2×4工法(ツーバイフォー)は、多くの建築物に取り入れられている住宅工法です。
日本国内の有名住宅メーカーも多く採用している2×4工法には様々なメリットがあり、アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリスでも住宅づくりに使われています。
今回は、家を建てる人や不動産を扱う人が知っておきたい2×4工法について詳しく解説しましょう。
目次
木造で主流の2×4工法の特徴
日本の住宅は歴史的にも木造がメインで、現在も一戸建て住宅の90%以上が木造住宅です。
木造住宅にはユニット工法や木造ラーメン構造など様々な工法があるものの、メインとなる工法は2×4工法と在来工法の2つとなります。
2×4工法とは?
建物を壁つまり「面」で支えるのが2×4工法の特徴です。
2×4インチの角材あるいは2×6や2×10などの統一サイズの木材を組んで枠組みをつくりパネル合板を繋ぎ合わせ、箱状の空間で住宅をつくる工法が2×4(ツーバイフォー)となります。
在来工法との違い
在来工法とは日本の昔ながらの工法で、柱や梁、筋交いなど「線」で建物を支える工法です。
木造軸組工法とも呼ばれます。
同じ住宅メーカーでもプランや商品によって在来工法と2×4工法を選べたり、グループ企業内で工法を分けていたりすることも多いです。
また、2×4が得意なメーカーや在来工法が得意なメーカーなど、業者によって強みは異なります。
2×4工法の住宅のメリット
日本国内で2×4工法の住宅が多く扱われているのには理由があります。
ここからはそのメリットについてご紹介しましょう。
地震や台風に強い
日本は世界有数の地震大国で、日本の建築の歴史は地震との戦いの歴史とも言えます。
また、日本列島は台風被害も多いため、強い風による住宅への影響も家づくりに活かされています。
2×4工法は箱型のモノコック構造となっていて、床・壁・屋根が一体となっています。
つまり、地震の揺れによる外圧を6面体で受け止める構造なので建物が変形しにくいです。
地震の影響を受けにくい2×4工法の建物には、家具の倒壊や内装の損傷などの被害を受けにくい耐震性があります。
また、もともとハリケーン被害の多い北米で生まれた構法なので、屋根と外壁がしっかり連結され台風被害にも強さを発揮します。
耐火性もある
2×4工法は耐火性が高い点もメリットの1つです。
2×4工法で使う角材は厚みがあるので、万が一の火災でも木材の中まで火が届きにくく、強度の低下が起きにくくなっています。
しかも、2×4工法ならではのファイヤーストップ構造により、燃え広がりにくい点も耐火性につながっています。
断熱性・気密性に優れている
2×4工法は面でつなぎ合わせる工法なので、すき間ができにくく気密性にも優れています。
また、パネル合板を繋ぎ合わせている構造なので、断熱材もしっかり詰めやすいため断熱性も高めなのです。
在来工法の場合は、構造体内に柱や筋交いなどが入るため、どうしても断熱材をすき間なく詰めることが難しいと言えます。
工期が短く済む
規格が統一された木材を多く使い、システム化された工程で作業できる2×4工法は、工期が短く済みます。
短い工期で建てられるので、人件費などの建築費用も安くなる傾向です。
しかも、システム化されているため職人の熟練度に関係なく、安定した品質で工事ができます。
2×4工法の住宅のデメリット
住宅の工法は様々あり特徴が異なるので、それぞれの工法にメリット・デメリットがあります。
もちろん、2×4工法にもデメリットとなる点はあるので確認しておきましょう。
規格の統一で間取りに制約がある
在来工法は有名ハウスメーカーだけでなく、多くの建設会社が手掛けている昔からある工法です。
そのため選べる業者の数は圧倒的に在来工法が多いでしょう。
そして日本の伝統的な住宅にある、柱や梁が見えるような、木のぬくもりを感じさせる住まいは在来工法ならではの魅力です。
2×4工法の場合、扱うメーカーがある意味では限られていて、間取りプランそのものがある程度決まっていることも多くなります。
そもそも2×4工法は使用する木材が統一されているため、間取りに制限がある点が特徴です。
リフォームがしにくい
壁で建物を支える2×4工法は、壁を抜くようなリフォームは基本的にできません。
後から壁を抜いてリビングを広くするなど、間取りを大きく変えるようなリフォームは構造上難しいです。
仕切られている部屋を大きな1部屋にしたい、壁を撤去して大空間を作りたいなどの改築がしにくい点がデメリットとなります。
なお、2×4工法住宅は箱型につながっているため建物内での音が響きやすい特徴があります。
重いものが床にぶつかった音、例えば人の足音や子供が飛び跳ねるような衝撃音や、軽いものが床にぶつかった音、例えば硬いものを落とした音や家具を引きずる音などが2×4工法では響きやすくなります。
2階の音が気になることで防音リフォームをする事例は多いです。
開口部を大きくとれない傾向にある
在来工法では柱で建物を支えるため大きな開口部を設けられるのに対し、2×4工法では開口部を大きく取れない点がデメリットになる場合もあるでしょう。
2×4工法では構造上、大きな開口部をとりにくく、開口部を開ける場所の自由度も低くなります。
外の景色を思い切り楽しみたい、庭とリビングをつなぐ広い開口部が欲しい場合は、デメリットとなります。
カビやダニが発生することも
2×4工法のメリットでもある高気密・高断熱は、カビやダニが発生する原因を作るというデメリットもはらんでいます。
高気密住宅は室内で発生する湿気が外に逃げていかないため、換気と湿度調整が必要です。
室内にこもった湿気がカビやダニの原因となってしまう点は2×4工法のデメリットと言えるでしょう。
また、構造体そのものが高断熱であっても、窓など外気温の影響を受けやすい部分が結露しやすく、カビ・ダニが発生しやすくなります。
まとめ
今回は2×4工法のメリット・デメリットをご紹介しました。
統一規格の木材を使い、面で建物を支える2×4工法は木造建築で人気の工法の1つです。
耐震性や耐火性・耐久性に優れ、高断熱・高気密の省エネ性も高い2×4工法は基本的な性能に優れた住宅工法と言えます。
ただし、開口部の大きさや壁の位置などを自由に設計することが難しく、リフォームの際の制限は多いです。
さらに、高気密・高断熱であるがゆえに、湿度管理を怠ればカビ・ダニの発生などのデメリットも生む可能性があります。
住宅工法を選ぶ際には、ぜひメリット・デメリットを考慮しながら、自分に合った工法を選んでください。