地価公示は2019年からどのように変化した?2022年現在との比較

地価

公示地価とは、標準地における1月1日時点での価格を公示するものです。
1970年から毎年調査されており、土地の取得取引はもちろん、相続評価や固定資産税評価などに広く活用されています。
2022年の公示地価の調査結果が公示されたことにともない、コロナ以前とでどのような変化があったのか解説しましょう。

2019年当時の地価公示

地価

ではまず、2019年当時の地価公示をみていきましょう。
土地の全用途である住宅地・商業地・工業地の平均では前年度に比べると1.2%のプラスという調査結果が出ています。
この結果からどのようなことがわかるのか詳しく解説します。

当時は4年連続で価格が上昇!

2019年当時の公示地価は住宅地・商業地ともに順調な伸びを見せていました。
特に東京・名古屋・大阪の三大都市圏では工業地を含めた全用途で上昇し、地方圏でもプラス転換を見せるなど順調さがうかがえます。
全用途の全国平均を見てみると価格上昇は4年連続、上昇幅は3年連続と、上昇基調を強めていました。
地方圏で全用途平均・住宅地が上昇を見せたのは実に27年ぶりで、そのうちの地方4都市については三大都市圏を上回っています。
このことから、地価の回復は全国的な傾向だったことがわかります。

地価が上昇した理由

地価が上昇した背景には、東京オリンピックの開催が関わっていました。
元々増加傾向にあった外国人観光客が、東京オリンピック開催に合わせてさらに増えると予測され、ホテルや店舗などの進出意欲が増したと考えられます。
いわゆるインバウンド事業の活発化が地価の上昇に一役買ったといえるでしょう。
また、国内においても低金利政策やローン控除など、住宅取得関連の環境がよく、住宅市場が堅調な伸びを見せたことが地価上昇につながりました。
2019年4月から順次施行された働き方改革関連法も少なからず影響を与えていると考えられます。
オフィス環境の見直しや改善にともなう移転や改築などにより、オフィス街はこれまでとは違った動きを見せ、活発化しました。
これは、三大都市圏はもちろん、地方の政令指定都市でも住宅地が上昇したことからも推測できます。

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2022年の地価公示が発表!2019年と比較してみた

地価

では次に、2022年の地価公示をみていきましょう。
2022年では全用途について全国平均で前年に比べ0.6%上昇しました。
この結果にはどういう意味があるのか、2019年と比較しながら解説します。

コロナ禍前へ回復傾向にある

新型コロナウイルス感染症拡大により一度は落ち込んだ地価ですが、2022年では全国平均で前年に比べて0.6%上昇しました。
プラスとなったのは2年ぶりのことで、経済回復の兆しが見えたのでは、との期待が高まる調査結果となりました。
地価が上昇に向かった背景にはコロナ禍前より継続されて実施されている住宅取得支援政策や、不景気に対するイメージの改善などがあります。
また、働き方改革によるテレワークなどの浸透が大きな影響を与えたといえるでしょう。
現に、三大都市圏では住宅地・商業地の両方が上昇を見せ、札幌・仙台・広島・福岡の四市は全用途で上昇しました。
福岡に至っては地価の上昇により、地下鉄延伸を含めた再開発が決まるほどです。

下落が見られるところもまだまだ多い

公示地価のプラス転向により一気に景気回復に向かいたいところですが、回復度合いにはバラつきが出ています。
東京都では千代田区・中央区・港区の商業地は下落したままで、渋谷駅・六本木駅・池袋駅といったJR山手線内の主要駅近辺も上昇とは程遠い結果でした。
これはテレワークなどの浸透によるオフィスの空室率の増加や、コロナによる飲食店の撤退が大きく影響していると考えられます。
また、全用途で上昇がみられた札幌・仙台・広島・福岡の四市以外の地方圏では未だ下落が続いており、コロナ禍前まで回復したとは言えないのが現状です。

地価による様々な影響

地価

公示地価が変化するとどのような影響が出るのでしょうか?
上昇時、下落時についてみていきます。

地価が上昇傾向だとどうなる?

公示地価の上昇によりどのような影響が出るのでしょうか?
まずは所有する不動産の資産価値が上がります。

公示地価は土地の取得価格算定基準にもなるため、上昇すれば所有している不動産の価値も上昇する場合が多いです。
地価が上昇するということはすなわち、そのエリアの人気が高まっているということにもつながり、需要が見込めます。
不動産売却や買い替えなどは公示地価が上昇したタイミングを狙うと有利に進められるでしょう。
一方で、不動産を取得したいと考えている場合は不利になります。
人気のエリアは競争率も高く、不動産取得のハードルが上がってしまうでしょう。
また、公示地価は固定資産税だけでなく、相続税や贈与税の基準ともなる相続税路線価の目安ともなるため、地価の上昇は税負担の増加にもつながります。

地価が下落傾向だとどうなる?

地価の下落が続くと不動産価値も下がってしまい、不動産市場全体の動きが鈍化します。
市場の動向に注視している投資家たちは敏感に反応し、とにかく売り抜けることを優先させるため、販売価格を下げてしまいます。

次第に市場全体が安売り傾向になり、その他の不動産の価値にも影響が出てしまうでしょう。

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地価が暴落する前に…知っておきたい対策方法

地価

地価が上昇することがあれば下落することもあります。
所有する不動産をなるべく上手に運用するにはどのような対策が必要でしょうか?

早めの損切りを検討する

地価が下落すると、再度上昇するまで待つ人が少なくありません。
確かに、不動産価値が下がったタイミングで売却すると資金回収ができないばかりか売却損が出かねません。
しかしさらに下落してしまった場合、損失が大きくなりすぎて売るに売れない状況に陥ることもあり得ます。

地価の下落が起きたら、今後のことも見据えて早めに売却を行う「損切り」も検討しましょう。

売却をするなら複数の業者から査定してもらう

地価の下落による売却を検討する場合は必ず、複数の業者に査定を依頼しましょう。
不動産には相場というものがありますが、業者によって査定ポイントが異なるため、最初から一社だけなどと絞ってしまうと、相場とはかけ離れた査定が出てしまう場合があります。

一般的な相場より高すぎたり安すぎたりすると、購入希望者は不信感を抱きやすいので注意してください。

まとめ

上昇傾向にあった2019年の地価公示ですが、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により大きく下落しました。
2022年の調査では回復傾向が見られ始め、徐々にではありますがコロナ以前の活気が戻りつつあるといえるでしょう。
不動産売却や買い替えを検討している場合は、今後の地価や不動産市場の動向に注視が必要です。