木造3階建て共同住宅「木三共」の適用条件やメリットについて

木造

木造3階建て共同住宅は、設計や建築がしやすくなりました。
基準を満たしている場合は、「木三共」と呼ばれます。
今回の記事では、木造3階建て共同住宅「木三共」の適用条件やメリットについて解説していきます。
どのような条件で適用されるのか、どのようなメリットがあるのか、といった点を知りたい人はぜひ目を通してみてください。

守るべき4つの基準

木造

まずは、木造3階建て共同住宅「木三共」の適用条件からみていきましょう。
適用条件を全て満たさなければ認められないため、覚えておかなければいけません。

耐火構造について

耐火構造は、火災が発生してから1時間、建物の構造を保てるレベルが必要です。
1時間準耐火建築物と呼ばれています。
この構造にするためには、壁や柱、梁、屋根の軒裏に耐火被覆工事を行わなければいけません。

木造3階建て共同住宅は、火災発生から避難までに時間がかかる可能性が高いため、1時間という時間が定められています。

建物の周囲の通路について

敷地内の建物の外側に幅3m以上の通路を設けることも条件に盛り込まれています。
ただし、幅が3m以上の通路を設けると建物の面積が限られてしまうため、条件を満たすと緩和されます。
緩和の条件には、

・宿泊室などに避難する際に有効なバルコニーが備え付けとなっている
・宿泊室に地上に通じる廊下や階段などが直接外気に開放されている
・宿泊室などの通路に面している開口部に遮炎設備を持つ防火設備を備えている
・外壁の開口部の上部に遮炎性能を有するひさしなどが備え付けとなっている

といった内容です。
これらをひとつでもクリアできない場合は、幅3m以上の通路を敷地内につくらなければいけないのです。

バルコニーについて

万が一火災が起こった時、火難に使用できるバルコニーを取り付けることも木造3階建て共同住宅「木三共」の適用条件に盛り込まれています。
部屋の出入り口だけではなく、バルコニーも含めた2方向の避難経路を確保する必要があります。
老化や階段には、常に外気を開放して排炎できるような開口部も設けなければいけません。
これが、木造3階建て共同住宅のルールです。
ただし、条件を満たすとバルコニーを備え付ける必要がなくなります。
その条件は、

・それぞれの部屋から地上に通じる廊下や階段が直接外気に解放されている
・それぞれの部屋にある廊下や階段に面する窓もしくは扉が防火設備となっている

の2つです。
バルコニーを備え付ける間取りを避けたいと考えているのであれば、この2つの条件を念頭においた上で間取りを考えるようにしましょう。

外壁の開口部の防火設備について

建物が防火地域もしくは準防火地域に属している場合は、3階の住戸の外壁開口部に防火設備を備え付ける必要があります。
しかし場合によっては、防火設備にしたくないと考える場合もあるでしょう。
そのような場合は、開口部が延焼の恐れがある範囲にないと認められ、一定の条件を満たすと緩和できます。
その条件は、

・3階の住戸に防火設備以外の窓を設ける時は、その窓の周り90cm未満の場所に他の窓を設けない
・3階の住戸にある防火設備以外の窓と他の窓の間には、50cm以上の突出した壁やひさしを設ける

の2つです。
このいずれかを満たしていれば、防火設備の備え付けは不要となります。
条件を満たせば防火設備を備え付けなくても問題ないため、それを踏まえた間取りを考えることも大切です。

木造3階建て共同住宅のメリット

木造

木造3階建て共同住宅には、鉄骨造などとは異なるメリットがあります。
続いては、木造3階建て共同住宅のメリットにはどのような点があげられるのかみていきましょう。

建築にかかるコストを抑えられる

建築にかかるコストが抑えられるのは、木造3階建て共同住宅ならではのメリットです。
坪単価の相場を見てみると、木造は1坪当たり77万円~100万円、鉄骨造は1坪当たり80万円~120万円、鉄筋コンクリート造は1坪当たり90万円~120万円となっています。
つまり、50坪なら木造は3,850万円~5,000万円・鉄骨造は4,000万円~6,000万円・鉄筋コンクリート造は4,500万円~6,000万円、100坪なら木造は7,700万円~1億円・鉄骨造は8.000万円~1億2,000万円、鉄筋コンクリート造は9,000万円~1億2,000万円です。
そして150坪の場合は、木造は1億1,550万円~1億5,000万円、鉄骨造は1億2,000万円~1億8,000万円、鉄筋コンクリート造は1億3,500万円~1億8,000万円となります。
木造を選ぶことにより、建築にかかるコストは大幅に抑えられることがわかるでしょう。

また、間取りを変更する際も他と比べると安価な料金で対応してもらえます。
建築にかかるコストを抑えられれば、家賃収入による建築資金回収もしやすくまります。
つまり、安定した収益にもつなげやすくなるのです。
建物の規模が大きくなればどうしても建築にかかるコストも大きくなってしまいます。
それでも木造の場合は他と比べるとかなり安価となります。
資金回収を前提に考えると、回収のしやすさは重要なのでどのような構造を選ぶかというのは非常に重要です。

柔軟な設計プランに対応できる

木造を選択すると、柔軟な設計プランに対応できるというメリットも生まれます。
木造3階建て共同住宅の場合は、大型重機が入りにくい狭小地や変形地など特殊な条件がある土地でも戸数を確保した物件を実現できます。

鉄筋コンクリート造などは、変形地における柔軟な対応が非常に難しくなってしまいますが、木造なら心配する必要はありません。
狭小地や変形地などの理由から、土地活用を諦めてしまうケースも多く見られます。
3階建てにすると、狭小地や変形地の2階建てだと難しい居室数の増加、床面積の増加も実現できます。
居室の数が増えるということは、オーナーの家賃収入も増加につながります。
狭小地や変形地でどのように土地を活用したらいいのかわからないといった場合にも、木造3階建て共同住宅は選択肢のひとつとなるのです。

全ての土地が活用しやすい形状になっているとは言い切れません。
そのため、柔軟なプランに対応できるかどうかというのはあらかじめチェックしておかなければいけないポイントです。

まとめ

設計や建築がしやすくなった木造3階建て共同住宅は、他の行動とは違ったメリットがあります。
建築コストを抑えたいなら木造3階建て共同住宅を選ぶのは前提条件となるでしょう。
しかし、適用条件を全て満たさなければ認められないため、どのような条件があるのかきちんと把握しておかなければいけません。
建築を考えているなら、今回紹介した適用条件を踏まえた物件を立てるようにしてください。