今でこそ、ポタジェに興味を持ち、その中でセージやローズマリー、センテッドゼラニウムといったハーブを少しずつ知るようになりましたが、ほんの数年前までは全くハーブの知識はゼロでした。けれど、そんな頃でも「ハーブ」とは思わずに育て、味わっていたものがあります。そう、それは頼もしきトマトの相棒、バジルです。きっと、私のようにハーブとは特段意識せずにお庭で育てている人、たくさんいらっしゃると思います。数あるハーブの中でも、間違いなく知名度No1でしょう。今回はこの「バジル」に注目しながら、ハーブが生活の中にあり、「食べる」楽しみ・魅力を与えてくれることについてご紹介し、もっと他のハーブにも興味を持ってもらえたらと思います♪
一緒に1枚添えるだけ!定番のバジルは大活躍。
バジルは古代ギリシアの時代から「王様のハーブ」と呼ばれ、その香り・味を愛されてきた植物です。それだけに、バジルといっても様々な品種があり、インドのホーリーバジルやタイのタイバジルなど、国により特徴のそれぞれ異なるバジルが生まれてきました。
その中でも現在私たちにとって最も一般的なのが「スィートバジル」という品種です。「スィート」の名の通り、とても甘くかぐわしい香りで食欲をそそるこのバジルは・・・、ホームセンターでいつも主役然として売られているトマトさんの近くで私たちを待っています。
ホットサンドに、チーズにパンに、たった一枚加えるだけ。
バジルが教えてくれるのは、「ハーブを美味しく活用するのに、特別な調理などの工夫なんていらないんだ!」ということです。ただ、1枚ずつハーブの葉を菜園からちぎってきて水洗いし、料理に乗せるだけ。ただそれだけでいいんです。多くのハーブはその葉が持つ香りを料理に加えることで、料理の風味をグッと一段も二段も引き上げてくれます。勿論、すりつぶして松の実などと合わせてジェノバペーストにして・・・というように、手間をかければ保存もきくし、もっともっと奥深い世界が広がってはいきます。けれど、そこまで踏み込まずとも、ミニトマトの横で気がつけばすくすく育っているその葉をちぎって乗せるだけでいいんです。ハーブは野菜とは違い、ほぼ野草です。種をまいて水をやり、ある程度育ったらほったらかしでも勝手に育ちます(むしろ殖えすぎることが問題・・・!)。そんな手間いらずでありながら、それをちぎっていれるだけで日常の食事が豊かになってしまうんです。たとえば、ホットサンドを作ったとき。バターをたっぷり塗って焼いたトーストに、柔らかでクリーミーなチーズとアツアツ目玉焼きを挟み込む。朝食としてはこれで十分。けれど、子どもに一声「バジルの葉っぱをみんなの分取ってきてーーー!」と伝えれば、喜々としてその手で最後のひと味を加えてくれる。
「特別な調理が不要なのに、見た目も味も本格的料理になる」それって毎日の家庭料理担当者にとって、本当に幸せなことです。買ってきたままの丸チーズに、買ってきた生ハムを巻き、ちぎっただけのバジルをちょこんと乗せる。そのかたまりにファインダーを向けると、不思議なぐらいおしゃれな前菜が写ります。
色も味も、2つだけでなく、3つ目が加わることでびっくりするほど「料理」になるんです♪その3つ目に手軽になってくれるのが、「ハーブ」なんですね。
味の変化の手札にバジルがあればもっと、広がる、ちょっと贅沢。
夕食に子どもも大好きなカレー。朝食もカレー。昼食もカレー。そのまた次の夕食もカレー。カレーづくしにして、手間をなんとかカットしてしのぎたいことも生活の中ではありますよね。でも、ある程度変化をつけないとブーたれてスプーンを進めてくれない贅沢者の同居人達がいるのも事実。そんなときにもバジルは活躍してくれます。チーズだけでなく、バジルも入れてドリアにすれば「美味しい!」と満足顔。
「だめだーーー!レンジでチンしかできないー!」と追い詰められたランチタイムにも、冷凍のミートソーススパゲッティにたった一枚、我が家の菜園のこの香る葉をちぎって加えるだけで、ランチの満足度は5倍増しです。それは、その香りだけのせいではなく、「ああ・・・我が家でハーブを育ていて良かったーーーー(ほったらかしだけど)!」という手軽さに対する満足感。それがスパイスになってくれているんだと思います。バジル以外のハーブも基本的には扱いは変わりません。ちぎって料理にいれるだけ。まずはバジルでスタートさせ、どんどん違うハーブに挑戦してみてください。毎日の生活が、必ず豊かになりますよ♪