東京都では、台東区をはじめ東京都がワンルーム条例で規制されているということをご存知でしょうか?
台東区では、マンションの建築をする上ではこの条例に従う必要があり、規制内容を理解して計画をしていかなければなりません。
そもそもワンルーム条例とはどのようなものを指しているのでしょうか。
そこで今回は、ワンルーム条例の規制内容や規制が必要な理由などをご紹介します。
目次
ワンルーム条例とは?
ワンルーム条例を簡単に言い換えると、賃貸マンションの建築制限のことです。
建築基準法とは別に各市区町村が独自で定めたもので、ワンルームのマンションばかりにならないよう制限するのが目的となっています。
まずは具体的な規制内容や規制される理由についてご紹介しm佐生。
規制されている内容
規制内容には様々なものがありますが、一般的なのが最低住戸面積です。
これはワンルーム1戸につき最低限確保しなければならない面積のことで、面積の小さいワンルームばかりにならないようにしています。
賃貸物件というのは面積が小さいほど賃料単価が上げられるために、収益性が高い経営ができるという特徴があります。
最低住戸面積はその各市区町村で異なりますが、政令指定都市では16㎡~18㎡、都市部では25㎡としている自治体が多いです。
また、規制内容にはこの他にファミリー住戸設置・管理人設置・駐車場台数の確保など、様々な規制があります。
・ファミリー住戸設置
ファミリー住戸は、1戸あたりの賃貸面積が広くなり、家賃も高くなる傾向にあるため、賃料単価を下げるケースが多いです。
つまり、ファミリー住戸を増やせば増やすほど賃料単価が低くなり、収益性が下がります。
賃料単価が高くなるワンルームマンションにファミリー住戸の設置を義務付けています。
・管理人設置
管理人設置についても義務付けている自治体が多いです。
管理人の設置には、当然人件費が発生するため、賃貸経営においては収益性が下がります。
特に戸数が多ければ多いほど、日中に8時間以上駐在する管理人が必要となり、人数も増やさなければなりません。
・駐車場台数の確保
都市部では駐車場の確保が難しいケースもありますが、ワンルーム条例では駐車場台数確保も定められています。
敷地面積によっては、平置きの駐車場を設置することができず、機械式を導入しなければなりません。
例えば、東京世田谷区では、40㎡未満の個数に対し戸数の1/10以上、40㎡以上の戸数に対しては3/10以上の駐車場設置を義務付けています。
・その他
この他にも、自治体によっては一定面積の緑地確保や壁面後退距離・バリアフリー仕様・集会室もしくは多目的室の設置・防災備蓄倉庫設置などの規制がある所もあります。
詳細は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。
規制されている理由
規制内容にもあるように、ワンルーム条例が都市部で規制されている理由は、マンション経営を行うオーナーの収益性を圧迫させるためです。
特に人口が集中する都市部では、若年層が集まりやすく、そのままにしておけばワンルームマンションばかりが建ってしまいかねません。
しかし、若年層は地域活動への参加に消極的な方が多いほか、ゴミ出し・騒音などのトラブルを引き起こす可能性もあります。
街がワンルームマンションばかりになれば、その分収入の低い若年層や単身者ばかりになってしまうため、自治体では税収面でも課題が出る可能性が高いです。
一方、ファミリー世帯は、長期にわたり住むケースが多く、その土地に定住する可能性も高いです。
このような理由から、特に人口が集中する都市部では単身世帯の増加を避けたいと考え、ワンルーム条例の規制をかけているところが多くなっているのです。
不動産投資にも影響あり?
先にも述べたように、ワンルーム条例は収益性が高いと言われているワンルームマンションばかりにならないように規制するという目的があります。
様々な負荷をかけることで、収益性は圧迫していきます。
つまり建築そのものがしにくい仕組みになっているため、不動産投資でワンルームマンション経営を考えている方にとっては大きく影響するでしょう。
台東区はワンルーム条例で規制されている!
都市部で多く適用されているワンルーム条例ですが、規制内容は自治体によっても異なります。
では、台東区ではワンルーム条例でどのような規制がなされているのでしょうか?
・ワンルーム条例対象規模:住戸数10以上の下宿・共同住宅または寄宿舎など
・最低住戸面積:25㎡以上
・ワンルームの定義:40㎡未満
ファミリー住戸の設置については、以下のように定められています。
・総住戸数15以上50未満・高さ40m以下:専用面積40㎡の住戸を総戸数の1/3以上
・総住戸数50以上99以下・高さ40m~50m以下:50㎡以上の住戸を総戸数の1/3以上
・総住戸数100以上または高さ50m以上:専有面積75㎡以上の住戸を総戸数の1/20以上、かつ専用面積40㎡以上の住戸を総戸数の1/2以上
台東区において、ワンルーム条例が適用されるのは住戸数が10以上の賃貸マンションです。
つまり、ワンルーム条例の適用対象にならないようにマンション経営を計画する場合、10戸未満にしなければならないということです。
そもそも、土地を探す際には法的制限を踏まえて建物の専有面積や階数を想定していきます。
その中で、10戸未満の賃貸マンションを計画するとなると、決して簡単に見つかるとは言い切れません。
専有面積が200㎡確保できる場合、20㎡の住戸であれば10戸計画することができますが、これでは台東区のワンルーム条例適用対象になってしまうため、計画が成り立たなくなってしまうでしょう。
不動産投資として賃貸マンション経営を検討している場合は、ワンルーム条例についても念頭においた上でしっかりと計画する必要があります。
まとめ
賃貸マンションに適した土地を持っていても、ワンルーム条例の適用対象のエリアになる場合、ワンルーム条例が障害となり収益性が期待できないといったケースもあるでしょう。
ワンルーム条例で規制されているということは、その分不動産投資にも影響が出てしまいます。
不動産投資を考えているなら、建てる前に複数のハウスメーカーの建築プランや事例等を確認し、専門知識のあるプロに相談してみましょう。