新型コロナウイルス対策の難しさとオフィスを分散するメリットとは?

世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン氏は、世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスについて「我々の世界に一つの病気のウイルスが加わり、消え去ることはないかもしれない」と述べ、ウイルスと共存する覚悟が必要だとの考えを示しました。ウイルスとの共存、つまり、私たちは適切な感染予防を図りつつ、社会活動を行っていく必要があるといえます。

第2波、第3波に備えた感染対策が必要

今、日本は、感染防止対策、経済活動再開の両立に向けて動き出しています。しかし、経済活動を再開した際、中国や韓国と同様に集団感染が起き、また、新たな波が起こることが懸念されています。

新型コロナウイルスの怖いところは、ワクチンや治療薬がなく、死亡率がインフルエンザなどに比べるとはるかに高いところです。有効なワクチンや治療薬が確立されるまでは、自己のみならず、他人に感染させないよう感染対策の徹底が必要となります。

基本は密にならないこと

新型コロナウイルスの感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染です。マスクをしていても隙間があるため飛沫が飛び散ることはありますし、眼の粘膜からも感染します。閉鎖空間において近距離で多くの人と会話をする等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみなどの症状が無くても感染を拡大させるリスクがあるとされています。また、空気中に漂う小さな粒子に付着したエアロゾルの状態で新型コロナウイルスが最長3時間生存するとも言われています。そのため、新型コロナウイルスの感染予防の基本として、やはり、密にならないことが重要なのです。社会活動を行うにあたっても、お互いに飛沫が届かない2メートル程度の距離をとる(密接しない)、適宜換気をする(密閉しない)、多くの人数で集まらない(密集しない)環境づくりが望ましいといえます。

感染対策におけるオフィス分散のメリット

新型コロナウイルスは物体の表面にも24~72時間生存することが分かっています。感染意識の高い病院でもタブレット端末などからの感染拡大が疑われており、新型コロナウイルスの接触感染予防は難しいといえます。会社でも、コピー機、デスクや椅子など、ウイルスがどこに潜んでいるか分かりません。大勢の人が集まるオフィスは、共用する物、共有する人数も多く、接触感染予防は非常に困難であるといえます。そのため、物品を使用する人数自体を減らすことは有効な感染対策となるでしょう。

新型コロナウイルスは発症2日前から感染力があり、感染しても無症状の人もいます。そのため、ある1人が症状を発症し感染に気付いた時には、すでに集団感染が起こっているという状況が起こり得るのです。また、感染者との濃厚接触者は14日間自宅待機することとなるため、多くの業務が滞ってしまう恐れがあります。感染した社員と接触をしていなくとも、同じ職場にいたというだけで職場内の不安は高まります。しかし、オフィスを複数に分けていると、感染者が出たときの濃厚接触者や接触者を減らすことができます。感染者が出たオフィスは消毒にも時間をとられますが、オフィスが複数あることで経済活動が止まることなく継続できるのです。社員の感染リスク軽減だけでなく、不安の軽減にもつながることでしょう。

まとめ

感染対策のため今できることとは 新型コロナウイルスと共存する社会づくりが求められる今、テレワークの実施や継続が難しい会社も多いことでしょう。オフィスにおいて、社員が少しでも不安なく働けるよう、デスク間の距離をとる、少人数ずつ集まる、定期的な換気を行う、共有部の定期的な消毒や清掃、社員それぞれの体温測定や手洗いの励行など、感染予防に向けた取り組みを始める必要があります。