フリーレント期間中の会計処理は注意が必要!

フリーレント

引っ越しにかかる初期費用を抑えられるフリーレント物件は、入居者はもちろん大家にとっても空室対策になるとして近年採用する方が増えています。
しかし、そこで気になるのはフリーレント期間中の会計処理です。
この記事では、家賃収入がない期間の会計処理はどのように行えば良いのか、注意すべきポイントも含めて解説していきます。

フリーレントとは?

フリーレント

フリーレントは、その言葉通り「フリー(無料)」「レント(賃貸料)」という意味で、賃貸料が無料の賃貸物件を言います。
もちろん、賃貸料が無料なのは一定期間に限られますが、近年では何かとかかる初期費用を抑えられるとしてフリーレント物件の人気が高まっています。
多いのは、最初の1~2ヵ月分程度ですが、物件によっては3カ月以上家賃が無料になったり、減額になったりすることもあります。
大家にとって、一度賃料を下げると後から値上げするのは難しいですが、一定期間と決めることで多少の損はあっても、借主を確保しやすいというメリットがあります。

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フリーレントの会計処理方法

フリーレント

フリーレント物件は、入居者が決まっても期間中は家賃収入が入らないため、会計処理も通常の物件と比べて少し異なります。
ここでは、2種類あるフリーレント物件の会計処理について解説します。

フリーレント期間中は計上しない

一般的なのが、フリーレント期間中は収入が生じていないことから、空室期間であるとして仕分けを計上しない方法です。
実際に現金の動きもないため、帳簿との差額も発生せず、わかりやすいです。
計上するのはフリーレント期間が終了し家賃収入が発生した月からとなります。

但し、仕分けをしないといっても賃貸に関する少額の仕分けは発生することがほとんどです。
フリーレント物件といっても、あくまで無料なのは家賃だけで、ほとんどの場合共益費や水道光熱費は発生する契約となっています。
会計基準は、費用は発生主義、収益は実現主義で認識するのが原則となっており、当期の取引は当期計上(発生主義)し、当期の取引の中で実現した収益のみを計上する(実現主義)となります。
費用と収益では認識基準が異なりますが、共益費などは発生主義によって計上することが会計処理するうえで好ましいです。

賃料の総額を賃貸期間で分割して計上する

現金の動きはなくても実際には入居者がいるわけですから、賃料の総額を賃貸期間で分割して形状する方法も選択することが可能です。
しかし、この方法にはある条件を満たしている必要があります。
フリーレント物件は家賃が無料の期間だけ利用するなど、すぐに解約されると大家にとって利益につながりません。
そのため、最初から契約期間をさだめ、その期間中は解約できないようにすることで不利益になる可能性を取り除きます。
最初から契約期間が決まっていれば、期間中の賃料総額も確定するため、仕分けをするという方法を選択できるようになるのです。
そのため、この方法は予め2年や3年など契約期間が決まっている場合に選択することが多いです。

税務上はどのような取り扱いになる?

フリーレント

フリーレントには仕分けを計上しない方法とする方法の2種類の会計処理があることをご紹介しました。
この方法のどちらを選択するかによって、消費税や法人税など税務上の取り扱いも異なります。

・仕分けなしのケースの取り扱い
仕分けをしない会計処理を選択した場合、フリーレント期間中の家賃の処理と同じく法人税を損金として計上する必要はありません。

また、消費税についても同様です。
消費税はあくまで支払った金額に対し課税されるため、仕分けなしとした場合には対象になりません。

・仕分けありのケースの取り扱い
仕分けを行う会計処理を選択した場合、税法上も仕分けを行う取り扱いと同様、契約期間中の支払い総額から計算して処理します。

そのため、契約期間中の賃料を分割して計上している場合には法人税も同じように損金として計上します。
総支払額を分割するため、実際の支払いはないものの、仕分けをしない方法に比べてフリーレント期間を含む契約期間の損金は増加します。
損金が増えた分法人税が免除されますが、後に反映する分は減ります。
また、家賃収入を分割して計上した場合、仕分けした分の損金を消費税上も算入することが可能です。
消費税は計算する際、課税仕入れをした日に発生します。
なぜなら、消費税の発生は所得税法や法人税法の費用計上時期と一致することが原則となっているからです。
仕分けをしないケースの会計処理に比べてフリーレント期間中も損金を計上できるため、その分仮払い消費税は増えますが、その後の仮払い消費税は減少します。

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会計処理の際に注意すべきポイント

フリーレント

フリーレントの期間中は仕分けを計上しないという方法は、シンプルかつわかりやすいため、一般的に利用されることが多いです。
しかし、中には契約期間中の解約はできないという特約を記載した賃貸契約もあり、この場合にはフリーレント期間中の仕分けを計上しないという方法はあまり使いません。
また、中途解約に関する特約には契約期間や違約金などの罰則を明記してあることがほとんどです。
但し、違約金に関してはいくらでも良い訳ではなく、あくまで本来かかるはずだった家賃分程度が適正とされています。
適正金額よりも高額に設定すると、トラブルの原因にもなりかねないため注意が必要です。

まとめ

フリーレント物件は、引っ越しにかかる初期費用を大幅に抑えられることから、近年人気が急上昇しています。
大家にとっても、1~2ヵ月分の家賃を無料にすることで、入居者を確保しやすくなり、空き部屋対策にも効果があることからフリーレントを採用する方も増えています。
ただし、フリーレントに選択した場合、期間中は家賃収入が入らないことから会計処理も通常とは少し異なります。
仕分けをする方法としない方法、どちらを選ぶにしても損金を計上できる総額には変わりありません。
ただし、仕分けをしないというシンプルでわかりやすい方法に比べて、仕分けをする方法は手間がかかる分法人税が免除されることもあるため、どちらの処理がより自身にあっているかを検討したうえで選択することが重要です。