大きな額の取引となる不動産は、できれば取引を行う両者の満足度を少しでも高めたいと思うことでしょう。
不動産の売買契約後で契約主が他の人に購入した不動産を転売するとなると所有権移転登記が必要です。
この手続きを行うと登記簿には所有権の移り変わりが明確に記載されるのですが、この名義変更には登録免許税というのがかかります。
登録免許税は土地の場合では0.15%、不動産評価額にいたっては2%かかり、例として4000万円の不動産を転売すると80万円の税金を負担しなければなりません。
しかし、この登録免許税は三為契約によって税金の負担をなくすことができるようになっています。
ここでは中間省略登記とも呼ばれる三為契約を行う際のカギになる三為業者について詳しく説明していきます。
目次
三為業者とは?
税金の発生を防ぐために当たり前のよう行われてきた三為契約ですが平成16年の不動産登記法の改正によって気軽にできるものではなくなってしまいました。
しかし、三為契約は三為業者の登場によって大きく変わりました。
この三為業者は「第三者のためにする契約」を行う不動産業者になります。
法的に認められている三為業者による第三者契約を行うことによって、合法的に税金の負担を軽減しながら転売を行うことができるようになるのです。
三為業者のメリット・デメリット
三為業者は「不動産業界の転売業者」と言われています。
転売=悪いイメージを持つ方が多いと思いますが果たして利用する価値はあるのでしょうか?
続いては三為業者のメリット・デメリットについてご紹介していきます。
メリット
メリットは何と言っても違法である三為契約が合法的にできるようになることが挙げられます。
売主→不動産業者→買主という形で行う所有権の移り変わりで多く発生する登録免許税の負担をなくせるので、所有権を別の方に移したい場合にはぜひとも利用すべき業者であると言えるでしょう。
しかしメリットはこれだけではありません。
三為業者から購入した物件というのは、買った日から2年以内であれば瑕疵担保責任を追及できるようになっているのです。
通常の仲介により購入した不動産は瑕疵担保期間が1年しかありません。
それを2年に延ばすことができるので、安心材料が増えるとしてますます三為業者が魅力的に見えてくることでしょう。
また、三為業者は金融機関で融資付けされていることも多いのでフルローンやオーバーローンも期待できることが挙げられます。
さらには相場よりも安い不動産が手に入るかもしれないなど多くのメリットが隠れています。
デメリット
メリットが多く存在する三為業者ではありますが、注意しなければいけないこともいくつかあります。
三為業者というのは利益があるからこそ存在しています。
「売主から不動産を安く購入し、買主には高く売る」
このビジネスが三為業者には欠かせないのです。
そのため業者によっては相場よりもかなり高額で買主に買わせようとするケースが見られます。
また、三為業者はできるかぎり決済が早くなるよう高金利の融資を勧めてくることが多いのです。
これらデメリットを見ると買主のことを考えていないビジネスというのがどうしても目に付いてしまうでしょう。
ただ、メリットにも書いたように多少の利益が乗っても相場より安い不動産を手に入れることもできます。
業者によっては悪徳となってしまうのが三為業者利用においてのデメリットになってしまいます。
三為業者に騙されないようにするには
悪徳な三為業者に騙されてしまってはせっかくのメリットも台無しになってしまいます。
悪い三為業者というのは特徴からある程度判断ができます。
騙されないように、ターゲットとして狙われやすい人の特徴も合わせて知っておけば被害を免れることができるでしょう。
悪徳三為業者の特徴を把握しておく
悪徳三為業者であるかどうかを確かめるには営業マンが言う言葉に注目してみましょう。
かつてある悪徳な三為業者によって問題となったかぼちゃの馬車事件では「満室保証」や「修繕費は売主負担」といったセリフが多く出てきていました。
これらの言葉が耳に入ったら要注意するようにしましょう。
また今では数が減ったものの、買い急がせる業者もいます。
このような業者はとにかく利益重視で動いているので危険です。
他にも高金利の融資利用を勧めてくる業者も危険なので、取引を中止にすることをおすすめします。
ターゲットにしやすい人について把握しておく
悪徳な三為業者がターゲットとして狙いやすいのは、不動産相場を把握していない投資初心者です。
適切な相場を知らないが故に騙して利益を上げていくので、初心者は特に注意しましょう。
取引する時には相場をよく理解している姿を見せることが大事です。
相場観を養い、さらには不当な利益が上乗せされていないかなどの判断ができるようになる必要もあります。
初心者は目利き力を鍛えておき、先ほどご紹介した悪徳三為業者の特徴をしっかりと理解することに努めましょう。
トラブルのリスクもきちんと知っておく必要がある
悪いように見えてしまう三為業者ですが、しかしながら全ての「三為業者は悪いというように言えるわけではありません。
安易に利用するのは危険であるものの法律で認められている仕組みから三為業者を利用する価値はあります。
ただ、悪徳業者ではないといっても発生してしまうトラブルが全くないとは言い切れません。
そのトラブルの例としては三為業者が売主から買った時以上に金額が上乗せされてしまっていることです。
転売であるため金額の上昇は仕方がないことなのですが、税金の負担をよく理解しないで利用してしまうと損してしまう可能性があります。
利回りが低くなってしまっては価値が落ちる前にすぐに不動産を手放さなくてはならないといったトラブルにもつながりかねないので、三為業者の利用を含めて様々なトラブルについて理解しておくことが大事になります。
まとめ
ご紹介したようにメリットが多く役に立ちそうな三為業者ですが、業者によっては悪徳と言わざるを得ない問題が発生してしまうかもしれません。
美味しい話にはデメリットもありトラブルも一緒についてくるものです。
三為業者の仕組みやメリット・デメリットを理解し、業者一つひとつをきちんと吟味したうえで利用するようにしていくのが賢い投資術と言えるでしょう。