賃貸物件の退去連絡はどのくらい前にするの?流れなどを詳しく解説!

退去連絡

賃貸物件への入居時に、退去時の手続きについても調べてから入居するという方は少ない傾向にあります。
そのため、いざ賃貸物件を退去することになった時に、いつ誰に連絡すれば良いのか分からない方も多いでしょう。
そこで今回は、賃貸物件の退去連絡や手続きの仕方、退去連絡をしてから引っ越しをするまでの流れ、退去費用を抑える方法について詳しく解説していきます。
賃貸物件の退去手続きに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

賃貸物件の退去連絡はいつまでに、誰に伝えるべき?

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通常、賃貸物件では契約期間が満了しても入居者から申し入れがない限り、自動的に更新されます。
そのため、退去したい場合はその意思を適切な期間内に伝える必要があります。
では、具体的に適切な期間内とはいつまでか、また誰に伝えるべきかを解説していきます。

賃貸借契約書に定められている期間内に連絡する

賃貸物件を退去することが決まったら、賃貸借契約書に記載されている「解約予告期間」を確認します。
解約予告期間とは、借りている賃貸物件から退去したい時に、どれくらい前までに解約の意思を伝えるべきなのかを定めた期限のことです。
ほとんどの賃貸物件では、退去日から1ヶ月前までとされていますが、中には2~3ヶ月前までとしている物件もあるため、必ず賃貸借契約書で解約予告期間を確認するようにしましょう。

解約予告期間を調べる際は、「解約通知書」が必要かどうかもチェックしてください。
解約通知書は、賃貸物件の解約に伴い提出する書類で、提出期限が解約予告期間と同じ期間に設定されています。

大家さんか不動産管理会社に伝える

解約予告期間が分かったら、定められている期間内に大家さんか不動産管理会社に退去することを連絡します。
一般的には、不動産管理会社に連絡するだけで手続きが済むケースも多いですが、賃貸物件によっては自分で大家さんに連絡しなければならないケースもあります。

契約書に連絡先が記載されている場合は、その内容に従って続きを行ってください。
また、メールで連絡すると届いていなかったり、気付いてもらえなかったりするケースもあるため、連絡方法は電話が原則です。

退去連絡が遅れると?

解約予告期間を過ぎてから退去連絡した場合、解約自体はできるものの過ぎた日数分の家賃を支払う必要があります。
例えば、退去連絡が解約より1週間遅れると、遅れた1週間については賃貸契約を解除できません。
しかし、家賃1週間分を一括で支払えば、1週間の解除を待たずに即日解除することができます。
退去する際の賃料は月単位ではなく、日割りで計算されることが多く、解約予告期間を過ぎての解約は、結局1ヶ月前に退去通知した場合の金額と変わらないため、連絡が遅れた日数分だけ損をすることになります。
連絡が大幅に遅れた時は、できることなら退去予定日を1ヶ月先に変更してしまった方がお得と言えるでしょう。

また、1日や2日の遅れであれば、大家さんや管理会社との相談次第で払わなくて済むこともありますが、支払いを求められた場合は拒否することはできません。
まずは、遅れに気付いた時点ですぐに連絡し、相談することが大切です。

退去連絡の伝え方

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続いて、大家さんや不動産管理会社に退去連絡をする際の伝え方や、その後の手続きについて解説します。

退去連絡の電話で伝える内容

大家さんや管理会社へ電話で退去連絡をする際に伝える主な内容は、次の通りです。

・契約者の氏名
・賃貸物件の名称と部屋番号
・退去希望日
・契約者の連絡先

上記のほか、管理会社によっては、引っ越しの具体的な日程を聞かれることもあるため、はっきりと分かっているようであればその日程も伝えます。
まだ明確に決まっていない場合は、「3月の第4週を予定している」といったように目安を伝え、後日詳細が決定したらすぐに連絡します。

電話連絡の後に解約通知書を送付する

賃貸借契約書に解約通知書が添付されている場合は、電話連絡の後に解約通知書を送付します。
解約通知書は、退去連絡の後に管理会社から送られてくるケースもあります。
電話連絡した日ではなく、解約通知書が到着した日を解約通知日としている管理会社も多いため、できるだけ早めに返送してください。

また、解約通知書はハガキのタイプもあれば、メールの電子署名で済ませるタイプもあります。
疑問や気になることがある場合は、管理会社に尋ねてみましょう。

解約通知書が手元にない場合

解約通知書は、決まった書式を使用しなければならず、自分で作った書類では受け付けてもらえないこともあります。
もし、解約通知書を紛失するなどして手元にない場合は、管理会社に依頼して送ってもらうようにしましょう。
解約通知書を請求する時は時間に余裕がないと、返送して到着するまでに解約予告期限を過ぎてしまう可能性があるため、解約予告期間よりも2週間程度の余裕を持って請求するのがおすすめです。

退去連絡から引っ越しをするまでの流れ

退去連絡

賃貸物件を退去するにあたって、退去連絡をしてから引っ越しに至るまでの大まかな流れを挙げると次のようになります。

①退去連絡
②解約通知書の提出
③引っ越しに伴う各種手続き
④引っ越し作業と部屋の掃除
⑤退去立会い
⑥敷金の精算

このうち、①退去連絡と②解約通知書の提出については、前章で解説した通りのため、ここからは③引っ越しに伴う各種手続きから⑥敷金の精算までを解説していきます。

引っ越しに伴う各種手続き

引っ越し当日までに、以下のような手続きを行っておく必要があります。

・電気やガス、水道などの転居手続き
引っ越しをする際は、電気やガス、水道といったライフラインの転送手続きが必要です。
通常は、電話で個別に手続きを行わなければなりませんが、手間を省きたい方は電気・ガス・水道に加えて、新聞やクレジットカードなどの変更手続きもインターネット上でまとめてできるサイトを利用すると便利です。
なお、ライフラインの転居手続きの申し込みは、退去の1週間前までに行うのが目安です。

・郵便物の転送手続き
郵便物の転送手続きを行っておくと、引っ越しから1年間は、郵便物が旧住所になっていても新住所へ転送してもらえます。
手続きは、郵便物の窓口で転送届を提出するのが一般的ですが、窓口に行くことが難しい方は、郵送やインターネットでも可能です。
その場合は後日、旧住所または新住所への訪問や書面の投函によって、転居の事実確認が行われることもあります。

・転出届や転居届の提出
引っ越し先が同じ市区町村内の場合は必要ありませんが、異なる市区町村に引っ越す場合は転出届を提出しなければなりません。
各地域の役所に「住民異動届」が用意されているので、必要事項を記入して窓口に提出します。
その際、転入届を提出する際に必要な「転出証明書」を渡されるので、無くさないように注意しましょう。
なお、同じ市区町村に引っ越す場合は、引っ越し後に「転居届」を提出します。

引っ越し作業と掃除

引っ越し作業と部屋の掃除はあらかじめ適切なスケジュールを組んで、引っ越し当日までに終わるようにします。
引っ越しの際は、荷造りや掃除の他にも不用品の処分が必要になるケースが多いので、事前に自治体の粗大ごみの収集方法を確認しておくと作業がスムーズに進みます。
また、引っ越し当日は業者の出入りや荷物の運び出しなどで騒音が発生するため、これまで付き合いがあまりなかったとしても最低限、両隣や下の階の住人には前もって挨拶をしておくことが大切です。

退去立会い

すべての荷物を運び出し、部屋を明け渡せる状態になったら、大家さんや管理会社と一緒に、部屋の汚れや傷、不具合などの有無をチェックする「退去立会い」を行います。
これは、部屋の修繕費用を貸主と借主のどちらが負担すべきかを明確にするために行うものです。

入居時既にあった汚れや傷、経年劣化による変色などの修繕費用は貸主側の負担となり、借主が故意や過失でつけてしまった汚れや傷は借主側の負担となります。
所要時間は概ね30~60分で、お互いに納得できたらサインをしてカギを返却します。

敷金の精算

立ち会い結果を元に、原状回復費用と借主・貸主それぞれの負担割合を計算し、敷金の精算を行います。
後日、敷金から借主負担分の原状回復費用を差し引いた金額が戻ってきます。
ただし、敷金ゼロの物件や敷金よりも原状回復費が高くなった場合は、不足分の原状回復費用を請求されます。
通常、立ち合いから1~2か月後に、御見積書によって清算が通知されますが、原状回復にあたってリフォームが必要と伝えられた時は、本当に必要なリフォームかどうか確認すべきでしょう。

敷金の精算が済んだ時点で、賃貸物件の解約手続きは終了となります。

原状回復はどこまですべき?

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賃貸物件の退去時に多いトラブルの一つが、原状回復に関するものです。
「本来、大家さんが負担すべき修繕費を請求された」・「高額なハウスクリーニング代を払わされて敷金が戻ってこなかった」というケースも少なくありません。
こうしたトラブルに巻き込まれないためにも、原状回復はどこまですべきものなのか正しく把握しておきましょう。

そもそも原状回復とは?

原状回復とは、借りた当時の状態に戻すことを指すと考える方も多いでしょう。
しかし、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「原状回復とは、賃貸人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
つまり、入居者が普通に生活していて生じた汚れや傷の修復については、原状回復義務を負う必要はないということです。

とはいえ、人によって「通常の使用」に対する捉え方や考え方は変わるため、ガイドラインでは貸主の負担になるケースと、借主の負担になるケースを具体的な例を挙げて明らかにしています。

借主の負担になるケース

部屋の掃除や手入れを怠ったことで汚れたり、故意または過失によって傷や破損が生じたりした場合は、借主の負担となります。
具体的には、次のようなケースが該当します。

・手入れを怠ったことによる汚れや傷み
例えば、カーペットに飲み物をこぼしたにも関わらず、適切な手入れをせず生じたシミやカビの除去費用については、借り主が負担しなければなりません。
この場合、不注意で飲み物をこぼすこと自体は通常使用の範囲内ですが、その後に手入れや管理を怠ったことは通常の範囲外であると判断されるのです。
また、キッチンや風呂、トイレなどの水垢やカビ、ガスコンロの油汚れなど、入居期間中に清掃を怠ったことによる汚れや傷みも、借主の管理に問題があったということで修繕費を請求されることが多いです。

・故意または過失による傷や変色
引っ越しや模様替えなどの際にできた引っかき傷や凹み、キャスター付きの椅子でつけてしまったフローリングの傷などは、借主の負担になります。
これらは、注意していれば防げるものであり、借主に過失があると判断されます。
同様の理由で、借主が窓やドアを閉め忘れていて雨が吹き込み、フローリングが変色してしまった場合も貸主が負担します。
また、契約書で禁煙ときめられているのにも関わらず、タバコを吸って壁がたばこのヤニで汚れた場合は故意によるものとして、借主が負担しなければなりません。

貸主の負担になるケース

一方で、次のように通常の使用と判断されるケースでは貸主の負担となります。

・日照りや電気ヤケによる変色
日照りによってフローリングや畳、クロスなどが色褪せたり変色したりした場合は、通常の使用に分類されるため、貸主が負担すべきとされています。
また、電気ヤケと言われる冷蔵庫やテレビの背面にできた壁の黒ずみも貸主の負担です。

・壁の画鋲やピン穴
カレンダーやポスターなどを、画鋲やピンでとめた際にできた穴の修繕は、貸主の負担とされています。
また、日照りによってカレンダーの張ってあった部分と他のクロスで色が変わり、クロスを張り替えることになった場合も貸主の負担となります。
その理由は、カレンダーやポスターなどの掲示は、日常的に行われるものと判断されるためです。
ただし、棚に壁を設置するためにできたクギやネジの穴は、借主側の負担です。

・耐用年数を過ぎた設備や鍵の交換
耐用年数を過ぎた給湯器などの設備交換は、貸主側の負担で行います。
鍵の交換については、防犯上の観点で行われるものであり、借主が負担する理由はないとされています。
ただし、借主が不注意で破損したり紛失してしまったりした場合は、借主が負担する必要があります。

退去の立ち合いでチェックされるポイント

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引っ越しは頻繁にするものではないので、退去にあたって不安がある方も多いでしょう。
ここでは、退去の際に行う「立ち合い」についてチェックされるポイントや立ち合いに必要な情報を紹介します。

退去する時に立ち合いは必要?立ち合いの流れや所要時間は?

賃貸物件を退去する際に行われる「立ち合い」とは、借主・貸主が退去する部屋の状態を一緒に確認することを指します。
担当者と共に、部屋の汚れや傷みを確認し、修繕費がかかる場合、負担割合などを話し合います。
退去立ち合いには、法的な義務がありません。
そのため、立ち合いに応じなくても罰則が与えられることはないです。
しかし、立ち合いをしなかったために、不当な請求や余分な修繕費を請求される可能性があるため基本的には立ち合いに参加することをおすすめします。

立ち合いの流れは以下のとおりです。

1.引っ越し会社による荷物の運び出し
2.部屋の掃除
3.立ち会いの担当者訪問
4.室内のキズや設備機器などの破損状態、現況を一緒に確認する
5.修繕内容を確認し、納得できれば契約書にサインをする
6.部屋の鍵を返却する

以下、立ち合いに関する情報なので参考にしてください。

・立ち合いの所要時間:約20~40分程度
・立ち合いする相手:不動産会社または管理会社の担当者、ケースによっては大家さんやリフォーム業者も加わる
・立ち合いに必要なもの:部屋の鍵、印鑑、筆記用具、キャッシュカード、賃貸借契約書など

【要確認!!】退去立ち合いでチェックされるポイントとは?

続いて、退去の立ち合いでチェックされるポイントについて紹介しましょう。
修繕費を抑えるためにも、事前に必ず見ておくことをおすすめします。

①壁紙・クロス:汚れやキズがないか
②網戸・障子・襖:破損や汚れなどはないか
③床:汚れやキズがないか
④畳:シミ、カビ、大きなキズがないか
⑤キッチンや洗面所などの水回り:水垢や汚れ、カビがないか
⑥扉、エアコン、換気扇などの設備:破損はないか、問題なく動作するか
⑦におい:たばこなどの臭いが染みついていないか
⑧鍵:紛失していないか

①壁紙、クロスの汚れやキズ
たばこなどで、壁紙が黄ばんでいたり、棚や絵を飾るために大きな穴が開いてしまったりしてないでしょうか。
また、引っ越し時に家具の移動ででてきたキズの損害は入居者側の負担になるので注意しましょう。

②網戸、障子、襖などの破損、キズ
破損やキズが故意によるものなのか、自然損耗であるのかをチェックされます。
故意による張替えの場合、網戸では1枚約3,000円程度請求されます。

③床のキズや凹み/④畳のシミやカビなど
家具の移動によるキズや凹みや、畳のシミやカビなどもチェックされます。
壁紙同様、引っ越し時にできたキズは、引っ越し業者がつけたとしても賠償するのは入居者になるので注意しましょう。

⑤キッチンや洗面所などの水回り
水の流れ具合を確認し、詰まりがあるかを確認します。
また、水垢やカビが発生していないかもチェックされるでしょう。
日頃から洗面所や浴室の排水溝、蓋などを清潔にしておきましょう。

⑥ウォシュレット、エアコン、換気扇などは問題なく動くか
まずは、設備として、始めから設置されているものが正常に動くかどうかの確認が入ります。
また、キズや破損がないかも見られるので確認しておきましょう。
設備としてついていた照明を自分が用意したものと付け替えていた場合は元に戻しておきましょう。
誤って持っていくことのないようにします。

⑦たばこの臭い、汚れや黄ばみはないか
退去立ち合いですぐにチェックされる項目として、お部屋の臭いが挙げられます。
喫煙者かどうかは、部屋に入室すればすぐに気付かれてしまうでしょう。
ニコチンは、時間とともに壁紙に染み込み、独特な臭気を発します。
掃除だけでは除ききれないので張替えの作業が必要になります。

賃貸物件の退去にかかる費用

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古い荷物を処分したり、新居の家具を買い替えたりと引っ越し費用は大きくかかります。
そのため、退去時にどれくらいの費用がかかるのか心配な方もいるでしょう。
賃貸物件の退去や解約でかかる費用は、主に退去までの家賃、修繕にかかる費用(原状回復費)やクリーニング代です。
ここでは、賃貸物件の退去にかかる費用について紹介しましょう。

原状回復費とは?退去費用の考え方

賃貸物件を退去する際に必ず出てくる「原状回復」とは、借りた部屋を「本来あるべき状態」「入居時の状態」にして返すことを指します。
しかし、入居者が賃貸期間中につけたキズや汚れのすべてを自己負担するというものではありません。
退去費用の説明をする前に、原状回復と退去費用の関係について基本的な情報を押さえておきましょう。

退去費用は、貸主が負担する費用を差し引いたもの

退去費用は、退去までの家賃と原状回復費などを合わせたものです。
原状回復費は、借主が責任をもって負担しなければならないものと、貸主が負担する費用があります。
退去費用は、この原状回復費から貸主が負担する分を引いた額が請求されます。

また、契約時に交わした「特約」によっても支払額が変わる可能性があります。
入居者負担になるケースや貸主の負担割合について確認しましょう。

原状回復義務がある費用とは?

入居者が原因となるキズや損傷は、責任を持って修繕、補償しなければなりません。
費用負担の範囲について判断がつかない場合は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にすると良いでしょう。
参照:国土交通省/原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf)
参考として以下の様な項目が、入居者側の負担になります。

・ものを落とした際にできた床のキズ
・飲み物やたべものをこぼした際にできたシミ
・ペットによってついた汚れや傷つけられた壁紙
・子どもの落書きによる汚れ
・タバコによる壁紙の黄ばみや悪臭
・鍵を紛失した場合にかかる交換費用

これらにかかる修繕費用は、入居者側の負担になるとされます。
しかし、費用のすべてが入居者負担にはなりません。
後述する貸主が負担する費用や特約分を差し引いた費用が退去費用になります。

また、原状回復費には負担割合という考え方があります。
耐用年数と経過年数を考慮して貸主・借主の負担割合が決まるのです。

例えば、壁紙の耐用年数は6年とされています。
もし、新築の入居から、3年間住んでいた場合、退去時の修繕費用で負担する割合は50%になるという考え方です。

契約時交わした特約についても注意が必要!

賃貸借契約時に、その契約のみに適用される特約が含まれている場合があります。
通常では、貸主が負担する費用項目が、特約で入居者負担になるケースです。

例えば、部屋の設備が入居した時点で、耐用年数を超えていたとしても、入居者が壊してしまった場合、その費用を請求される場合があるということです。
退去時にトラブルがないように契約時には特約の確認をしっかり行いましょう。
また、耐用年数に関係なく、部屋に設置された備品は大切に扱うことも重要です。

経年劣化や通常損耗による損傷にかかる費用は貸主負担!

壁や床などは、時間の経過によって品質が下がります。
直射日光によってできた色褪せや床の劣化、湿気や雨風によって窓枠のゴムが劣化した場合などは、経年劣化によるものです。
また、通常損耗とは、日常生活の中で自然とできてしまった損傷や消耗を指します。
長期間家具を置いたことによる設置跡、テレビ裏にできる電気跡などが該当します。
これらにかかる回復費用は、入居者ではなく貸主側の負担です。
入居者が負担する退去費用は、原状回復費から上記の「経年劣化・通常損耗」分を引いたものになります。

退去するまでの家賃の計算方法

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続いて、退去費用に含まれる退去するまでの家賃の計算をしましょう。
契約終了までの家賃は、日割りか月割りの2種類の清算方法で求められます。
家賃の清算方法は、契約書に記載されているので、事前に確認しておくことをおすすめします。
確認不足で新居の家賃とだぶって支払うことのないよう注意してください。

退去費用の相場とは??

退去費用の相場をもあらかじめ知っておくことも重要です。
退去費用の相場は、部屋の大きさや居住年数、補修する箇所によって変わります。
あくまで目安として参考にしてください。
部屋の広さをもとにした相場は以下のとおりです。

【間取り:退去費用の相場】

・ワンルーム・1K:1万5,000円~3万円
・1DK・1LDK:2万円〜4万円
・2DK・2LDK:3万円〜5万円
・3DK・ 3LDK:5万~6万円
・4DK・4LDK:9万円~

敷金を払っている場合の退去費用は?

契約時に敷金礼金を支払っている場合、退去費用はどうなるのでしょうか。
もし、最初に預けた敷金が退去費用より多い場合は、残りの敷金が返ってきます。
反対に、原状回復費が敷金より高い場合は、追加での支払いが必要になるでしょう。
入居時に敷金を支払っていない場合、原状回復費用がそのまま請求されるケースが多いです。

退去時に慌てることがないよう、退去費用を準備しておく必要があるでしょう。

退去費用を抑えることはできる?

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引っ越し時の出費はなるべく抑えたいものです。
賃貸物件の退去費用は、正しい知識を持って対応すれば抑えることが可能です。
ここでは、退去費用を抑えるポイントについて紹介しましょう。

入居時にやっておくべき行動

退去費用を最小限に抑えるポイントは入居時からスタートします。
入居後すぐに部屋のキズや汚れ、設備の不具合などを必ずチェックしましょう。

そして、キズや不具合を見つけたらチェック表に記載します。
この時、退去時に説明できるようカメラや写真に収めておくと安心です。

チェック表、キズがある場所がわかる図面、証拠画像をセットにして、管理会社へ提出し、もう一部を自分で保管しておきましょう。
また、契約内容をしっかり見ておくことも重要です。
特約の確認をし、不明点なども確認しておきましょう。

入居中に気を付けたいポイント

原状回復費を抑えるには、日頃の生活にも注意が必要でしょう。
故意や不注意による損傷は入居者負担になります。

また、日頃から掃除を行い、清潔な状態を心がけるのも重要です。
浴室周りや洗面所など、汚れを放置しているとカビや劣化の原因になります。
放置した場合、通常のハウスクリーニングでは対応できず追加費用が発生する可能性もあるでしょう。
また、エアコンなどでも本体やフィルターの掃除をせず長期間利用すると故障し、修理代を請求されることもあります。
経年劣化で貸主負担になるケースもありますが、日頃から扱いに気を付けておきましょう。

退去時にできること

退去時は、できる限り入居時に近い状態にするよう心がけましょう。
退去費用を抑えるための重要なポイントは3つあります。

できる限り落とせる汚れは落としておく

台所の油汚れも入居者の原状回復義務になります。
コンロ周りや換気扇の油汚れも専用の洗剤などを使い綺麗にしておきましょう。
トイレや水回りの水垢やカビ汚れも落とします。
取れにくい場合は、メラミンスポンジや重曹、クエン酸などを使って対応しましょう。

まだ使えるものであったとしても不用品を置いていかない

新居に不要だからと次の入居者が使えるようそのままエアコンを置いていくことは止めましょう。
設備でない照明なども同様です。
トラブルを防ぐために管理会社から撤去を依頼されるからです。

エアコンを置いて引っ越した場合、撤去料として5,000~1万円ほど追加で支払うことになります。
故障していないのであれば、引っ越し時に買い取り業者へ見積もり依頼を出すと良いでしょう。

火災保険が活用できるか確認する

加入している火災保険が退去費用に使えるケースがあります。
すべてのキズや汚れに適用されるわけではありませんが、適用範囲を確認しておくと良いでしょう。

また、借家人賠償責任保険は、誤って部屋に損害を与えた時に補償されるものですが、退去費には対応していません。
キズや汚れが発生した時点での申請が必要なので注意しましょう。

まとめ

今回は、賃貸物件を退去する上で必要な退去までの流れや退去費用の考え方について解説しました。
賃貸物件にまつわる問題の中で退去によるトラブルは多いです。
退去時に高額な退去費用を請求されないためにも、入居段階から契約内容や部屋のチェックなどしっかりと確認してください。
気持ち良くスムーズに退去できるようこの記事を参考に時間に余裕をもって準備を始めましょう。