優遇金利は、住宅ローンを組む際に利用できる金利のことです。
金融機関が独自に設定しています。
返済の負担を軽減するためには、優遇金利について理解を深めておくことが重要なポイントになります。
では、優遇金利とはどのようなものか、利用するための条件はあるのか、注意点は何かと言った点について解説していきましょう。
目次
優遇金利って何?
優遇金利は、基準金利(店頭金利とも呼ばれる)から引き下げができる利率の幅を意味します。
基準金利から優遇金利を引いたものを適用金利と呼びます。
その適用金利が、ローン契約をする際に用いられる利率になるのです。
基準金利は、それぞれの金融機関が独自に決めている金利であり、景気に左右されやすくなっています。
また優遇金利が実際に適用となるタイミングなどは、種類によって異なります。
そのため、優遇金利について知識を持つことは住宅ローンを組むにあたり、重要なポイントだと言えるでしょう。
優遇金利には2つの種類がある
優遇金利には、2種類あります。
それぞれ異なり特徴を持っているので、あらかじめ違いを把握しておきましょう。
当初期間優遇
当初期間優遇は、返済をスタートしたばかりの金利優遇幅が大きいタイプです。
しかし、一定の期間が経過すると優遇の幅が小さくなる点に注意が必要です。
金融機関によって名称は異なりますが、「当初引き下げプラン」などと呼ばれるケースが多く見られます。
全期間優遇タイプと比べてみると、返済をスタートしたばかりの利率は低いため、最初のうちは返済の負担を抑えたいと考えている人に最適です。
しかし、返済の後半は優遇の幅が小さくなりますし、優遇金利が適用とならないケースもあります。
そうなった場合、返済金額が大幅に増えてしまうことになるため、借り換えを検討する人もいます。
全期間優遇
全期間優遇は、通期優遇とも呼ばれる優遇金利です。
金融機関では、「全期間引下げプラン」や「通期引下げプラン」といった名称になっているケースが多いです。
全期間優遇の場合は、借入から返済まで金利が変わることがありません。
優遇幅を見てみると、返済をスタートしたばかりの頃は優遇が小さいと感じるかもしれませんが、完済まで変動がないので返済計画は立てやすいと言えます。
当初期間優遇と比べてみた場合だと、返済総額は全期間優遇の方が少なくなるケースもあります。
しかし、ローンを契約する前にどちらが有効か判断するのは非常に難しいです。
繰り上げ返済が何度もできるような家計なら、当初期間優遇を選んだ方が結果的なメリットが大きくなる可能性もないとは言い切れません。
優遇金利を利用するための条件は?
優遇金利を利用するための条件は、利用する金融機関によって異なります。
住宅ローンの申し込みをする際に、どのような条件があるか確認しておきましょう。
多く見られる条件には、以下のようなものが挙げられます。
・公共料金の引き落とし口座や給与振込口座を指定する金融機関の口座に変更する
・指定された期日までに申し込みをする
・指定金融機関が発行しているクレジットカードを保有しているもしくは新たに作成する
・申し込みから契約の締結まで全てオンラインで手続きを行う
金融機関が設けている条件を1つでもクリアできていれば、優遇金利を受ける事ができます。
そこまで厳しい条件が設けられているわけではなく、住宅ローンに優遇金利を適用することを前提として考えている金融機関が多いです。
住宅の条件を対象とした金利優遇制度の代表格として知られているのが、フラット35のプランに含まれている「フラット35 S」です。
フラット35 Sは、一定の条件を満たしている優良住宅を購入するさいに優遇措置が受けられるという内容になっています。
金利優遇の幅に関しては、申し込み時に行われるローン審査によって変動します。
年収や勤務先、勤続年数、年齢などの情報から総合的に判断され、どの程度優遇されるか決定されるのです。
審査基準は金融機関によって異なります。
優遇金利の注意点
優遇金利を利用する場合、いくつか注意すべきポイントがあります。
最後に、その注意点についてみていきましょう。
金利タイプ選びは慎重に
優遇金利には、当初期間優遇と全期間優遇の2種類があります。
どちらを選択するかによって返済の負担が変わってくるため、慎重に決める必要があります。
当初期間優遇は、返済をスタートしたばかりの時期にかかる負担を軽減したい人、繰り上げ返済をして住宅ローンをできるだけ早く完済したい人に適しているタイプです。
全期間優遇は、住宅ローンをじっくりと時間をかけて返済したいと考えている人、変動金利を選択したい人に適しているタイプです。
変動金利を選ぶと将来的に金利が上がる可能性があるため、全期間優遇を選択することによって金利が変動するリスクに備えたローンを組めます。
資金計画をしっかりと立てておく
資金計画をしっかりと立てておくことも重要なポイントになります。
優遇金利を利用するなら、諸経費も加味して考える必要があります。
諸経費は金融機関によって異なるため、優遇幅が大きくても諸経費がかかると結果的にそこまで魅力的な金額にならない可能性も考えられるのです。
諸経費は金融機関によって異なるため、それを踏まえた資金計画を立てるようにしましょう。
諸経費を無視した資金計画を立ててしまうと、あなた自身の首を絞めることになりかねません。
借り換えも視野に入れておこう
当初期間優遇を利用した住宅ローンを借りる場合は、借り換えも視野に入れておきましょう。
優遇措置が終了した後の金利がどうなっているかというのは、金融機関であっても予測はできません。
金利が上昇している可能性もかなり高いと言えます。
金利が上昇しているのであれば、他の金融機関へ借り換えをするのが得策です。
借り換えによって返済額が上昇するのを抑えられる可能性があるからです。
ただし、借り換えを行う場合は諸費用に注意しなければなりません。
印紙税や事務手数料、登記費用などを含めると数十万円かかるため、トータルで見ると損になってしまうことも念頭においておきましょう。
まとめ
基準金利からどのくらい引き下げができるかを示すのが優遇金利です。
優遇金利には、当初期間優遇と全期間優遇の2種類があります。
それぞれ性質が異なるため、どちらを選択するかはとても重要なポイントになります。
どのように返済していきたいと考えているかにより、適したタイプが異なるのです。
住宅ローンを組む際は、優遇金利に関する理解を深めておくと返済の負担を軽減できるようになるので、知っておいた方が良いと言えるでしょう。