土地活用で人気の高いアパート経営ですが、初期投資額が大きいため気軽に始められないと躊躇している方も多いかもしれません。
アパート経営の収益源は家賃収入が主になるため、満室を維持できなければ安定した収入を得るのが難しいと考えている方もたくさんいます。
では、実際のところアパート経営ではどのくらい稼げるのでしょうか?
今回は、手取り収入の平均やアパート経営で発生する支出や経費、収入を少しでもアップさせる方法などをご紹介します。
目次
アパート経営者の手取り収入の平均はどのくらい?
そもそもアパート経営者の手取り収入はどれくらいなのでしょうか?
国税庁の令和元年申告所得税標本調査によると、アパート経営における不動産所得の全国平均は521万円/年ということがわかっています。
特に年間300万円~500万円のケースが多く、次いで500万円~1000万円の収入を得ている方が多いという結果になっています。
不動産所得は、アパート経営で得た収入から必要経費を抜いた金額を指し、手取り収入のことです。
平均不動産所得は、平成26年度は510万円とされていたため、そこから11万円増加したことになります。
また、この金額はアパート経営以外に、ワンルームマンションやオフィスビルなどの不動産投資も含まれたものになります。
アパート経営での主な収入源
冒頭でも述べたように、アパート経営の収入源は家賃収入がメインとなります。
ここでは、家賃収入を含め、その他の収入についても見ていきましょう。
家賃収入
アパート経営の家賃収入には、家賃だけでなく共益費や管理費なども含まれます。
ただ基本的に家賃収入がメインになるので、毎月の家賃収入がどのくらいか把握しておかなければなりません。
アパートに空室が出てしまうと、その分の家賃収入は当然入ってきません。
一定期間空室が続いた場合、家賃を下げざるを得なくなることもあるでしょう。
その他収入
その他の収入としては、礼金やアパート契約更新料・駐車場の賃料などがあります。
入居時に敷金を受け取っている場合がありますが、敷金は退去する際に変換するものなので収入には含まれません。
また、これら以外にアパートの敷地内に自動販売機を設置している場合や、屋根に太陽光発電システムを導入している場合、その他の収入に含まれます。
アパート経営で発生する支出・経費や税金
アパート経営をすれば、当然定期的な支出や経費・税金などが発生します。
ここでは、具体的にどのような支出や経費がかかるのかご紹介します。
定期的に発生する支出
まず、定期的に発生する支出として挙げられるのは、建物のローン返済費や管理委託料・保険料・水道光熱費などです。
ローン返済費の金額は借入分によって異なりますが、毎月決まった額を支払う必要があります。
管理委託料は賃貸管理会社に支払うもので、家賃収入の約5%程度が目安です。
保険料や水道光熱費はアパートの種類によって異なります。
この他、定期清掃費がかかる場合もあります。
臨時で発生する支出
建物の修繕費や不動産会社への仲介手数料・広告料・退去時の原状回復費などが必要に応じて発生します。
建物の修繕費は建物の規模や部屋の広さ等にもよりますが、30年間で1戸あたり約200万円が平均となります。
臨時で発生するとは言え、まとまった金額になってしまうため毎月の積立をしておくと安心です。
積立をする場合、定期的に発生する支出に含めて良いでしょう。
仲介手数料や広告料などは、必要に応じて発生する支出です。
退去時の原状回復費に関しては、事前に敷金を受け取っている場合は、それで賄えるケースが多いですが、余裕を持って準備しておく必要があります。
また、立ち退き料や解体費用は必要になる場合もあり、構造や地域によって金額が異なります。
万が一のことも考えて、事前に確認しておきましょう。
初年度に発生する税金
アパート経営をして収入を得る場合、税金の支払いが必要になります。
初年度にかかる税金としては、不動産取得税や登録免許税・印紙税・相続税・贈与税などがあります。
不動産取得税は、固定資産評価額×3%、登録免許税は固定資産評価額×0.4%で求めることが可能です。
相続税や贈与税は、それぞれ税率の金額によって変動します。
毎年発生する税金
毎年発生する税金としては、固定資産税や所得税があります。
年4回に分けて支払う固定資産税は、地方自治体が決定している土地や建物の評価額にそれぞれ1.4%をかけて算出できます。
所得税は、アパート経営における不動産所得をはじめ、経営者個人の給与所得も含めた総所得を基に算出され、控除額を差し引いた額が請求される仕組みです。
アパート経営の収入をアップするには
土地活用でアパート経営をするなら、十分な収入を得たいと思うのは当然のことです。
最後に、アパート経営で少しでも収入をアップさせる方法をご紹介しましょう。
利回りを意識したアパート経営をする
ますは、利回りを意識してできるだけ高くすることです。
利回りには、年間賃料収入の投資額における割合である表面利回り、物件購入時にかかる全費用に対し、年間の家賃収入から諸経費を差し引いた利益額の割合を表す実質利回りなどがあります。
利回りや利率を高くするために、複数のハウスメーカーを比較したり、付加価値を付けたり、建物仕様の見直しをしたりすると良いでしょう。
空室リスクの対策をする
入居者を途絶えさせず、空室を作らないよう対策も講じましょう。
空室対策の提案を行っているところや、効果的な客付けができる賃貸管理会社と契約するとより効果的です。
場合によっては家賃を下げて、入居者確保を優先することも方法の1つです。
賃貸管理料を比較して賃貸管理会社を選ぶ
賃貸管理会社に毎月支払う賃貸管理料は、家賃の約5~7%と言われていますが、家賃保証がつくサブリース契約では約10~20%になっている場合もあります。
金額設定は賃貸管理会社によって様々なので、複数の管理会社を比較しておくことをおすすめします。
ローン返済額も考慮して手取り収入を決める
利回りには、表面利回りや実質利回りとは別に返済利回りと呼ばれるものがあり、これは金利とローン返済額を踏まえた利回りのことを言います。
返済利回りは、12ヶ月分の家賃収入・ランニングコスト・ローン返済額に物件購入価格・初期費用をかけて算出します。
アパート経営における手取り収入を計算すると、より現実的なキャッシュフローがイメージできるため、必ず行っておきましょう。
まとめ
アパート経営に対し、安定した家賃収入が得られるか、しっかり経営できるかといった不安を持つ方も少なくありません。
しかし実際は、経営次第で安定した収入を得て稼ぐことができる方法の1つです。
もちろん、利益だけに着目するのではなく、収支プランをしっかり見積もり、リスクに備えた計画を立てる必要があります。
適正なアパート経営ができるよう、賃貸管理会社は複数から比較すると良いでしょう。