賃貸物件の契約には、普通借家契約と定期借家契約の2つがあります。
普通借家契約を結ぶ人が多いため、定期借家契約がどのような契約なのか分からないという人も多いでしょう。
そこで今回は、定期借家契約と普通借家契約の違いや中途解約などについて解説していきます。
不動産の契約に関する正しい知識を借りる側も持っていれば、予期せぬトラブルの会費にもつながります。
これから賃貸物件を借りようと考えている人は、ぜひ目を通してみてください。
目次
定期借家契約とは?その特徴と普通借家契約との違い
定期借家契約は、初めから契約の期間が定められている契約の琴です。
契約の期間が満了した場合、入居者は物件を明け渡さなければなりません。
転勤などで一時的に賃貸物件を貸したいと思っている、近いうちに売却したいと思っている、開いている部屋を有効活用したいと思っているといった点が、貸主にとってのメリットです。
一方、借主にとってのメリットもあります。
それは、家賃を押さえて入居できるケースが多い、同じ物件に住んでいるのが同様の契約をしている住民だけならトラブルが起こりにくいといった点です。
普通借家契約の場合は、契約期間が満了となっても借主が住み続けたいと希望すると正当な事由がないと貸主は拒否ができません。
つまり、契約期間が満了した後にどうなるかが大きな違いです。
原則的に契約期間中の解約はできない
定期借家契約は、原則として契約期間中の解約はできないことになっています。
この契約方法だと普通借家契約と違い、満期が訪れるという概念がそもそもないからです。
そのため、契約期間が過ぎれば明け渡しをしなければいけませんし、途中で解約することもできないとされています。
それを知らないまま契約を結んでしまうと、契約内容が原因となってトラブルが起こる可能性があるため、注意が必要だと言えます。
例外も!特約で中途解約するには
またこの契約方法だと原則として中途解約ができないとされています。
しかし、どのような場合でも解約不可能というわけではありません。
特約を活用して途中で解約するにはどうすればよいのかという点について解説していきます。
解約権留保特約
解約権留保特約は、事前に結んでいなければ使うことができないため、契約の内容を確認してみましょう。
しかし、東京地裁平成35年8月20日(平成24年(ワ)第27197号損害賠償請求事件)の判決では、「定期建物賃貸借契約である本件契約において、賃貸人に中途解約権の留保を認める旨の特約を付しても、その特約は無効と解される(借地借家法30 条)」と裁判所が判決を下している事例もあります。
そのため、場合によっては特約が無効になってしまう可能性もあると思っておきましょう。
違約金の支払いをする
違約金は、契約期間の残りの賃料を指定されるケースが多いです。
契約期間が満了するまでの期間が5ヶ月だった場合、5ヶ月分の家賃を違約金として一括で支払います。
一括での支払いが必要になるため、金銭的に余裕がない場合は難しい方法でもあります。
中途解約権の行使
中途解約権は、特約がなくても解約できます。
ただし、中途解約権はどのような状況でも行使できるわけではありません。
居住目的で利用していること、床面積が200㎡未満であること、やむを得ない事情で使用の継続が難しいことの3つを満たしている必要があるのです。
やむを得ない事情には、病気による入院や遠くへの転勤などが含まれます。
どこまでやむを得ない事情だと認められるかは明らかになっていませんが、賃貸物件を借りる時にでは予測が難しい出来事が当てはまる可能性が高いと思っておくと良いでしょう。
最終的な判断は、貸主や弁護士、裁判所の判断に委ねられます。
合意解除
これは、双方が合意した上で契約を解除する方法です。
契約書で交渉ができないとされているため、オーナーに直接相談する必要があります。
信頼関係がある場合は、きちんと解約しなければならない理由を説明すると納得してもらえる可能性が高いです。
しかし、基本的に途中で解約することが不可能な契約となるので、合意してもらえない可能性ももちろんあります。
中途解約できない場合の対処法
定期借家契約だと、中途解約がどうしてもできない可能性の方が高いです。
最後に、途中で解約できない場合の対処法についてみていきましょう。
貸主への相談
どうしても中途解約をしたいと考えているなら、オーナーに相談してみてください。
法律では中途解約ができないと示されていることを理解した上で合意を得ることができれば、可能となります。
相談する際は、どうしても解約が必要な理由とは何か、解約したい時期はいつなのか、金銭面の条件はどうなっているのかといった点をきちんと確認しておくことが重要です。
また、即解約するのではなく数ヶ月間の家賃を支払いする気持ちがあること、解約金として指定された数ヶ月分の家賃は一括で支払うこと、解約の時期は新規の入居者を獲得しやすい3月くらいにすることなども伝えると良いでしょう。
中途解約に関する交渉は難しいものだと自覚し、貸主の立場になって考えた提案をするのもポイントです。
そうすることで、合意してもらえる可能性が高まります。
フリーレント物件へ引越しする
引越し先にフリーレント物件を選ぶのも有効な対処法です。
フリーレント物件は、契約から数ヶ月分の家賃が無料になる物件です。
つまり、中途解約ができなかった場合に二重で家賃を支払わずに済むようになります。
以前暮らしていた物件分だけの家賃を支払えば良いため、金銭的な負担を感じずに済みます。
しかし、フリーレント物件は契約期間が決められているケースが多いです。
期間内に解約すると違約金が発生するので注意が必要です。
短期間の住まいとして選ぶなら、フリーレント物件は避けた方が良いと考えられます。
また、家賃の支払いが発生しなくても、共益費や管理費などの費用は発生する点も念頭に置いておく必要があります。
まとめ
定期借家契約の物件は、基本的に途中解約ができません。
しかし、中途解約権の行使を行うと、途中で解約できる場合もあります。
中途解約権を行使しようと思っても、必ず解約できるとは限りません。
居住目的で利用していること、床面積が200㎡未満であること、やむを得ない事情で使用の継続が難しいことという条件を満たしていない場合は、そもそも権利を行使することすらできません。
そのような場合は、オーナーと相談するほかありません。
オーナーとの信頼関係があれば認めてもらえる可能性もあるので、相談してみる価値はあります。