賃貸物件の大家さんから退去勧告されたらどうすればいい?

立ち退き

賃貸物件に住んでいると、大家さんから退去勧告されてしまう場合があります。
もし突然退去勧告された場合、すぐに出ていかなければいけないのでしょうか?
すぐに出ていかなければいけないとなると、次の住まいを探す時間などがなく困ってしまうでしょう。
今回は、万が一賃貸物件の大家さんから退去勧告された時はどうすればいいのか解説していきます。

退去勧告される理由にはどんなものがある?

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大家さんから退去勧告をされてしまうのは、よほどの事態が起きていると言えます。
具体的にはどのような理由で大家さんから退去勧告されてしまうのか、事例を交えながらご紹介しましょう。

家賃を滞納した

家賃を滞納している場合、退去勧告される可能性は非常に高いです。
フリーターとして生活をしていたAさんは、アルバイトのシフトによって毎月の収入が変わっていました。
平均すると月収は20万円ほどです。
一人暮らしをして気ままな生活をしたいという思いから、親に保証人になってもらい、家賃7万円のアパートに入居しました。
アルバイトを掛け持ちしつつ就職活動を行っていたAさんにとって、家賃の支払いはそこまで余裕があるものではありませんでした。
そんな中、アルバイト先の1つが不況の煽りを受け、閉店を余儀なくされてしまいます。
収入は大幅に減り、10万円ほどになってしまいました。
家賃の支払いが難しくなって親を頼りながら、半月遅れのペースで支払いを続けていきます。
しかしさらに収入が減ってしまい、徐々に滞納するようになりました。
管理会社などに連絡すれば良かったものの、それを怠ったため退去勧告を受けることになってしまったのです。

騒音トラブルの原因となった

騒音トラブルが原因となり、退去勧告を受けたというケースもあります。
仲間同士でバンドを組んでインディーズとして活動しているBさんは、東京都内にある家賃12万円のアパートに暮らしていました。
バンドと他の仕事で月収50万円を超える月もあったため、支払い自体は問題なく行えていました。
しかし、アパートでもバンドの練習をしていたことが問題でした。
ファミリー層も多く暮らしている物件だったため、深夜に大音量で音楽を流したり、ギターを弾いたりすることに対する苦情が寄せられるようになったのです。
騒音に耐えかねた階下の住人が直接部屋にやってきた時は、暴言を吐く場面もあったと言います。
そのような状況が改善される見込みはないとして、大家さんから「出ていったほしい」と言われるまでになりました。
家賃だけ払っていれば自分が好きなように使えると勘違いしてしまった事例です。

退去勧告に強制力がないから賃貸借契約書をチェック!

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大家さんから退去勧告を受けると、焦ってしまうでしょう。
しかし、退去勧告事態に強制力はないのです。
そのため、賃貸物件の大家さんから「出ていってほしい」と言われた場合は、賃貸借契約書を確認するようにしましょう。
入居者に明らかな規約違反がある場合は別ですが、そうでない場合は正当な理由があっても退去に応じる必要はありません。

賃貸借契約書の家賃や禁止事項、契約の解除、更新といった項目を確認してみてください。
普通借家契約は自動更新が基本となっているので、大家さんの意向だけで強制的に退去させられないことは覚えておいて損はないでしょう。

しかし、定期借家契約の場合は期限を迎えたら退去しなければいけません。
大家さんと入居者のお互いに合意しない限り、契約の更新はできないという仕組みになっているからです。
定期借家契約は普通借家契約と比べると数が少ないので、契約時にどちらなのかしっかり確認しておきましょう。

退去勧告された時の対応

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大家さんから退去勧告される可能性は誰しもゼロではありません。
そのような時にどうすべきなのか、対応を知っておくと安心です。
最後に、退去勧告された時の対応についてご紹介します。

立ち退き請求書を確認

退去勧告されたら、まずは立ち退き請求書を確認しましょう。
立ち退き請求書にはなぜ退去してもらいたいのか、立ち退きの時期はいつか、立ち退き料は必要か、といった内容が書かれています。
立ち退きしてもらいたいと考える半年~1年前に行うことが借地借家法の26条で定められています。

そのタイミングで立ち退き請求書を入居者に渡すのが一般的です。

理由が正当か確認する

立ち退き請求書に記載されている理由が正当化どうかも確認しましょう。
正当な理由として認められるのは以下のようなもので、立ち退き料が発生するかどうかも変わってきます。

・賃貸物件の老朽化による建て替え
木造や鉄骨造などの構造によって異なりますが、築20年、30年になっていけば建物の老朽化も進んでいきます。
老朽化により耐震性などに支障が出る場合があります。
そうなってしまうと安全性にも不安が生じるようになり、空室が増える可能性も高まるでしょう。
それでは大家さんにとって大きな損失になるので、建て替えや補強工事を行うのです。
工事を行うために立ち退きをお願いするケースは少なくありません。
大家さんの都合で立ち退きを求められたなら、入居者から大家さんに対して立ち退き料を請求できるケースもあるので確認しておきましょう。

・大家さんが生活するため
大家さんが遠方に住んでいて戻ってくる場合などに、立ち退きを求められることがあります。
大家さんの都合で立ち退きとなるので、立ち退き料は請求可能です。

・入居者の違反がわかった
入居者が、ペット禁止の賃貸物件でペットを飼っていたり、家賃を長期的に滞納したりするなど違反行為をしている場合にも、立ち退きを求められる可能性が高いです。
これは、賃貸借契約違反とみなされ、大家さんは退去を求めることができます。
入居者側に過失があるケースとなるので、立ち退き料を大家さんに請求するのは難しいです。

大家さんが勝手な理由で退去を求めることはできませんが、このような理由なら退去勧告を行っても問題ありません。
もしも現在借りている賃貸物件からの退去を求められたなら、理由をしっかりと確認し、泣き寝入りしないようにしましょう。

まとめ

賃貸物件に暮らしている中で、大家さんから退去勧告されてしまうケースが少なくありません。
正当な理由であれば立ち退きにも納得できるでしょうが、そうでない場合も考えられます。
納得できない時は、立ち退き請求書や契約時の賃貸借契約書などをチェックし、本当に正当か確認してみましょう。