多くの人が住まいとして暮らしている木造アパートですが、隣人もいることから騒音によってトラブルを作ってしまうこともあります。
実は、木造アパートの多くは遮音性が期待できない造りとされているのです。
ここでは木造アパートの遮音性についてご紹介すると共に、入居者数アップにつなげるための音漏れ対策を解説していきましょう。
目次
木造アパートはどれだけ音が気になる?
まずは木造アパートの遮音性について説明していきます。
木造アパートの場合、どの程度の遮音性があるのでしょうか?
木造アパートは遮音性が低め
木造アパートは残念ながら遮音性が低めに作られているのがほとんどです。
生活によって生み出される音は2つの種類が存在しています。
1つは話し声やテレビの音といった音源が空気によって伝わっていくものです。
こちらは壁を通り抜けて聞こえる空気伝播音となっており、壁の透過損失を示す「D値」によって建物の性能を表すことができ、数字が大きければ性能が高いということになります。
マンションではD値がD-45~50程ありますが、木造アパートになるとD30程度、壁内が空洞だとD-20~25程度になってしまうのです。
つまり、木造アパートはマンションの半分程度の遮音性しかありません。
2つ目は、上階の足音や落下音などの床が振動することで響く、固体伝播音(床衝撃音)です。
こちらは下の階の音圧レベルを示す「L値」で表されるのですが、先ほどとは異なり数値が低いほど性能が高くなります。
気になる数値はマンションではL-40~50程度、木造アパートはL-70~75程度となるので、こちらも木造アパートの方が足音などは響きやすくなっています。
音漏れは物件によっても異なる
遮音性が期待できない木造アパートでも、実際には物件によって性能が異なる場合が多いです。
特に古いアパートになると壁や床に遮音材を入れていないことも多く、音漏れがしやすい傾向にあります。
また、古いサッシを使用している場合にも遮音性が劣っていたり、間取りで隣戸との界壁を挟んで居室とユニットバスが隣り合っていると、入浴時の音が隣に響きやすく、どうしても遮音性が低いように感じたりします。
さらにパイプシャフトが居室にある場合も流水音が気になりやすいです。
上階でお風呂やトイレなどの水回りや洗濯機を使用した時に、水の流れる音が響きやすいため、「隣の家に響いていないか」と騒音に悩んでしまう方も多いでしょう。
大家ができるリフォームによる防音対策
賃貸のオーナーであるならば、騒音問題によってトラブルが発生するのは避けたいものです。
いくら入居者同士のトラブルと言っても、そのトラブルを目の当たりにしている近所の人から見たら、長く住みたくはない物件と思われてしまうこともあります。
騒音に悩まされやすい物件だと言われないためにも、ここでご紹介するリフォームによる防音対策で、住み心地の良い賃貸物件を作っていきましょう。
吸音材と遮音シートを壁の中に組み込む
この方法はあらゆる防音リフォームの中でも、特に遮音性や吸音性に優れたリフォームとなっています。
手軽に購入できる防音グッズを使用するよりも音漏れに対する効果は期待でき、騒音トラブルも減らせるでしょう。
壁に吸音材や遮音シートを組み込む際は、製品の質の良さを重視することが大事です。
大掛かりな工事となるため、しっかりと防音対策ができる吸音性・遮熱性が高いものを選びましょう。
石膏ボードと遮音制振ゴムで戸境壁をつくる
手軽な防音リフォームとして石膏ボードの二重張りは、多くの物件で活用されている方法です。
しかし、実は高音と低音どちらに対してもあまり効果を見出さないものとされています。
確実に遮音性能を高めるには、「遮音制振ゴム」がポイントになってきます。
2枚の石膏ボードの間に遮音制振ゴムを挟むことで、石膏ボードの弱点を解消し防音効果が発揮されるようになるのです。
期待できる遮音性は約10dBですが、多くの音が半減したように聞こえるのでぜひ試してみましょう。
遮音マットを床材の下に入れる
遮音マットは床材の下に入れるもので、大掛かりなリフォームを必要とします。
しかし、防音グッズを使うよりも高い防音効果が生み出されます。
下の階への音漏れが格段に減らせますが、床材のリフォームのみならず防音グッズで窓やドアといったあらゆる部分で遮音性能を高めることも大事になります。
遮音換気口に付け替える
木造アパートでは遮音換気口に付け替えることも、防音対策として有効です。
通常の換気口だと音が入りやすいため、防音対策が施されたものに換えることで音漏れを防げるようになります。
ただし、防音機能を高められるのは確かですが、隣戸の騒音問題解消までにつながる対策方法というわけではありません。
ある程度の遮音性は高められても、完全に防音できるものではないことを理解しておきましょう。
二重窓や防音性の高い窓に替える
防音対策のリフォームを行うなら、二重窓にしたり、より防音性能に優れた窓に付け替えたりすることも視野に入れてみてください。
音を貫通する場所は壁や床のみならず、窓でも起こります。
リフォーム費用をあまりかけたくない場合には既存の窓はそのままで、もう一つ窓ガラスを増やすことで防音性能が高まります。
防音フィルムを窓に貼り付ける
防音フィルムを窓に貼ることも忘れてはならない対策法です。
この場合は大家ではなくとも入居者もできるものなのですが、事前に対策しておくと入居者のトラブルを減らせるでしょう。
実績豊富な施工会社に依頼をしよう
賃貸運用をしているオーナーの中には、目先のことばかりを心配してしまいリフォームにあまり費用をかけたくないと考えてしまう方も多いです。
実際に、リフォームを行って入居者が増えるかどうかは分からないため、費用を安く抑えようと考えます。
費用を抑えようとDIYで遮音性を高めようとする方もいますが、どれだけDIYに自信がある人でも難しい工事ならばプロの施工会社に依頼した方が良いでしょう。
安易に工事を始めてみて、万が一施工に失敗するとかえって遮音性が低くなってしまいます。
施工会社を選択する際は、実績が豊富かどうか、どのような仕上がりになるのかを確認しつつ、複数の業者を比較しながら選びましょう。
まとめ
木造アパートだと気になりやすい防音効果は、あらゆる対策によって高められます。
しかし、壁に穴を開ける、床板を剥いでいくなど、大掛かりな工事を必要とする場合には、必ず施工のプロに依頼しましょう。
的確なリフォームを施し、騒音トラブルを回避しながら集客できる賃貸を目指してみてください。