消費者センターには、日々多くの相談やトラブルの報告がされています。
内容に関しては、消費者基本法に基づいた支援をおこなっていますが、その中には賃貸に関するトラブルも報告されているのです。
この記事では、消費者センターに多い賃貸トラブルの内容に加えて、賃貸経営で大家が取るべき予防策なども紹介していきます。
賃貸トラブルを防ぐ、または解決するためにも知っておきましょう。
目次
消費者センターに寄せられる賃貸トラブルの相談事例
実際に消費者センターには、どのような賃貸トラブルが相談されているのでしょうか?
ここでは、相談事例を基にしながらみていきましょう。
敷金(保証金)の返還や要求に関する相談
消費者センターには、敷金返還や要求に関しての相談が寄せられています。
相談の中には、アパートを賃貸で借りていて退去時に敷金の半分が返金されると聞いていたものの、実際はクリーニング費用として追加されるという通知が届き、敷金が返金されなかったというものなどがあります。
また、敷金無しという条件で入居を決めたものの、入居後まもなく敷金を支払うように請求されたケースもあります。
この時は、業者側が募集の際に掲載内容を間違えたのが原因だったので、支払いたくないというものです。
原状回復に関する相談
賃貸物件には、原状回復に関しての相談も多く寄せられています。
原状回復というものは、入居時と同じような新しい状態に戻すという意味ではなく、入居中の故意の破損などについて、入居前の状態に戻すという義務です。
つまり10年間借りていた場合、10年前と同程度の新品にするということではありません。
しかし、原状回復に関しての相談は多いのが現状です。
ペット可の物件に10年住んでいたが退去時に高額な修繕費用の請求があった、また4年間住んでいただけだが、壁紙やフロスの交換などを請求されたというものです。
敷金(保証金)のルール・返還義務について
敷金や保証金のルールや返還義務については、どのような定めになっているのでしょうか?
今までは法律で明確な規定がなかったため、グレーな運用がされていた場合もあったでしょう。
ここでは、新たに施工された民法に注目して説明します。
民法改正により定義とルールが明確になった
敷金や保証金のルール・返還義務に関しては、以前に比べて2020年に施行された民法の改正によって明確になっています。
敷金の考え方も変わり、現在の認識では家賃が払えなくなった際の担保であると明確になりました。
原則退去時に敷金の返還が義務付けられている
これまで敷金は、退去時のハウスクリーニング代を差し引いて戻されていたケースがありました。
施行後、敷金は原則賃貸借によって発生した義務がなければ、退去の際に入居者に敷金を全額返還しなければなりません。
ただし、借主の過失で物件が破損した場合は、敷金が修繕費に充てられます。
その場合は返還なし、または一部返還となります。
正当な理由なく返還されない場合は、借主は返還請求を行う権利があります。
原状回復のルール・負担割合について
敷金の返還義務が生じたとしても、原状回復のルールや範囲、また負担の割合に関しては明確に判断できない、されないという場合もあるでしょう。
また、原状回復費用が高額な場合は敷金が返還されても、それ以上の金額がかかってしまう可能性もあります。
入居者の負担の割合やルールの内容についてみていきましょう。
民法改正により原状回復のルールも明確になった
今まで、敷金は原状回復費を差し引いて返還するのが一般的でした。
また、曖昧な原状回復だったものも多く、ハウスクリーニングや壁紙の張り替えなどの理由で追加請求されるケースも多かったです。
民法改正後は、原状回復のルールが明確になったことで、壁紙やクロスの張り替えなど特定の内容が原状回復の対象になることがわかりました。
大家と借主の負担の違い
現在、民法改正によって原状回復のルールが明確になり、借主は部屋を借りた後に生じた破損部分に関して負担することが決まっています。
また、借主は借りていて時、自然な状態で生じた傷や劣化に関して負担することはないものの、清掃を怠って取れない汚れや引っ越し時の傷、ペットによる傷や匂いなどは負担となります。
また大家は、次の入居者のための畳の表替えやワックス、網戸の張り替えや専門業者のハウスクリーニングなどが負担となります。
賃貸トラブルを防ぐための予防策
賃貸トラブルが起こらないように明確なラインを設けたものの、よりトラブルを防ぐためには何をするべきしょうか。
ここでは、予防策について考えていきましょう。
入居前の状態を写真や動画で残しておく
賃貸トラブルを少しでも減らしたい場合は、入居前の状態を写真に残しておくと良いでしょう。
写真に残しておくことで、入居前から傷や汚れがあったことを証明できます。
大家としては入居者によって付けられたものだと考えていても、最初から付いていたことを証明できれば問題になることもないでしょう。
大家や不動産会社などの立ち合いで写真を撮り、契約書とまとめておくと安心です。
ガイドラインに基づいた契約内容にする
賃貸契約書の中に原状回復費について記載されている場合、国土交通省によって定められたガイドラインと大きく離れていないか確認してみましょう。
全く別の内容や明らかに入居者が不利になる内容が記載されている場合は、入居者とのトラブルも生じやすいです。
事前にガイドラインを確認し、基づいた契約内容にすると良いでしょう。
弁護士に確認してもらうとなお良いです。
入居者へ入念に説明をする
また、原状回復においては入居者によく契約内容を確認してもらうのも1つの方法です。
説明することで、後から聞いていないなどのトラブルを避けることもできるからです。
契約書と照らし合わせながら確認し、契約内容を理解したうえで署名してもらうのも良いでしょう。
しかし、入居者への説明を行ったからといって不利な契約内容を有効にさせることはできません。
まとめ
賃貸トラブルは消費者センターでも多いトラブルの1つです。
特に明確な判断やラインのないものなので、トラブルが大きくなる可能性も高いでしょう。
大家側が通常の損耗まで入居者負担にさせていることも多く、不利な契約内容でまとめようとすることもあります。
トラブルを避けるためには、運用に沿った契約かを把握するのがおすすめです。