土地の売買について調べていると耳にする機会の多い「公示価格」と「実勢価格」ですが、この2つにはどのような違いがあるのかきちんと理解している方はそう多くないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、これらの意味や違いについて詳しく解説していきます。
また、土地売買の基準となる実勢価格の計算方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
公示価格とは?
公示価格は土地の基準となる値段のことで、公的機関によって毎年公表されています。
基準となる価格とは、早く売ってしまいたいなど特別な理由がない中で、売買が成り立つ適正な価格のことを指し、これを土地売買の「正常な価格」と言います。
公的機関が毎年適正価格を公表することによって、正常な値段で土地の売買が行えるようにしています。
地価公示法に基づき国土交通省の土地鑑定委員が全国から選ばれた23,000箇所の標準地の土地価格が公表されますが、必ずしも自分が欲しいと思っている場所が選ばれるとは限りません。
そのため、それを補うために都道府県が地価調査し、基準地の価格を「基準地価」として公表しています。
実勢価格とは?
実勢価格は、土地を売買する際に取引が成立する価格、あるいは取引した価格を指します。
その土地の状況や事情によって取引価格は変わるため、適正価格より高くなることもあれば低くなることもあります。
そのため、実勢価格は実際に取引が終了するまでわかりませんが、過去の実勢価格については国土交通省が取引価格情報を公表しているので知ることが可能です。
公示価格と実勢価格にはどんな関係がある?
実勢価格は取引が進まないことにはわかりません。
しかし、実際には公示価格の1.1~1.2倍ほどのことが多いので、「土地の公示価格×面積×1.1(もしくは1.2)」で計算することで目安の価格を出すことができます。
ただし、これはあくまで参考値であり、様々な要因によっていくらでも例外は出てくるので注意が必要です。
実勢価格の調べ方
実勢価格を調べる方法はいくつかありますのでご紹介します。
土地総合情報システムをチェックする
国土交通省が管理している「土地総合情報システム」では、過去に取引された土地の実勢価格を調べられます。
まず、メニューにある不動産取引価格情報検索をクリックします。
そうすると、エリアや取引が行われた時期を選べるので、自身の知りたい情報に合わせて設定していきます。
見たいエリアの詳細表示を選択すると、周辺の不動産取引価格情報が見ることが可能です。
一覧では実勢価格の他、土地面積や形状、最寄り駅からの距離など様々な情報を確認できます。
固定資産税評価額を調べる
現在所有し固定資産税を支払っている土地であれば、毎年市町村から送付される納税通知書に記載されている評価額から、実勢価格の目安を出すことができます。
固定資産税評価額を知るには、固定資産税の課税明細書にある価格もしくは評価額の金額を確認します。
この金額がわかれば、「固定資産税評価額÷0.7×1.1」と計算することで実勢価格の目安がわかります。
なぜ0.7を掛けるのかというと、固定資産税評価額は公示価格の7割ほどが基準となっているからです。
ただし、この計算方法で求めた金額は、あくまで参考価格であるため、様々な要因によって大きく変わることを理解しておくことが大切です。
公示地価・基準地価を調べる
国土交通省の管理している「標準値・基準値検索システム」から、公示地価と基準地価を調べることで目安価格を出すことも可能です。
やり方は、まず上記のホームページにアクセスし、金額を知りたいエリアを選びます。
そしたら検索条件の対象で「地価公示・都道府県地価調査の両方」を選択し、検索すると公示価格と基準地価のどちらの価格も確認できます。
価格に記載されているのは、周辺エリアの一平方メートルあたりの値段です。
この値段がわかったら「公示地価×面積×1.1」と計算することで、実勢価格の目安を計算できます。
参考価格なので、実際の価格とは異なる部分もあるでしょう。
あくまで目安の一つとしてお考え下さい。
路線価を調べる
路線価とは「相続税路線価」のことで、国税庁が税金の計算に用いるために道路ごとに金額をつけて毎年発表しています。
あくまで税金を計算するために使われていますが、実勢価格の目安を計算する際にも利用でき、「路線価×面積÷0.8×1.1」で、実勢価格の目安が出せます。
路線価の確認方法は、まず国税庁が管理している「路線価図・評価倍率表」アクセスし、表示されている都道府県の中から調べたい地域を選びます。
そうすると、検索画面に移動するので、「路線価図」を選択し、値段を知りたい土地が記載されている路線価図を表示させます。
道路にそれぞれ書かれている数字がその土地の路線価なるため、値段を知りたい土地が面している道路の価格を確認してください。
一平方メートルあたりの値段を1,000円単位で書いてあるので、路線価の数字が300だった場合は、300×1,000万円=一平方メートルあたり30万円が路線価となります。
数字の後にアルファベットが記載されていることがありますが、計算する場合には気にしなくて大丈夫です。
路線価の価格がわかったら、「路線価評価額(路線価×面積)÷0.8×1.1」と計算することで、実勢価格の目安がわかります。
ただし、ここで計算して出た数字はあくまで参考価格であることを忘れてはいけません。
実際の価格は、不動産会社に問い合わせると良いでしょう。
まとめ
ここまで公示価格と実勢価格について詳しく解説しました。
この2つの価格は土地の売買において非常に重要な意味を持っています。
しっかり理解しておくことで土地を適正価格で取引することに役立つでしょう。
また、所有している土地がいくらで売れるのか気になる方は、今回紹介した方法を試してみてはいかがでしょうか?
ただし、今回ご紹介した計算方法で出した数字は、参考価格なので実際の取引市場や周辺状況によって変わります。
あくまで目安の一つとして考える必要はありますが、売却を検討している際には参考にしてみてください。
実際の価格が知りたいと言う方は、不動産会社に相談することをおすすめします。