老朽化が進んでいたり、戸数を増やしたりするために、アパートの取り壊しや建て替えを考えている人も多いでしょう。
アパートに入居者がいる場合は、物件から退去してもらう必要があります。
しかし、退去に関するトラブルは多く、場合によって交渉が難航してしまう可能性もあります。
そこで今回は、アパートの立ち退き交渉を成功させるためのコツや、立ち退き料の相場についてご紹介します。
アパートの取り壊し・建て替えを考えているのであれば、ぜひ参考にしてみてください。
目次
入居者にアパートの立ち退きを要求できるケース
アパートから退去してもらうことを考えている場合、入居者には正当な事由を提示しなければいけません。
日本では、借地借家法によって入居者の権利が強く保護されているため、正当な事由がない限り退去を強制することはできない決まりになっているのです。
法律上、賃貸借契約は更新されることが前提となっており、更新を拒絶する正当事由は非常に厳しい基準で判断されます。
立ち退きの要求ができたとしても、実行することは難しいため、入居者が納得できるように交渉しなければいけません。
立ち退きを要求できるケースとして挙げられる事由は、建物の老朽化によって危険が伴っている場合や、現行の耐震基準を満たしていない場合などです。
ただし、3ヶ月以上に及ぶ家賃滞納や騒音トラブル、悪臭・害虫問題など、入居者自身に何かしらの問題がある場合、強制退去を要求することが可能です。
アパートの立ち退き料とは?
入居者の退去を要求する際、立ち退き料を支払うのが一般的です。
具体的に立ち退き料とは一体どのようなお金のことを言うのでしょうか?
大家が支払うお金
立ち退き料とは、大家が入居者に支払うお金のことを言います。
退去を要求する際、大家が立ち退き料を支払う義務はありませんが、支払うことで交渉を有利に進められる可能性が高くなるため、ほとんどの場合、入居者には立ち退き料が支払われます。
立ち退き料が必要とされているのは、アパートの取り壊しや建て替えはあくまで大家の都合であるためです。
立ち退き料の相場と内訳
退去してもらう際、大家が支払う立ち退き料は家賃6ヶ月~1年分が相場となっています。
明確に決まっているわけではなく、大家と入居者の信頼関係や交渉の仕方によって変動するため、あくまで目安として考えてください。
内訳は、引っ越し費用、新居の敷金・礼金、不動産の仲介手数料、火災保険などです。
また、電話やインターネット環境を設置し直す上で発生する費用も含まれています。
どれくらいの立ち退き料を支払えば良いかわからない場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
立ち退き交渉の大まかな流れ
では、一体どのような流れで交渉は行われるのでしょうか?
ここでは、立ち退き交渉の大まかな流れについてみていきましょう。
書面で通知して口頭で説明
まずは、建物の取り壊し・建て替えを入居者に知らせるために、書面にて通知します。
その後、どのような経緯で工事をすることになったのか、退去に関することなど、具体的な説明を口頭で行います。
稀に説明の段階で了承を得られ、立ち退き料を支払わずに済む場合もあるようです。
立ち退き料を交渉
ひと通り説明を終えたら、今度は立ち退き料を交渉します。
引っ越しをする際に発生する費用や、新居の敷金・礼金などを加味した上で、どれくらいのお金が必要になるか計算し、入居者に金額を提示しましょう。
提示した金額で入居者の了承を得られれば問題はありませんが、仮に了承を得られなかった場合、金額を増やすことで納得してもらえる可能性があります。
退去手続き
立ち退き料の交渉が終わったら、退去手続きを進めましょう。
万が一、交渉しても退去の了承が得られなかった場合、裁判で争わなければいけない可能性もあります。
アパーとの取り壊し、建て替えをする事由の正当性が認められれば、大家は入居者に強制退去を命じることが可能です。
立ち退き交渉を成功させるコツ
ここまで、退去を要求できるケースや相場、内訳などについてご紹介しました。
実際、立ち退き交渉に関するトラブルは多く、問題に発展しやすいため、上手く交渉しなければいけません。
ここでは、交渉を成功させる3つのポイントについてご紹介します。
早い段階で通知する
当然入居者側にも都合があるため、退去を求められてもすぐには応じられないケースもあるでしょう。
そのため、退去を要求するのであれば、スケジュールにある程度余裕を持たせることが極めて重要です。
いつ頃工事をするかが決定したら、そこから1年程の余裕を持って通知・立ち退き交渉を行うようにすることが大切です。
また、早い段階から通知することによって、入居者からの了承も得やすくなります。
納得のいく立ち退きの理由を伝える
交渉において最も重要なのは、納得できるような理由を考え、その内容を明確にしておくことです。
退去するにあたって引っ越しをしなければいけないため、入居者には大きな負担がかかります。
理由が明確ではない場合、退去に納得できず、交渉が成立しない可能性もあるので十分注意しなければいけません。
引っ越し先を斡旋する
入居者の住まいを確保するために、引っ越し先を斡旋するのも交渉を成功させる上で重要なポイントです。
新居が決まっていれば、入居者自身が引っ越し先を探す手間が省けるほか、安心して退去できます。
引っ越し先を斡旋する際、家賃や光熱費、間取りなど、今と同じくらいの条件で見つけることが重要です。
あらかじめ不動産会社に相談し、引っ越し先となる物件をピックアップしておいてもらうと、スムーズに進められます。
まとめ
今回は、アパートを取り壊したり、建て替えたりする際に必要となる立ち退き交渉についてご紹介しました。
入居者の権利は法律で強く守られているため、簡単に退去を命じることはできません。
また、万が一交渉が成立しなかった場合、大きな問題に発展する可能性もあるため、十分注意して話を進める必要があります。
そのため、早い段階で通知し、信頼関係を構築するなど、あらかじめトラブルにつながらないよう対策しておくことが重要です。