賃貸物件の善管注意義務とは?違反のリスクと対策について

善管注意義務

賃貸物件では、借主と貸主の間で賃貸借契約が交わされます。
借主の義務部分には、賃料を払う義務や修繕費用を負担する義務などが記載されています。
そこで、ポイントとなるのが善管注意義務です。
なかには、この言葉を初めて聞いた人もいると思います。
ここでは、賃貸物件における善管注意義務の内容を解説すると共に、違反のリスクや対策についても紹介していきます。

賃貸の善管注意義務とは?

善管注意義務

そもそも、賃貸の善管注意義務と何でしょうか。
これは、原状回復費用に関してのトラブルを防ぐために賃貸借契約書に記載されている内容です。
善管注意義務とは、賃借人が借りた部屋を退去するまでの間、注意して使用することが求められています。

内容に関しては民法でも定められていて、国土交通省が2004年に改定を公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」内でも、借主が負担する原状回復費は、賃借人が居住や仕様によって生じた建物価値の減少内で、賃借人の過失や故意などの通常の使用範囲を超える使用によってできた損耗の範囲が対象です。
通常の生活を送る中で生じた損耗に関しては貸主の負担になりますが、借主が善管注意義務を怠ったことが原因になるものは、原状回復費の負担が求められます。

内容に関しては、賃貸借契約書に記載されています。
どのような行為が該当するのか、事前にチェックしておくと安心でしょう。

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善管注意義務の違反の具体例

善管注意義務

善管注意義務違反が明らかになった場合、賃借人は原状回復費用の支払いが必要です。
そのため、本来なら返還される敷金に影響が出る場合もあるでしょう。
そこで、善管注意義務の違反に該当するものは、どのような内容なのか具体例と併せて説明していきます。

【大家の場合】善管注意義務違反を防ぐための対策

善管注意義務違反でのトラブルを防ぐためには、入居者だけの問題ではなく、大家としてもいくつか確認しておく必要があります。
主なトラブル回避として必要な対策は、入居者が決まった時点で不動産会社と一緒に損傷個所を確認しておく必要があります。

不動産会社と一緒に確認することは、今後トラブルが起こった際の証明となります。
善管注意義務違反な部分はチェックしておき、写真やメモなどと一緒に記録しておくのがおすすめです。

このような記録によって、入居前と退去時の様子を比較することができます。
不動産会社にトラブルの仲裁を依頼する場合も同じで、敷金の返済額に関わらず、自分自身を助けることにもなるでしょう。
お互いに気持ちよい関係でいたいなら、事前のチェックやリストの作成などが有効な対策です。

【入居者の場合】善管注意義務違反を防ぐための対策

続いて、入居者側が善管注意義務違反を防ぐためにはどのような対策を取るべきでしょうか?
大家と同じように、部屋に入居する前に不動産会社に立ち会ってもらい、部屋の中の写真を残しておくのもおすすめです。
さらに、善管注意義務違反にならないための対策をいくつか解説していきます。

普段からこまめな掃除・手入れを心掛ける

善管注意義務違反は、賃借人の管理が出来ていない場合も違反になります。
つまり、掃除が行き届いていない、手入れされていないとなれば違反に該当してしまうのです。
例えば床に飲みこぼしたものを拭いていない、フローリングが汚れてカビが生えた、雨が吹き込んでいても窓を閉めずにいたので窓枠が腐敗した、壁にカビが生えたなども含まれます。
他にも台所やお風呂場などの水回りの掃除を怠った結果、カビが発生して取れないなども場合によっては善管注意義務違反になる可能性があります。
壁にくぎやネジを使って穴を開けた結果、下地のボードにまで達してしまった、落書きされていたという場合も相当します。
日常的に掃除や手入れをするだけで防げるものがあるので、丁寧に使うことを心掛けるのが良いでしょう。
また、汚れが染みついてしまう前に掃除すると落としやすくなるのでおすすめです。

専用庭付き物件の場合は雑草の手入れを忘れずに

賃貸物件と考えるとアパートなどの集合住宅を思い浮かべると思いますが、善管注意義務違反は戸建ての住宅を借りている場合も対象です。
そのため、戸建て物件に専用の庭などがあった場合、雑草などの手入れを怠ると管注意義務違反の対象になる恐れがあります。
ガーデニングが趣味であれば庭を手入れする機会も多いため、整備をする機会もあると思います。
しかし、たまたま借りた物件に庭が付いていたという場合は、庭の手入れも怠らないように注意してください。
善管注意義務違反は、家の中だけが対象ではなく庭も含めた考え方です。
雑草を取り除くことで虫などが集まりにくく、家庭菜園やガーデニングなどの園芸を始めるきっかけにもなります。
また洗濯物を干す際にも便利なので、手入れしていた方が様々なことに活用できます。
雑草は生えていてもきれいではないので、こまめな手入れを心掛けましょう。

異変があったらすぐに大家・管理会社に連絡

善管注意義務違反について説明してきました。
民法でも定められていますが、実はこれ以上いくと違反になるといった明確な違反のラインが定められていません。
つまり、お風呂場の壁にカビが生えてきただけでは該当しない場合もあるのです。
例えば、定期的に清掃していたもののカビが生えてしまった場合、これが建物の構造上換気がされにくい状態だったと判断されれば、カビが生えた時点では対象にならない場合もあります。
カビが生えてきたのを放置したのは責任が問われますが、カビが生えただけでは明確な善管注意義務違反にならない可能性もあるということです。

明確な線引きができない場合に関しては、早急に大家もしくは不動産会社や管理会社への連絡をしてから指示を受けるのが良いでしょう。
きちんと連絡したにも関わらず適切な対応がなかった場合は、善管注意義務違反に該当しません。

まとめ

賃貸物件を借りる場合、不動産会社や仲介業者などから契約書の内容について話があると思います。
契約時には、室内の様子を目視で確認してから判断しましょう。
善管注意義務違反には明確なラインがありませんが、違反とみなされた場合は退去時に多額の支払いが生じる可能性があるので注意してください。
万が一の時のために、契約書を再度呼んで室内の状態を写真やメモとしても残しておくと安心です。