金融機関からの融資を利用することで、少ない自己資産でも不動産投資ができるようになります。
資金の融資元を選ぶにあたり、日本政策金融公庫を候補に考える投資家も多いでしょう。
日本政策金融公庫は5つある政府金融機関のうちの1つで、創業支援や中小企業向けに事業支援などを行っています。
そんな日本政策金融公庫では、不動産投資の融資は受けられるのでしょうか?
今回は日本政策金融公庫で融資を受けるメリットから、不動産投資用の資金を借りるためのコツまで解説します。
目次
日本政策金融公庫で融資を受けるメリット
日本政策金融公庫は創業や事業支援を目的とした機関であり、民間金融機関では審査が通りにくいリスクのある事業も融資が受けられるメリットがあります。
他にも融資を受けるメリットがあるので解説していきましょう。
低金利・固定金利
利益を重視した金融機関ではないので、低金利でお金を借りられることが大きなメリットです。
例えば5,000万円の融資を受けるのであれば、金利1%なら年間に掛かる金利コストは50万円程です。
しかし、3%となれば150万円にも増額します。
大きな融資となるほど金利の低さはローン選びの重要なポイントになります。
また、日本政策金融金庫の融資は固定金利であることもメリットです。
現状はマイナス金利ですが、長期的な目線で見ると今後金利が上昇する可能性があります。
固定金利であれば、融資を受けた時点の金利が適用されるので、上昇した際のリスクを排除できます。
女性や若者、高齢者でも融資を受けやすい
日本政策金融公庫は、社会的な弱者を救済することを目的に設置されています。
そのため、社会的弱者に位置付けられやすい女性や若者、高齢者に向けて積極的に融資を行っているのも特徴的です。
日本政策金融公庫の基本的な借入上限額は4,800万円です。
一方、女性・若者・高齢者の借入上限額は7,800万円まで引き上げられています。
繰り上げ返済をするのに手数料が掛からない
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別途でまとまったお金を返済できる制度です。
余裕がある時に、一気に返済できるので将来的な負担を軽減できるメリットがあります。
一般的な住宅ローンの繰り上げ返済には手数料が発生するケースもあり、繰り返せば手数料の負担が掛かってしまいます。
しかし、日本政策金融公庫の繰り上げ返済は何度行っても手数料は無料です。
そのため限度額まで融資を受け、余裕があれば少しずつ返済していく戦略も講じられます。
不動産投資では如何に経費を削減できるかどうかが重要なので、繰り上げ返済に手数料が掛からない点は大きなメリットです。
「不動産投資」が目的だと融資は受けられない?!
日本政策金融公庫の融資は、サラリーマンや29歳以下の若者、55歳以上の比較的高齢な方まで様々な人が利用できます。
ただし、不動産投資が目的である場合は融資を受けられないので注意が必要です。
不動産賃貸業としての借入に限定されている
日本政策金融公庫では、投資目的で購入するための借入は認めていません。
不動産投資をするために融資を受けるためには、不動産賃貸業として借入の手続きを行う必要があります。
そもそも日本政策金融公庫の融資は創業者や事業を支援するためものなので、目的も事業での用途に限られます。
そのため、たとえ投資目的であってもビジネス目的として借入を申し込むようにしましょう。
担保にするための物件が必要
日本政策金融公庫の融資には不動産賃貸業での借入以外に、もう1つ条件があります。
それは物件を担保にすることです。
無担保の融資もありますが、上限は2,000万円となっています。
目当ての物件がそれ以上の価格となると、物件を担保に設定して融資を受ける必要はあります。
日本政策金融公庫から借りるための3つのコツ
日本政策金融公庫から不動産投資用の資金を借りたい時は、不動産賃貸業として借入を申し込む必要があります。
実際に融資を受けられるかどうかは審査で決まります。
融資を認めてもらうためにも、押さえておきたい3つのコツを見ていきましょう。
利回りの高い物件を担保にする
他の金融機関は担保の不動産の築年数が審査を左右しますが、日本政策金融公庫の場合は利回りの高さが重視されます。
利回りの高さが重要な理由は、日本政策金融公庫がキャッシュフローを重視しているためです。
民間の金融機関では不動産賃貸業が成功しなくても、不動産を売却することで資金を回収できると考えています。
担保物件の評価を重視しているので、高く売れやすい築浅の物件を担保にしたほうが審査は通りやすいのです。
一方、日本政策金融公庫は事業の継続性を目的に融資を行っているので、キャッシュフローに重きを置いています。
利回りが高い物件を取得できていれば収益性が見込めるので、そのような物件を担保に設定すれば審査も通りやすくなります。
小型物件への投資に活用する
日本政策金融公庫の借入限度額は4,800万円までです。
女性や若者、高齢者はより大きな限度額を設定していますが、それでも7,200万円までです。
つまり融資された資金だけでは、億単位にもなる大型物件への投資はできません。
また、実際に限度額の上限で融資が通るケースは少ないので、限度額より1,000万円~2,000万円は余裕を持った物件への投資を目的に申し込むと良いです。
創業計画書に矛盾がないかしっかりと確認する
融資を申し込むにあたり、創業計画書の作成が必要です。
創業計画書とは、新たにビジネスを興すにあたり、その事業の概略や方針、資金計画、事業の見通しなどをまとめた書類です。
審査では経営の計画性もチェックされています。
信用に欠ける経営計画では、正しく評価されず、審査に落ちる原因となってしまいます。
資金の用途に明確な根拠を示し、数字と実態に矛盾がないように創業計画書を作成することが重要です。
創業計画書の作成に不安があれば、認定支援機関など専門家に相談や作成代行を依頼すると良いでしょう。
まとめ
今回は日本政策金融公庫で不動産投資の融資が受けられるかどうかについてご紹介しました。
日本政策金融公庫の融資は低金利かつ固定金利で、繰り上げ返済に手数料が発生しない、女性や若者、高齢者も比較的融資が通りやすいといったメリットがあります。
投資目的の借入は認められませんが、不動産賃貸業の名目で融資を受けることは可能です。
細かな条件があるので、不動産や融資のプロと相談しながら申し込みを検討してみてください。