経営するアパートを住居用から事務所用に変更したいと考えている大家さんはいませんか?
近年はフリーランスとしての働き方が認められてきたこともあり、少人数で利用できるアパートを事務所として検討している方も増えてきました。
そこで、この記事では経営するアパートを事務所として貸し出したい大家さんに向けての注意点、話題のSOHOについても解説していきます。
事務所可物件の特徴なども解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アパートの事務所利用…需要はある?
空室でなかなか埋まらないアパートを居住用から事務所用に変更した場合、需要があるのか気になることでしょう。
現在少子高齢化を突き進んでいる日本では、これらの問題を解消するために一億総活躍社会への取り組みを進めています。
ここで求められているのが、リモートワークやフリーランスなど会社以外での働き方です。
コロナウイルスの影響もあったことで、今後は需要が高くなることが予想されています。
これらの内容から期待できるのが、アパートの事務所利用です。
オフィスと比較しても安い賃料で借りることができるだけでなく、落ち着いた環境で仕事ができます。
そのため、個人経営やフリーランスの方には好まれる傾向でしょう。
事務所可物件の特徴を解説
上記の内容から気になるのは、居住用物件と事務所可物件の違いや特徴についてです。
ここでは、事務所可物件の特徴やメリット、デメリットを中心に解説していきます。
事務所可物件とは?
事務所可物件とは、フリーランスなどの個人事業主、また規模の小さい法人などがオフィスとして利用できる物件です。
ただし、飲食店や物品販売店などは店舗になるので対象外です。
事務所可物件のメリット
事務所可物件のメリットとして、以下の点が挙げられます。
利回りが高い
事務所可物件は、居住用の物件と比較した場合に利回りが高くなるのがメリットです。
居住用に比べて家賃単価を高めになります。
物件の価値が下がっていく中でも、比較的安定した家賃収入が得やすいでしょう。
また、借りた方も利益が見込めないと判断するまで退去しにくいです。
保証金が多い
事務所可物件は、保証金に関しても高めに設定できます。
この保証金は、貸主に対して原状回復費や家賃滞納などの補填として契約時に支払われます。
居住用でいう「敷金」と同じ意味合いのものと考えるとわかりやすいでしょう。
保証金は、店舗や事務所であれば3ヶ月~1年ほどの期間で設定されることが多く、預かった保証金の一部を償却すれば退去時に返還しなくてよい場合もあります。
原状回復の手間がない
本来、退去時の修繕に関しては原状回復義務が生じます。
しかし、店舗や事務所としていた物件では借り手側が原状回復義務を負うことになるのです。
通常、店舗や事務所ではスケルトン渡しなので、その状態に戻して返還します。
これによって大家さんには原状回復の必要がありません。
空室対策になる
事務所可物件では、同じ建物に住んでいる入居者が利用できるテナントを1階に入れることで空室対策もできます。
コンビニやドラッグストアなど生活必需品が手軽に購入できるだけでなく、誰もが利用しやすいテナントが入れば入居者にアピールできます。
事務所可物件のデメリット
事務所可物件には多くのメリットがありましたが、デメリットも生じます。
どのようなデメリットがあるのかみていきましょう。
空室リスクがある
上記で空室対策になるというメリットを紹介してきましたが、実は空室リスクが生じる可能性もあります。
このような内容を聞くと、矛盾しているように感じることでしょう。
確かに店舗や事務所として入ると簡単に退去しにくいのですが、景気の動向や影響によっては利益にならないと判断した途端に退去してしまう可能性もあるのです。
そこには賃料の高さも関係しているため、借り手が払えないと見込んだらすぐ退去を判断します。
さらに、空室期間が長引けばその分家賃収入も大きく減少するでしょう。
融資に時間がかかる
金融機関は、店舗や事務所などに対しての金融審査を厳しくしています。
物件の担保力があるかどうかだけでなく、資金力や実績、テナントの属性に関しても調査対象です。
担保掛目が低めになる傾向があり、反社会的勢力かどうかまでチェックされるため、どうしても時間が必要になってしまいます。
地震保険に加入できない
あまり知られていないかもしれませんが、店舗や事務所は地震保険に加入できません。
地震保険には専用住宅または併用住宅であることが条件です。
事業用物件では、店舗総合保険などで地震関連の特約を付けられるものもありますが、これらの内容や補償料に関しては個別審査となります。
アパートを事務所可物件として利用…注意点はある?
居住用のアパートを事務所用物件として貸し出しを検討している場合、どのような点に注意すべきでしょうか?
賃貸契約書の変更
まず気を付けたいのが賃貸契約書についてです。
契約書として特定のフォーマットを使用している場合は、内容について確認が必要です。
その理由は、内容が住宅用と店舗用では異なる部分があるからです。
特に店舗契約の際には、問題が生じた時のための保証金が必要になります。
保証金額や有無についても記載が必要であり、これらがないといざという時に責任を問うことも難しいでしょう。
保証金は家賃滞納の際や、建物が故意による過失を受けた際の損害にも当てられます。
いざという場合にも対応できるように、賃貸契約書の確認と変更を必ず行いましょう。
家賃設定について
アパートを事務所可物件とする場合は、家賃の設定についても検討しましょう。
居住専用のアパートであれば、基本的に第三者の出入りが限られます。
しかし、事業をするとなれば第三者の訪問も全くないとは言い切れません。
これらを踏まえて、防犯上の不安やトラブル回避のための対策を取る必要があります。
事務所として利用する場合は、家賃設定を高めにしてこのようなリスクに対しての備えを行いましょう。
住宅専用の場合、通常使用での原状回復は貸主が負担しますが、事務所として使用していた場合はすべて借主が元通りにするのが一般的です。
原状回復の範囲は、床、壁、パーティション、間仕切り、配線、設備などの撤去すべてをします。
これらの理由から、家賃も敷金も高めになる傾向です。
税負担について
居住用の物件を事務所可にした場合は、税金の負担も変わってきます。
居住用であれば、住宅用地の特例として固定資産税や都市計画税が異なります。
1戸あたり200平米以下の部分に対して、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に減額されます。
200平米以上であれば固定資産税が1/3、都市計画税が2/3に減額されるなど、大きなメリットが得られるでしょう。
しかし、事務所など居住用と用途が変わってしまえば、これらの住宅用の特例を受けることができません。
そのため、税負担が大きくなることを念頭に置いておきましょう。
他にも、居住用の貸付では家賃、敷金、礼金、保証金、更新料金など非課税になる部分がありますが、事務所用では入居者に返還されない家賃、礼金、更新料が課税対象に変わります。
税金に関しての補助は、大きな負担になる可能性もあるでしょう。
居住用から事務所用に変更する際に気を付けたいのは?
一般的な居住用から事務所用に変更する場合、入居者への配慮を欠かさないようにしましょう。
この部分は契約では見えないトラブルが起こりがちです。
できる限りトラブルを回避するための方法や、対策を先に講じる必要があるでしょう。
入居者への配慮は重要なポイント
最初に気を付けたいのは、入居者への配慮です。
特に事務所が後から入ってきた場合、事務所側は入居者がいることを理解できますが、最初から住んでいた人にすれば理解できない部分も多いでしょう。
中には受け入れられず、退去してしまうケースも少なくありません。
住民には早めの周知と配慮を促せるよう、契約が決まった時点で通知してください。
個別に文書を投函するのが最適ですが、掲示板やエレベーターなどに掲示するのもおすすめです。
できるだけ入居者全員が目にする場所を選んで知らせましょう。
業種にもよりますが、人の出入りの予測、ニオイ、騒音なども明確にしておくとクレームになりにくいです。
修繕負担を明確に
修繕費に関しても、明確にしておくと安心です。
賃貸住宅では簡単に記載されている傾向にありますが、事務所などの場合は退去時にどこまで原状回復すべきか細かく記載してください。
また、賃貸している最中に修繕が必要になった場合も視野に入れ、どちらが負担すべきか、どのような内容・ケースで修繕を行うべきかを明確に記載しておくと安心です。
テナントの解約後も視野に入れておく
大家さんの中には居住用から事務所として貸し出してから、その後も事務所の受け入れを行うのか、また居住用に戻すのかまでは考えていない方も多いでしょう。
事務所の解約後、どのような貸し方をするのか考えておくと安心です。
まずは大家さんと借主、どちらも困らないように話し合いをしておく必要があります。
事務所として貸し出した後、再度居住用に戻すことを考えている場合は、その内容を話しておき元通りにすることを前提とした契約にしましょう。
登記の変更も必要
事務所可物件から居住用のアパートに戻すには、登記の変更も必要です。
ここでは、登記の変更手続きの流れについて解説します。
手続きの流れ
事務所可物件から居住用のアパートにするには、変更のあった日から1ヶ月以内に建物表示変更登記をしなければなりません。
これは不動産登記法第44条第1項の内容にあって、変更手続きが必要なものです。
手順としては法務局で登記簿上「建物の種類」を確認し、変更した後の利用状況がわかる書類、写真などを必要に応じて書類や写真を用意します。
申請時に必要な書類を作り、管轄の法務局に申請書を提出します。
申請書を提出して1~2週間程度で登記手続きが完了です。
手続きに必要な書類
手続きに必要な書類は以下のとおりです。
・登記申請書
・住民票(所有者)
・所有権証明書
・変更状況がわかる写真と書類
これらの書類を用意して手続きを行いましょう。
変更の内容によって書類が変わる場合があります。
手続きを司法書士や土地家屋調査士に依頼する際には委任状も用意してください。
事務所可物件はテナント募集にも注意が必要
事務所可物件は、ただ書類上で変更しただけでは誰も応募してきません。
そのため、テナント募集時にはいくつかの点に注意してください。
事務所可物件はテナント募集のノウハウが必要
ただ店舗や事務所といっても、いくつもの業種・業態があります。
テナントに求められる建物、設備、立地などが存在するため、誰もが使えるわけではないと覚えておきましょう。
特定の業態や業種がある建物では一度空室になってしまうと、他の事務所が使いにくくなります。
その結果、次の事務所が入るまで時間がかかってしまうので、事務所可物件に関しては、テナント募集のノウハウが必要でしょう。
テナント募集は専門家への依頼がおすすめ
テナント募集は専門的な分野も加わるため、個人で簡単に募集するのは難しいでしょう。
個人では、総合的なアピールが難しく、テナント側の目に触れる機会が少ないです。
また、立地の良さなどを理解してもらえない場合もあり、価値そのものがテナント側に伝わらない場合もあります。
そのため、テナント募集は専門家への依頼が適しているでしょう。
専門家にテナント募集を依頼するメリット
専門家はどの物件にニーズが高いか、テナントがどのような物件を求めているかなどを把握しています。
また、このニーズに適した広告、募集方法などを把握しているので、様々な媒体を使ってテナント側に告知できます。
ニーズを解析したマッチングなどのノウハウもあることから、専門家への依頼によってスムーズな入居につながるでしょう。
専門家にテナント募集を依頼するデメリット
専門家に募集依頼する際には、デメリットも生じてしまいます。
やはり専門家なので、広告の打ち出しなどに多くの費用がかかってしまいます。
また、費用を回収できる保証もありません。
そのため、どこに依頼しても確実に入居するテナントが手を挙げてくれるとは限らないのです。
しかし、個人の募集では限界があるので、テナント募集会社を調べてから依頼することでデメリットは解消できるでしょう。
テナント募集会社が実施する募集方法とは?
テナント募集会社が実施する具体的な方法を4つご紹介します。
サイトに掲載
賃貸物件を探すのと同じようにテナント物件もネットで検索する利用者が増えています。
そのような状況から、テナント募集会社でもネットを利用した募集活動を重視するようになりました。
テナント物件を取り扱う情報サイトに掲載する、自社で物件情報を取り扱っていればホームページに掲載し、不動産業界で使われているGIS(地理情報システム)にデーターベースを掲載して、場所に関する情報を得やすくするなど、多くの人の目に留まるような募集活動をしています。
GISとは、地理や空間情報に関する様々なデータを地図上で可視化し、地図の作成や分析などを行うシステムです。
テナントに営業をかける
テナント物件会社には既に顧客がついているので、全国展開しているようなチェーン店や企業などを顧客に抱えていれば、その会社に対して営業をかけることが可能です。
依頼されたテナント物件を顧客に提案できるのは、テナント募集会社だからできる手法だと言えるでしょう。
チラシの制作
テナント募集の広告は紙からインターネットへ移りつつありますが、複数の媒体からの宣伝は、人の目に留まる効果が高まる傾向にあります。
宣伝する範囲が限られるので、インターネット程の効果は期待できませんが、一定数の効果と需要があります。
チラシを制作し、ポスティング手法を取るテナント募集会社は今現在も多いです。
情報誌に掲載する
テナント物件を取り扱う情報誌へ掲載依頼する場合もあります。
物件を持つオーナーの中には高齢でインターネットに馴染みがなく、紙媒体を好む方もいます。
ネットだけではなく、紙媒体の情報誌に掲載することで、幅広い年代の方に情報を届けることが可能です。
テナント募集会社の選び方
確実に物件とマッチしたテナント会社を見つけるためには、良いテナント募集会社を選ぶ必要があります。
以下4つのポイントを意識してテナント募集会社を選択していきましょう。
営業力がある
テナント募集会社によって、営業力やノウハウが異なります。
テナント営業のノウハウがしっかりしている、提案力や営業力がどの程度あるのかなどを重視しましょう。
先述したように、優良な顧客を多く持っていれば営業力と提案力でテナント獲得につながりやすいです。
実績がある
安心してテナント募集業務を依頼するためにも、過去の実績についてもチェックしておきましょう。
テナント募集を依頼する物件と似た条件で、どれだけ実績を残しているかを確認します。
テナント募集会社が具体的な実績を明確に示してくれる場合、同種の物件に対して自信がある証拠です。
会社によって取り扱う物件に得手不得手あるので、その会社が類似する物件にどれだけ強いかを判断する基準にもなるでしょう。
提案力がある
コストをかけて宣伝に力を入れたとしても、ニーズがある入居者の目に留まらなければ、契約には至りません。
テナント募集では、ターゲットを絞り、どのようにアプローチしていくのかが重要となってきます。
どういった方法でテナントを獲得しようとしているのか、その戦略や宣伝方法、ターゲットの絞り方など、具体的な提案ができているか確認しましょう。
発信力がある
テナント募集のサイトに掲載する手もありますが、依頼する会社が自社で物件情報のサイトを運営していれば発信力の高さにつながります。
物件情報サイトを運営しているかどうかも判断基準に加えて良いでしょう。
アパートを事務所可物件に…空室対策が大切!
アパートを事務所可能物件として取り扱うとしても、空室が続いてしまうと家賃収入が大きい分ダメージにつながります。
事務所・店舗可能物件の場合、用途が限定されている分、借り手を探すのも容易でないため空室対策が必要です。
ここでは、空室にならないためのポイントについてご紹介します。
空室対策①:家賃の見直し
家賃相場は、築年数や周辺の環境などによって変動していきます。
同じような賃貸用物件が現れたり、築年数が経過したりする場合、家賃を見直さなければなりません。
まずは、周辺の地域から築年数や広さが近い店舗を探し、その物件の家賃相場をインターネットや不動産会社を通して調べてみましょう。
調査した家賃相場を基準に、貸し出し予定の店舗の家賃を検討します。
空室対策②:原状回復や修繕の見直し
事務所や店舗として契約する際には、解約時の原状回復についての取り決めも行います。
以前まではスケルトン状態での退去を義務としている会社が主流でした。
スケルトン状態での退去は、借主にとって修繕費の負担が大きくなるので、契約する際ネックの1つになります。
最近では、居抜き物件と呼ばれる前の借主が使っていた設備などがそのままの状態で貸し出される物件が人気を集めています。
前の借り主は修繕費が抑えられ、次の契約者にとっては、内装やクーラーなどの設備が初めから用意されているので初期費用を抑えられるのです。
居抜き物件はテナントオーナーからの人気も高いので、契約時の原状回復について見直すことも検討しましょう。
空室対策③:入居者の不満を聞く機会を設ける
アパートとして貸し出している時とは違い、事務所や店舗として貸し出す場合、借主と会う機会は限られます。
契約の際も仲介業者が入るので接点がない場合もあるでしょう。
トラブルが続いた際に対応が不十分だと、入居者の不満につながりかねません。
関係が途切れていると感じる場合は適度に連絡を取り、入居者の不満を聞く機会を設けましょう。
貸主の顔や人柄が入居者に伝わっていると、良い関係を長く続けられる可能性も高くなります。
空室対策④:建物管理を徹底する
入居者が決まったからといって、安心して物件をそのまま放置するのは避けましょう。
物件の価値を落とさないためには、しっかりとした建物管理が必要です。
物件がきれいに保たれていれば、入居者の安心や満足度につながります。
店舗外の責任は家主側が受け持つので、駐車場や外壁の汚れ掃除、垣根の世話など物件をきれいに保てるよう管理しましょう。
建物管理の対応が難しい場合は、管理会社に委託すると良いでしょう。
空室対策⑤:セキュリティ対策の検討
基本的に多くの事業用の店舗では借主側が防犯カメラを用意し、設置しています。
しかし、防犯カメラが設置されていない店舗も依然として存在します。
大家さん側で防犯カメラを設置することで、借主側からはきちんとした設備対応をしてくれていると良い印象を与えられるでしょう。
空室対策⑥:設備の交換
エアコンやライトなど古くなった付属設備を交換するのもおすすめです。
ライトやキッチンなどは借主と相談してテナントの雰囲気に合うものを選ぶと良いでしょう。
設備の交換には費用が高く負担も大きいですが、退去後のリフォーム代は下がるので、検討する余地があります。
アパートを事務所として利用…SOHO経営もおすすめ!
コロナの影響でテレワークが増え、SOHO経営の需要も高まりました。
ここでは、今人気のSOHOについてご紹介します。
SOHOとは?
「SOHO」とは、Small Office/Home Officeの頭文字を取った言葉です。
自宅や小さなオフィスでPCを使い働くスタイル、またはその仕事場や物件を指します。
SOHOの定義
SOHOには明確な定義はありませんが、日本SOHO協会によると事業形態とオフィス形態の大きく2つに分けて定義しています。
具体的にはITツールを利用して自宅や小さなオフィスで請け負う小規模な事業形態と、住宅兼事務所の物件・オフィス形態としており、契約できる物件そのものを指している場合もあります。
事務所可物件との違い
SOHO物件と事務所可物件との違いは利用方法が、住居用か事業用かという部分です。
事務所可物件とは異なり、SOHO物件では、基本的に居住用として契約を行います。
職場兼住居として利用できますが、住居としての契約なので不特定多数の人の出入りや看板の設置、法人登記などは原則できません。
税金面では事務所可物件では家賃は課税対象ですが、SOHO物件の場合は家賃に消費税はかかりません。
また、仕事で利用している部分に対して按分して経費計上が可能な点はSOHO物件のメリットと言えるでしょう。
SOHO物件のメリット
大家さんにとってのメリットは、入居者の対象範囲が広がるので、空室が埋まりやすい点です。
また、職場兼住居として利用されるので、家賃も一般的な住宅物件と比較して高めに設定しやすいことも挙げられます。
SOHO物件には、事務所可物件に必要な登記や火災保険の変更手続きは不要な点も大家さんの負担が減るのでメリットです。
SOHO物件のデメリット
一般の入居者が周りに住んでいるので、人の出入りが激しく、時間関係なく作業などで騒音が出たりする場合はクレームにつながる可能性があります。
また、居住用として貸し出しているのに事業が大きくなり、完全に事務所としてだけ使われている場合、登記上問題になってしまうので注意しましょう。
SOHOで営業可能な業務とは
他の入居者とトラブルに発展しないためにもSOHOで営業可能な業務について知っておく必要があります。
居住用の利用範囲を逸脱しないかどうかもチェックしましょう。
SOHOで認められている仕事
エンジニアやプログラマー、WEBライター、デザイナーなど来客が限られ、不特定多数の出入りがない業種がSOHOで認められています。
SOHOで認められていない仕事
不特定多数の人が出入りするような販売や飲食業などはSOHOで認められていません。
住居として契約しているので、他の入居者は住居としてそこに住んでいます。
周囲に物や人の出入りが激しい部屋があると静かで落ち着いた生活は送れません。
そのため、SOHO物件では不特定多数の出入りを伴う職種は認められていないのです。
SOHO経営をするなら物件の間取りをチェック
SOHO経営を検討する場合、その物件がSOHOに向いているかどうかも重要です。
続いては、SOHO向けの間取りについてご紹介します。
SOHOに向いている間取りとは
職場兼住居として利用するので、仕事場としてどういうスペースが必要か、プライベートスペースをどう構えるかなどがポイントになってきます。
トイレが独立している
取引先など来客がある可能性も考えられるので、トイレが行きやすい場所にあるか、浴室と別になっているかなど間取りをチェックしましょう。
玄関に近い位置に居室がある
玄関に近い場所に居室があると、来客時すぐに通せるので便利です。
デスクワークとプライベートスペースに距離ができるので、仕事もしやすいでしょう。
キッチンが独立している
独立型のキッチンであればリビングに来客者があっても生活感があまり出ないのでおすすめです。
小部屋が多いと物が置けるから便利
小部屋があると、仕事で使う物を置いておけるので使い勝手が良いです。
仕事柄道具が多いイラストレーターや建築職種、参考資料など仕事関係で物を多く取り扱う方にも使いやすい間取りになります。
仕事とプライベートの動線がしっかりと分かれている
仕事に集中できるよう動線がプライベートスペースと分かれているのも重要です。
来客があった際も、プライベートスペースを通らないで仕事場、トイレ間を行き来できる間取りが理想的でしょう。
SOHOに向いていない間取りとは
プライベートスペースを通らないとオフィスやトイレを利用できないような間取りはSOHOに向いていません。
普段生活する場所とオフィスの動線が分けにくい物件はSOHOに適さないと言えるでしょう。
今回は、経営するアパートを事務所として利用したい場合、その注意点や利用方法、話題のSOHOについて詳しく解説しました。
働き方が多様化している今、オフィス利用として小さな物件を契約する方が増え、需要が高まっています。
一般的な家賃収入とは異なり、事務所として貸し出す場合はメリットも多く家賃収入も期待できるので事務所として利用したい大家さんも多いでしょう。
もし空室が続いてしまった場合には大きなダメージにつながるので、テナント募集会社選びや空室対策など注意が必要です。
安定した賃貸経営の計画を立てるためにも、空室の有効利用、事務所可物件を検討する際にはぜひこの記事を参考してください。