建ぺい率オーバーで売却できない!違法から適法に変えるためのポイント

建蔽率

物件を購入する際に必ず耳にする「建ぺい率」という言葉について、どれくらいの人がきちんと理解できているでしょうか?
建ぺい率はオーバーしていると売却できないなどの不利益を被ることがあります。
理解しないまま物件購入を進めてしまうと、違反物件を掴まされてしまうリスクや投資に失敗するリスクが高まってしまうので注意が必要です。
そこで今回は、建ぺい率の基礎知識から既存不適格建築物と違反建築物の違い、売却できない理由、建ぺい率を適法にするためにはどうしたらいいのかをまとめてご紹介していきます。
今回の記事を参考に、建ぺい率についての知識を深めていきましょう。

そもそも「建ぺい率」とは?

建蔽率

そもそも「建ぺい率」とよく耳にするけど、何かは理解していないという方も少なくありません。
建ぺい率は、敷地面積に対しての建築面積の割合を示しています。
建ぺい率を求める計算式は、「建築面積(㎡)÷敷地面積(㎡)」です。
この建ぺい率から建築面積が求められます。

建築面積(㎡)=敷地面積(㎡)×建ぺい率(%)

実際に購入した土地の面積が100㎡だとして、建ぺい率が70%となっていれば、建築面積は100㎡×70%=70㎡となります。
つまり、購入した100㎡の土地には70㎡の建物が建てられることが分かります。
しかし、この70㎡は地面に接している面積だけでなく、建物を上から見た際の投影面積で計算されるので、1階よりも2階が広い場合では2階部分の面積で計算しなくてはなりません。
この建ぺい率は、地域ごとに30~80%の範囲内で定められています。
建ぺい率自体は、物件情報などをチェックすれば掲載されていることもありますが、もし掲載されていない土地であれば自分でも建ぺい率を調べることは可能です。
市区町村の都市計画を元に定められているので、市区町村の担当部署に問い合わせれば教えてもらうこともできます。
正確に確認したい場合には、現地に直接出向いて地図を用いて確認してみましょう。

「既存不適格建築物」と「違反建築物」の違い

建蔽率

以前からある家屋の中には、建ぺい率がオーバーしている物件もあります。
建ぺい率がオーバーしている物件には、「既存不適格建築物」と「違反建築物」の2つに分けられます。

・既存不適格建築物とは
建築した当時の法律に従い建築されていたものの、法改正によって規定に適さなくなった建築物を言います。
改築・再築時には、現在の規定に合わせなくてはなりません。

・違反建築物とは
現在の建築業法や都市計画法に違反している建築物です。
増築による建ぺい率オーバーや住居として申請した建築物を店舗として用いた場合、違反建築物とみなされてしまいます。

この2つを比べると、建築当時は適格であった建築物が法の改正に伴い不適格となってしまっているか、増築・改築などの際に違反した建築物であるかの違いがあると分かります。
既存不適格建築物と違反建築物はどちらも売却できませんし、金融機関からの住宅ローンも期待できないケースがほとんどです。
ただし、既存不適格建築物の場合であれば、建物に大きな不具合がないことに加えて過去の建築確認申請書や建築計画概要書などが残っていれば、既存不適格建築物であることが証明できるので売却できる可能性はあります。
売却できる可能性はあるものの、基本的に売却は難しいものと覚えておきましょう。

なぜ既存不適格建築物でも売却しにくいのか?

建蔽率

既存不適格建築物は法の改正によって不適格となってしまいましたが、基本的には違反建築物と同様に売却できない、または売却しにくいものではあります。
なぜ既存不適格建築物でも売却しにくいのか、その理由を解説していきましょう。

担保評価額が低く住宅ローンを組みづらい

金融機関で住宅ローンを組む際には、必ず対象の不動産を担保として抵当権を設定されています。
これは、万が一ローンを返済できなくなった際に抵当権を使って競売にかけて資金を回収するためです。
しかし、既存不適格建築物の場合、現行の規定に合わせて改築するとコストが通常以上にかかってしまうことから、競売にかけたとしても落札されにくくなります。
落札されにくい場合は担保評価額も低くなってしまうため、住宅ローン自体が組みにくくなるのです。
金融機関によっては既存不適格建築物を住宅ローン対象外としている場合もあります。

建て替える際に規模を縮小しなくてはいけない

既存不適格建築物を建て替える場合、現行の法に合わせて建て替えなければなりません。
現行に合わせなければならないことから、建て替えにあたり規模を縮小させる必要があります。

建ぺい率オーバーでも適法に変えるためのポイント

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建ぺい率がオーバーしている場合でも、適法に改めることは可能です。
ここからは、適法に変えるためのポイントを3つご紹介していきます。

再測量を実施してみる

不適格建築物とされた年が古ければ古いほど再測量の実施がおすすめです。
最近であれば測量技術は向上しているので、測量の正確さは問題ありません。
しかし、測量した時期が古ければ現在ほどの測量技術はないことから、正確性にも欠けてしまいます。
再測量した結果、土地面積が若干広くなることもあります。

建ぺい率・容積率に含まなくても良い部分を探す

既存不適格建築物を適法に変えるためには、建ぺい率と容積率に含まなくても良い部分を探してみることも大切です。
軒や庇、出窓、バルコニーなどは、一定の条件を満たしていれば建築面積から除外できるようになっています。

登記時にはこれらが除外されてなかった場合もあるので、修正できれば建ぺい率も規定内となる可能性があります。

法定床面積と混同していないか確認する

容積率を算出する際に用いられる床面積は、容積対象床面積とされています。
建築確認申請書にある床面積とは異なり、容積率を算出する際に必要な延床面積から除外されている部分もあります。
不算入の部分まで法定床面積に混同されていないか確認してみると、混同されてしまって容積率がオーバーしてしまっているケースも少なくありません。

算入しない部分があった場合、適法に変えられる可能性も高まります。

まとめ

建ぺい率はオーバーしてしまうことで売却や建て替えが難しくなってしまう場合もあることから、しっかりと理解しておく必要があります。
適法に変えられれば、同じ規模での建て替えや売却もしやすくなります。
規定内にするために規模を縮小した建て替えを検討している場合であれば、まずは再測量を実施したり、建ぺい率・容積率に含まなくても良い除外部分がないか、法定床面積と混同していないかをチェックしたりしてみましょう。