日本には、所得が多くなればなるほど税金が高くなる制度が適応されていることはご存知でしょうか?
すでに高所得の方であれば、納めなければならない税金が多くなっていることは感じているでしょう。
確定申告をするにあたって、何とかして節税できないものかと考えている方も少なくありません。
そこで今回は、累進課税制度と対象となる税金の種類、不動産投資での節税方法についてご紹介していきます。
目次
累進課税はどんな制度?
前述した通り、日本では高所得であればあるほど税金が高くなる「累進課税」制度が適応されています。
まずは、累進課税とはどのような制度なのか解説していきましょう。
累進課税の特徴と種類
累進課税は、会社からの給与所得や不動産投資から得られる不動産所得などの総合課税で所得が増えていくほど税率が高くなっていく制度です。
所得が多い人に多くの税金を、所得が少ない人には少ない税金を負担してもらうという制度で、所得や遺産が多ければ多いほど納めなければならない税金が高くなっていきます。
累進課税の種類は、2種類あります。
1つは単純累進課税と言い、課税標準が一定額を超えている場合その全体に対して最も高い税率を適用するというものです。
もう1つは超過累進課税と言い、課税標準が一定額を超えている場合にその超えている金額に対して高い税率を適用するものとなっています。
格差社会における公平性を保つための制度
税金は主に公共サービス費用として用いられますが、それだけに使用されているわけではありません。
近年では、格差社会が深刻な問題として挙げられることも多くなりました。
生まれた格差をそのまま放置していれば差は広がっていき、さらに相続という形で次世代に継承されることになれば、格差の改善はより一層難しくなるでしょう。
累進課税制度を適用することで、所得や遺産が多い人に対し税金を多く徴収し、社会保険制度などを用いて低所得者などに分配できるようにしています。
そのため、累進課税は格差社会における公平性を保つための制度であると言えるのです。
対象の税金の種類と税率
累進課税は対象となる税金の種類が決まっています。
今回はその代表である、所得税・相続税・贈与税の税率を解説していきましょう。
所得税
所得税の税率は、個人の所得に対して課税される税金となっており、得られた収入すべてが課税対象とはなりません。
収入から経費を差し引き、所得控除を差し引いた残りの所得に対して税率が決定されます。
税率は平成27年から、5%~最大45%までの7段階に分けられています。
相続税
相続税も所得税同様に、相続によって得られる金額が多ければ多いほど税率が高くなります。
相続税は平成27年度以降増税となっており、その税率は10%~最大55%までの8段階の税率が適用されています。
贈与税
贈与税は財産を贈与した人ではなく、財産を授与した人にかかる税金で、年初めである1月1日からその年が終わる12月31日までの間に贈与を授与した金額を合計して算出します。
贈与税は基本的に年間で110万円までの基礎控除が認められているため、110万円以内であれば贈与税がかかることはありません。
贈与税は相続税と同じ、10%~最大55%の8段階での税率が適用されています。
不動産投資における節税方法
不動産投資で得られた所得からも税金が課せられてしまうため、本当に節税となるのか不安に感じてしまう方も多いでしょう。
ここからは、不動産投資における節税方法について解説していきます。
損益通算をする
不動産投資は黒字であれば良いですが、収支が赤字になることも多くあります。
特に、不動産投資を始めた初年度は不動産の購入費用や登記費用、不動産所得税、火災保険料などの諸費用が多々発生してしまうことから、経費が収入を上回ってしまい赤字収支になる場合もあるでしょう。
会社からの給与所得がある場合、毎月得られる給与から所得税がすでに引かれているため、不動産所得による赤字も給与所得から差し引くことが可能です。
これを損益通算と言い、課税対象である所得が少なくなることで税金対策につながります。
経費に計上する
不動産投資にあたって発生する費用は、事業にかかる経費として計上が可能です。
所得税の税率は、「(総収入-経費)×所得税率-控除額」という計算式で算出しています。
そのため、経費をしっかりと計上することでかかる税率が変わってくることになり、結果的に節税対策につながります。
減価償却する
減価償却とは、所持している不動産の価値が経年することで下落していくものとして考えられ、年ごとに減った価値の分を経費として計上することを言います。
この時、土地は減価償却の対象外となっており、建物のみの減価償却となるため注意が必要です。
また、建物の構造によっても経費として計上可能な年数が異なっています。
減価償却は帳簿上のみ赤字となりますが、実際の支出ではありません。
それでも帳簿上での赤字によって税金を抑えられるのです。
不動産投資で相続税対策
不動産投資で相続税対策を行う場合、現金での相続よりも相続税の課税対象となる評価額が下げられることから、実際の地価と相続税評価額の差が生まれ節税となります。
小規模宅地等の特例で控除
小規模宅地等での特例とは、主に亡くなった方が所有していた土地(居住用・事業用の宅地)に対して適用されます。
相続税の納税額を控除できるため、節税対策が行えます。
青色申告特別控除を受ける
青色申告特別控除は、控除を受ける条件がいくつかあり、それらを満たしていれば65万円の控除を受けられると言うもので、これによって所得が少なくなることで税金対策となります。
不動産所得が大きい時は法人化を検討
不動産での所得が大きい場合には、法人化した方が節税効果は高くなる場合があります。
個人で得られる所得(経費を差し引いた収入額)が900万円以上となった場合、個人で課税されるよりも法人税率の方が低くなるため、給与所得と不動産所得が900万円を超える場合は法人化を検討しましょう。
まとめ
累進課税は、社会問題となっている格差を少しでも公平にするために設けられている制度ですが、平成27年度以降税率は高くなっており負担も大きくなりつつあります。
不動産投資での節税効果はもちろんありますが、節税対策のためだけに不動産投資を行うのではなく節税対策を上手く活用しながら運用していくことが大切です。