マイホームを建てる際に、「丈夫な家に住みたい」と考える人は多いでしょう。
地震などの災害から家族を守れる家であってほしいと思うものです。
実は、建物の丈夫さは「構造」で決まります。
人それぞれマイホームに対して「天井の高い開放的なリビング」、「広いキッチン」など様々な理想を持っていることでしょう。
家の構造は間取りや住み心地にまで影響してきます。
今回は、マイホームを建築するための基盤となる「建物構造」についてご紹介していきます。
目次
そもそも「建物構造」とは?
建物構造とは、建物を支える骨組みのことを言います。
戸建ての住宅やアパートなどの居住用建築、ビルや施設などすべての建築物にも通用しています。
構造は1度造れば簡単には変えることができない、建物の中でも特に重要な部分と言えるでしょう。
建物構造は大きく分けて3種類
建物の構造は、大きく分けて「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート(RC造)」の3種類です。
それぞれの構造にはどのような特徴やメリット・デメリットがあるのか、解説していきます。
木造
木造とは、建物の柱や梁などの重要な骨組みを木材で造る構造のことを言います。
ここからさらに種類を分けると、木造軸工法や木造壁組工法(2×4工法、2×6工法など)、木造丸太組工法(ログハウス)の3種類があります。
日本では古くから用いられている構造形式で、お寺や神社などの建物にも採用されています。
戸建て住宅の中でも、普及率が高い構造形式と言えるでしょう。
メリットとして挙げられるのは、「建築コストが安い」「断熱性に優れている」「天然素材なので健康にいい」という点です。
最大のメリットは、他の鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べるとコストを安く抑えられるところでしょう。
熱伝導率が低い木材は、冬は暖かく夏は涼しく、部屋の快適な温度を保ちやすくなります。
天然素材でもあるため、リラックス効果も期待できるとされています。
反対にデメリットとして挙げられるのは「高規格で造らなければ耐震性が劣る」「シロアリの被害を受けやすい」という点です。
木造で普通に造るだけでは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも耐震性が低くなってしまいます。
耐震性が高い木造住宅を建てるには、強度の高い工法を使ったり、質の良い木材を使用したり、高規格で家を造る必要があるでしょう。
また、シロアリなどの害虫から被害を受けやすいため定期的な点検や対策は必須です。
鉄骨造(S造)
鉄骨造(S造)とは、鉄で造られた柱や梁を使って骨組みを組んだ構造のことを言います。
住宅の他にも高層建築物や大きな橋など大型建造物に使われることが多く、現代で発達した工法の1つです。
鉄骨造の中でもさらに種類を分けると、重量鉄骨工法(中・高層建築物用)や軽量鉄骨工法(2~3階建てまでのプレハブや住宅、小規模建築物用)の2種類です。
メリットとして挙げられるのは「大きい空間が造りやすい」「木造よりも耐震性が上げられる」という点です。
鉄は素材自体の強度が高く、梁を鉄骨で造ることにより大きな空間を作れたり、大きな窓や入口を広く取れたりします。
デメリットとして挙げられるのは「建築コストが高くなる」「火災に弱い」「断熱性が低く熱を伝えやすい」という点です。
鉄の性質として、一定の温度に熱すると急激に強度が落ち、約500℃で強度が半分まで下がってしまいます。
そのため、火災が起きてしまった場合倒壊する危険性があるのです。
また、木に比べると熱伝導率が圧倒的に高くなるため、鉄骨の場合冷気や熱気が鉄に伝わり夏は暑く、冬は寒い家になってしまいます。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)とは、建物の柱や梁などが鉄筋とコンクリートで構成されていて鉄筋の枠組みにコンクリートを流し入れて固めたものを使います。
住宅の他にも高層建築や大型建造物などにも使われている、現代で発達した工法です。
鉄筋コンクリート造の種類をさらに分けると、軸組工法(高層建築物・大型構造物)や壁組工法(低層建築)の2種類です。
メリットとしては、「木造よりも耐震性を上げやすい」「大きな空間を造りやすい」「耐火性や防音性、気密性に優れる」という点です。
引っ張りに強い「鉄筋」と圧縮に強い「コンクリート」が合わさって造られるため、頑丈な建物を造ることが可能です。
全面をコンクリートで覆うため、耐火性や防音性、気密性も高くなります。
デメリットとしては、「建築コストが高くなる」「結露しやすい」「遮熱性が低く熱を伝えやすい」という点が挙げられます。
他の構造に比べて建築コストが高くなる上に建てる期間も長くなります。
構造体自体の熱伝導率が高くなるため、外の気温の影響を受けやすいです。
また、他にも気密性が高い分、結露やカビへの対策が必要となってきます。
SRC造でより頑丈にすることも
SRC造とは、鉄骨の柱の周囲を鉄筋で囲み、コンクリートを打ち込んで施工する構造のことを言います。
主にマンションやビルで使われる構造ですが、現在は住宅にも用いることが可能です。
鉄骨を使わない鉄筋コンクリート(RC造)よりも高い耐久性に期待できます。
構造ごとの工事費用について
マイホームを建てる際に何を重視するのかによっても選べる構造が変わってきます。
例えば、コストを抑えたいのであれば木造、耐震性を重視したいのであれば鉄骨造など、それぞれの構造のメリット・デメリットを知った上で考えると決めやすいです。
建物の構造によって工事費用が大きく変わってくるため、自分に合った構造を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は建物の構造の種類や特徴、メリット・デメリットについてご紹介しました。
すべてを兼ね備えた完璧な構造はなく、それぞれ良いところもあれば悪いところもあります。
人生最大の買い物であるマイホームは絶対に妥協したくないと考える方は多いでしょう。
後悔しないマイホームを建てる上で大切なのは、何を重視するのか明確にしておくことです。
予算や条件、暮らし方、家族の好みなどによって適する構造も変わってきます。
家づくりの基盤となる構造について理解し、自分や家族の理想にはどの造り方が最適なのか考えてみてください。