不動産業界では、ノンリコースローンが多く採用されていることはご存知でしょうか?
ノンリコースローンは、リコースローンよりも低リスクでお金を借りることができるローンです。
リコースローンが借りられない人でも、ノンリコースローンなら借りられる可能性があるのです。
今回の記事では、ノンリコースローンの特徴と、メリット・デメリットや注意点をそれぞれ解説していきましょう。
目次
ノンリコースローンとはどんなローン?
ノンリコースローンの「リコース」には、「遡及」という意味があります。
つまり、「ノンリコース」=「遡及されない」ローンです。
非遡及型融資とも呼ばれており、不動産業界で多く使われているローンです。
借り手のローン返済が滞り、債務不履行となった際に、対象の物件を売却することで、残債が残っていたとしても返済義務がありません。
ノンリコースローンの特徴
ノンリコースローンは、ローン返済時の責任範囲を限定している融資です。
そのため、責任範囲以上の返済義務がありません。
担保にした物件を売却することで、他の資産・事業に悪影響を与えずにローンを組めるのです。
リスクを軽減してローンを借りられる点が一番の特徴でしょう。
残債があったとしても、担保にした物件を売却すれば返済する必要はないのです。
リコースローンの違い
ノンリコースローンとリコースローンは、どのように違うのでしょうか?
ノンリコースローンは、責任範囲を限定していましたが、リコースローンの場合は、責任範囲が限定されません。
5,000万円の不動産評価額の物件を担保にしてリコースローンを5,000万円借りた場合の例をご紹介しましょう。
期限が過ぎて返済が滞ってしまった際は、その物件を売却して返済費用に充てなければいけません。
しかし、売却時に3,000万円の価格しかつかなかったとしても、債務者は残りの2,000万円を返済する義務があります。
リコースローンは、この2,000万円を支払わなければいけませんが、ノンリコースローンの場合は、責任範囲が限定されているので、支払う義務がないのです。
リーマンショックのトリガーにもなった
ノンリコースローンは、借り手側にとっては非常に魅力的なローンですが、かつてはリーマンショックのトリガーになりました。
2008年にアメリカのサブプライムローンが原因でリーマンショックが起こったことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか?
サブプライムローンは、低所得者用の住宅ローンでした。
回収リスクが高いローンだったのですが、担保にしている土地価格が上がれば返済できることを見越し、売り出されたのです。
しかし、担保にした土地を媒介に新しいCMBSが作られたため、債権債務関係が修復できなくなってしまい、リーマンショックが起こってしまったのです。
このようなことが起こらないためには、ノンリコースローンも適切な運用が必要でしょう。
ノンリコースローンを使うメリット・デメリット
ノンリコースローンには、様々な魅力的なメリットがあります。
しかし、メリットだけでなく、デメリットもあるため、両方をしっかりと知っておきましょう。
それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
ノンリコースローン最大のメリットは、責任範囲が限定できることです。
担保不動産のみを責任範囲に限定できるので、返済不能になった時のあらゆるリスクを減らすことができます。
他の資産や事業に悪影響を与えずに済むことは大きな強みでしょう。
また、不動産投資家の中には、自分の年収の20倍以上のローンを借りている人も少なくありません。
そうした投資家でも、ノンリコースローンであれば、自己資金を充てて借りられる可能性があります。
ノンリコースローンは、年収や職場などではなく、物件に対して審査を行うからです。
そのため、自己資金を充てることができれば、リコースローンが借りられない人でもノンリコースローンで借りられる可能性があるでしょう。
デメリット
ノンリコースローンは貸出金利が高い上に、借入期間が短いという融資条件になっています。
返済の責任範囲が限定されるため、金融機関のリスクを抑えるために、条件が厳しいです。
対象物件にどれだけ自己資金を充てられるかが鍵となるでしょう。
物件価格の2~3割程度の自己資金が必要なことが多いです。
また、融資できる金融機関が少ないこともデメリットの1つです。
日本国内においては、大手の一部銀行でしかノンリコースローンを展開していません。
そのため、地域に密着した地方銀行や信用金庫では、ノンリコースローンができないことが多いでしょう。
ノンリコースローンを使う時の注意点
ノンリコースローンを使う時には、2つのポイントに注意して使うことが重要です。
どのような注意点に気を付ければ良いのか、解説していきましょう。
責任範囲を明確にする
「責任範囲財産限定特約」では、責任範囲をどこまでにするのかを明確にします。
返済ができなくなった時に、「担保とした物件のみを返済原資にする」という範囲の取り決めをするのが責任範囲財産限定特約です。
また、返済原資を売却後の残債の債券を放棄することや責任範囲外の資産を強制執行しないことなどを規定として設けます。
これらを明確にしておくことで金融機関とトラブルになることを防げます。
制約条項は無理なく実行できるか確認する
ノンリコースローンを使う時には、無理なく制約条項を実行できるかしっかり確認しましょう。
制約条項とは、融資の際に金融機関から求められる条項のことです。
「該当する不動産を他の融資の担保にすることは禁止」など、円満に契約を結ぶための条件となっています。
この条件は、契約の内容によって変わるので、契約する前に制約条項が無理なく実行できる内容のものかを確認してください。
まとめ
ノンリコースローンは、担保を不動産に限定することで、返済不能になった際に、不動産を売却するだけで済むローンです。
それ以上に返済する義務がありません。
ローンが残っていても、自己資金を充てることで新しく収益性の高い物件を購入することができるでしょう。
ノンリコースローンを使う時の注意点に気を付けてローンを借りてみてください。