マンションを購入する際には、物件の代金だけでなく様々な初期費用の支払いが必要になります。
初期費用の金額は選んだマンションが新築なのか中古なのかによっても大きく異なりますが、場合によっては想像以上に費用負担が大きくなってしまう可能性もあります。
では、マンションを購入する際にはどのような初期費用が必要になるのでしょうか?
今回は、初期費用の目安や内訳に加え、頭金の準備や費用を安くする方法などについてご紹介します。
新築マンションや中古マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
新築マンション・中古マンションの初期費用目安
マンション購入時にかかる初期費用は、新築なのか中古なのか、また分譲なのかによって異なります。
ここでは、新築マンションと中古マンションの初期費用目安を見ていきましょう。
新築マンションの初期費用目安
新築マンションの初期費用は、物件価格の約3%~6%が目安と言われています。
例えば、3,000万円の新築マンションを選んだ場合、初期費用の目安となる3%~6%を当てはめると90万円~150万円、5,000万円で新築マンションを購入する場合は、初期費用は150万円~250万円となります。
初期費用の支払いは現金で求められることが多いです。
マンション購入時の頭金とは別にかかる費用なので、自己資金だけで無理なく支払うことができるか確認しておかなければなりません。
仮に初期費用も住宅ローンに組み込むことができたとしても、その分毎月の返済負担額が大きくなってしまうため、家計を圧迫しないようにするためにも別で支払うことをおすすめします。
中古マンションの初期費用目安
中古マンションの初期費用は、物件価格の約6%~9%が目安となり、新築マンションよりもかかる場合が多いです。
3,000万円の中古マンションを購入する場合、そのうちの6%~8%の初期費用となる金額は180万円~240万円となります。
5,000万円の中古マンションなら、初期費用は300万円~500万円にもなる場合もあります。
新築マンション購入時の初期費用と比較すると、90万円の差があることがわかるでしょう。
中古マンションだからといって新築マンションよりも初期費用が低くなるわけではないので、自己資金は十分に準備しておく必要があります。
新築マンションと中古マンションでは初期費用で必要となる内訳が異なっているため、このような差が生じてしまうのです。
中古マンションの初期費用が高くなる理由
新築と中古で比較すると、築年数や設備等の観点から見ても新築の方が高額なイメージを持つ方が多いです。
当然、物件価格だけで見れば新築マンションの方が高くなる可能性があります。
しかし、初期費用に至っては、中古マンションを購入する時の方が高くなってしまうのです。
その理由は、中古マンション購入時には仲介手数料やリフォーム費用などがかかるためです。
不動産仲介手数料
新築マンションの場合、物件の売主から直接購入することになるため、不動産仲介手数料はかかりません。
しかし、中古マンションでは購入する物件の紹介・契約における手続きが必要になるケースが多いです。
中には中古マンションを売主から直接購入できる場合もありますが、その場合は販売利益が不動産仲介手数料以上に上乗せされている可能性があります。
不動産仲介手数料は物件価格の3%にプラスして6万円と消費税が加算されていることが多く、高額になることがほとんどです。
リフォーム費用
中古マンションを購入する際には、内装や設備など、物件の状態に応じてリフォームが必要になることもあります。
その場合は、初期費用とともにリフォーム費用が発生します。
マンションの築年数や物件の状態によってはリフォーム費用が高額になるケースも少なくありません。
もちろんリフォーム費用が必要ない場合もありますが、リフォーム費用が発生するかどうか事前によく確認しておかなければなりません。
リフォームの場合、物件の状態にもよりますが、だいたい数十万円~300万円を見ておくと良いでしょう。
ただし、リフォームではなくさらに大掛かりなリノベーションを行う場合、500万円~1,000万円になることもあるため注意が必要です。
マンションの購入にかかる初期費用の内訳
続いて、マンションを購入する際にかかる初期費用の内訳を細かく見ていきましょう。
ここでは、新築マンションと中古マンションで共通して必要となる初期費用の内訳をご紹介します。
購入・契約時にかかる初期費用
購入時・契約時にかかる初期費用は、売買契約書や住宅ローン契約書の印紙税や手付金、頭金です。
売買契約書の印紙税
不動産の売買契約を交わす際には、収入印紙は売買契約書に貼り付けする際の印紙税が課されることになっています。
印紙税の金額は、物件価格によって異なっています。
物件の価格が1,000万円~5,000万円であれば20,000円、物件価格が5,000万円~1億円であれば60,000円が必要です。
手付金
手付金は、マンション購入時に支払いを求められる費用のひとつです。
物件価格の20%を上限ですが、基本的には物件価格の5%~10%として設定されていることが多いです。
例えば、3,000万円の物件であれば、手付金は150万円~300万円ということになります。
住宅ローンの契約前に支払うケースが多く、手付金は現金での支払いが求められます。
手付金が高額で支払いが難しい場合でも、人気のある物件は減額交渉できない可能性もあるので注意しましょう。
頭金
売買契約を交わしてから引き渡しまでに、手付金とは別の頭金を用意しておく必要があります。
住宅ローンの利用を検討している場合は、頭金を最小限するという方も多く、中には頭金0円で契約する方も少なくありません。
頭金をどれくらい用意するかに関しては、後述します。
住宅ローン契約書の印紙税
住宅ローンを利用する方は、物件の引き渡し前に手続きを進めておく必要があります。
したがって、書面契約を行う場合は印紙税が発生することになります。
金額は借入額によって異なり、1,000万円~5,000万円であれば印紙税は20,000円、5,000万円~1億円であれば印紙税は60,000円です。
書面契約ではなく、電子契約にて住宅ローンの手続きを行う場合には印紙税はかかりませんが、その代わりに電子契約手数料が発生する可能性があります。
引き渡しまでにかかる初期費用
マンションの引き渡しまでにかかる初期費用は以下のとおりです。
物件の残代金
まずは物件の残代金です。
マンション購入・契約時には手付金や頭金を支払いますが、ここではそれを差し引いた金額を指します。
マンション購入代金で支払いが済んでいない代金については、引き渡しまでに支払いを完了しなければなりません。
住宅ローン保証料
住宅ローンを組む際には、保証会社に保証人になってもらわなければなりません。
保証料はその際に発生するもので、一括での支払いと住宅ローンの金利に組み込む2つの方法があります。
一括の場合は借入額1,000万円あたり20万円前後で、住宅ローンの期間に対して支払います。
仮に期間中にマンションを売却した場合は、手数料を差し引いた金額が返還される仕組みです。
住宅ローン事務手数料
住宅ローンを組む際に発生する事務手数料で、利用する金融機関によって金額が異なります。
事務手数料には、借入額にかかわらず一律の金額がかかる定額型と、借入額×2.2%ほどがかかる定率型があります。
定率型の方が事務手数料も高くなる傾向があり、その場合は保証料が不要となる可能性もあるでしょう。
火災保険料・地震保険料
火災保険は、火災はもちろん風害や水害、盗難などによって建物や家財が損害を負った場合に補償してくれる保険です。
地震保険は地震・火山の噴火・津波などによる建物や家財の損害を補償してくれます。
特に火災保険は住宅ローンを契約する上での必須条件とされているケースが多く、支払いが必要な場合が多いでしょう。
地震保険にも加入する場合は、その分も保険料がかかります。
登録免許税
不動産売買や住宅ローンを利用する際には登録免許税の支払いが必要です。
建物や土地の権利を証明する登記を行うためにかかるもので、所有権移転登記や所有権保存登記、抵当権設定登記などがあります。
登録依頼料(登記依頼料)
不動産登記を行う際の登記依頼料です。
基本的には登記依頼は司法書士に行うことになり、数万円~20万円ほどが目安となります。
固定資産税清算金
年の途中でマンションを購入した場合、固定資産税の清算金の支払いが求められることもあります。
年の途中で物件を購入する場合には、その年にかかる固定資産税を売主と買主で負担することが一般的とされているためです。
購入のタイミングが年の途中でなければ、初期費用に固定資産税の清算金が含まれることはありません。
これは新築マンション・中古マンションに共通することなので、購入するタイミングを良く見極めておくことが大切です。
入居に向けてかかる費用
マンションの入居に向けてかかるのは、引越し費用や家具処分・購入費用です。
引越し費用
現在居住している住宅から住み替え先となるマンションへの引越し費用です。
費用は荷物の量や移動距離によって異なります。
引越し作業をどこまで依頼するのか、また引越し業者によってもプランや金額に違いがあるため、事前に複数の業者を比較しておくと安心です。
引越し業者が込み合う季節も、通常より費用が高くなる傾向があるため注意しましょう。
家具処分・購入費用
購入したマンションの広さやデザインなどによって、これまで使用していた家具や家電などを処分する方も多いでしょう。
その場合は、特に大型家具や家電の場合、処分費用がかかる場合もあります。
処分の方法は自治体によって異なるので、よく確認して引越し当日までに済ませておきましょう。
新たに家具・家電を購入する場合も、別途予算を準備しておく必要があります。
部屋が広くなったり、家族が増えたりする予定がある場合はその分多く見積もっておくことをおすすめします。
その他の諸経費もまた、想定以上に大きくなることも多いので、余裕を持って準備しておくことが大切です。
引き渡し後にかかる費用
引き渡し後にかかるのは、不動産取得税や固定資産税・都市計画税です。
不動産取得税
建物や土地などを取得した際には、不動産取得税がかかります。
金額が固定資産税評価額となる課税標準額×税率で算出されます。
マンションを購入して不動産取得後、半年~1年後に支払うことになるため、事前に準備しておきましょう。
ただ、新築マンションの場合は不動産取得税の軽減措置が利用できるため、不動産取得税の支払いが必要ない場合もあります。
軽減措置を利用する場合は、自治体に申告しましょう。
固定資産税・都市計画税
マンションも含め、不動産を所有している場合は毎年4月~6月頃に固定資産税の納税が求められます。
土地や家屋の評価額に基づいて固定資産税額が決まり、数万円~数十万円が必要です。
ただ、新築マンションを購入した場合は固定資産税減税措置が利用でき、税額が5年間半分になります。
新築マンションのみにかかる初期費用の内訳
中古マンションのみにかかる初期費用は前述しているため、ここでは新築マンションのみにかかる初期費用の内訳をご紹介します。
申込金(申込証拠金)
新築マンションを購入する場合には、申込証拠金の支払いが必要です。
これは売主に購入申し込みの意思を示すために必要な費用となっており、10万円以内の場合が多いです。
仮に申込金を支払った後で購入をキャンセルする場合には、代金は返金されます。
ただ、新築マンションであっても物件によっては申込金が必要ないケースもあります。
購入を検討している場合は、売主に申込金の有無を確認しておくと良いでしょう。
修繕積立金・管理準備金
修繕積立金や管理準備金も、新築マンションを購入する際にかかる初期費用のひとつです。
修繕積立金・管理準備金は、マンションを大規模修繕する際に必要となる費用です。
修繕積立金はマンションや住戸の広さによって異なり、20万円~90万円が目安となっています。
管理準備金は10,000円~20,000円ほどかかります。
マンションの大規模修繕は築年数に合わせ10年おきに実施されるケースが多く、そのための積立金のようなものです。
入居後には必ずかかる必要経費なので、準備しておきましょう。
頭金はどのくらい用意すべき?
マンション購入時には、頭金を準備する方も多くいますが、もちろん頭金なしで全額ローンを組むことも可能です。
もし、頭金を用意したいと考えた場合、どれくらいの金額が必要になるのでしょうか?
頭金と自己資金は違う?
そもそも、頭金とは何を意味するお金でしょうか?
マンション購入時の頭金は、マンション価格内で住宅ローンなどの借り入れ以外の金額を意味します。
頭金は、自己資金で貯めたものも含まれますが、親から贈与されたもの、勤務先や親からの借り入れなども含まれます。
戸建て住宅でもマンションでも同じですが、税金やローンなどの手数料は諸費用が必要です。
諸費用は、マンションで購入価格の3%~5%が平均となります。
これらを合わせた金額を、自己資金で用意して頭金にする場合が多いです。
頭金はどれくらいを目安にするべき?
上記の内容を踏まえて、頭金をどれくらい用意すべきかの目安をみていきましょう。
住宅金融支援機構「2021年度フラット35利用者調査」では、住宅購入時の頭金平均額、平均割合を公表しています。
住宅(種類) | 平均購入価格 | 平均頭金 | 頭金割合 |
新築マンション | 4,528.5万円 | 785.9万円 | 17.4% |
中古マンション | 3,025.8万円 | 418.9万円 | 13.8% |
注文住宅(土地付き) | 4,455.5万円 | 412.3万円 | 9.3% |
注文住宅(建物のみ) | 3,569.7万円 | 596.6万円 | 16.7% |
ここでは、マンションの平均購入額に加えて、注文住宅の購入額も含めて比較してみました。
これらの結果を見る限り、住宅購入時には10%~20%程度の頭金を用意することが多いようです。
しかし、注文住宅に比べてマンションの場合は頭金の割合が多くなっていることがわかります。
これは、都心のマンション価格を中心に高騰しているため、平均額の水準も高い傾向となっているのです。
その地域によって平均額には変動がありますが、基本的にはマンションの方が頭金も高いことを覚えておくと良いでしょう。
頭金を支払うタイミングは?
気になる頭金ですが、どのタイミングで支払うべきでしょうか?
頭金は、マンション完成後、引き渡しが行われるタイミングで支払う必要があります。
【マンション購入の流れ】
①マンション購入申し込み
(申込証拠金として約10万円)
②売買契約
(手付金として価格の5%~10%程度)
③引き渡し
(頭金残金)
マンション購入の際には、上記のような流れで進んでいきます。
申込証拠金、手付金などは、最終的に頭金の充当されるため、さらに頭金を用意する必要はありません。
例として3000万円のマンション購入、住宅ローンを2700万円にしたと計算します。
頭金300万円の場合、申込証拠金で10万円、手付金150万円、残り140万円を引き渡しの際に渡すということです。
頭金を支払うメリットはある?
頭金を支払うことは簡単なことではありません。
しかし、頑張ってでも頭金を支払えばそれなりのメリットがあるのです。
ここでは、頭金のメリットについてみていきましょう。
金利を減らせる
頭金の支払いによって利息を減らせます。
利息は、借り入れ金額に適用されたものとなるので、頭金が多ければ多いほど借入額を減らせるため、それに支払う利息も少なくなるということです。
特に長期間固定金利でない場合、定期的に金利が変動します。
金利の変動での影響は大きく、借りた当初は低金利であっても将来的に金利上昇する可能性も考えられます。
将来的な金利上昇があった場合、支払いが厳しくなって購入したマンションを手放すケースもあるでしょう。
これらのことを踏まえて、新築マンション購入時には申し込みから引き渡しまでの期間を頭金のために貯金しておくと安心です。
特に新築マンションは、申し込みから引き渡しまでの期間が1年~2年程度あります。
少しでも頭金にすることで、変動の可能性がある金利に対応できるでしょう。
将来的な負担軽減ができる
頭金を払うことで、将来的な負担軽減ができます。
理由は、頭金が多ければ多いほど、支払う利息が少なくなるからです。
ここでは、頭金の金額による返済額と利息についてみていきましょう。
(例)マンション購入額5,000万円、全期間固定金利1.5%、35年返済、ボーナス返済なし
頭金 | 借入額(ローン) | 毎月の返済額 | 利息(35年) | 総支払額 |
0円 | 5000万円 | 153,092円 | 1430万円 | 6430万円 |
300万円 | 4700万円 | 143,906円 | 1344万円 | 6344万円 |
500万円 | 4500万円 | 137,782円 | 1287万円 | 6287万円 |
800万円 | 4200万円 | 128,597円 | 1201万円 | 6201万円 |
1000万円 | 4000万円 | 122,473円 | 1144万円 | 6144万円 |
5000万円のマンションを購入した場合、借り入れた金額によって総支払額や利息が違うことがわかります。
頭金が少しでもあるだけで、利息にも総支払額にも大きな差が生じます。
頭金0円~300万円の差が86万円あり、これを3等分にすれば28.6万円となり、100万円の頭金があるだけでこの分の利息が減る計算です。
これが将来の負担軽減にもつながるということです。
返済期間が短くなる
住宅金融支援機構のフラット35では、35年間固定金利なので将来的な返済計画が立てやすくなっています。
近年、フラット35の利用者の平均年齢が上昇傾向にあり、2004年度からの調査から年々50歳以上の割合が増加しています。
2020年度は40.3歳、221年度は41.5歳で、50歳以上は23.1%です。
この結果からわかるのは、ローンを借りる年齢が高い結果、その後の就労期間が短く、定年後にもローンを持ち越す可能性が高いということです。
頭金がない状態で35年間のローンを組んだ場合、年金生活を送りながら返済をしていく可能性が考えられます。
前述でも解説したように、5000万円のマンションを頭金なしで購入した場合、毎月の返済額が153,092円、返済年数は35年、総支払額は利息となる1430万円を含めた6430万円となります。
もし、10%となる頭金(500万円)を用意した場合は、毎月の返済額を変えずに返済年数を53ヶ月短縮できる計算です。
この結果から、頭金で年金生活での返済を避けることもできます。
購入できる物件が増える
借り入れの予定額を変えることがなくても、頭金の有無だけで購入できるマンションの選択肢を広げられます。
マンション購入の条件に頭金の支払いを含めている物件もあれば、予算オーバーで諦めていた物件なども、頭金によって購入額の幅が変わってくるからです。
同じマンションであっても、角部屋や高層階なども選択肢に加わる可能性があります。
返済計画に余裕がある場合は、頭金を増やして選択肢も変わるでしょう。
審査に通りやすくなる可能性がある
住宅ローンの申し込みには、金融機関などが返済能力などを含めた項目を検討して融資可能かどうかを判断します。
さらに、希望している金額を融資できるかどうかの審査も行い、全てにおいて問題がなければ融資を受けられます。
しかし、審査項目、基準においては金融機関によって異なるため、A銀行では融資を断られたがB銀行では受けられる場合もあります。
さらに、頭金の有無によって返済能力があると判断されて審査に通りやすくなる可能性もあります。
低金利になる可能性も
フラット35では、融資率9割以下と9割以上で金利の範囲を変えています。
つまり、頭金の有無によって金利も下がってくるということです。
フラット35の借入期間が21年以上35年以下の場合をみてみましょう。
融資率9割以上の金利の範囲は、年2.010%~3.510%に対して、9割以下なら年1.870%~念3.370%です。
9割以上の最も多い金利は年2.010%、9割以下の最も多い金利は年1.870%なので、頭金があるだけで金利に0.14%の差が出る計算です。
頭金は金利も下げる可能性があるので、この点もメリットとなるでしょう。
マンション購入の初期費用は安くできる?
前述したように、マンション購入時に頭金の有無で将来的の費用を抑えられることがわかりました。
しかし、高額な頭金を貯めることは容易ではありませんが、できるだけ用意したいと誰もが考えるでしょう。
そこで、知りたいのがマンション購入の初期費用そのものを安くできるかどうかという点です。
ここでは、マンション購入の初期費用を安くできるコツをご紹介していきましょう。
初期費用は安くできないものが多い
以下の5つのものは、マンション購入に必要な費用です。
これらは必ず必要になるので覚えておきましょう。
住宅ローンに関係する費用
マンション購入時には、住宅ローンの借り入れが一般的です。
その際には印紙税、事務手数料、保証料などがかかります。
印紙税は住宅ローン契約書に印紙を貼って納税します。
事務手数料は、住宅ローン契約時に必要な手数料を金融機関に払いますが、借入金額、定額型、定率型などで費用が変わります。
保証料は、貸し倒れなどのリスクがないように借入の条件に含まれていることが多いです。
不動産登記費用
不動産購入時には、必ず不動産登記が必要になります。
不動産登記は所有者、場所、広さなどを登録するもので、住宅ローンを組む場合には欠かせません。
司法書士に依頼することが多く、この場合には依頼費用が必要です。
火災保険料
住宅ローンを組む場合、必ず火災保険への加入が求められます。
火災保険を長期契約し、一括で支払うことで保険料が安くなります。
仲介手数料
マンション購入時に利用した不動産会社に仲介手数料を支払います。
物件価格×3%+6万円を上限にして手数料が発生します。
この仲介手数料は、これ以上にならないように法律で決められています。
税金関係
マンション購入には、売買契約書などが必要です。
契約書には印紙税がかかり、税額は住宅ローン契約時と同様となりますが、物件購入価格によって税金額が変わります。
さらに不動産取得税として、土地と建物に税金がかかります。
固定資産税は、評価額×4%で計算できます。
安くしたいなら不動産登記費用をチェック
初期費用となるものは簡単に安くできないため、節約するのはとても難しいでしょう。
そんな中でも、費用を抑えられる可能性があるのは不動産登記です。
不動産登記は、司法書士に依頼することが多く、その際に手数料が発生しますが、これは司法書士への報酬となります。
そのため、自分自身で登記を完了させれば、登録免許税の支払いのみで済みます。
近年は、自分で登記を行う人も増えてきましたが、必要な提出書類が多いだけでなく、法務局に何度も出向く必要があります。
勉強しなければならない点もあり、不慣れな人が登記を完了させるまでに1ヶ月程度必要なケースがほとんどです。
費用を安く抑えられますが、その分仕事を休まなければならないため、早めの準備をするのが良いでしょう。
仲介手数料も安くできる注目ポイント
マンション購入時には、不動産会社を通じて買うことがほとんどですが、この際に買主と売主の間に入ってくれる不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
これは、不動産会社の報酬となりますが、取引が両手仲介の際には交渉で安くできる可能性もあります。
一般的には、仲介手数料が不動産会社の主な収入源になるので、値引きをするのは難しいでしょう。
しかし、両手仲介であれば不動産会社の手数料が両方から入るという意味なので、値引き交渉できる可能性も高まります。
税金が抑えられる物件に注目する
税金は、マンション購入時にどうしてもかかってしまいます。
しかし、初期費用を安くできるポイントを知っておくことで、費用を抑えて購入できる可能性が高まります。
そこで注目したいのが、軽減措置を受けられる物件を探すことです。
新築物件なら軽減措置の条件として床面積50㎡以上、240㎡以下であること、耐震基準に適合している中古物件なら、1982年1月1日以降に建築された建物であることなど、マンションの状態から税金が抑えられるかを確認してみましょう。
まとまったお金があれば現金に一括で購入するのもあり?
これまで、住宅ローンを組む内容を中心にご紹介してきましたが、まとまったお金があれば現金で一括購入することも可能でしょう。
しかし、この場合メリットもあればデメリットになる部分もあります。
利息などの負担軽減が大きなメリット
マンションを現金で一括購入した場合、無駄な利息などを支払う必要がありません。
前述したように、5000万円のマンションを購入して頭金を支払わなかった場合、利息が1430万円必要です。
このような利息で資金を減らすことがないので大きなメリットとなるでしょう。
また、住宅ローン借入時の事務手数料、保証料などの税金などもかからないため、諸費用分を負担することはありません。
購入までの手間も省けるので、お金や時間を無駄にすることなく、スムーズな購入ができるでしょう。
控除が受けられないのがデメリットに
現金でマンションを一括購入した場合は、税金などの控除を受けることができません。
住宅ローン控除は、ローンを組んでマイホーム購入した人に対しての優遇制度なので、減税の対象外になってしまうのがデメリットです。
さらに、一括で購入した分の資金が一時的に減ってしまいます。
マンション購入後、病気で働けなくなった、退職してしまったなどの状態になった場合、生活が苦しくなる可能性も考えられます。
また、マンションを購入したことで何もかも済んだと思いがちですが、ここで火災保険への加入を忘れてしまうと、隣人からももらい火、自室の火事などで燃えてしまった場合、費用を賄うことができません。
ここまで紹介してきた流れと変わる部分もあるので、慎重に見落としがないかチェックしていきましょう。
ここまで、分譲マンションと新築マンションの初期費用の目安、内訳などに加えて、頭金についてご紹介してきました。
マンション購入時には、どうしても必要な費用があり、住宅ローンを組むことで利息を支払うことになります。
頭金があるだけで、ローン金額も大きく変わってきます。
今、できる範囲の内容でマンションの購入を検討してみましょう。
まとまったお金があれば、そのままマンション購入できますが、ここでもデメリットになる部分があります。
様々なシミュレーションから、ベストな方法を選択してみましょう。