民泊は、一般の民家に寝泊まりすることを意味します。
空いている部屋を有効活用するために民泊として貸し出すケースが多いです。
最近では、農家民宿のように田舎での生活を体験できる宿泊施設を民泊と呼ぶ場合もあります。
また、個人の住宅や投資用の物件をネット経由で貸し出すビジネスに関しても、民泊と呼ばれています。
インバウンド需要の高まりから注目を集めている民泊ですが、マンションでは禁止されているケースがほとんどです。
今回は、民泊の定義や制限などについてみていきましょう。
目次
民泊の定義
まずは民泊の定義から説明していきます。
民泊は、民家に泊まることが由来となっています。
しかし最近ではインターネット上の仲介サイトが出現したことにより、観光客に対して個人の住宅や投資用物件を有料で貸し出すビジネスの総称として“民泊”と呼ぶようになりました。
そのため、現在の民泊の定義は宿泊用に提供されている個人宅の一部や使っていない別荘、マンションの空室などに寝泊まりすることを指しています。
民泊新法とその特徴
個人宅を宿泊施設として貸し出すビジネスモデルは、従来の旅館業法だと要件を満たさないケースが大半を占めます。
その結果、違法民泊が増えてしまったため、民泊新法(住宅宿泊事業法)が制定されました。
住宅宿泊事業法の特徴は以下の通りです。
建物について
旅館業法に適用されるのはホテルや旅館などですが、住宅宿泊事業法では「住宅」となっています。
住宅宿泊事業法が制定されたことで、ホテルや旅館が営業できない住居専用地域でも営業できるようになりました。
ただし、自治体の条例で営業可能地域や期間を規制しているケースもあるので、必ず営業できるとは言い切れません。
営業日数について
1年間の営業日数に条件が設定されています。
民泊は、180日を超える営業ができないため、それ以外の活用方法がないとビジネスや投資の対象になりにくいです。
民泊以外でも収入源となるビジネスが可能なら、180日という制限があっても問題ないと見込まれるため、貸し出す方向で準備を進めて問題ないでしょう。
マンションで民泊できる?制限は?
マンションも民泊施設として利用することはできます。
しかし、法律やマンション標準管理規約による制限があります。
それぞれの制限について解説していきましょう。
法律による制限
住宅宿泊事業法における「住宅」は、住宅宿泊事業法第二条第一項第二号で「人の居住の用に供されていると認められる家屋」を意味します。
また、住宅宿泊事業法施行規則第二条では「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」、「入居者の募集が行われている家屋」、「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」とも定義されているため、民泊として活用する場合は注意が必要です。
それぞれの意味は以下の通りです。
・現に人の生活の本拠として使用されている家屋
特定の人が生活の拠点にしている家屋という意味です。
住民票上の住所となっているケースが該当します。
・入居者の募集が行われている家屋
売りに出ている、賃貸の募集をしている、入居者の募集を行っている家屋が該当します。
ただし、民泊事業を行うために不利な条件で募集をかけている、入居者を募集する意図がないといった場合は、当てはまりません。
・随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
生活の拠点に使っていないけれど、1年に1回以上は何らかの形で使用している家屋という意味です。
使用履歴がない民泊専用の新築マンションは該当しないので注意してください。
マンション標準管理規約による制限
マンション標準管理規約は、国土交通省が作成したマンション管理規約の見本となるものです。
マンションの管理規約を作成する際に参考にしたり、そのまま使用したりしています。
分譲マンションにおける民泊事業によるトラブルを防止するため、2017年8月29日にマンション標準管理規約も改正されています。
改正後は、民泊を可能とする場合と禁止する場合の規定例を示すようになりました。
マンション標準管理規約には、「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」という文言があります。
これは、ホテルのように営業用として貸し出したり、会社の事務所として使ったりできないことを意味しています。
このような規約を設けているマンションの場合は、民泊としての利用ができないと考えて良いでしょう。
マンション独自に民泊を規制しているケースもある!
規約などの関係なく、マンション独自に民泊を規制しているケースもあります。
具体的な例を挙げてご紹介します。
トラブル防止
民泊として貸し出すと、外国人が寝泊まりするケースもあります。
インバウンド需要が高まれば当たり前のことだと言えるでしょう。
外国人が寝泊まりすると、生活習慣や各種マナー(ゴミ出しなど)の違いからトラブルになる恐れがあります。
それを防止するため、民泊を禁止しているマンションもあるのです。
騒音トラブル
宿泊客が夜遅くまで騒ぐと、近隣の入居者が不快感を覚える場合もあります。
民泊を利用するのはお客様なので強く言うことは難しいため、トラブルの原因になりやすいです。
外国人が相手だと言葉が通じず、静かにしてもらえない可能性もあるでしょう。
セキュリティ対策
オートロックのマンションでも、民泊として貸し出すと不特定多数の人が出入りすることになります。
そのため、セキュリティ面で不安が募ってしまうという理由から民泊を規制しているケースもあります。
住居環境の悪化も懸念されるため、あえて禁止していると言えるでしょう。
ニオイ
お酒やたばこなどのニオイが苦手な人が隣に暮らしていることもあります。
不快なニオイが原因となり、体調を崩してしまう可能性もないとは言い切れません。
そのような場合、警察に通報されたり、訴えられたりするといったリスクもあります。
リスク回避のために民泊を規制しているマンションもあるということです。
価値の低下への懸念
トラブルが多発すると、マンション自体の価値が低下してしまう可能性もあります。
マンションのブランド価値が毀損されてしまうと、売ろうとした時も買い叩かれてしまいます。
噂が広がると入居希望者も見つかりにくくなるでしょう。
そのようなリスクを懸念し、規制しているマンションもあります。
まとめ
民泊は、マンションを含む住宅で始められるビジネスです。
インバウンド需要の高まりから、スタートしたいと考える人も増えています。
しかし、法律で禁止されているケースや規約で規制されているケースもあるので、始めるなら正しい知識を持つことが重要です。