賃貸物件管理をしている中で、建て替えのタイミングで悩んでしまうケースは少なくありません。
どのくらいの築年数が建て替え時期の目安となるのか知りたいと思っている人も多いでしょう。
そこで今回は、賃貸物件の建て替え時期は築年数で決まるのか、目安はどのくらいなのか、といった点について解説していきます。
目次
賃貸物件の建て替え時期…目安は?
賃貸物件の建て替え時期の目安は、いくつかの視点があります。
まずは、どのような視点で目安となる時期を確認できるのかみていきましょう。
築年数で判断
アパートの耐用年数は、木造だと50年~60年、鉄筋造だと55年~75年、鉄筋コンクリート造だと100年以上となっています。
しかし、建て替えを検討すべきなのは、築20年~30年という早いタイミングで訪れます。
なぜかというと、アパートの場合はおよそ15年~20年程度で大規模修繕が必要となる部分が生まれるからです。
木造アパートはリノベーションも難しく、耐震性も考えなければいけないため、建て替えを検討するケースも見られるようになります。
空室率で判断
建て替えをするには、現在入居している人の立ち退きが必要となります。
空室率が少ない(3割~4割ほど)で立ち退きに着手してしまうと、立ち退き料が大きな負担になったり、交渉が難航したりする可能性が高いです。
それを踏まえて考えてみると、空室率が5割を超えるようになってから立ち退きに着手するのが望ましいと言えます。
入居者が自然に減っていけば、立ち退きもスムーズに進みやすくなり、本格的な建て替えまで順調に進みやすくなるでしょう。
維持費用で判断
築年数が経過すると維持費用が断続的にかかるようになっていきます。
高額なリフォームが必要になってきた場合は、建て替えを検討すべき時期だと言えるでしょう。
物件によっては、室内の設備などが新しくても外見が古いケースもあります。
そのような物件は、外見の古さや築年数が理由で家賃アップがそこまで大きくできない可能性が高いです。
そうなると結果的に収益が下がってしまうため、リフォームを繰り返すたびに赤字が大きくなります。
赤字がかさむとオーナーにとって大きな負担になるので、リフォームが高額になりそうなら建て替えを考える目安だと覚えておきましょう。
賃貸物件の建て替えで得られるメリット
賃貸物件を建て替えることにより、得られるメリットがあります。
続いては、建て替えで得られるメリットにはどのような点が挙げられるのかご紹介します。
収益のアップが狙える
収益のアップが狙えるというのは、建て替えによる最も大きなメリットです。
新築やそれに近しいアパートなら、家賃を高く設定しても入居を希望する人が現れやすくなります。
満室を目指すハードルも低くなるので、収入アップを目指したいなら建て替えることも視野に入れると良いでしょう。
築年数が経過した物件の家賃を上げるのは容易ではありませんが、新築であれば今までより高い家賃を設定しやすくなります。
アパート経営者として収入アップを目指しているなら、古くなってメンテナンスにお金がかかる物件を所有し続けるのではなく、建て替えを前向きに考えるようにしましょう。
自然災害に強い建物にできる
耐震性や耐久性を高められるので、自然災害に強い物件を提供できるのもメリットのひとつです。
日本は地震などの自然災害が多く発生するため、耐震性の高さは安心につながります。
最新技術を取り入れた物件であれば、耐久性も建て替え前より高くなります。
耐震性などが高ければ、安心して入居できると感じる人も増えるので、入居率をアップさせる効果も期待できるのです。
税金が抑えられる
アパートの建て替えは、税金対策としても有効です。
アパートを建て替えると、不動産所得にかかる所得税などの税金が安くなります。
減価償却費が計上されるからです。
減価償却費は、建物の価格を耐用年数内で配分し、それぞれの年の費用にみなします。
減価償却費は建物の構造によって異なります。
木造は22年、鉄骨造(3mm以下)は19年、鉄骨造(3㎜超4㎜以下)は27年、鉄骨造(4mm超え)は34年、鉄筋コンクリート造は47年と法律で定められているのです。
建て替えを考え始めるアパートは耐用年数を超過しているケースも多く、高い税金を支払っているオーナーもいます。
建て替えをすると税金を抑えられるので、オーナーの負担軽減につながるからです。
建て替え時の注意点
アパートの建て替えをする際には、注意点も把握しておく必要があります。
最後に、どのような注意点があるのかみていきましょう。
立ち退き交渉をしなければいけない
1つ目は、立ち退き交渉をしなければいけないことです。
アパートを建て替えるためには、立ち退き交渉が必要不可欠です。
立ち退きがスムーズに進まなければ、建て替えの予定が狂ってしまう可能性もあるでしょう。
入居者に立ち退いてもらうには、正当な理由が必要になります。
アパートの建て替えは必ずしも正当な理由だと認められるわけではないので、難航する可能性も視野に入れておくことをおすすめします。
入居者からの了承を得るために、立ち退き料を支払うというケースは多いです。
立ち退き料の相場家賃の3~6ヶ月分ですが、状況によって変動するので不安な場合は弁護士と話し合って決めるようにしましょう。
施工費がかかる
2つ目は、施工費がかかることです。
建て替えをする時は、解体費用と建築費用がかかります。
その費用は高額になるので融資を受けるケースが多いです。
木造アパートの解体費用の相場は、1坪あたり3~5万円となっています。
しかし、立地条件などによって異なるので一概には言えません。
解体するだけではなく新たにアパートを建築しなければいけないので、全て自己資金でまかなえる人はほぼいないでしょう。
資金調達のために新たにアパートローンを組まなければいけないので、返済生活が長くなることが大きなデメリットだと感じる人もいるはずです。
アパートの建て替えには大きなコストがかかるので、あらかじめ収益プランを考えておくのがおすすめです。
取り壊しと建設にどのくらい費用がかかるのか、ランニングコストはどのくらいか、家賃収入はどのくらい期待できるのか、といった点はあらかじめ想定しておきましょう。
まとめ
賃貸物件を建て替える目安となる年数は、構造によって異なります。
また、判断する基準も築年数や空室率、修繕費用などの視点から見て建て替えを考えるケースもあります。
保有している物件の建て替えのタイミングを迷っているなら、今回紹介したポイントやメリット・デメリットを踏まえた上で考えてみてください。