定期建物賃貸借契約は、定められた期間のみ入居を許された契約です。
貸主・入居者のどちらにもメリットがある契約ですが、どのような契約なのでしょうか?
定期建物賃貸借契約とは何か、どんなメリットがあるのか知りたい人のために、特徴とメリットについてご紹介していきます。
定期建物賃貸借契約を詳しく知りたい人は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
目次
契約の更新が認められない定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借契約は、賃貸借契約の更新が認められないという特徴があります。
なぜ契約の更新が認められないのでしょうか?
そして、定期建物賃貸借契約が成立するにはどのような要件がいるのかも併せて解説していきます。
定期建物賃貸借契約とは?
定期建物賃貸借契約とは、期間が定められている賃貸借契約のことです。
あらかじめ期間が定められているため、満期が来たら契約の更新が認められずに満了となります。
1年間の契約と決まっていたら、1年後には契約の更新がありません。
賃貸の期間には制限が設けられていないため、好きな期間を定めて契約を結ぶこともできます。
数ヶ月だけその部屋を貸し出したい時などには、その期間だけ入居者に部屋を貸すことができる便利な契約方法です。
定期建物賃貸借契約の成立要件
定期建物賃貸借契約の成立要件は、2つあります。
1つ目は、公正証書などの書面で契約を結ぶこと、2つ目は、賃貸人が賃借人に「期間が満了になると契約の更新はせずに契約が終了すること」を書面で交付し、説明しなければならないことです。
口頭だけでは契約が成立しないため、必ず書面を交付した上で説明が必要になります。
定期建物賃貸借契約の大家側のメリット
定期建物賃貸借契約をすると大家側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
主に4つのメリットがあると言われています。
ここからは定期建物賃貸借契約を利用する大家側のメリットをご紹介しましょう。
一時的に貸し出して家賃収入を獲得できる
最近では、ウィークリーマンションやマンスリーマンションといった一時的な賃貸の需要が高まっています。
定期建物賃貸借契約では、一時的に物件を貸し出して家賃収入を獲得できるでしょう。
空室にしておくよりは一時的にでも部屋を貸し出した方が投資も成功しやすいです。
少しの期間だけ融通を聞かせて部屋を貸し出せることは、大きなメリットと言えるでしょう。
解体の予定に合わせやすい
賃貸物件の解体を予定している場合、解体の予定に合わせて一時的に部屋を貸し出せることも大家側のメリットです。
決まった期間だけ契約ができるので、解体時期前に入居者に退去してもらうことができます。
普通の賃貸契約とは異なり、引越し先の確保や立ち退き費用の交渉をしなくて済むので、手間になりません。
解体の予定があるけど家賃収入も得たいという場合は、定期建物賃貸借契約をすると良いでしょう。
滞納の被害を軽減できる
家賃の滞納をしそうな入居者と契約を結ぶ際に定期建物賃貸借契約をすることで、滞納の被害を軽減することが可能です。
1年間などと期間を決めて定期建物賃貸借契約を行うことで、家賃の支払い状況を確認しながら次の契約をするか決められるでしょう。
もし家賃の滞納があった場合は、満期となった時点で契約を終了させることで、滞納被害を最小限に抑えられます。
滞納被害がなければ、定期建物賃貸借契約が満了した時に普通借家契約をし直せば空き部屋になることも防げます。
信頼性を確認してから長期の契約を結びたい時にも、定期建物賃貸借契約は便利です。
ペット可物件の切り替えに活用できる
空き部屋が多い物件において、空室を減らしたい時の対処方法として「ペット可物件」へ切り替えるという手があります。
しかし、ペット可物件には少なからずリスクが付き物です。
このリスクを抑えるためにも、ペット可物件の切り替えに定期建物賃貸借契約を活用しましょう。
定期建物賃貸借契約をすることで、ペットが部屋を荒らしてしまったり、他の入居者から騒音の苦情が入ったりするリスクを抑えられます。
1年間などの期間を決めて定期建物賃貸借契約を結べば、周りの入居者や部屋の様子を見ながら通常の建物賃貸借契約をするかを見極めることも可能です。
定期建物賃貸借契約をする入居側のメリット
次に、定期建物賃貸借契約をする入居者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
入居者側のメリットは主に2点が挙げられます。
入居しやすく家賃が安めの物件もある
貸主が定期建物賃貸借契約をしている場合、通常の建物賃貸借契約の相場よりも賃料や初期費用の敷金・礼金などが安いことが多く見られます。
需要と供給が一致すれば安くお得に賃貸に住めるため、できるだけコストを抑えて住みたいという人にもおすすめです。
また、決まった期間だけの契約になるので通常の建物賃貸借契約よりも入居審査が簡易的であり、入居しやすいこともメリットと言えるでしょう。
良好な住環境であることが多い
貸主が定期建物賃貸借契約を行っている物件は、住環境が良好であることが多いこともメリットです。
なぜなら、定期建物賃貸借契約は貸主や部屋の住民にとって害になる可能性がある入居者を長居させないために活用することもあるからです。
滞納や騒音トラブルに発展しそうな入居者は、決まった期間が経ったら部屋から退去しなければなりません。
そのため、悪質な入居者がその物件に長居することなく、住環境が良好になりやすいでしょう。
まとめ
定期建物賃貸借契約は、決まった期間のみ部屋を貸し出す契約方法です。
その期間が満了となれば場合は、入居者は退去しなければなりません。
定期建物賃貸借契約をする大家側のメリットは、悪質な入居者の長居を防げることや少しでも家賃収入が得られること、物件の解体時期に合わせて部屋を貸し出せることです。
入居側のメリットは、比較的安めで良好な住環境に入居しやすいという点が挙げられます。
空き部屋が多く家賃収入が少ないオーナーは、定期建物賃貸借契約でペット可物件に切り替えるなど、工夫しながら家賃収入を増やしていきましょう。