滞納家賃や敷金の返還で有効な少額訴訟とは?訴状の書き方も解説

少額訴訟

不動産関係では、様々なトラブルに見舞われてしまうこともあります。
トラブルの中でも、家賃の滞納や敷金の返還などに悩んでいる方は非常に多いです。
滞納家賃や敷金の返還においては、解決に時間がかかりやすく専門家へ相談することでお金もかかってしまいます。
そんな時に有効だとされているのが、「少額訴訟」です。
訴訟となると難しいイメージを思い浮かべる方も多いですが、少額訴訟であれば意外と簡単に手続きが行えます。

今回は、訴訟の書き方も併せて解説していきます。

少額訴訟とは

少額訴訟

少額訴訟とは、原告が被告に請求する金額が60万円以下の場合に、各地に設けられている簡易裁判所で判決が得られる裁判制度です。
この制度は平成10年1月1日から導入されています。
通常の民事裁判の場合は弁護士費用なども多くかかってしまい、さらに判決に至るまで数ヶ月以上を要することから、裁判に踏み出しにくい側面がありました。
しかし、この少額訴訟であれば原告が自身で訴状を作成できるように訴状作成が簡略化され、裁判の審理も原則1日で終了させるようにしています。
原告の負担を軽減させられることから、不動産トラブルの際にも効果的だとされているのです。

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不動産賃貸借契約における少額訴訟の対象

不動産賃貸

通常、少額訴訟の対象となるのは金銭を請求する訴訟であること、そして請求する金額が60万円以下であることとされています。
不動産賃貸借契約においての少額訴訟は、家賃の支払い請求から敷金の返還請求などが対象です。

ここからは、家賃の支払い請求と敷金の返還請求について詳しく解説していきます。

家賃滞納者への金銭支払請求

何度も催促しているにも関わらず、家賃を滞納している場合には金銭支払請求が可能です。
賃貸人に立ち退いてもらう必要性がない場合に効果的とされています。
証拠書類や証人は審理(判決が言い渡される当日)の日に取り調べられるものに限られています。
不動産における契約書や領収書、覚書などは証拠となるので、あらかじめ用意して揃えておきましょう。

証人に関しても、審理の当日に出席できることが条件として挙げられます。
民事訴訟と同じように、判決の内容に従わない場合には裁判所へ申し立てることで強制的に内容を実現させることが可能です。

敷金返還の請求

敷金の返還を求めても、なかなか返還に応じてもらえないことも少なくありません。
不動産賃貸借契約書類にどのように記載されているかにもよりますが、通常であれば敷金は返還されるものとされています。
少額訴訟時に提出できる書類は多ければ多いほど良いということではなく、口頭弁論当日にすぐに取り調べできるものが効果的です。
必要な書類は以下の種類が挙げられます。

・賃貸借契約書や重要事項説明書、更新時の契約書の契約書関連
・敷金精算書や原状回復明細書、見積もり書など
・事前に送付している内容証明郵便と配達証明記録
・入退去時の写真

入退去時の写真は必ずしもなくてはならないものではありませんが、写真があれば入居時と退去時での比較が容易になります。

少額訴訟の流れ

少額訴訟

少額訴訟は通常の民事訴訟などとは異なる点も多く、どのような流れになるのか不安を抱える人も多いです。
大まかにでも少額訴訟の流れを知っておきましょう。

訴状の提出

訴状の提出は家賃支払請求であれば被告の住所地、敷金の返還請求であれば不動産の住所地を管轄している簡易裁判所で行う必要があります。
提出する訴状の作成は難しそうに感じますが、裁判所の窓口でしっかりと説明してくれるので作成に不安があれば相談してみましょう。
また、裁判所のサイト上にも訴状のひな形が掲載されているので、初めてでも問題なく作成できます。

簡易裁判所にて訴状受理

訴状を提出したら簡易裁判所で内容が審査され、問題なければ受理されます。
受理されればその場で口頭弁論期日が指定された呼出状と少額訴訟事件受付票が交付されるので、なくさずに保管しておきましょう。

裁判日(口頭弁論期日)

裁判日には当日の15分前には指定された法廷前に到着しているようにしてください。
万が一遅刻や欠席をしてしまうと相手方の言い分が認められてしまう場合もあります。
あらかじめ、やむを得ない事情があり出廷できないことが分かっていれば、期日変更の申立書を提出しましょう。

判決

少額訴訟の場合、判決は即日申し渡されます。
ただし、後日判決書が送付されることもあるので、あらかじめ覚えておきましょう。
少額訴訟の場合、100%の勝敗というよりは原告と被告が双方妥協できる範囲での和解を勧告されるケースも多いです。

納得できなければ応じなくても問題ありませんが、妥協できる範囲であれば和解を受け入れることをおすすめします。

基本的にこのような流れで、少額訴訟は進んでいきます。
手続きも少なく、自身で訴状作成もできることから費用も手間もそこまでかけずに裁判を起こせます。

判決で確定した事項(和解した内容でも)が破られてしまった場合には、強制執行で確定した内容を実現することも可能です。

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少額訴訟の訴状の書き方

少額訴訟

少額訴訟は、通常の民事訴訟に比べて原告本人でも書けるように簡略化されています。
請求内容によっては多少書き方の違いはありますが、どの請求内容でも書かなければならない項目は大体同じものです。
また、訴状を作成する際にはパソコンを使って書くようにすると間違いをすぐに修正しやすくなります。
書式はA4片面記載で、フォントは12ポイント、複数枚に及ぶ場合には左上をホッチキスで留めるようにしてください。

事件名

事件名は、請求内容に沿って記載します。
家賃滞納であれば「滞納家賃請求事件」、敷金の返還であれば「敷金返還未払い事件」などと記載するようにしてみてください。

その下に記載する訴額は、被告に対して請求する金額となります。
裁判の際には印紙も必要となるので、印紙額についても訴状内に記載しなければなりません。

請求の内容

請求の内容は、すでに定型文があるのでそれに則って記載してください。

原告や被告の住所

訴訟を起こす原告と訴えを起こされる被告、どちらの住所と氏名、連絡先などを記載します。

請求の原因

請求の原因としては、なぜ請求を行うのかを具体的に記載していきます。
「いつ、誰が、どこで、何を、なぜ、どのように」という5W1Hに当てはめると考えやすくなります。

加害者は誰で、被害額はいくらで、どのような被害に遭ったのかを書いていきましょう。

添付書類

訴状に添付する書類としては、証拠説明書と手数料、郵便切手、印鑑などが必要となります。
訴状と証拠説明書は、裁判所へ提出用の正本と相手側に送付する副本を用意してください。

まとめ

今回は、不動産トラブルに多い家賃滞納や敷金返還などに効果的な少額訴訟について流れや訴状の書き方などを併せて解説してきました。
訴訟となると難しそうで時間と手間とお金がかかりそうなイメージが強いですが、少額訴訟であれば手間も時間もお金も最小限で訴訟を起こすことが可能です。
自身で訴状作成などをしなければなりませんが、専門家に相談せずとも裁判所で相談すれば詳しく説明してもらえます。
ただし、少額訴訟から通常の民事裁判へ移行する場合もあるので注意しましょう。
リスクなども踏まえた上で少額訴訟の対象に当てはまる場合には、ぜひ活用を検討してみてください。