賃貸物件を契約する際には初期費用が発生します。
そのなかでも敷金や礼金という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。
家賃のほかにも費用が発生するので、できる限り抑えたいと誰もが思うでしょうが、どういった用途で使われるお金なのか、その内容をしっかりと理解していますか?
そこで今回は、大きな問題に発展する可能性もある敷金をピックアップして、意味や考えられるトラブルについてみていきましょう。
賃貸への引越しを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
敷金とは何か?
まずは、敷金がどういったものであるのか、その意味を理解しましょう。
敷金の意味
賃貸物件を契約する時に契約者が支払う費用のひとつが敷金です。
主な目的としては、
・賃貸料金の未払いが起こった際の補填
・入居中に故意で損傷した箇所の修繕費用
となり、自分の不注意で部屋を損傷してしまった際には、部屋を出る時に修繕費用として敷金から負担する義務があります。
ただし、敷金は大家さんに保証金として預ける費用となるので、原則としては立ち退く際に返金される仕組みです。
「原状回復をめぐるガイドライン」で決められている
敷金に関しては、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が作成されているので、これに沿って清算が実施されます。
作成された目的は、賃貸住宅を立ち退く際のトラブルが増え続けているため、賃貸住宅契約の適正化を図ることを目的として平成10年に公表されました。
しかし、その後もトラブルが増え続けていることを受けて改定が実施され、平成22年には検討委員会を設置し、記載内容の補足や新しい項目を追加するなど、ガイドラインは変化し続けているのです。
現在では、原状回復にかかるガイドラインは
・トラブルの迅速な解決にかかる制度
・Q&A
・原状回復にかかる判例の動向
・参考資料
で構成され、トラブルの未然防止に役立っています。
国土交通省のホームページからガイドラインをダウンロードできるので、あらかじめチェックしておきましょう。
最近では敷金・礼金不要の「ゼロゼロ物件」が増加中
物件を借りる側としては、引越しには費用がかかるので、できる限り抑えたいと考えることが一般的でしょう。
そんな中、注目されている物件が「ゼロゼロ物件」です。
敷金や礼金に関しては、都内近郊の平均相場が1ヶ月分と言われています。
しかし、ゼロゼロ物件であれば敷金や礼金が0円となるので、初期費用を大きく抑えられるのです。
費用を抑えたい、安く引越しをしたい人は、ゼロゼロ物件に注目してみましょう。
敷金でトラブルに?!回避するために気を付けたいこと
家賃の未払いや部屋の設備の損傷などがなければ、原則として敷金は戻ってきます。
しかし、返還されないケースも多いです。
ここでは、考えられるトラブルや注意すべき点についてみていきましょう。
「室内清掃費用」で結局敷金分を支払うことになるケースも
ゼロゼロ物件であれば、敷金は必要ないので費用がかからず安心する人も多いでしょうが、「室内清掃費用」として請求されるケースもあるので注意しましょう。
引越しをする時には、次に入居する人のために室内を清掃しなければいけません。
クリーニングは業者に依頼することが一般的となり、それには費用がかかるため、ゼロゼロ物件であっても清掃のための費用を別途請求されるケースがあるのです。
相場としては、ワンルームで35,000円~45,000円ほどとなり、ファミリータイプの部屋であれば50,000円以上かかる場合も多いでしょう。
敷金が設定されていれば、敷金から控除されることになりますが、ゼロゼロ物件であれば敷金が設定されていないので、全額負担となり、実質敷金を支払った時と同じような費用が発生する場合もあるでしょう。
入居者と大家、それぞれ負担するものを知っておく
退去時には原状回復をすることが義務となっていますが、原状回復は入居時の状態に戻すことではありません。
あくまでも、故意や過失によってできた傷や汚れを復旧することが目的となるため、普段通りの生活でできた汚れや傷などは大家さんがかかった分のお金を負担します。
そこで、入居者と大家でそれぞれ負担するものを東京都が作成しているガイドラインに沿ってチェックしていきましょう。
【キッチン】
・冷蔵庫の裏側の壁にできた黒ずみ…大家負担
・キッチンの油汚れ(手入れ不足による汚れ)…入居者負担
【お風呂】
・給湯器を新品に交換(新規入居者確保のため)…大家負担
・空焚きなどが原因で故障した場合…入居者負担
【壁】
・紫外線などによる壁紙の変色や画びょうなどによる穴…大家負担
・結露を放置したことで発生したカビ汚れやシミ…入居者負担
・ねじや釘による穴…入居者負担
【床】
・家具を設置してできた床の凹みや設置跡…大家負担
・飲み物や食べ物が原因のシミ…入居者負担
契約前に敷金について必ず確認しておく
故意や過失でなければ修繕費用を支払う必要はありませんが、ルームクリーニングのための費用を入居者が負担するケースは非常に多いです。
故意じゃないにも関わらず、戻ってくる敷金が減額されたことにショックを受ける人もいるでしょうが、賃貸借契約書の特約において「ルームクリーニング費用を原状回復費用に含む」といった記載が残されている時には、必ず差し引かれることになります。
そのため、契約前にしっかりと敷金に関する文章をチェックすることが大切でしょう。
まとめ
賃貸物件を契約した際に敷金を支払ったのに退去時に返還されなかった、契約解消時の敷金が少なかった、ゼロゼロ物件を契約したにも関わらず、結局敷金と同額の費用を支払う必要になったなど、トラブルは現在でも多く発生しています。
「自分が故意につけた傷じゃないから大丈夫」と思っていても、退去する時に負担するケースはよくあることです。
これは、契約時によく確認していなかったことが原因で起こるトラブルなので、賃貸物件を契約する際には賃貸借契約書の特約についてしっかりとチェックすることが大切です。
トラブルは、起きてからだと解決に時間がかかります。
少しでも負担を減らすためにも、未然に防げるようチェックを怠らないようにしてください。