中古マンションなどの古い物件を購入しようと考えた時、建て替えの有無について気になる方も多いでしょう。
建物の寿命によっては建て替え工事が必要になってしまう場合もあります。
そんな時、購入者に負担があるのか不安になる方は多いです。
そこで今回は、中古マンションを購入し建て替えになってしまった場合の負担の有無や建物の寿命、種類などについてご紹介していきます。
中古マンションを購入しようと考えている方、または既に住んでいて建て替え工事になる可能性がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
中古マンションを建て替えるタイミングは?
中古マンションを建て替える背景には、「建物の寿命」が関係しています。
どんな建物も経年劣化によっていつか寿命を迎えてしまうものです。
まずは中古マンションの建て替えるタイミングについてご紹介します。
平均タイミングは築30~40年
マンションを建て替えるタイミングは、築30年~40年と言われています。
建物の老朽化は築15年過ぎたあたりから始まり、外壁や水回りの設備を直していかなければいけません。
そういった小さな修繕から始まり、築30年を越えると建て替えなければいけない建物も増えてくるのです。
また、建築基準法が改正されたことで以前までは耐火性能が十分と言えた建物でも、現在の法律では耐火性能が不十分とされてしまう場合もあります。
こうしたケースも建て替えるきっかけとなり得ます。
法律だと耐用年数は47年
マンションの耐用年数は法律で47年と決められており、47年を過ぎてしまうと建物の価値もなくなってしまいます。
これは鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物に対して税金を決める際の評価基準として決められたものです。
47年を過ぎると住居としての機能がなくなる訳ではなく、現在は建築技術が高いので築47年を過ぎても住居として活躍するマンションも多く存在します。
そういったことから、「特に工事を行う必要はないのでは?」と思う方も多いでしょう。
しかし、古くなって老朽化が進む建物は、住んでいる人だけではなく周りの建物や通行人にまで危害を与えてしまう場合もあるのです。
古くなった建物を放っておくとリスクがあることも念頭に置くようにしてください。
実際に建て替えているマンションはほとんど見られない
タイミングについてご紹介しましたが、実は現在マンションの建て替えはほとんど実施されていません。
国土交通省の発表を見ても、令和3年の時点で建て替え工事完了・実施準備中・実施中のマンションは全国で303件しか行われておらず、事例が非常に少ないことが分かります。
マンションが建て替えになったら費用負担はある?
いくら建て替えを実施しているマンションが少ないとしても、老朽化が進み危険が出てくれば工事をしなければいけません。
建て替えになった時には誰が費用を負担しなければいけないのでしょうか?
ここからは、費用負担の有無について解説していきます。
マンションによって費用負担の有無が異なる
購入したマンションは、入居者の資産になるので建て替えにかかる費用は入居者も負担しなければいけません。
しかし、場合によっては費用を負担しなくても良いケースもあります。
具体的にどのようなケースで費用負担の有無が異なってくるのでしょうか?
費用負担がある場合のマンション
容積率が小さいため建て替えをしても戸数が増やせない、戸数を増やしても買い手が見つからないような建物の場合、費用は住んでいる人の負担になる可能性が高いです。
国内マンションの過半数は費用負担が生じてしまうと言われています。
費用負担がない場合のマンション
逆に費用負担がない場合のマンションは、容積率が大きく建て替えをして新しくできた部屋を売却し、費用を賄える場合です。
こういったケースでは既に住んでいる住民には負担がかからない可能性も考えられます。
特に住宅地として人気のエリアに立地している場合は売れる可能性が高いため、費用負担は発生しにくくなります。
高額負担でマンションの建て替えが進まない
建て替え工事がなかなか進まない理由として挙げられるのは、やはり住民に対して高額すぎる負担金が原因となっています。
負担金の目安として約60㎡の一般的な分譲マンションの間取りで考えた場合、積立金やグレードなどで異なるものの1,000万~2,000万円はかかってしまうと言われています。
国や地方自治体で補助金・助成金制度は設けられているものの、住民が負担しなければいけない金額はどうしても大きくなってしまうものです。
しかも、マンションを建て替えるためには住民による話し合い(決議)が必要であり、区分所有法によって住民全体のうち5分の4以上が賛成しなければ工事を進められません。
つまり、反対意見が多ければいつまでも工事が行われず、そのまま保留になったり最終的に廃案となったりするケースが多いのです。
合理的に考えて再入居か退去するかを考えよう
工事が決まったら、再入居するか退去するかの2択を選ばなければいけません。
・再入居
建て替えに賛成し、事業に参加した場合は建築費用を負担して新しくできたマンションに再入居することになります。
建て替え決議に反対した人でも事業に参加することは可能です。
工事によって資産価値が上がったり、理由があったりして退去したくない場合は再入居を選ぶと良いでしょう。
・退去
費用の負担が大きすぎる場合は、退去を選ぶケースもあります。
建て替えの決議に反対し、事業に参加しないことにした場合はマンションを退去することになります。
退去をする場合は、管理組合に分譲マンションの権利を売り渡します。
この際の売却価格は低価格であることは注意してください。
そうならないためにも、工事が決まる前に売却するのも1つの手です。
万が一の時のために、いくらで売却できるのか査定しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は中古マンションの寿命や建て替えに関する費用負担の有無についてご紹介してきました。
マンションの建て替えをする場合は、入居者が負担するケースが多いと頭に入れておきましょう。
現在では建て替えをするマンションが少ないと言っても、何かあった時に備えて考えておくことが大切です。
建て替えする際のケースや費用について知り、どのような選択をすれば良いのか検討しておきましょう。