「コルク」と聞いて、誰もが思い浮かべるのはワインの栓。掲示板などのコルクボードもありますが、かなり限定的な使われ方をしているのがコルクのイメージでしょう。
そんなコルクが昨今、「自然素材」として捉え直され、住宅市場で注目を集めています。どんな使われ方をしているのか、性質や産地情報などを交えて紹介します。
目次
コルクってなに?
ワインの栓でおなじみのコルクは、コルクガシという樹木の樹皮を剥いで作られます。樹皮は最大で幅が25cmにもなるほどの厚さです。コルクガシの一番の特徴は、樹皮を剥いでも10年ほどで元通りになることと、木を切り倒さなくても素材として手に入ることです。
軽くて弾性に富み、断熱性をもつ、ピンや針を刺しても跡がほとんど残らない、水を通さないという特性のほか、多孔質で保湿性が高く、わずかな通気性を持つという性質があります。
このため、古代から人々に知られた身近な自然素材といえます。
コルクの産地は、ポルトガルが世界の生産量全体の半分以上を占めます。コルクガシが地中海性気候を好む性質もあり、スペイン、イタリア、アルジェリア、モロッコなどでも生産されています。
建材として便利!コルクの使い方
軽くてクッション性があり、断熱性、防水性、防音性も高く湿度調整もできる万能自然素材ともいえるコルク。主な使用例をご紹介します!
子供や高齢者のための床としてつかう
弾力性、柔軟さがあるので、滑りにくいうえ、転んだり、物を落としたりしても衝撃が緩和されやすいです。防音性にも優れ振動も伝わりにくいのも特徴なので、どたばたと歩いてしまうお子さんが遊ぶ部屋や、転倒の恐れがある高齢者の方が過ごす部屋に利用するとよいでしょう。
キッチンの床としてつかう
コルクは調湿性があり、さらに耐水性、耐火性も高いことで知られています。このため火や水を使用するキッチンの床として重宝するでしょう。水ははじきますし、万一火がついても延焼しにくい素材です。
ほかにも、湿気が発生しやすい寝室やリビングに使用するのもおすすめです。
脱衣所の床として使う
先ほど紹介した調湿性に加え、手触りや足触りにあたたかみがあるため、脱衣所の床としても最適です。
表面材として使用するのがためらわれる場合は、シート状になったコルクを壁や天井に張ったり、床の下地として使う方法もあります。
注意したいこと
最後に1点注意したいのは、ホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群の原因となる物質を含む場合があることです。
特に床材の場合は、コルクチップを集めて圧縮し接着しているため、接着剤が有害という事例もあります。このため、利用を考える場合は、国土交通省の改正建築基準法の条件をクリアしているかの確認をするとよいでしょう。
まとめ
多種多様な機能を持つコルク。その性質を生かした住宅用素材としての利用方法をご紹介しました。輸入製品がほとんどなので注意は必要ですが、表面材としても下地としても使用でき、コルクならではの効果が得られるのが嬉しいポイントです。ぜひ検討してみてください。