アパートやマンションなどの賃貸経営をしていく上では、固定資産税を支払う必要があります。
そこで支払う固定資産税が具体的にどれくらいかかるのか、分からない方も多いでしょう。
不動産を所有していく上では、固定資産税については特に知っておくべきです。
今回の記事では、固定資産税についての詳細や算出方法、軽減措置など「賃貸経営に関する固定資産税」について詳しく解説していきます。
これから賃貸経営をしようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
固定資産税について理解しよう
固定資産税は、家屋や土地、有形償却資産に課税される地方税です。
賃貸経営をしていく上で、固定資産税についてしっかりと理解しておくことが大切です。
まずは、固定資産税の詳しい内容についてご紹介していきましょう。
固定資産税=土地・建物にかかる税金
固定資産税とは、毎年1月1日付けで、家屋や土地および償却資産を持っている場合に課税がされます。
アパートやマンションの経営を開始すると、土地と家屋を所有することになるので必ず固定資産税がかかってくるでしょう。
その際に申告などの手続きはなく、自治体から1月1日時点で登記情報をもとに納付額を計算し、納税通知書が送られてきます。
税額の算出方法
固定資産税の税額は、土地と建物で算出方法が変わってきます。
土地の場合は「課税標準額×税率」、建物の場合は「固定資産税評価額×税率」をすると算出できます。
固定資産税評価額とは、市町村ごとに国が定める固定資産税評価基準に基づいて決められた金額で、固定資産税の税率は1.4%です。
ただし、実際に使われる税率は市町村によって違うので土地を持っている自治体に確認するようにしましょう。
戸建てとアパート・マンションで固定資産税は変わる?
戸建てもアパート・マンションも同じ建物ですが、固定資産税の金額には違いが見られます。
税額に違いが見られるのは、土地の税額が関係しているためです。
なぜ建物で固定資産税が変わってしまうのか、その理由を解説していきます。
土地の税額が異なる
アパートやマンションの場合は、敷地面積を戸数で割ったものを土地の所有区分とするので、土地に対する固定資産税は高くなりません。
アパートやマンションの固定資産税が安くなる背景には、「住宅用地の軽減措置」が適用されるという点があるからです。
この制度では、土地にかかる固定資産税のみが安くなります。
固定資産税は土地以外に建物にも課税されますが、住宅を建てて安くなるのは土地の固定資産税です。
賃貸を経営すると土地にかかる固定資産税が必ず安くなると思っている人も多いですが、
すべての賃貸経営において安くなるという訳ではないのです。
住宅用地の軽減措置においては、課税標準額の求め方として「住宅用地」か「住宅用地以外」の2択で決められます。
住宅地以外の土地を非住宅用地や商業地などと呼び、店舗や倉庫、ビジネスホテルなどは住宅が建っている土地ではないので住宅用地以外に分けられます。
住宅用地は、土地の面積によって小規模住宅用地と一般住宅用地の2種類が存在します。
・小規模住宅用地
1つ目は「小規模住宅用地」で、住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分を指し、課税標準の6分の1に軽減されます。
・一般住宅用地
2つ目は「一般住宅用地」で、住宅用地と住宅1戸につき200平米を超えて家屋の床面積が10倍までの部分を指し、課税標準額の3分の1まで軽減されます。
このようなことから、更地で土地を持つよりもアパートやマンションを建てた方が固定資産税も安くなるのです。
この場合は建物と土地の所有者が違っていても問題はありません。
アパートやマンションなどの賃貸住宅は、200㎡×住戸数の面積が小規模住宅用地として認められます。
固定資産税と都市計画税の軽減を受けたい場合は、200㎡の考え方に注意するようにしましょう。
また、住宅用地特例が適用される住宅にはいくつか種類があります。
・自用地
自身で所有する土地であれば、賃貸でも住宅でも適用が可能です。
・併用住宅
自宅とアパートを兼用しているような賃貸併用物件や賃貸とコンビニエンスストアを併用している住宅を適応対象です。
・空き家
手入れがされていない空き家は、空き家の特別措置法の影響を受ける場合もありますが、条件によっては対象となることもあります。
新築アパート・マンションの方が税負担も軽減される
新築でアパートやマンションを建てた場合にも、軽減措置が適用されます。
新築されたアパートやマンションは、一戸あたり120平方メートルまでの部分に対して、固定資産税が1/2になります。
対象となる建物は、居住用部分の床面積が1戸につき40㎡以上280㎡以下の住宅を指すので、新築された建物すべてに適応される訳ではないということは頭に入れておきましょう。
「都市計画税」がかかることも知っておこう
不動産を持っている場合は、土地計画税がかかることも知っておくべきです。
土地計画税とは、都市計画事業などに充てられる地方税で、毎年1月1日に課税されます。
都市計画税の課税標準額は、基本的には固定資産評価額と同じですが、特例措置などの軽減率が変わってきます。
都市計画税は「固定資産税評価額×標準税率」で求めることができます。
地域によっては都市計画税も軽減対象となる場合もあります。
固定資産税は地域など関係なくすべての土地や建物が対象になりますが、都市計画税は市街化区域内の土地や建物であれば対象になります。
まとめ
今回は賃貸経営に関する固定資産税について解説してきました。
アパートやマンションなどを建てると、住宅用地の軽減が適用され土地の固定資産税が安くなります。
住宅用地の軽減は、1戸につき200平米までの部分で適応されるということを頭に入れておきましょう。
固定資産税には細かい決まりがあったり、軽減措置を受けるための手続きがあったりして面倒なことも多いでしょう。
内容を理解できないという場合は、税務署や不動産会社などの専門家に確認するようにしてください。
賃貸を経営しようと考えている方は、この記事を参考に固定資産税について正しく理解し、あらかじめ知識を付けておきましょう。