日本古来の自然素材の一つ、和紙。特に伝統的な日本家屋の場合は、障子や小窓などに和紙が使われ、独特の日本らしさの演出に一役買っていました。
和紙の生産地は全国にあり、三大和紙といわれる「美濃和紙」「土佐和紙」「越前和紙」のように産する土地の名がつけられていることが多いです。
今回は、住宅に使用したときのメリット・デメリット、和紙とはどんなものなのか?について解説し、様々な用途を紹介します!
目次
和紙ってどんな効果がある?メリットとデメリットを紹介
かつての日本家屋には和紙が多く使われていましたが、半世紀ほど前からの近代建築様式への流れもあって、利用が少なくなっていたのが実情でした。
ところが、この十数年の間に環境への配慮や、シックハウス症候群に代表される有害物質の人々への影響の懸念から、自然素材の利用が見直され、和紙にも目が向けられてきています。
まずは和紙が持つメリット、デメリットについて見てみましょう。
やわらかな光と魅力的な機能
和紙は、樹木の外皮の下にある柔らかい内皮の繊維を使って作られています。これらの繊維の、長くて薄いわりに強靭で光沢があるという特性が、和紙の独特な手触りや光沢、光の透過性を生んでいます。
和紙はふぞろいな繊維組み合わさってできた紙なので、和紙を通った光は拡散されたり、反射したりすることでやわらかな光のように感じられます。
また、和紙に含まれる繊維には目に見えない小さな穴がたくさんあることにより、水分を吸着する性質もあります。このため、和紙は部屋の湿度を調節する機能を持ちます。通気性もよいので、湿度の高い季節にはうれしい効果をもたらしてくれる素材です。
さらに空気中の有害物質を吸着する効果もあると言われており、部屋の一部分だけであってもぜひ使用したいポイントです。
費用の高さと燃えやすさに注意
デメリットとしては、材料の中では比較的高い費用と燃えやすさです。
機能性に注目すれば、その費用対効果は十分に得られるので、これから先長住みたい家について考えるときには選択肢にいれてみても良いかもしれません。
また、燃えやすさについては日々の生活の中で注意する必要があります。火の気を近くに置かないように気をつけること、破れやすさも考慮すると子どもの手の届きにくいところに配置するなどの配慮をすることで、大きな心配はなく使えるでしょう。
どうしても心配な場合は、燃えにくい性質の和紙も売られています。気になる方は調べてみてくださいね。
どんなところに使える?和紙の使用例をチェック
これまでに紹介した特徴を生かした使い方について、いくつかご紹介します。
障子
和紙といえば、障子にはられた紙のイメージがすぐに思い出されるのではないでしょうか。このところ、和室のある住宅が減少してく中で、障子の利用は減ってきていますが、一方でこれまでにないデザインの障子も開発されています。
一面真っ白な和紙で覆ってしまうのではなく、色紙と合わせたり、ステンドグラスのように透過する光を生かしたデザインをあしらったりと、様々な種類が出てきています。
垢抜けたイメージの部屋づくりに一役買ってくれるかもしれませんね。
壁紙
また、壁紙として加工されている和紙もあります。光が透けるような使い方は難しいですが、質感や調湿機能は生きてくるのでおすすめです。
パーテーション(和紙ガラス)
和紙がもたらすやわらかな光を生かしつつ、破れやすさなど扱いにくい部分をカバーした材料として、「和紙ガラス」があります。
文字通り、和紙がガラスに覆われた材料ですが、従来の和紙にはない模様があったり、自然光だけでないライティングが楽しめるのが特徴です。
まとめ
最近はあまり目にしなくなった和紙ですが、やはり和紙にしかない光の演出が一番の魅力です。調湿性、通気性といった機能性を取り入れつつ、落ち着いた雰囲気を演出できる和紙。場を和ませるようなすてきな空間づくりをしてみてはいかがでしょうか。