テナントの原状回復工事費用の相場や高額になる理由・対処法を知りたい

テナント

テナントを退去する際、借りた時の状態に戻すための費用である原状回復費用を請求されることがあります。
借りた時の状態に戻すは法律でも定められた借主の義務ですが、なかには思っていたよりも高い請求に戸惑う方も少なくありません。
そこで今回は、なぜ原状回復費用が高いのか、その原因と対策方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

テナント退去にかかる原状回復費用の相場

テナント

原状回復費用はテナントの規模やビルの状態によって異なりますが、一般的な使い方をしていた場合の相場として一坪あたり、小・中規模で2~5万円、大規模で5~10万円前後と言われています。
ただし、あくまで相場なので参考程度に考えておきましょう。
実際には、相場より安く済むこともあれば高くなってしまうこともあるので注意が必要です。
壁紙の変更や造作家具付け加えなど、室内に大きく手を加えているほど、原状回復費用は高額になる傾向にあります。

テナントの原状回復工事の費用が高額になる理由

原状回復

ここでは、なぜ原状回復費用が高額になるのか、その理由を詳しく解説していきます。

造作を加えている

物件内の内装にこだわり、内装を変更したり、造作を加えていたりする場合、相場より原状回復費用が高額になる傾向があります。
契約時の条件にもよりますが、借りる前の状態に戻すことがあった場合、変更を加えた部分を撤去しなければなりません。
そのため、快適に使用するためキッチンスペースやトイレの水周りを新たに造作していると、その分撤去費用がかかり、工事費用も高くなります。

工事業者に問題がある

一般的に原状回復のための工事では、貸し主が工事業者を指定していることがほとんどです。
しかし、指定された業者は工事を受注したからといって自ら工事を行うわけではないのです。
さらに下請けの業者に発注するという2次受け、3次受けといった業界特有の発注構造があり、間に業者を挟むほど中間マージンを取られていくので、費用が高くなる傾向にあります。

また、工事業者の人手不足によって原状回復工事自体が高くなっていたり、現地確認を適切に行っていなかったりすることがあります。
現地確認をしないため、想定外の事態にも対処できるよう、見積金額を高めに出しておくのです。
こうした工事業者側の問題によって、原状回復費用が高くなることがあります。

負担する必要がない原状回復工事費用が含まれている

本来なら普通に住んでいて生じた汚れや傷、損傷は借主の責任ではありません。
借りる前の状態に戻すといっても、経年劣化など自然に生じた消耗は借主が負担する必要はないのです。
しかし、中には本来借主が負担する必要のない費用を含めて請求するケースのほか、一部だけの修繕で良い部分を全面的に交換し、その費用を請求するケースも存在します。
また、トイレやエレベーターホールのように、本来であれば貸主が負担するはずの共用部分の修繕まで、見積もりに含まれていることもあります。
原状回復の見積もりが高額な場合には、負担する必要のない費用まで上乗せされていないか確認することが大切です。

原状回復工事で高額請求を回避するためには

原状回復

原状回復工事をめぐる高額請求を回避するための具体策を紹介します。
トラブルを予防するためにも、事前に対策を確認しておくと安心です。

原状回復工事前に賃貸借契約書を確認

原状回復は借りる際の賃貸借契約書にどのように書かれていたかが重要です。
契約書に記載されている内容以上のものを要求されたり、貸主が不安するべき費用も含まれていたりする場合、過剰であると判断できます。
退去する際は事前に入居時に交わした契約内容をよく確認し、原状回復の義務や範囲、工事業者が指定されているかどうなっているのか把握しておくことが大切です。
きちんと確認しておくことで、必要以上の不当な請求を防げるかもしれません。
ただし、契約内容に「原状回復特約」が含まれる場合は注意が必要です。
「通常損耗の範囲も原状回復工事に含める」とあった場合、入居者が負担しなければならなくなります。
こうした内容を把握しておくためにも、原状回復工事前には賃貸借契約書を確認しておきましょう。

相見積もりを取って貸主に相談

工事業者は貸主が指定するのが一般的ですが、貸主指定業者の出した見積もりがあまりにも高い場合は、別の業者にも依頼し相見積もりを取るのも1つの方法です。
あまりに工事費用が高額な場合は、他社の見積もりを提示し、貸主に業者変更を相談することができるからです。
また、本来であれば負担する必要のない費用まで含まれていないかの確認にもつながります。
もしも業者を変更できない場合でも、他社の金額を参考に交渉することも可能です。
指定業者の提示する見積もりが納得できない場合は、一度相見積もりを取り、貸主に相談しましょう。

また、貸主に対し原状回復工事に対して事前にどこまでの範囲なのかを確認し、こちらの既往を伝えることも大切です。
認識をすり合わせておくことは、見積もり内容とのズレを防ぐことにつながります。

専門家に相談してみる

高額な原状回復費用を請求されても、専門的な知識がなければ、その請求金額が本当に妥当なものなのか判断が難しいでしょう。
そんな時は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
原状回復工事は不動産や建築、財務会計や法律といったあらゆる知識が必要です。
相談する際は、不動産取引に詳しい弁護士や一般財団法人不動産適正取引推進機構など不動産に関する専門的な知識を有する所に相談しましょう。

まとめ

ここまで、高額な原状回復費用を請求される原因と、その対処法について紹介しました。
テナントを退去する際、元の状態に戻す原状回復工事は法律によって定められています。
しかし、原状回復では通常の範囲を超えた使用による損耗を復旧することであり、経年劣化など自然にできる傷や汚れの補修は含まれません。
そのため、思っていたよりも高額な原状回復費用を請求された際は、今回紹介したポイントを参考に、その原因を探り対策を取ってみてください。
自分では対処しきれないと感じた時は、専門家に相談するのもおすすめです。