ゼネコンから工事を請け負う下請け業者のことを指します。
ゼネコンが請け負った工事の一部となる設備工事を行うのがサブコンの仕事であり、建設工事を行う上で必要不可欠な存在です。
各分野の専門工事を同時進行で行い、ゼネコンと共に建設工事を進めていきます。
安全管理や工程管理、品質管理、原価管理などの役割を担っており、ゼネコンと比較すると業務範囲は狭いですが、各分野における専門性が問われるため、ゼネコン同様、高度な知識や経験が求められます。
基本的には、ゼネコンから依頼された仕事を自社で行いますが、場合によって別の下請け業者に外注することもあるようです。
サブコンはゼネコンが提示した設計図や施工計画に沿って作業を行い、各分野の現場監督によってまとめられています。
サブコンは種類が多い!
ここまで、元請け業者であるゼネコンと、下請け業者であるサブコンの違いについてご紹介しました。
現場での役割や担当する工事などに違いがあると理解した上で、サブコンがどのような工事を手掛けているのかについて解説していきます。
電気設備工事
安定的に電気を供給できるようにするのが、電気設備工事です。
具体的には使用量メーターや電気供給の申請、配線の取り付け、分電盤の設置など、様々な工事を行います。
電気を建物内に引き込むために壁に穴を開けたり、専門機械を設置したりしなければいけない工事もあります。
これらの作業を行えるのは、専門的な知識や経験を兼ね備えた「電気工事士」の資格を取得しているプロの作業員のみです。
衛生設備工事
日常生活において必要な洗面台、便器、浴槽などの衛生器具、水回りの取り付け工事を行うのが衛生設備工事です。
給水設備や排水設備、消火設備、給湯設備などの設備工事を行っています。
戸建て住宅やアパート・マンションなどの住宅だけでなく、公共施設や医療機関、商業施設などの衛生設備工事も行うのがサブコンの仕事です。
生活に必要不可欠となる工事であり、快適な暮らしを支える重要な役割を担っています。
万が一施工ミスがあった場合、水漏れなどのトラブルを引き起こしてしまう可能性があるため、ミスが許されない工事です。
空調設備工事
建物内の温度、湿度の調整をし、空気中の汚れを取り除くための工事です。
工事を行う建物内に、熱源機器、空気調和機器、換気設備、配管・ダクト設備、排煙設備などを設置します。
空調設備工事では施工だけでなく、空調システムの研究や開発にも力を入れて取り組んでおり、省エネや効率化を図るために様々な空調システムを導入しています。
快適な空間を作る上で欠かせない工事です。
防災設備工事
近年、日本では自然災害や火災、テロ、ウイルスなどに対する対策が重要視されており、建築物を建てる上で防災設備工事が非常に重要な役割を果たすと言われています。
防災設備は、緊急事態が発生した際、いち早く異常を感知して知らせ、人々の安全を確保するために設置されているものです。
また、火災が発生した場合、現場に駆け付けた消防隊は消化活動や救命活動を行います。
その際、あらかじめ設置された防災設備があれば、スムーズに対応できると考えられているのです。
被害を最小限に抑えるためにも防災設備工事は欠かせません。
具体的には、スプリンクラーや消火栓、火災報知器、救助袋、避難はしご、排煙設備などの設置です。
まとめ
それぞれ異なる特徴を持つゼネコンとサブコンですが、どちらも建築業界において欠かせない存在であるとわかりました。
ゼネコンは建築工事、土木工事を手掛けており、サブコンは電気設備工事や衛生設備工事、空調設備工事、防災設備工事など、多岐にわたる工事を手掛けています。
また、サブコンの業務には施工後のメンテナンスなども含まれています。
これらの専門工事は、どれも私たちが生活する上で欠かせないものです。
直接関わってくることは少ないものの、ゼネコンとサブコンに関する理解を深めておけば、建築工事や設備工事などで関わる際にも安心です。