都市ガスの物件を選ぶメリットとは?プロパンガスとの違いや見極め方を解説

ガス

ガスには、都市ガスとプロパンガスがあります。
賃貸物件に入居する際にどちらのガスを採用しているかチェックする人も多いでしょう。
物件選びをする中で、都市ガスの物件を選ぶとどのようなメリットがあるのでしょうか?
そこで今回は、都市ガスの特徴や普及率をはじめ、都市ガスの物件を選ぶメリット・デメリット、都市ガス物件を借りた場合の平均ガス代などを解説していきます。
物件選びで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

都市ガスの特徴

ガス

まずは、都市ガスがどのような特徴を持っているのかご紹介します。
都市ガスは、地下に張り巡らされているガス管を通じて供給されているガスを指します。

メタンが主成分となっているガス燃料の一種です。
液化させるために圧縮するほか、-162℃まで冷やさなければいけないため、ボンベでの運搬は不可能です。
そのような理由から、都市ガスはガス管を使って気体をそれぞれの家庭まで供給するという形になっています。

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都市ガスはある地域とない地域が存在する!

ガス

都市ガスは、すべての地域で利用できるわけではありません。
都市ガスがある地域とない地域が存在しています。
続いては、都市ガスの普及率や都市ガスがプロパンガスより普及していない理由、都市ガスの供給エリアを調べる方法について解説していきます。

都市ガスの普及率

都市ガスの普及率は、約50%となっています。
熱源には電力や石油、LPガスなどもあり、競争が激しくなっているのです。
普及率が約50%と聞くと多いように感じるかもしれませんが、普及エリアは国土面積の約6%に留まっています。
普及しているエリアは、都市部となっている点も都市ガスの特徴として挙げられます。

日本国内におけるガス管は、全国につながっていないという現状が普及エリアを狭めている要因です。
送電線や配電線は全国的に網羅されているので、電気はほとんどの世帯で使用されています。
ガス管の整備は、ガス灯の利用に伴って都市部を中心に行われていました。
現在は少しずつ需要が伸び、利用可能エリアも拡大傾向にあります。

都市ガスがそれほど普及していない理由

都市ガスがプロパンガスほど普及していない理由はいくつか考えられます。
プロパンガスから都市ガスへ変更するためには、ガス管を地中に張り巡らされるために大きなコストがかかります。
一方でプロパンガスやオール電化であれば容易に設置できるため、都市ガスを選択しないケースが多いです。

ガス管の引き込み工事には、平均で10万円~15万円ほどの費用がかかります。
しかし、自宅からガス本管までの距離が遠いと別途で費用が発生する可能性もあります。
さらに、屋内の配管工事やガス機器の費用などもかかるため、都市ガスへの切り替えは大きな負担になってしまうのです。
導入しようと考えているエリアの地質的問題や近隣住民から掘削許可が下りないなどの理由で工事ができない場合もあります。
このように、都市ガスがそれほど普及していない理由は多岐にわたります。

都市ガスの供給エリアを調べるには?

都市ガスが供給されているエリアは、調べることができます。
エリアを調べるには、一般社団法人 日本ガス協会のガス事業者検索 をチェックしましょう。

ガス事業者検索のページでは、北海道地区、東北地区、関東甲信越地区、東海・北陸地区、近畿地区、中国・四国地区、九州・沖縄地区に分かれていて、都道府県ごとに確認できるようになっています。
検索窓に市区町村名を入力し、「検索する」をクリックすればより簡単に調べられます。
首都圏の場合は、東京ガスの都市ガス供給エリア図 を使って調べるのもおすすめです。

東京ガスでは、首都圏をメインとした一都六県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・栃木県・茨城県・群馬県)に都市ガスを供給しています。

都市ガスの物件を選ぶメリット・デメリット

ガス

都市ガスの物件を選ぶことによって得られるメリットがあります。
しかしメリットだけではなく、デメリットがあることも忘れてはいけません。
続いては、都市ガスの物件を選ぶメリット・デメリットにはどのような点が挙げられるのかみていきましょう。

3つのメリット

都市ガスを導入することで得られるメリットには、ガス料金が比較的安い、ガスボンベを設置するスペースが不要、有害ではないといった点が挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

ガス料金が比較的安い

都市ガスは、プロパンガスと比べるとガス料金が安くなります。
都市ガスの方が安くなる理由は、プロパンガスは1軒1軒にガスを配送するためにコストがかかるためです。

したがって、配送費や人件費の原価が大きくなってしまいます。
一方、都市ガスはガス管で供給されるので配送にかかるコストなどが削減できます。
ただし、エリアによっては都市ガスの方が高くなってしまう場合もあります。

一般的には都市ガスの方が安くなりますが、限られたエリアになりますがプロパンガスの方が安いケースもあることを覚えておきましょう。
現在住んでいる地域がどれに該当するのか確認しておけば、どのガスを導入するか決めやすくなるはずです。

ガスボンベを設置するスペースが不要

プロパンガスを利用する場合、各家庭にガスボンベを設置しなければいけません。
ガスボンベのサイズは大きいので、設置するスペースをあらかじめ確保する必要もあります。
都市ガスの場合だと、地中にあるガス管を通ってガスが各家庭に届けられます。
そのため、ガスボンベを設置するスペースを気にせずに済むという点もメリットとして挙げられるのです。

人体や環境に優しい

かつての都市ガスには、一酸化炭素が含まれていました。
そのため、少なからず私たちの体に悪影響を与えるとされていました。
しかし、ここ最近の都市ガスは一酸化炭素など私たちの体に悪影響を及ぼす成分は取り除かれています。
安全性が高いガスになっているため、安心して利用できると言えます。

確かに安全性は以前より高くなっていますが、換気を怠ると不完全燃焼によって一酸化炭素が発生するので注意が必要です。
都市ガスを使っている場合でも、定期的な換気はしっかりと行うようにしましょう。

そうすることにより、安全に使用できるようになります。
また、都市ガスは液体化できるので輸送や貯蔵時は液体になっています。
液体化することで塵や硫黄酸化物の除去、脱水、脱湿などを行えるのです。
そのような作業を行うことにより、都市ガスを燃やしたとしても硫黄酸化物・ばい塵などは一切発生しません。

3つのデメリット

都市ガスにはメリットもありますが、デメリットもあります。
デメリットには、復旧するまでに時間がかかる、ガス会社の切り替え時に多額の費用がかかる、火力が弱くなってしまうといった点が挙げられます。
それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。

復旧するまでに時間がかかる

災害が発生すると、ガス管が破損してしまう可能性があります。
万が一ガス管がダメージを受けてしまった場合、復旧するまでに時間がかかってしまいます。

エリアごとにガス管の状況をチェックし、復旧作業を行わなければいけません。
点検や工事が大規模なものになってしまうことから、どうしても時間がかかってしまうのです。
東の本大震災の時も都市ガスの復旧に時間がかかりました。
その時の経験を教訓に、地震に強いガス管へ変更したり、作業員がスムーズに作業できるような訓練を行ったりするなどの対策を講じました。
その結果、熊本で地震が起こった時は想定よりも早く作業を終えられたため、都市ガスのデメリットが軽減したと言えます。
被害の規模にもよりますが、今後も過去の震災を教訓とした対策を練っていき、デメリットの克服を目指していくことでしょう。

ガス会社の切り替え時に多額の費用がかかる

プロパンガスから都市ガスといったようにガス会社を切り替えようとすると、新たに配管工事を行わなければいけません。
そのため、切り替えするタイミングで多額の費用がかかってしまいます。
費用に関しては、工事の規模によって変動するため、どのくらいかかりそうかあらかじめ確認しておく必要もあります。
前述したように全国で利用できるわけではないので、利用したくてもできない場合もあるでしょう。

火力が弱くなってしまう

都市ガスは、プロパンガスと比べると火力が弱くなってしまいます。
都市ガスの中で一番発熱量が高いのは、A13と呼ばれる種類のガスです。
発熱量が高いと言っても、プロパンガスと比べると半分ほどになってしまうと言われています。
その分火力が弱まってしまうため、揚げ物など高火力で調理しなければいけない料理との相性は良くありません。

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プロパンガスと何が違う?

ガス

ここまでは都市ガスに関する基本的情報やメリット・デメリットについて解説してきました。
その中でプロパンガスについても時折触れることがありました。
中には、都市ガスとプロパンガスの違いは何かいまいちわからない人もいるでしょう。
続いては、都市ガスとプロパンガスの違いについて詳しく解説していきます。

原料

都市ガスとプロパンガスは、そもそも原料が異なります。
都市ガスは、メタンを中心とした液化天然ガスを使用しています。

液化天然ガスは、LNGと表記される場合もありますが同じ意味です。
一方プロパンガスは、液化石油ガスを使用しており、主な成分はプロパン・ブタンです。

液化石油ガスはLPGと呼ばれるケースもあります。
プロパンガスにはLPガスという別名もあり、不動産物件にLPガスと書かれている場合は、プロパンガスを取り入れているという意味になるので覚えておきましょう。

提供の方法

提供の方法にも大きな違いがあります。
都市ガスは、地下に設置されているガス管を通って各家庭に届けられます。

ガス会社が設置したタンクで液化天然ガスを貯めておき、ガスタンクからつながっているガス管を通じて届けられるという仕組みです。
2017年からはガスの小売りが自由化されていますが、ガス管にはそれぞれのガス会社が乗り入れて接続やガスの供給を行っています。
そのため、利用者は従来のガス管を使用しながら、好きなガス会社を選べるようになりました。
プロパンガスは、ガス会社が契約を結んでいる家にガスボンベを届けるという形になっています。

ガスボンベに装置を取り付け、それぞれの家庭で使っているガス機器に配管するのです。
ボンベの中身がなくなってしまう前に、定期的な補充が行われます。
ガスボンベが屋外に置かれていますが、マイコンメーターやヒューズコック、警報器などの安全機器の取り付けが必要不可欠です。

都市ガスとプロパンガスの提供方法にはこのような違いがあります。
大きな違いがありますが、安全性に関しては当たり前ですがいずれも安心して利用できるレベルとなっています。

重さ

都市ガスとプロパンガスは、重さも異なります。
都市ガスは、空気の約半分の軽さとなっています。

そのため、ガス漏れ警報器はキッチンの天井付近など検知しやすい場所に設置するのです。
もしガス漏れが発生したら天井付近に溜まるので、窓を開けて換気すれば外に逃がせます。
プロパンガスは、空気よりも重いです。
キッチンなどの室内でガス漏れが発生した場合、足元に溜まっていきます。
ガス警報器の設置場所は、床のすぐ上あたりを目安にするケースが多くなっています。
もしもガス漏れが発生したら掃き出し窓を開け、外に向かって箒で吐き出すようにしましょう。
そうすることにより、室内における事故の発生を防げる可能性が高まります。

空気よりも高いのか、重いのかによって、ガス漏れ警報器を設置する場所や万が一漏れてしまった時の対応が異なります。
安全に使用するためにも知っておきたいポイントなので、覚えておきましょう。

料金システム

料金システムにも違いがあるので確認しておきましょう。

・都市ガスの料金システム
都市ガスの料金システムは、2017年の自由化以前は総括原価方式を採用していました。
総括原価方式は、都市ガスの安定供給を実現するために総額を計算し、利用者に配分するという方式です。
この方式だと、初期費用を回収してしまえば、それ以降は常に黒字となります。
ガス会社の経営状況に左右されることなく、安定したエネルギーの供給が実現できます。
また、国の認可を得るので透明性も高い方法です。
現在は自由化されていますが、都市ガスを供給するガス会社を利用する側が選べるので、料金が安いところを選択できます。

・プロパンガスの料金システム
プロパンガスは、都市ガスよりも前から自由化されています。
販管費を下げるなどの工夫を凝らすことにより、自由に競争できる環境になっています。
そのため、安いガス会社を利用する側が選びやすいのです。
しかし、賃貸物件などは大家さんや管理組合の意向でガス会社が決まっているケースが多いです。
そのような場合は、ガス会社を自由に選ぶことができません。

物件を探す時にガスの種類を確認すべき理由

ガス 

物件を選ぶ際、多くの方は賃料や間取りなどに注目をして、使用できるガスの種類に注目する人はそこまで多くありません。
しかし、ガスの種類を確認することは、物件選びにおいて大切な要素です。
ここからは、なぜガスの種類を確認すべきなのかをご紹介しましょう。

所有するガスコンロを設置できない可能性があるから

前述のとおり、都市ガスとプロパンガスで使用される原料は異なるため、それぞれで使用できるガス器具が異なります。
つまり、都市ガス物件からプロパンガス物件に引っ越した際、以前使用していた都市ガス専用のガスコンロを使用できません。
ガス器具によっては、専用部品を付け足せば別のガスにも対応できるタイプもありますが、調整に対応していない場合は買い換えが必要です。
これまで使っていたガスコンロが問題なく機能する場合、新品に買い替えるのはもったいなく、さらには処分費用の手間もかかるため、物件選びの段階でガスの種類を確認しておくのがおすすめです。

料金が割高になる可能性があるから

プロパンガスはガス会社で自由な料金設定ができるために一律料金ではなく、会社ごとに金額がバラバラです。
一方で都市ガスは、2017年4月まで「総括原価方式」によって料金が定められていました。
総括原価方式とは公共料金にも採用される料金制度で、国の認可を獲得した都市ガス会社が指定の地域を独占し、ガス供給がされていました。
現在は都市ガスも自由化となりましたが、元々の利用者が多いこともあって消費者のコストを安く抑えられています。

また、都市ガスは人が多い地域で供給されていることが多く、顧客獲得のために他のガス会社よりもお得な料金プランを打ち出すところもあります。
一方でプロパンガスは、1軒1軒にガスボンベを手配する配送費や人件費などがかかるため、高めの料金設定をするガス会社が多いです。

そのため、引っ越し先のガスの種類によっては、これまでより料金が割高になる可能性があり、正しいガス会社選びが大切です。

ガスの種類を変更できないから

都市ガスとプロパンガスは異なる特徴があるため、基本的にはガスの種類を変更できません。
変更する際には、給湯器の交換やガス管の引き込みなどの大掛かりな工事が必要で、入居後にプロパンガスから都市ガス、都市ガスからプロパンガスに変更するのは難しいです。

そもそも賃貸物件や集合住宅でのガスの変更工事は、入居者自身の希望だけでは行えず、大家さんや管理会社の許可を取る必要があります。
ただし、賃貸物件や集合住宅であっても、都市ガスであれば契約するガス会社の変更は可能です。
インターネットの契約先を変えるのと同じように、ガス会社の変更に工事が不要なケースが多いため、希望すれば安いところへ変えられます。
しかし、ガス会社が指定をしている賃貸物件の場合は変更ができないケースもあり、乗り換えを視野に入れているのなら入居前に確認しておくと安心です。
また、都市ガスの契約者は各部屋の入居者となりますが、プロパンガスの契約者は大家さんや管理会社であるため、勝手にガス会社の変更はできません。
どうしても別のプロパンガス会社に変更したい場合には、大家さんや管理会社へ相談してみましょう。

都市ガス物件かプロパンガス物件か見極める方法

ガス

今暮らしている物件のガスは都市ガスとプロパンガスのどちらか分からない場合は、ガスメーターや検針票などで確認できます。
続いては、どちらのガスなのかを見極める方法をご紹介します。

ガスメーター

ガスの種類は、ガスメーターを見れば確認できます。
ガスメーターに液晶表示がある場合はプロパンガス、ない場合は都市ガスだと判断しましょう。

賃貸物件の場合、玄関周辺や共用廊下、建物外部などに複数個並んで設置されていることが多いので、周辺を見回して確認してみてください。
もし、どうしてもガスメーターの場所が分からない場合には大家さんや管理会社へ連絡してみましょう。

検針票

ガスの種類によって、検針票に違いがあります。
都市ガスの場合は名称部分が「ガスご使用料のおしらせ」、供給地点特定番号(ご使用場所番号)が7から始まる10ケタ、お客様番号が9から始まる10ケタになっています。

一方、プロパンガスは名称部分が「ガスご使用料金等のお知らせ」、供給地点特定番号(ご使用場所番号)が01から始まる17ケタ、お客様番号が1から始まる10ケタです。
手元に検針票がない場合はガス会社へ連絡するか、次の検針票が届くのを待って確認してみましょう。

ガス漏れ警報器の位置

キッチン周りにあるガス漏れ警報器の位置も、ガスの種類によって異なります。
都市ガスは空気よりも軽い性質を持ち、ガス漏れが発生した際には天井付近に溜まりやすいため、警報機が上部に設置されています。
プロパンガスは空気よりも重く、ガス漏れ時は床付近に溜まりやすいので、警報機があるのは足元付近です。

ガスの性質ごとに正しい位置に設置されているため、キッチン周りを確認すれば容易にガスの種類を判断できます。

ガス機器のシール

それぞれのガス機器には、種類によって異なるシールが取り付けられています。
都市ガスは12A・13A・都市ガス用、そしてプロパンガスはLPG・プロパンガス用などとシールに表記がされているので、こちらも確認してみてください。

ガスホースの色

ガスホースの色によって見分けることも可能です。
基本的にはガスホースが白色なら都市ガス、オレンジ色の場合はプロパンガスだと判断しましょう。

以前は都市ガス用のホースは青色だったため、使用するガス機器によっては青色のままのケースもあるかもしれません。
ただし、商品によってガスホースの色が異なる場合もあるため、その点は注意が必要です。

都市ガス物件を借りた場合の平均ガス代

ガス

都市ガス物件を借りる際に気になるのが、ひと月のガス代がいくらなのかです。
ここからは、ガス料金の内訳や世帯別・季節別の平均ガス代を見ていきます。
ひと月がどのくらいの出費になるのかを想定し、賃貸物件での暮らしをイメージしましょう。

ガス料金の内訳

そもそもガス料金は、「基本料金」と「従量料金(単位料金×ガス使用量)」で計算されます。
それぞれの料金の特徴について見ていきましょう。

・基本料金
基本料金とは、たとえ使用量がゼロであっても必ずかかる固定料金です。
基本料金は都市ガスの使用量によって金額は異なり、使う量が多いほど高めの設定となっています。

・従量料金
従量料金とは都市ガスの使用量ごとにかかるお金で、単位料金(基準単位料金±原料費調整の調整額)で計算されます。

・基準単位料金
使用量ごとにかかる料金で、単位料金を計算する際の基準になっています。
それぞれの都市ガス会社であらかじめ設定されており、月ごとの変動はありません。

・原料費調整の調整額
都市ガスの原料費は一定ではないため、原料費調整額は毎月異なります。
そのため、従量料金は使用量が変わっていなくても、調整額によって金額は変動すると覚えておきましょう。
調整額については、都市ガスのホームページで確認できます。

上記4つの料金で、毎月のガス代が定められています。
簡単にまとめると基本料金と従量料金はガスの使用量によって異なり、使用すればするほどに高い金額となります。
従量料金の原料費調整額における調整額に関しては、その月の使用量に関係なく毎月変動しています。
ガス代の内訳をより詳しく確認したい時には、契約しているガス会社に連絡するか、ホームページに掲載の料金ページをチェックしてみてください。

世帯別平均ガス代

ひと月にいくらガス代がかかるかを想定しておくと、物件選びの際にも参考になります。
ガス会社や使用量などによってガス代は異なりますが、以下が世帯別の平均ガス代です。

一人暮らし:約3,000円
2人暮らし:約4,300円
3人家族:約4,900円
4人家族:約4,800円
5人家族:約4,800円

3~5人家族はそこまで金額差はありませんが、1人から2人暮らしになるとひと月で約1,300円の差が出てきます。
2人暮らしを始めた際にガス代の高さに驚く方は多く、一年を通して見ると約15,000円も出費が増えることになります。

季節別平均ガス代

ガス代は、季節によっても増減することが多いです。
一般的には夏が安く、冬が高い傾向がありますが、実際にどのくらいの差があるのかを一人暮らしと4人家族それぞれのガス代相場をご紹介しましょう。

【春(4~6月)のガス代相場】
一人暮らし:約3,300円
4人家族:約6,000円

【夏(7~9月)のガス代相場】
一人暮らし:約2,300円
4人家族:約3,700円

【秋(10~12月)のガス代相場】
一人暮らし:約2,600円
4人家族:約4,100円

【冬(1~3月)のガス代相場】
一人暮らし:約3,800円
4人家族:約7,100円

季節別に見てみると、夏は手洗いや食器洗い時にお湯を使用する機会が少ないため、一年の中で最も安くなる傾向があります。
一方で冬は、最もガス代が高くなりやすい時期です。

秋は、夏よりも少し高い程度に収まっていますが、春のガス代に関しては冬とほぼ同額となっています。
冬から春のガス代が高くなる原因として、暖房器具やお湯の利用が増えるほか、低温の水をお湯にするために大きな力を必要とすることなどが挙げられます。

都市ガス料金を少しでも安くするには?

ガス

プロパンガスよりは安いと言われる都市ガスですが、それでも一年を通してみると何万の出費となります。
電気代や水道代のことを考えると、ガス料金を少しでも抑えたい方もいるでしょう。
最後に、都市ガス料金を安くする方法を3つご紹介するので、自分に会った方法を取り入れて料金節約を目指しましょう。

ガス会社を変更する

スマートフォンのプランを変更するように、自分の生活スタイルに合ったガス会社へと乗り換えることで、料金の節約につながります。
都市ガスも自由化されたため、それぞれのガス会社で料金やプラン内容は異なります。

ガス会社によっては、電気とセットのプランや割引特典キャンペーンなどを提供しており、自分の使用状況に合ったガス会社を選べば、コストを抑えられるでしょう。
ただし、これまでご紹介した通り、賃貸物件によってはガス会社の変更ができないケースもあるため、入居前に確認しておくと安心です。

ガスの使用を節約する

ガスの使用量を抑えるのも、節約につながります。
家庭で特にガスを使用する場所が、お風呂とキッチンです。

たとえばお風呂の場合は、お湯が冷めないように蓋をする、追い炊き回数を減らす、節水できるシャワーヘッドへ交換するなどの節約方法があります。
資源エネルギー庁の調べによると、1日の追い炊き階数を1回少なくすると年間で約6,000円の節約になると言われています。
また、キッチンならレンジを活用する、電気ケトルを使用する、ガスバーナーをきれいにするなど、毎日少しずつガスの使用量を抑えましょう。
鍋にお湯を沸かして野菜を茹でるよりも、電子レンジを使用すると年間で約3,000円の節約になり、さらには洗い物が減るメリットもあります。

都市ガスの賃貸物件へ引っ越す

ガス代を節約する方法として、プロパンガスから都市ガスへ変更するのもおすすめです。
しかし、自由化により都市ガスもプロパンガスと同様に自由料金であり、賃貸物件ではプロパンガスから都市ガスの変更は基本的にはできません。
大家さんや管理会社へ連絡する手段はありますが、許可されないことがほとんどなので、思い切って都市ガスの賃貸物件への引っ越しを検討してみましょう。

ただし、これまでプロパンガスで使用していたガスコンロは使用できず、引っ越し費用などの負担はかかります。
賃貸物件で何年も暮らしてガス料金を支払い続けることを考えると、初期費用の負担よりも引っ越した方がお得なケースあるので、どちらがお得かを検討してみましょう。

まとめ

今回は、都市ガスの特徴や都市ガス物件のメリット・デメリット、平均ガス代などを解説してきました。
これまでご紹介したように、都市ガスはプロパンガスよりも比較的料金が安く、さらに別のガス会社へ乗り換えが可能なケースもあります。
安いスマートフォンプランに変更して月々の通信費を抑えるように、自分に合ったガス会社へ乗り換えるだけで節約も可能です。
賃貸物件を選ぶ際には、賃料や立地、間取りばかりに注目するのではなく、そこで使用されているガスの種類も事前に確認しましょう。