不動産の耐用年数が過ぎたらどうなる?減価償却について詳しく解説!

耐用年数

皆さんは、建物の耐用年数について知っていますか?
今持っている不動産も、使い続ければ時間の経過と共に価値は下がっていきます。
人間と同じく、建物にも寿命があるのです。
中には、耐用年数についてはよく分からないという方も多いでしょう。
また、耐用年数が過ぎてしまった不動産はどうなるのか、詳しく知っている方も少ないのではないでしょうか?
耐用年数について知ることは今後住んでいく上でも、また住み替えをする際にも重要なポイントになります。
今回の記事では、不動産の耐用年数についてご紹介していきます。
不動産の耐用年数が過ぎたらどうなるのか知っておきたいという方は、ぜひご覧ください。

耐用年数とは?

耐用年数

はじめに、耐用年数について説明していきましょう。
耐用年数は、対象となる不動産が利用できる期間になります。

建設してから時間が経てば経つほど建物の価値は下がっていくため、不動産を売ったり、買ったりする際に耐用年数が基準となるのです。
建物には様々な種類がありますがそれぞれで耐用年数が異なっており、すべて税法上での年数となります。

耐久年数との違い

耐用年数の期間は税法上の減価償却資産の耐用年数などによる省令によって定められていますが、耐久年数はメーカーなどが独自に判断する使用期間になります。
「これくらいであれば使用できるだろう」という判断で提示しているため、あくまでも目安として考えるようにしてください。

耐用年数は3種類ある!

耐用年数は、物理的耐用年数・法定耐用年数・経済的残存耐用年数の3つに分かれています。
1つ目の物理的耐用年数は、建物自体が劣化して使用できなくなるまでの期間を表しています。
構造物の仕組みや材質を維持できるかなどの項目で判断します。
2つ目の法定耐用年数は、不動産の価値を正しく算出するために国が定めたものです。
不動産の種類や構造、使い方によって定められており、法定耐用年数を基準に建物の価値を判断しています。
3つ目の経済的残存耐用年数は、不動産が実際に使える期間や不動産の価値が消失するまでの期間です。
建物を補修する際にかかる費用も経済残存耐用年数を基準に算定されています。

耐用年数は構造によって違う

建物の耐用年数は構造によっても異なります。
不動産を購入する際は、建物の構造を必ず確認するようにしましょう。
構造別の耐用年数については表の通りです。

建物の種類構造・使い方耐用年数
一戸建て木造・合成樹脂造・住宅用22年
中古一戸建て耐用年数を超過・木造・合成樹脂造・住宅用4年
マンションSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造・RC(鉄筋コンクリート)造・住宅用47年
木造アパート木造モルタル造・住宅用20年
設備アーケード・日よけ設備・金属製/その他15年/8年

耐用年数と減価償却の関係とは

耐用年数は、不動産の減価償却を求めるために定められており、決算整理で費用を計上する際に使用されます。
減価償却とは、毎年の経費を計上する際に使われる計算方法です。
不動産を取得する際にかかる費用を一定の年数に分けて考え、売却した際は耐用年数をベースに減価償却費として計上することが認められています。

耐用年数が過ぎた不動産を所有するデメリットとは

耐用年数

耐用年数を過ぎてしまった不動産を所有している場合、どんなデメリットがあるのでしょうか?
以下の項目で1つずつご紹介していきます。

税の負担が重くなる

耐用年数が過ぎている不動産は減価償却ができないため、税負担が重くなります。
税負担が重くなるのは、計上できる経費が少なくなることが原因です。

経費が少なくなれば不動産所得も大きくなるため、課税される所得税の負担も重くなってしまいます。

キャッシュフローの悪化

耐用年数が過ぎているとキャッシュフローが悪化します。
経営などを行っている場合、課税される所得税が増えれば自分に入るお金も少なくなります。

築年数が増えていくほどに家賃も下がっていきますし、空室も増えて収入も少なくなってしまうのです。

耐用年数が過ぎた不動産を購入するデメリットとは

耐用年数

次に、耐用年数を過ぎている不動産を購入する際のデメリットについてご紹介していきます。
デメリットについては以下の通りです。

銀行融資が受けられない

耐用年数を過ぎている不動産を購入する場合、基本的には銀行の融資を受けられません。
銀行の融資が受けられるかどうかは、不動産に資産価値があるかで判断しています。

債務不履行になった際に不動産を差し押さえる必要があると判断項目で定められており、損失が出ないように融資期間が決まっています。
このことから、耐用年数が過ぎた不動産は資産価値がないとみなされ、融資を受けることが難しくなるのです。
耐用年数を超過している不動産は銀行評価額が0円になるので、不動産を売りに出したところで債務をうめることはできないでしょう。
耐用年数を過ぎた物件は安く購入できますが、結局それ以上のお金を用意しなければいけないケースが多いです。
例外として土地に価値があると判断されれば融資を受けられる可能性もありますが、土地の価値についてはしっかりと事前に確認しておくようにしましょう。

減価償却できる期間が短い

耐用年数を過ぎた不動産は、減価償却できる期間が通常よりも短くなります。
「耐用年数×0.2」の期間でしか減価償却ができないため、耐用年数が47年の場合は「47年×0.2=9.4(小数点以下切り捨て)」になり、期間は9年となります。

そのため、長い目で見ると減価償却のメリットを受けられないと言えるでしょう。

まとめ

今回は、耐用年数についての詳細や不動産の耐用年数が過ぎてしまった場合についてご紹介してきました。
耐用年数は、対象の動産を使用できる期間になります。
建設してから時間が経てば経つほど建物の価値は下がっていくため、「本当に売れるのか」「購入しても大丈夫なのか」と不安を抱く方も多いでしょう。
耐用年数や減価償却について知ることは、不動産を売ったり、買ったりする際に欠かせない知識になります。
これらの関連性は複雑であるため、不安な方は専門家に相談してみると良いでしょう。
また、自分で調べられるものはしっかりと確認しておくことが大切です。