賃貸契約時の流れを確認しよう!必要書類や初期費用などもまとめて解説
アパートやマンションなどの賃貸契約をする時は、普通借家契約と定期借家契約のどちらかの契約を締結することになります。
賃貸契約を検討している場合は、あらかじめ契約時の流れについて理解しておかなければなりません。
今回は、普通借家契約と定期借家契約との違いや賃貸契約のポイント、流れなどをご紹介します。
賃貸契約をスムーズに進めるためにも、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
普通借家契約と定期借家契約は何が違う?
まずは、普通借家契約と定期借家契約の違いは何か見ていきましょう。
普通借家契約
普通借家契約は、一般的な賃貸借契約のことを指し、1年以上~2年という契約期間を定めているケースが多いです、
中には期間が1年未満に設定されている所もありますが、その場合は期間の定めがない賃貸借契約として扱われます。
普通借家契約では、設定された期間が満了しても入居者が希望すれば契約の更新ができ、長く住み続けることも可能です。
一方的な退去になることは少なく、入居者が手厚く保護される契約形態となっています。
ただ、中途解約に関する特約の設定がある場合は、その定めに従わなければなりません。
契約方法は書面のことが多いですが、口頭で交わすケースもあります。
なお、普通借家契約は、特約かどうかに関わらず賃料増減額請求権が認められます。
賃料増減額請求権とは、近隣の相場と比較して現在の賃料が不相当と判断される場合、賃貸借契約の相手方に対して賃料の減額や増額などの請求ができる権利です。
定期借家契約
定期借家契約は、普通借家契約のように契約期間の定めがありますが、基本的に契約の更新ができません。
そのため、契約期間が満了した場合は必ず退去しなければなりません。
ただ、大家さんや管理会社と入居者の双方が合意した場合に限り、期間満了後に再契約を結ぶことができます。
契約期間は大家さんが自由に決めることができ、1年未満の契約も可能です。
また、床面積が200㎡未満の居住用建物であり、やむを得ない事由により生活本拠点として使用できない場合、特約がなくても途中解約できます。
それ以外の理由の場合は、途中解約に関する特約があればその定めに従うことになります。
定期借家契約は、転勤や海外出向などで一時的に不在になる自宅を貸し出したり、将来的に住む予定の空き家や実家を期間限定で貸し出したりするケースが多いです。
大家さんの都合で契約期間を定めることになるため、家賃が割安になる傾向があります。
定期借家契約も賃料増減額請求権が認められますが、一方で大家さん側はこの権利を排除する特約を定める場合もあります。
仮に賃料増減額請求権に関する特約が定められていた場合には、入居者はそれに従わなければなりません。
賃貸契約の手続きはどのように行われる?
では、賃貸契約の手続きはどのようにして行われるのでしょうか?
ここでは、賃貸契約の流れをご紹介します。
希望する賃貸物件の条件を確認する
まずは、部屋の広さや間取り、家賃など、希望する賃貸物件の条件を確認しましょう。
住みたいエリアや周辺環境、交通手段、最寄り駅や駅までの距離なども確認しておくと、入居してからの生活がしやすくなります。
また、部屋の築年数や建物の種類などもチェックしておきたい項目の1つです。
ペットを飼っている方は、ペットに対応している物件かどうかも確認してみてください。
家賃相場は、1ヶ月の収入の3分の1程度を目安として考えましょう。
物件探し
条件が決まったら、インターネットや不動産会社などで物件探しを行います。
インターネットでは、賃貸物件検索サイトも多く、様々な条件で絞り込むことができるため、効率的に物件を探したい方におすすめです。
できるだけ多くの物件を比較していくと、エリアごとの家賃相場や違いなどを把握できます。
自分の中で、賃貸物件で何を優先したいのか、逆に優先順位が低いものは何なのかも含め、物件探しを行いましょう。
管理会社に連絡して内見する
条件の合う物件が見つかったら、管理会社に連絡を取り、内見の依頼を出しましょう。
内見では、物件や室内の設備や物件情報を見た時に気になった所を確認しておきます。
この時に、周辺環境についての質問をしておくと利便性の把握もしやすくなります。
他にも似たような物件を探したい時には、管理会社がサポートしてくれる場合もあるでしょう。
入居申し込み・入居審査
内見をした物件が気に入ったら、不動産会社を通じて大家さんに入居申し込みを行います。
申し込みには、入居申込書・収入証明書類・申込金などが必要です。
申込金は、手付金や予約金と呼ばれることもあります。
申し込み後は、入居審査を受けます。
入居審査で確認するのは、家賃の支払い能力があるかどうかです。
家賃が問題なく支払えるかどうかを確認し、問題ないと判断されれば次のステップへと進みます。
重要事項説明書や賃貸借契約書を確認する
入居審査に通過したら、重要事項説明書と賃貸借契約書を確認し、署名及び捺印を行います。
重要事項説明書は、賃貸契約を結ぶにあたってどのような条件があるかが記載されている書類です。
賃貸借契約書は貸主と借主の双方が合意して物件の賃貸借を行うための書類です。
双方にとって重要な取引証拠書類となるため、必ず確認し、署名と捺印を行わなければなりません。
賃貸借契約書には物件の所在地や間取り、契約期間などが記載されています。
費用や必要書類を用意し手続きを行う
重要事項説明書と賃貸借契約書に署名・捺印したら、初期費用や必要書類などを用意し手続きしていきます。
契約の条件によって、必要とされる費用は異なります。
事前に費用の詳細の説明があるので、それに従って準備してください。
また、初期費用は契約時に支払うことが多いですが、事前に振込をするケースもあります。
初期費用は貸主と不動産会社、保険会社などに必要な金額を支払い、領収書を受け取りましょう。
引き渡し・入居開始
契約が無事に完了したら、物件の鍵を受け取って引き渡しとなります。
引越しする日をあらかじめ決めておき、その日に合わせて引越し業者を手配したり、荷造りをしたりして準備を進めておきましょう。
電気やガス、水道、インターネット契約といった手続きも事前に行っておくとスムーズです。
また、入居してからは住所変更の手続きも忘れずに行ってください。
賃貸契約における「重要事項説明」とは?
賃貸契約時には、重要事項説明書を確認するということを述べました。
重要事項説明は、賃貸借契約を結ぶ際に宅地建物取引士が契約者に対して行うことが義務付けられているものです。
主に、賃貸物件の契約内容や特約事項などを説明することになります。
ここでは、重要事項説明について詳しく解説していきます。
賃貸借契約書との違いは?
賃貸借契約書は、賃貸契約を交わすための書類です。
一方、重要事項説明書は契約する物件の詳細や契約における重要事項が記載された書類となります。
賃貸契約を結ぶにあたって、物件の重要事項の説明を受け、事前に理解しておくことは非常に大切です。
また、契約時に詳細の説明を受けておけば契約後のトラブルを避けると同時に、契約者を守ることにつながると考えられています。
重要事項説明は、宅地建物取引士が行うよう法律で義務付けられています。
入居後のトラブルを防ぐためにも、納得がいくまで説明してもらい、疑問や不安を解決しましょう。
重要事項証明書に記載されていること
重要事項説明書には、物件の費用や設備、特約事項など様々な内容が記載されています。
費用
まずは、家賃や敷金、礼金、管理費、保証料、駐車場代などの費用に関する内容です。
賃貸物件に入居すると、家賃以外にも様々な費用が必要になります。
特に初期費用は敷金・礼金なども含まれるため、高額になることが多いです。
鍵の交換費用やケーブルテレビに関する費用などについても記載されていますが、気になることはよく確認しておきましょう。
設備
エアコンや電気・ガス・水道など、賃貸物件に備わっている設備に関する内容です。
契約時点でどのような設備があるのか記載されており、故障した場合の修理に関する説明もあります。
賃貸物件において、備え付けの設備に関するトラブルは非常に多いです。
特に修理費は入居者が負担するべきなのか、管理会社が負担するべきなのか曖昧になってしまうことも多いでしょう。
面倒でも、設備一つひとつがどのような扱いになっているのか確認しておくことが大切です。
インフラ整備
電気・ガス・水道などのインフラ整備に関する内容です。
最近はガスがなく、オール電化としている物件も多くなってきていますが、ガスがある場合は都市ガスなのかプロパンなのかも細かく確認しておきましょう。
また、インターネット環境が整っている物件も多いです。
契約・解約事項
普通借家契約の場合は契約更新が2年に設定されていることが多いですが、更新時には更新料の支払いが求められる場合があります。
更新料は物件によって必要ない場合もありますが、金額等はこの段階で確認可能です。
また、契約途中で解約する場合、退去時期の申告をいつまでにするべきなのか、期日を守らなかった場合の家賃の支払いなどについても説明されます。
解約時には解約通知書の提出が必要です。
原状回復工事における特約
退去時には、居室を入居時と同じ状態に戻すための原状回復工事が行われます。
原状回復工事は費用負担をめぐってトラブルに発展しやすいです。
基本的に、経年劣化による原状回復は貸主負担となります。
国土交通省では原状回復工事におけるガイドラインを掲載しているので、事前に確認し、それに従っているかどうか確認してみてください。
また、原状回復工事には特約が設定されているケースもあります。
例えば、特約で敷金から原状回復工事費用を支払うことが記載されている場合は、それに従います。
不利な条件で契約しないよう、契約時には負担割合をしっかり確認しなければなりません。
禁止事項・特約事項
その他、物件の禁止事項や特約事項についても説明があります。
禁止事項で最も多いのは、楽器の使用やペットの飼育を不可とする内容です。
それ以外にも、居住する上でのマナーやベランダの使用方法など、様々な内容があります。
特約事項では、敷金の取り扱いや忌避事項の有無、近隣の暴力団事務所の有無などの説明があります。
物件の管理委託先
入居後は、大家さんではなく管理会社とやり取りをすることになります。
設備の故障や何らかのトラブルが発生した場合には、すぐに相談できるよう連絡先を控えておきましょう。
ハザードマップ
現在、重要事項説明において、国土交通省よりハザードマップの説明も義務化されています。
災害が発生した場合も避難先や津波被害の予想などを知っておくことで、いざという時に備えられます。
ハザードマップポータルサイトでも、ハザードマップを確認可能です。
近年注目されている「IT重説」も知っておこう
近年は、重要事項説明においてIT重説を活用するケースも多くなってきました。
IT重説とは、パソコンやスマホなど、IT機器を使って賃貸契約時の重要事項説明を行うことです。
オンライン環境があればどこでもできるので、遠方への引越しの際に便利です。
賃貸契約においては2017年4月よりIT重説の運用が可能になっています。
ただ、すべての不動産事業者が導入しているわけではないため、IT重説を希望する場合は事前に確認しておきましょう。
IT重説では、基本的に対面で行う重要事項説明と同じような流れで物件の詳細や重要事項の説明を行います。
移動の必要がなく、録画・録音できるといったメリットがありますが、IT重説を受けるには接続テストや本人確認が必要です。
特に中小規模の不動産会社の場合は、ZoomをはじめとするWeb会議システムを活用してIT重説を行っているため、事前にインストールや登録を行わなければなりません。
通信料も発生するため、Wi-Fi環境がない場合には注意してください。
また、スマホを使ってIT重説を受ける場合は、画面が小さく図面が見にくくなってしまう可能性もあります。
そんな時には、事前に不動産会社にスマホでIT重説を受ける旨を伝えておき、図面や細かな箇所は事前に送付してもらいましょう。
賃貸契約に必要な書類
賃貸契約を結ぶ際、書類を準備しなければいけません。
続いては、賃貸契約を結ぶ際に必要となる書類について解説していきます。
入居申し込み時に必要な書類
入居申し込み時に必要な書類は以下の通りです。
・入居申込書
入居申込書は、入居申し込みをする際に契約者本人や連帯保証人などに関する情報をチェックするための書類です。
契約者や連帯保証人の名前や生年月日、住所、勤務先などを記載します。
連帯保証人を早めに見つけておくと、スムーズに申し込みができるでしょう。
最近は、連帯保証人が必要ないケースも増えています。
・身分証明書
身分証明書は、契約する時の本人確認で使用します。
運転免許証やパスポートといった公的な証明書を求められるケースが一般的です。
顔写真が入っているものが望ましいです。
・収入を証明する書類
収入を証明する書類には、源泉徴収票を使うのがおすすめです。
就職または転職をしたばかりの場合は、雇用契約書を提出する場合もあります。
自営業やフリーランスの場合は、直近の確定申告書や納税証明書が必要になります。
契約時に必要な書類
入居申し込みを終えて審査に通ったら、契約を結びます。
契約に必要な書類は以下の通りです。
・住民票
住民票は、その人の居住関係を示す公的な書類です。
身元を確認するために必要となります。
発行されてから3ヶ月以内の物でなければいけないという点に注意が必要です。
・身分証明書
入居申し込みをする時と同じく、免許証やパスポートなどの身分証明書も必要になります。
原本を持参し、不動産会社でコピーを取ってもらいましょう。
・印鑑証明書
賃貸借契約書への捺印は、自治体で印鑑登録をした実印を使わなければいけません。
その際に、実印だと証明するための印鑑証明書が必要になるのです。
連帯保証人が必要な場合は、連帯保証人の実印と印鑑証明書も必要になります。
・銀行印と通帳
家賃の引き落としを行うために、銀行印と通帳も用意しておかなければいけません。
引き落とし口座は不動産会社が準備する預金口座振替依頼書に記入すれば登録できますが、その時に銀行に登録してある印鑑が必要なので忘れずに用意してください。
・連帯保証人に関する書類
連帯保証人が必要な物件を契約する場合、連帯保証人の住民票や印鑑証明書、収入証明書などを用意しなければいけません。
準備をしてもらう時間も考え、早めに伝えておくことをおすすめします。
賃貸契約の初期費用を把握しておこう
賃貸契約を結ぶ時には初期費用がかかります。
具体的にどのような費用がかかるのか把握しておく事も重要です。
そのため次は、賃貸契約の初期費用についてみていきましょう。
礼金
礼金は、大家さんに対して部屋を貸してくれたお礼として支払うお金になります。
相場は家賃の1~2ヶ月分です。
退去時に返金されることはありません。
敷金
敷金は、家賃や入居者が部屋を損傷した時の修繕費用に充てられる担保です。
相場は家賃の1~2ヶ月分となっています。
家賃の未払いが発生したり、部屋を傷つけてしまったりした時に使われるお金です。
退去時には、修繕費を差し引いた金額が返金されます。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に支払う報酬です。
宅地建物取引法において、上限は貸主と借主合わせて家賃の1ヶ月分に消費税を含めた金額にすることが定められています。
損害保険料
損害保険料は、保険会社に支払うお金です。
入居中に借主の責任で起こった火災や水漏れなどの損害を補償するために加入します。
保険の種類によって、保証範囲や補償額などが異なるのであらかじめ確認しておきましょう。
前家賃
前家賃は、入居した月と翌月の家賃を指します。
月の途中で入居する場合は、賃料が発生する日から日割りし、翌月の家賃と共に支払うことになります。
保証料
保証料は、保証会社に入るために必要なお金です。
保証会社は、借主が家賃を滞納してしまった時に建て替えて支払ってくれる会社のことです。
保証料を支払うことにより、連帯保証人を立てることなく賃貸借契約を結べます。
その他
その他には、火災保険料や引っ越し費用、鍵の交換代、害虫駆除代、消臭費用などが発生する場合があります。
火災保険料は、1人暮らしなら1万5,000円、カップルやファミリーで暮らすなら2万円程度が相場です。
引っ越し費用は、運ばなければいけない荷物の量や引っ越し先までの距離によりますが、1人暮らしなら3~10万円、カップルやファミリーで暮らすなら8~30万円くらいが相場となっています。
鍵の交換代や害虫駆除代、消臭費用などに関しては、大家さんや不動産会社に確認してみてください。
賃貸借契約書でチェックすべきポイント
賃貸物件を借りる際は、賃貸借契約書を交わします。
賃貸借契約書に盛り込まれている内容の中でチェックすべきポイントがあります。
続いては、具体的にどのようなポイントをチェックすべきなのかみていきましょう。
契約期間と更新の定め
契約が普通借家契約と定期借家契約のどちらなのか、確認しておきましょう。
普通借家契約は、契約期間が1年以上の物件で期間の定めがありません。
大家さん側から契約の更新を拒絶したり、解約を求めたりすることは、正当な理由ができないという特徴もあります。
一方定期借家契約は、大家さんが契約期間を自由に定めることが出来、1年未満の契約も可能です。
期間が満了すれば契約が更新されないという点も、定期借家契約の特徴です。
更新料が発生する場合は、金額や支払い条件なども確認しておくことをおすすめします。
各種ルール
賃料や管理費(共益費)の金額、支払い、滞納した時などのルールも確認すべきポイントです。
金額はもちろんですが、支払い方法や支払期日なども把握しておかないトラブルに発展する可能性があります。
振込や自動引き落としを選択している大家さんが多く、翌月分を前月の末日までに支払うという方法が一般的です。
滞納してしまった時の延滞金が発生する場合は、延滞利率も確認しておきましょう。
敷金など
敷金などが必要となる場合は、金額や変換に関する手続きについても確認しておかなければいけません。
敷金と退去時の原状回復費用の清算に関わるトラブルは多く見られるため、取り決めを把握しておく必要があります。
地域によって取引慣習が異なる場合もあるので、それも踏まえた上であらかじめ確認しておくのがおすすめです。
反社会的勢力の排除
不動産取引では、反社会勢力の排除を目的としたモデル条項が導入されています。
契約書の中に盛り込まれているか確認してみましょう。
もしも大家さん側が反する行為を行った場合、契約の解除ができます。
修繕
賃貸物件の修繕に関する取り決めも要チェックです。
一般的には、物件を使用するための修繕は大家さんが行うことになっています。
しかし、入居者が故意的に壊して修繕をしなければいけなくなったり、過失があるとみなされたりすると、修繕費用を負担しなければいけません。
取り決めが不明確だとトラブルにつながる可能性が高いので、しっかり記載されている物件を選ぶようにしましょう。
禁止事項
禁止事項には、ペットの飼育や楽器の演奏、石油ストーブの使用などが挙げられます。
その他にも、無断で他人を同居させることや長期的に不在にすることを禁止している物件もあります。
物件によって禁止事項は異なりますが、違反すると退去を求められる可能性が高いです。
しっかりと禁止事項を確認し、問題を起こさないようにすることが重要です。
契約の解除
大家さんから契約解除を申し出るための要件も取り決められています。
賃料を滞納した場合、禁止事項に違反した場合などが挙げられます。
契約解除を言い渡されないようにするためにも、しっかりと賃貸借契約書に記載されたルールを確認しておきましょう。
借主からの解約
借主からの契約解除に関しては、解約通知の期日や具体的な手続きなどが書かれています。
不動産会社によりますが、解約通知書のひな型が契約書に添付されている場合もあります。
そのような時は、添付されているひな形を使うのが鉄則です。
それ以外のフォーマットだと受理してもらえない可能性も考えられます。
その他
前述した内容以外にも、原状回復の範囲や費用、特記事項などが賃貸物件の契約書には盛り込まれています。
原状回復の範囲や費用は、トラブルになるケースが多いので内容が明確になっているか確認しましょう。
気になる部分がある場合は、大家さんや不動産会社に聞いてみてください。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、別表で借主と貸主の修繕分担表などを公表しています。
それを参考にしつつ、入居予定の物件の契約書を確認するのがおすすめです。
特記事項には、入居者にとって不利な内容が記載されている場合もあります。
退去時に大きな負担を負わなければいけない可能性もあるので、細かい部分までしっかり確認してください。
賃貸契約時に起こりやすいトラブル事例
賃貸契約時に起こりやすいトラブルはいくつかあります。
最後に、どのようなトラブルが起こりやすいのか、いくつか事例を挙げてご紹介します。
入居申し込みのキャンセルができない
入居申し込みのキャンセルは、基本的に賃貸借契約が成立する前であれば可能です。
つまり、契約書に署名や捺印をしていない状態なら、キャンセルができるのです。
入居申し込みをした後に事情が変わってしまい、キャンセルを申し出たのに認められなかったという事例は少なくありません。
トラブルを回避するには、申込をする前に万が一の時にキャンセルが出来るのか確認しておきましょう。
また、キャンセルの連絡はいつまでにすれば問題ないのか、誰に伝えればいいのか、といった点もあわせて確認しておくと安心です。
申込金の返還が行われない
申込金は、物件を借りたいという意思を示す時、一時的に不動産会社に預けるお金です。
賃貸借契約が成立しなかった場合は、申し込みした人に変換されるのが一般的です。
しかし、契約が成立しなかったにもかかわらず申込金が変換されないというトラブルも往々にしてあります。
宅地建物取引業法施行規則では、申込金の返還を拒否することが禁止されています。
そのため、拒否されたとしても返還請求を行うようにしましょう。
トラブルを防ぐには、預かり証を受け取ると良いでしょう。
預かり証に記載する項目は以下の通りです。
・入居申込者の名前
・預けた日付
・預けた金額
・返還の期日
・預かり金の目的
・賃貸契約の成立・不成立に関係なく、期日には必ず返還されること
・担当者の記名と押印
損害賠償保険への加入を強要された
損害賠償保険への加入を強要されたというトラブルも比較的多く見られます。
契約書に記載されていることがあるので、署名や押印する前に確認するようにしましょう。
損害賠償保険の加入義務は確かにありますが、どの保険に加入するかは入居者の自由となっています。
不動産会社や大家さんが指定してきたとしても、それに従う必要はありません。
ただし、保険によって内容が異なるので、大家さんや不動産会社が提示する条件を確認してから加入するようにしてください。
子どもが出す生活音を理由に更新を拒否された
子どもがいるとどうしても生活騒音が大きくなってしまいます。
床に物を落としたり、走り回ったりする音が階下の住民に不快感を与えてしまう場合もあるでしょう。
それを理由に更新を拒否されてしまうケースも少なからずあります。
子どもが原因で発生する音は、よほどのことがなければ更新拒否の理由にはなりません。
そのため、出ていく必要はないと考えられます。
しかし、マンションやアパートといった集合住宅で生活するのであれば、騒音を少しでも抑えるための対策は必要です。
それが集合住宅で生活する基本的なマナーです。
まとめ
賃貸契約を結ぶ際、普通借家契約と定期借家契約の違いや手続きの流れなど、基本的な部分を把握しておくとスムーズに進められます。
その他にも、重要事項説明書やIT重説に関しても理解を深めておく必要があります。
実際に契約を結ぶ際には様々な書類も必要になるので、抜かりなく準備しておくことも重要です。
最近は連帯保証人がいなくても契約できる物件が増えていますが、今でも連帯保証人が必要な場合もあります。
連帯保証人が用意しなければいけない書類もあるので、誰にお願いするのか早めに決め、必要な書類を準備してもらうことも忘れてはいけないポイントです。
スムーズに賃貸契約を結ぶためにも、今回紹介したポイントは念頭に置いておきましょう。