アパートなどの賃貸物件を借りる際に、敷金や礼金と呼ばれる初期費用が必要になります。
この中で敷金は、地域によって商習慣が違ったり、オーナーの考え方が違ったりすると、扱い方が変わる可能性があるので注意しなければいけません。
しかし、賃貸物件を探しているなら、敷金に関する基本的な知識を持っておく必要があります。
そこで今回は、そもそも敷金・礼金とはどのような目的のお金なのか、敷金を償却することの意味、敷金が原因となって起こり得るトラブルなどについて解説していきます。
目次
そもそも敷金とは?
賃貸物件をこれまでに借りたことがないという人は、敷金が何のために使われるのか、なぜ支払いをしなければいけないのか分からないと思ってしまうでしょう。
まずは、初期費用として必要になる敷金と礼金がどのようなものか解説していきます。
敷金とは?
賃貸物件の入居者を募集する広告やWEBページなどを見てみると、敷金〇ヶ月分・礼金□ヶ月分と書かれているものが多いです。
敷金というのは、オーナーである大家や不動産会社に対して支払うものではなく、退去する時まで預けておくお金になります。
もし、退去時に問題がなければ支払った敷金は戻ってきます。
しかし、家賃を滞納してしまったり、入居者の不注意で備え付けてある設備を損傷させてしまったりした場合は、敷金から補填されるという仕組みになっているのです。
また、退去する際の原状回復に使用する費用に充てられる場合もあります。
礼金とは?
敷金は預けておくお金ですが、礼金は生活に必要な住居を対するお礼として支払われるものです。
礼金を支払うようになった理由には諸説ありますが、お礼の意味合いを持つお金なので、敷金のように戻ってくることはありません。
礼金の相場は、家賃の1ヶ月分が目安です。
中には、入居時の負担を軽減して借りてもらいやすいように礼金を求めない物件も最近は増えています。
敷金を償却するってどういう意味?
敷金に対する考え方は、東日本エリアと西日本エリアで違いがあります。
東日本エリアの場合は1ヶ月~3ヶ月程度の敷金を求めるケースが多いのですが、西日本エリアの場合はそれより多く設定されていて最大で8か月という物件もあります。
また、敷引きや保証金といったように異なる呼び方をします。
別名は「敷引き(しきびき)」
敷引きというのは、西日本エリアで古くから根付いている商習慣です。
敷金や礼金とはシステムが違うため、東日本エリアから西日本エリアに引っ越しをした人は戸惑ってしまう可能性があるでしょう。
敷引き特約とも呼ばれていて、原状回復に必要な費用をあらかじめ想定してきめられます。
もし、原状回復に必要な費用が敷引きよりも低かったとしても、返金されることはありません。
敷金償却1ヶ月分、敷引き1ヶ月分といったような記載がされている場合は、返金がないと思っておいた方が良いでしょう。
基本的にアパートなどの住居だと償却金がそこまで高くなってしまうことはないですが、足りなかった場合は保証金から充当されます。
保証金の残高があれば、それが入居者に返金されるような仕組みになっているのです。
償却金は何に使われる?
償却金は、原状回復に必要なお金として使われます。
東日本エリアで言う敷金と同じような扱いになるのです。
敷金があって償却金が設定されていない場合は、敷金から原状回復に必要なお金が差し引かれ、余った分が返金されます。
償却金と書かれていると身構えてしまうかもしれませんが、敷金と同じような扱いだと知っていれば安心できるでしょう。
保証金とは?
保証金も敷金と同じような意味合いを持ちます。
東日本エリアでは敷金、西日本エリアでは保証金と書かれていることが多いです。
基本的な内容は、敷金と同じだと思って問題ありません。
敷金がトラブルの原因になることも
敷金は、入居者とオーナー間のトラブルの原因になってしまうことがあります。
最後に、どのようなトラブルが考えられるのか、万が一トラブルが起こった時はどう対処すべきなのかといった点についてみていきましょう。
敷金償却は「原状回復費用」
間違われやすい点ですが、敷金と敷金償却はまったくの別物です。
敷金償却について、敷金を全て返金しないことから、礼金と同じような意味を持つと思っている人もいます。
確かにそのように思ってしまうような内容ではありますが、まったく意味が違うことを知っておいた方が良いでしょう。
敷金償却というのは、原状回復のために必要な費用を契約の段階でもらっていることを指します。
そのため、軽微な修繕だけで済んだ場合に追加で借りている人に請求してしまうと、二重請求になってしまうのです。
つまり、敷金償却に関する正しい知識をもっておかないと、解約時のトラブルに発展してしまう可能性が高くなってしまうと言えるでしょう。
賃貸物件のオーナーである場合は、入居契約を結ぶ際に敷金償却がどのような仕組みなのか、きちんと説明することも重要なポイントになります。
説明がない場合は、オーナーに対して説明を求めても問題ありません。
物件契約時によく確認しよう
敷金や礼金、敷金償却についてきちんと理解するためには、物件契約時によく確認する必要があります。
償却金に関しても賃貸借契約の書類に書かれているものです。
契約書の中には、償却金がどのような定義なのか、償却金の金額はどのくらいなのかといった細かい内容も書かれています。
契約書を細かい部分まで読まないという人も中に入るでしょうが、それでは後々トラブルになってしまう可能性があります。
そのため、賃貸借契約の書類にはきちんと目を通し、不安な点や疑問点がある場合は、不動産会社やオーナーに確認するようにしましょう。
お金に関するトラブルは多くなってしまうケースも多いので、不安や疑問は早い段階で解消することが重要です。
まとめ
賃貸物件を契約する前に、敷金や礼金、償却金などのお金に関する知識を身に付けておく必要があります。
正しい知識を持っていないと、トラブルに発展してしまう可能性もあるからです。
敷金や礼金の扱いは、東日本エリアと西日本エリアで違いがあるため、商習慣の違いについても理解を深めておく必要があるでしょう。
それだけではなく、敷金がトラブルの原因になる場合がるということも知っておいた方が良いと言えます。
これから賃貸物件を契約しようと考えている人は、ぜひ今回紹介したポイントを頭に入れた上で契約を結びようにしてください。