都市部では街の再開発が進み、ニュースなどで「デベロッパー」という言葉を耳にすることがあります。
なんとなく建築に関わることだということは知っていても、具体的にはどういった意味を持つのかわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回はデベロッパーの意味や仕事内容、代表的なデベロッパーをご紹介します。
目次
デベロッパーの意味とは?
「開発者、造成業者」と訳せる“developer(デベロッパー)”はニュースなどで耳にしますが、具体的にどんな意味があるのかよくわからないという人も多いでしょう。
まずはデベロッパーの意味についてみていきます。
デベロッパーとは?
開発者や造成業者という意味を持つ「デベロッパー」とは、「土地や街の開発事業者」を意味し、公園やインフラ整備から大型商業ビルやリゾート開発、宅地造成や街の再開発まで、不動産や建築に関するさまざまな事業を手掛ける企業を指します。
しかし、それらをデベロッパーだけで行うわけではありません。
ゼネコンとは別物?
デベロッパーとともによく耳にするのが「ゼネコン」ですが、ゼネコンとは特定建設業許可を受けた「建築に関する業務を統括する」総合工事業者です。
ビル一つ建てるにも外装業者・内装業者・電気工事業者などさまざまな業者が携わります。
それらの業者について統括管理を行うのがゼネコンです。
土地開発を行うデベロッパーから依頼を受け、開発事業にかかる予算を見積もったり、工事の進行を行ったりします。
一見するとデベロッパーが依頼主でゼネコンが請負業者のようにも見えますが、その関係性は「一緒に土地開発を行う共同事業者」となることが多いです。
デベロッパーの仕事内容について
土地や街の開発事業者であるデベロッパーはその仕事内容も多岐にわたります。
企業によって違いはありますが、大まかな仕事内容について解説していきます。
営業販売
土地や街の開発事業者であるデベロッパーは、完成した建物を販売することで利益を得ています。
そのため、パンフレットやWebサイトの作成といった販促を行ったり、広告展開をしながら顧客へ営業販売を行ったりすることもデベロッパーの仕事の一つなのです。
ただし、小規模デベロッパーの場合は手が回らなくなってしまうので外部に委託することもあるようです。
法務・総務管理
個人の住宅であっても土地や住宅の売買契約から住宅ローンの手続き、町内会への加入など、多くの書類が必要です。
そのため、デベロッパーが扱う規模ともなるとその書類の量は膨大で、より専門的なものが多くなります。
また、社外秘のものや個人情報を扱う内容が多く含まれるため外部への委託は難しく、自社内で管理しなくてはなりません。
多くのデベロッパーはこれらの書類を管理する専門の部署を設けています。
マーケティング
どのような業界でも商品を開発する場合は、市場調査や販売戦略を入念に練るのが一般的です。
これをマーケティングと呼びますが、デベロッパーでもマーケティングは重要な仕事の一つです。
商業施設であればテナント料、マンションであれば販売価格について、膨大な過去のデータや周辺地域の相場をもとに不動産業界の市況も踏まえながら価格を設定する「値付け」を行います。
マーケティングによる値付けから事業全体の売上額を算出し、事業として取りかかるかどうかを決定するのです。
素地取得
土地や街の開発事業を行うにはまず、もととなる土地、いわゆる素地を取得する必要があります。
そのため、デベロッパーの社員たちは行政や商社、不動産会社などから土地の情報を得ます。
最新情報をいち早くもらえるかどうかは日ごろの関係性の構築にかかっており、難しい仕事です。
しかし、得られた情報によっていい素地が取得できれば大きな利益を生むことにつながるため、やりがいのある仕事でもあります。
建築(施工)管理
開発事業を行う際、建築工事はゼネコンに依頼することになります。
しかし、デベロッパーは依頼主として建物の品質チェックや工事の進行状況などの管理をしなくてはなりません。
そのため、多くのデベロッパーでは自社内に建築施工管理を行うための部署を設けています。
大手のデベロッパーであればその部署にて開発設計からデザイン、ブランディングまで行ってからゼネコンへ依頼を出しますが、小規模デベロッパーの場合は外部へ委託する傾向が高いです。
デベロッパー企業には大手企業がいくつもある
日本ではデベロッパーとして活躍する大企業がいくつもあります。
代表的な3社をご紹介しましょう。
三井不動産株式会社
数あるデベロッパーの中でもトップクラスの売上高を誇るのが「三井不動産株式会社」です。
総合的な不動産事業を展開し、所有するビルも多いですが、三井不動産の特徴は「東京ミッドタウン」や「三井のアウトレットパーク」といった新たな開発に注力している点でしょう。
既存の不動産運営よりも新規開発によって他社との差別化を図っています。
住友不動産株式会社
新宿エリアで強い存在感を放つのが「住友不動産株式会社」です。
住友不動産ではビルのシーリングやブランドマンションの販売に注力しています。
回収効率が良く、高い営業利益を得られるビル事業が中心となるため、新規開発に積極的な三井不動産とは対極の方針を取っているデベロッパーと言えるでしょう。
野村不動産ホールディングス株式会社
住宅部門に強いのが「野村不動産ホールディングス株式会社」です。
野村不動産が展開する高級マンション「PROUD」シリーズは人気が高く、“マンションデベロッパー”といわれることもあるほどです。
立地にこだわった物流施設の開発や、「都市型コンパクトタウン」構想などにも取り組んでおり、住宅部門を軸にした経営を行うデベロッパーといえます。
まとめ
今回はデベロッパーについて、その意味や仕事内容、代表的な大手デベロッパーをご紹介しました。
土地や街の開発事業を行うデベロッパーの仕事は素地の取得から営業販売までと幅広く、多岐にわたります。
また、商業施設の新規開発やビル事業、住宅販売など企業によって強みが大きく違うのも特徴的です。
建物の建築だけでなく、周辺地域の発展までを統括するデベロッパーは街の開発には欠かせない存在です。