不動産広告は2つの法律で規制されている!その詳しい内容とは?

不動産広告

不動産広告は主に「宅地建物取引業法」と「景品表示法」という法律により規制をされています。
特に宅地建物取引業法に違反した場合、業務停止処分や指示処分、時には免許取り消し処分を受けることもあるため注意が必要です。
そこで、今回は不動産広告を規制する2つの法律をはじめ、不動産広告のルールについて、詳しく解説していきます。

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法は「宅地」と「建物」の取引に関する法律で、違反すると業務停止処分や免許停止処分の他、6ヶ月以下の懲役と100万円以下の罰金が同時に課されることもあります。
ここでは、宅地建物取引業法に定められている3つの項目について詳しく解説します。

広告開始時期の制限

広告開始時期の制限は未完成物件に関する規定であり、広告を出すのは、開発許可や建築確認などの処分があった後でなければならないというものです。
宅地の造成や建物の建築を完了していない未完成の物件は、開発許可や建築確認を終えなければ、設計変更の可能性があります。
そのため、未完成物件が広告を出せるのは、開発許可や建築確認が無事に済み、計画通りに土地の造成や建物の建築ができる見込みが立った段階でと定めているのが、この「広告開始時期の制限」です。

誇大広告等の禁止

宅地建物取引業者が広告を出す際は、宅地・建物の所在をはじめ、規模や現在または将来における利用の制限、代金やその支払い方法など、事実に著しく相違することを表示することはしてはいけません。
また、実際のものに比べ良く見えるように誤解させるような表示も禁止されています。

取引態様の明示義務

宅地建物取引業者は、自らが契約の当事者となったり、他人が当事者となる契約で代理や媒介を行ったりすることがあります。
そこで、宅地や建物の取引に関する広告を出したりや注文を受けたりする際には、売り主や貸主、代理や媒介などどれに該当するのか取引態様の別を明示しなければならないのが「取引態様の明示義務」です。

景品表示法

景品表示法

景品表示法は、宅地や建物販売における不当表示や過大な景品類の提供を規制するもので公正な競争を確保し、消費者が商品やサービスを適正に洗濯できる環境を守ることを目的としています。
不動産では、取引価格が高額であることもあり、10万円までであれば景品類の提供が可能です。
運用は公正取引委員会によって行われており、違反行為には排除命令が下されます。
それでも、命令に従わなかった場合には2年以下の懲役、または300万円以下の罰金に加えて、公正取引協議会の構成員資格の停止あるいは除名処分を受けることもあります。

不動産の表示に関する公正競争規約を厳守する

宅地建物取引業法

不動産業界には、公正取引委員会によって認定されている「不動産の表示に関する公正競争規約」というものがあります。
一般的に「表示規約」や「広告規約」と呼ばれ不動産業界では約束事として広く遵守されているこの規約は、消費者が広告媒体から情報を収集する際に必要な情報が媒体によってまちまちであったり、記載されていなかったりすることで、物件選択の判断を誤ることのないように定められています。

表示規約

表示規約では、対象の商品を特定し必要なものには、規格基準が設けられています。
その中で、不動産の場合は「新築」は建築後1年未満のもの、駅から徒歩5分は1分80メートルで算出するなど表示方法が定められています。
他にも部屋の広さを畳数で表示するには、畳一枚あたり1.62㎡以上の広さがあるという使い方をしなければならなかったり、居室と認められない部屋に関してはサービスルーム(S)や納戸(N)と明示しなければならなかったりと、部屋の広さや物件の形質など13類型に分類し、一般消費者でもわかりやすいよう表示の基準を設定しています。

特定用語の使用基準

不動産広告を作成する際には、誰が見てもわかりやすいものを心掛ける必要があります。
そのため、特定の専門用語ではなく、一般的によく知られている用語を使用するよう義務付けられています。
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)やDK(ダイニング・キッチン)のように、使用頻度が高く、一般の人も知っているような用語を使うことは問題ありませんが、「完璧」や「万全」など誇張した表現は規制の対象となります。

不当表示

不動産広告では、「完璧」や「万全」のように大げさな表現は規制の対象となり却下されやすいです。
使用しても問題ないのは、あくまでもその表現で妥当と判断されるものです。
そのため、不動産会社にとっては、駅からも近く「完璧」な立地であったり、地震などの災害にも「万全」で「絶対安心」と思ったりするような物件であっても、消費者にとって本当にそうなのか、判断に困るような表現は規制を受ける可能性が高いです。
また、物件の価格についても「約3,000万円」や「4,500万円~5,000万円」など、はっきりしない表現は止めて、きちんと明示しなくてはならない義務があります。

おとり広告

企業の広告にはおとり広告やサクラ広告など実際にはないにも関わらず架空の商品を目玉に客集めをすることがありますが、不動産業界では禁止されています。
そのため、物件が存在せず実際には取引できない物件に関する表示をはじめ、物件は存在するものの実際に取引はできない物件や、取引する意志のない物件に関しては表示してはいけません。
中には、知らないうちにおとり広告について違反している可能性もあります。
例えばホームページなどに掲載している物件のうち、成したのに消し忘れていた場合もこのおとり広告に該当するので注意が必要です。

まとめ

不動産広告は宅地建物取引業法と景品表示法の2つの法律によって厳しく規制されています。
違反した場合には罰金や懲役などの罪に問われることもあるので、きちんと守ることが大切です。
また、不動産広告は公正競争規約を厳守することが基本となっており、この規制の対象はホームページの物件広告をはじめ、チラシやポスターなどほぼ全ての広告です。
さらに、不動産広告には不当表示やおとり表示、表示規約など様々なルールが設けられているため、広告を出す際には違反しないように気を付けなければなりません。