少額訴訟で敷金が返ってくる?費用についても解説!

少額訴訟

敷金が返ってこないというトラブルは不動産業界ではありがちです。
もし、退去時に返ってくるはずの敷金が返ってこない、あるいは敷金返金の請求連絡をしても無視されているなら、少額訴訟で敷金が返ってくる可能性があります。
今回は、少額訴訟とは何かを解説し、敷金返還の少額訴訟に必要となる書類や費用についても詳しくご紹介しましょう。

少額訴訟とは?

不動産

一般的に通常の裁判を行うためには、複雑な手続きや膨大な時間、そして多額な費用もかかるためハードルは高いものでしょう。
ましてや多額のお金を争う場合ならともかく、比較的少額のお金のために裁判費用や時間をかけるのは費用対効果が合いません。
そのため、60万円以下の請求については簡易的な手続きで費用を抑えてお金を回収できる、少額訴訟の制度が設けられています。

動産にはどう関わってくる?

60万円以下の金銭を巡る少額訴訟は、不動産の分野では対象となる事例も多く見られます。
例えば、不動産管理側から訴訟を起こすケースとしては未払い家賃の支払い請求などが少額訴訟の対象となります。
また、借主側から訴訟を起こすケースでは、賃貸借契約上の敷金返還請求などにも少額訴訟が関わってくることが多いです。
もし、敷金返還について書面などで請求を行っているのに支払ってもらえない場合には、少額訴訟を利用してみましょう。

少額訴訟のメリット

通常の裁判は手続きが複雑で、法律知識がないと訴状などを作ることも難しいです。
しかし、少額訴訟は手続きが簡単で、弁護士に依頼せずに進められます。
弁護士費用が不要な分、費用が安く済む点もメリットです。
裁判自体は5,000円~10,000円ほどででき、裁判に勝訴すれば裁判費用や当事者費用などを被告側つまり相手に負担してもらえます。
また、少額訴訟は時間がかからない点もメリットとなります。
裁判所に訴訟の申立てを行い判決が出るまでは2ヶ月ほどで、審理は1回で当日に判決が下されるのが原則です。
つまり、少額訴訟のメリットは手続きが簡単で進めやすい点、費用が安い点、時間がかからない点の3つとなります。

少額訴訟のデメリット

メリットの多い少額訴訟にも、注意したいデメリットがあるので把握しておきましょう。
まず、少額訴訟には相手が通常訴訟を希望すると、通常訴訟に移行するリスクがあります。
通常訴訟への移行となれば、1回の口頭弁論期日での審理完了とはならず、少額訴訟のメリットを活かせません。
また、通常の訴訟よりは簡易的な手続きとは言え、訴状の提出などのために何度か裁判所に足を運ぶ必要はあり、その点が負担となる可能性もあります。
さらに、少額訴訟には回数制限があり、年間10回しか利用できないということも、少額訴訟の前に把握しておきましょう。

敷金返還に関する少額訴訟には何が必要?

少額訴訟

敷金の費用回収で少額訴訟をする場合、まずは裁判所に提出する訴状が必要になります。
訴状は裁判所の窓口で詳しい説明を受けて作成可能です。
また、裁判所のホームページに訴状のひな形が用意されているので、訴状は法律知識がない人でも問題なく作成できるでしょう。
ここからは、敷金返還で訴状以外に必要となるものを詳しくご紹介します。

賃貸契約書

敷金返還のためには、自分が物件に住んでいたことを証明しなければなりません。
そのために必要となる書類が賃貸契約書です。
もし賃貸契約書がなければ、重要事項説明書か更新した際の更新契約書を用意します。
少額訴訟を予定しているなら、賃貸契約書のコピーを不動産会社からもらっておくと良いでしょう。

敷金清算書

退去後に不動産会社から送付される敷金清算書も裁判所に提出します。
敷金清算書は原状回復明細書・見積書という名前の場合もあるので、確認してみてください。

内容証明郵便と配達証明記録

内容証明郵便を事前に送っている場合は、内容証明郵便を裁判所に提出します。
一般的に、内容証明郵便には今までの経緯や敷金返還の法的根拠などを記載するため、裁判官が口頭弁論で説明する際に便利です。
もちろん、訴状にも経緯や法的根拠を記載するものの、内容証明郵便の方が詳しい記載をするため、メリットが大きくなります。
さらに、内容証明郵便を送った配達証明記録も裁判所に提出してください。
相手が内容証明郵便を確実に受け取っているという証拠になるものです。

入退出時の写真

もし入居時に撮影した写真と、退去時に撮影した写真があるなら、ぜひ裁判所に提出しましょう。
入居時に既にあった汚れや傷なのかが判断できます。
もちろん、写真がなくても敷金返還請求は可能です。

少額訴訟にかかる費用はどれくらい?

少額訴訟

通常の裁判よりも費用が安いとは言え、少額訴訟にもお金はかかります。
何にどのくらいのお金が必要になるか少額訴訟にかかる費用をまとめてみました。

印紙代

裁判を行うためには手数料を支払うための印紙が必要で、請求金額に応じて金額が変わります。
10万円までの請求なら印紙代は1,000円、20万円までの請求で印紙代は2,000円です。
印紙は郵便局などで買えます。

郵便切手代

印紙代に加え、郵便切手代も少額訴訟に必要な費用です。
具体的な金額は簡易裁判所により異なるものの、目安としては4,000円前後となります。

強制執行にかかる費用

少額訴訟で勝訴しても相手が支払わないケースもあります。
その場合にお金を回収する方法として、強制執行いわゆる差し押さえが必要となり、費用がかかってきます。
まず、強制執行には印紙代が必要で、1債務者に対して4,000円の印紙代がかかります。
また、郵便切手代として、金額は簡易裁判所により異なるものの約3,000~4,000円が必要です。

まとめ

敷金の返還を求めたい場合の方法として有効な少額訴訟について詳しくご紹介しました。
少額訴訟は費用が安く手続きが簡易的、そして時間をかけずに迅速にできる訴訟です。
少額訴訟には相手側が通常訴訟を希望するリスクもあるものの、請求金額が60万円以下の訴訟についてよく利用される方法となります。
法律の専門知識がない人にとっても、少額訴訟なら裁判所の窓口などで訴状の作成方法などを詳しく教えてもらえるので、ハードルは低いと言えるでしょう。
敷金トラブルで泣き寝入りしないためにも、ぜひ少額訴訟について知り敷金の返還を成功させてください。