【フランス式家庭菜園】「ポタジェ」で出会う小さな命

天気予報に雨と曇りのマークが見事に並ぶ、梅雨の季節。
そして次に控える日差し燦々と降り注ぐ夏の季節。
雨天・曇天が続くと気が滅入り、ギラギラ・蒸し蒸しが続くと通勤の足取りも重くなりがちですよね。

でも、庭や畑、そしてその中で暮らす生きもの達には「雨」も「太陽の光」も自然の恵み。

「水やり不要!?なんてありがたい…。」
「ピカピカの太陽だ!ぐんぐん育つぞ!」
と、季節の感じ方が変わってくるのも、家庭菜園のおもしろさなのかもしれません。
この季節に少しわくわくしてしまいますね。

さて、今回は、花・ハーブ・野菜・果樹などを混植するオーガニックなフランス式家庭菜園「ポタジェ」で起こる、生きもの達との出会いとそこに住む家族への効果を、新居やお庭づくりをご検討中の方にご紹介です。

小さなポタジェにやってくる、小さな生きもの達との出会い

ポタジェの基本は植物同士の特性と相性を考えた混植です。それによって特定の害虫の蔓延ることのない、多様で豊かな庭を作り出す手法ですから、ポタジェには自然と小さな生き物たちがやってくるようになります。

例えば、花の蜜を吸いにやってくる優雅なキアゲハやずんぐりしたクマバチ、ミニトマトに群がるアブラムシをむしゃむしゃ食べてくれるナミテントウなど。

初めてキアゲハが庭仕事の最中、目の前を通った時思わず息をとめて見入ってしまったことを思い出します。

「もうこれっきり会えないかも」という気が、どこかしていたのだと思います。

けれど、その日以来毎日のようにキアゲハは現れ、同じようなルートを通っては、隣の庭に抜けていくようになりました。

「時間もルートも、いつも同じ…?」

そんな風に感じて子どもと図鑑を開いてみると、アゲハのオスには決まった場所を飛ぶ習性があり、その道を『蝶道』と呼ぶということが書かれていました。

「うちのにわが、ちょうちょさんのとおりみちになったんだね!」

嬉しそうに笑う娘の顔を見たとき、初めて見た日とは違う、深く静かに染みこんでいくような感動を覚えました。そこには、「この子達と一緒に、私たちは生きているんだ」という実感があったように思います。

小さな庭で育まれる小さな命たち

そうやって、キアゲハが庭を通るようになったある日、私の目の前でキアゲハはレモンの若い葉のまわりを何度も触って確かめるように飛び回っていました。

「あれ…もしかして」

そう思った時、キアゲハは卵をいくつかの葉の上に産みつけていました。

虫取り網で探して追いかけ回さなくても、アゲハ蝶はいて、この庭でその命の営みが共有できる。それってすごいことだ!思わず子ども達に、「卵産んだよ!」と叫びました。

同じようなことが庭に設置していた直径60cmほどのところの田んぼの中でも起こりました。

田んぼの中に一匹だけいるオタマジャクシがいました。でも、中は狭いし、自然に発生する餌はメダカたちが素早く食べてしまいます。この子大丈夫かな…と見ていると、水面の稲の葉をはむはむ食べています。

「稲を食べるんだ!」

そのオタマジャクシに、ある日うっすら足が生えました。
するとその日から、水面と水底を斜めに行き来する見事なバーティカル泳法を披露!

稲を食べてよくぞここまで…。
家族みんなで水面に見入っていました。

小さな庭の生きもの達が、私たちに与えてくれるもの。

そんな命の営みが、庭の中に見られるようになり、幸せな反面私たち家族には、いつも難しい課題が突きつけられるようになりました。

キアゲハの幼虫はレモンの葉をぱくぱく食べます。容赦なく食べます。
放置すればあっという間に丸裸にされそうです。

子ども達はレモンができるのを楽しみにしていますから、
「レモンをまもろう!」

といい出します。

「あ、でも…あのようちゅうはアゲハになるんだよね…」

そうして悩みだしました。

そうして家族で話した結論は、別のセリ科の食草を植えることでした。
全ては取り除かず、少し幼虫が育ったらセリの葉に移すことにしたのです。

まとめ

こんな風に、我が家のポタジェには小さな命が息づき、それが子ども達と私たちに、
「めぐる命ってなんだろう。どうしたらいいんだろう。」
そんな問いを与えてくれるようになりました。それはとても得がたいもののように私は思います。

自然と共に生きる家やお庭ではそんな風に、子ども達が育っていくために大切な瞬間がきっとたくさん生まれてくるはずですよ。

▼「ポタジェ」を始めたい方はこちらもどうぞ。