マンションで快適に暮らしている中、突然異臭に悩まされてしまうケースは少なくありません。
異臭トラブルは、他の住戸が原因であることもありますが、自宅から異臭が漂ってくるケースもあります。
異臭にはたくさんの種類がありますが、種類によって解決の難易度は異なります。
今回は、マンションで異臭がする原因や最も多い原因、対策などについてご紹介します。
マンションの異臭で悩んでいる方はもちろん、部屋が下水臭い場合の対処法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マンションで異臭がする原因
まずは、マンションで異臭がする原因について見ていきましょう。
水回りや排水設備の異常
下水臭い・排水特有のイヤなニオイがするという場合は、トイレや浴室、キッチンなどの水回り、共用部分(共用廊下など)に設置されている排水管の異常が原因かもしれません。
部屋の中の水回りはもちろん、毎日通る共用廊下から異臭がすると、とても不快に感じるでしょう。
家の中は問題がなくても、共用部分からする下水臭が部屋まで侵入してくるケースもあります。
ゴミやゴミ置き場の処理をしていない
ゴミを適切に処理していない、共用ゴミ置き場の清掃を怠っているなども異臭の原因になりやすいです。
特に生ゴミは放置するにつれてニオイが強くなっていく他、コバエやゴキブリなどが湧くことで、キッチンだけでなく、部屋全体が不衛生な状態になってしまい、危険です。
ゴミが腐敗することで雑菌も繁殖しやすくなり、体調に悪影響を及ぼすおそれもあるでしょう。
最悪の場合、生ゴミから発生した細菌やウイルスで「集団感染」が起き、大問題になってしまうかもしれません。
異臭だけでなく、様々なトラブルに発展する可能性があることから、1人ひとりが気を付ける必要があります。
ゴミ置き場からの異臭に関しては、定期的に清掃が行われていないことが原因かもしれません。
特に梅雨の時期や夏などは湿気が多くなるため、ニオイも強くなります。
マンションの中には24時間ゴミ出しができるゴミ置き場を設置していることもあるため、こまめな掃除が難しく、異臭を放ちやすくなってしまうのです。
ペットを飼っている
異臭トラブルとしてよく扱われるのがペット特有の異臭です。
家の前を通る度にペット特有のニオイがして不快に思う方は多いのではないでしょうか。
ペットを長期間飼っているとその特有のニオイに慣れてしまい、ケアを怠ってしまう飼い主は少なくありません。
そのため、異臭が改善されなかったり、時にはよりひどくなったりするケースもあります。
感染症が流行る時期など、「換気をしたくても異臭が気になってできない」などの問題にも発展するため、とても厄介です。
ペット特有のニオイが苦手という方は、ペット禁止のマンションを選ぶ必要があるでしょう。
タバコを吸っている
タバコによる異臭もトラブルになりやすいです。
異臭に止まらず、健康被害を受ける可能性もあることから、マンションでのタバコトラブルは後を絶ちません。
窓を閉め切っていても、換気扇の下で喫煙すれば、そのニオイが部屋の外へ排出されます。
そのタイミングで窓を開け、換気していれば、異臭を感じることもあるでしょう。
気軽に換気できないということがストレスになることも考えられます。
とはいえ、禁煙物件でない場合は、マンションの管理人も強く注意できないケースが少なくありません。
タバコによる異臭を避けたいという場合は、禁煙物件を探すのが望ましいです。
料理をしている
異臭の原因が料理であるケースもあります。
にんにくなどは特にニオイが強いため、驚く方も多いでしょう。
料理で発生するニオイは、当事者が気付きにくかったり、そもそも気にしていなかったりします。
ニオイなどに敏感で神経質な方にとってはどうしても気になってしまうことがあるかもしれません。
ただ、料理による異臭に関しては、料理が終われば感じなくなることがほとんどであるため、長期的に悩まされることは少ないと言えます。
タバコやペットとは異なり、料理による異臭は注意することは難しいです。
とはいえ、「毎日深夜に料理が始まる」「1日中ニオイが途切れない」といった場合は、相談してみても良いかもしれません。
その他
住民がルールやマナーを守って生活していても異臭を感じるケースがあります。
中でも多いのが、近隣にある飲食店からのニオイです。
焼肉屋や魚料理店などは特にニオイが強く、気になる方にとっては苦痛となるでしょう。
特に焼肉屋の場合は、洗濯物に臭いがこびりついてしまうといった、異臭以外のトラブルにもなります。
他には、嫌がらせが原因の異臭が挙げられます。
以前何かしらのトラブルで関わったことがあるなど、ささいなことがきっかけで嫌がらせの対象にされてしまうケースです。
異臭トラブルがなかなか解決しない、いつまでも原因がはっきりしないという場合は、他の住民による嫌がらせの可能性があることも視野に入れる必要があるでしょう。
特に多いのは下水臭!原因は何?
マンションで異臭がする原因についてご紹介しましたが、異臭の中でも特にトラブルが多いのは「下水臭」です。
下水臭は、水回りや排水管から放たれるニオイですが、原因として挙げられるのはどのようなものなのでしょうか。
ここからは、下水臭の原因をご紹介します。
排水トラップが機能していない
排水トラップは排水管の途中にある、下水臭や虫の侵入を防ぐために欠かせない存在です。
この排水トラップには通常「封水」と呼ばれる水が溜まっており、排水管から上がってくる下水臭をストップさせています。
この封水がなくなると、ニオイが上がってきやすくなるため、下水臭が充満してしまうのです。
封水がなくなる原因として挙げられるのは、長い間水を流していない、気圧が変化した、排水管が詰まったなどです。
長期間水を流していない場合は、封水自体が汚れてしまい、異臭の原因となっているケースもあります。
封水切れや封水の汚れは何度か水を流し、循環させることで解決することがほとんどです。
何度も水を循環させても下水臭が消えないという場合は、原因が他にあると考えられます。
排水口が汚れている
排水口のゴミ受けが綺麗でも、外した時にぬめり汚れや腐ったゴミが付着している場合は、異臭の原因となることがあります。
特にヘドロ状態になっていると、臭いだけでなく、とても不衛生です。
排水口は比較的お手入れがしやすい箇所であることから、掃除を後回しにしてしまう方も多いのではないでしょうか。
下水臭が気になる場合は、まず排水口が汚れていないかしっかりチェックしてみましょう。
排水管が詰まっている
排水口が綺麗なのに下水臭が取れないという場合は、排水管に異常があるのかもしれません。
問題なく水が流せていても、何かしらのゴミが排水管にへばりつき、そこにどんどんゴミが溜まっていってしまうケースは少なくありません。
とはいえ、排水管のお手入れは素人には難しく、知識がないまま掃除をしてしまうと、排水管を傷めてしまう可能性があります。
排水管の詰まりを疑う場合は、管理組合に相談するのが望ましいです。
排水管が壊れている
排水管のひび割れや漏水が原因で下水臭がすることもあります。
排水管は経年劣化だけでなく、地震によって損傷してしまうこともあるため、地震後に下水臭を感じるようになったという場合は排水管が壊れてしまっている可能性があります。
漏水の場合は特にニオイを強く感じやすい上、壁や柱に染み込んでしまい、ニオイが取れなくなってしまうケースも少なくありません。
下水臭は原因が特定できないことも
下水臭がする原因は多くありますが、これらの原因のうちどれが当てはまるのかを特定するのはとても難しいと言われています。
原因はもちろん、場所の特定も難易度が高いため、なかなか改善しないことも少なくありません。
長期的に下水臭に悩まされないよう、普段からこまめに掃除をする、正しく使うといったことを心がけることが大切です。
異臭・悪臭を放置するとどうなるのか
では、異臭や悪臭を放置するとどうなってしまうのでしょうか。
放置したときに起こるのは、以下の2つです。
健康に被害を及ぼす
異臭や悪臭の放置は、人体の健康に被害を及ぼすおそれがあります。
もちろん、どのニオイが不快に感じるのかは人それぞれです。
しかし、それほど不快に感じていなくても、アンモニア臭による食欲減退やタバコ臭による頭痛など、知らず知らずのうちに健康被害を受けてしまっているケースもあります。
異臭の原因によっては細菌やウイルスに感染してしまうおそれもあり、大変危険です。
直接体への被害がなくても、不快なニオイによって精神的に弱ってしまうことも少なくありません。
メンタル面への被害を受けることで、仕事が上手くいかなかったり、人間関係に亀裂が入ってしまったりすることにもつながります。
結果的に大きなダメージを受けることになるため、異臭・悪臭の放置には注意しなければなりません。
物件の価値が下がってしまう
将来的にマンションを売却しようと考えている場合、異臭・悪臭の放置は厳禁です。
マンションの一室を売却する場合、その部屋にどれくらいの価値があるかを見定めるため、現地調査が行われます。
現地調査で異臭・悪臭があると判断されれば、大幅な値引きを交渉される他、買い控えされてしまう可能性があります。
物件をスムーズに売却できなくなることに加え、想定していた価格で売却できなくなってしまうのです。
物件の価値を維持するためにも、異臭や悪臭に気付いた場合は、速やかに対処することが大切だと言えます。
下水の臭いが気になる時にチェックすべきポイント
ここからは、下水臭が気になった時にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
浴室、トイレ、洗面所、洗濯機、キッチンそれぞれのチェックポイントを挙げていくので、ぜひ参考にしてみてください。
浴室で下水臭がした時
浴室の下水臭が気になる場合のチェックポイントです。
・排水トラップは機能しているか
・水はけは悪くないか
実は、古いマンションの場合、浴室に排水トラップがないことがあります。
排水トラップがないということは、ニオイに蓋をしてくれる機能がないため、下水臭を感じやすくなってしまうのです。
また、髪の毛や石けんカスを水と一緒に流す頻度が高いことから、排水管にヘドロが付着しやすいことも浴室の特徴です。
排水トラップに加え、排水管につまりがないかどうかを水はけを見て判断してみてください。
トイレで下水臭がした時
トイレの下水臭が気になる場合のチェックポイントです。
・排水トラップは機能しているか
・便器にガタつき・破損はないか
トイレの下水臭は、排水トラップが異常を起こしている時に発生しやすいです。
排水トラップが正常に機能していない場合は、トイレタンク内のオーバーフロー管が正しい位置に設置されていない可能性が高いです。
また、便器と床の間に隙間ができていないかもチェックします。
隙間がある場合は、そこから下水のニオイが漂っている可能性があります。
洗面所で下水臭がした時
洗面所の下水臭が気になる場合のチェックポイントです。
・排水パイプにズレはないか
・排水管に破損はないか
・水の流れは悪くないか
洗面台の下に収納がある場合、物を詰め込み過ぎることで排水パイプの破損やズレが生じてしまうケースが多いです。
排水パイプがズレてしまうだけでも下水臭の原因となるため、しっかりチェックしてみましょう。
水を流した時に水はけが悪ければ、排水管内に異常がある可能性があります。
洗濯機で下水臭がした時
洗濯機の下水臭が気になる場合のチェックポイントです。
・排水トラップは機能しているか
・しっかりと排水できるか
防水パンに設置されている排水トラップは、キッチンや浴室の排水トラップと比べると浅いです。
そのため、封水切れを起こしやすくなっていることから、下水臭を感じる頻度が高めです。
洗濯機を使用しない期間が1週間程度であっても封水切れが起きてしまうため、まずは封水切れをチェックしてみましょう。
キッチンで下水臭がした時
キッチンの下水臭が気になる場合のチェックポイントです。
・排水トラップは機能しているか
・排水口のゴミ受けは綺麗か
・わん型トラップはついているか
・水の流れは悪くないか
物件によってはわん型トラップが設置されていないことがあります。
わん型トラップは排水パイプをカバーする部品で、下水臭を防いでくれる効果がある重要なものです。
わん型トラップが設置されていない場合は、わん型トラップを導入しましょう。
自分でも対処できる?下水臭を改善する方法
マンションで気になる下水臭がある場合、どのように改善していけば良いのでしょうか?
続いては、自分で下水臭を改善したい時に使える方法をご紹介します。
封水切れを起こさないようにする
下水臭がする要因として封水切れを起こしている可能性について上記でもご紹介しました。
下水臭を改善させるためにも封水が切れないように、定期的に水を流すことが大切です。
もしも長期間家を留守にする予定で水を流せない場合、封水の蒸発を防ぐために排水口をラップで覆ってみましょう。
ラップで覆うだけなので簡単に対策ができます。
ただし、ラップだけで覆っていると場合によってはズレてしまい、いつの間にか隙間が生じてしまうこともあるでしょう。
ズレないようにするなら跡が残らないマスキングテープなどを活用して、排水口にラップがしっかりと密着するようにしてみてください。
また、封水切れを防ぐための蒸発防止剤も販売されています。
ただし、1回で使用する量が少ないため、個人で購入するといつまで経っても使いきれず、最終的に余らせてしまう可能性もあります。
個人であれば蒸発防止剤ではなく、ラップを使って蒸発を防ぐ方法を取り入れた方が良いでしょう。
排水口の汚れを落とす
下水臭を防ぐためには、排水口を常に綺麗な状態にしておくことも大切です。
排水口の掃除で準備するもの
排水口の掃除で準備しておきたいものは以下のとおりです。
・ゴム手袋
・ゴミ袋
・スポンジや使い古した歯ブラシ
・中性洗剤
・重曹
・クエン酸を溶かした水(お酢やレモン汁でも代用可能)
排水口掃除のやり方
まずは排水口の蓋を取り、ゴミ受けも取って中のゴミを捨てます。
蓋とゴミ受けはそれぞれ中性洗剤を使って綺麗に洗います。
ゴミ受けの目が詰まっている場合は、使い古した歯ブラシを使って綺麗にしていきましょう。
綺麗に洗ったゴミ受けを元に戻したら、重曹をゴミ受けの底が見えなくなる程度まで振りかけます。
重曹を振りかけたらクエン酸を溶かした水をかけましょう。
すると泡立ってくるのでしばらく待ち、汚れが気になる箇所はブラシを使って磨いてください。
泡立ったら30分ほど放置したら、40~50℃前後のお湯でゆっくり洗い流して排水口掃除の完了です。
排水管を掃除する
排水口は綺麗にしているのに下水臭が気になる場合、排水管が汚れている可能性があります。
排水管の汚れを放置しているとニオイだけでなく詰まりの原因にもなってしまうので、早めの対策が必要です。
ただし、排水管を掃除するには専用の道具を準備しなくてはなりません。
また、ヌメヌメとした感触の排水管を掃除しなくてはならないため、なるべく触らずに掃除をしたいと考える人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが、パイプクリーナーです。
パイプクリーナーはホームセンターやドラッグストアで市販されており、排水管に流すだけで薬剤の力を使い綺麗にしてくれます。
パイプクリーナーの使い方は商品によって取り扱いが若干異なるため、必ず説明書を読んでから使いましょう。
ちなみに、パイプクリーナーを流す前に排水管へ40~50℃前後のお湯を流しておくと、排水管にこびりついた油汚れ・皮脂汚れを浮かせることができます。
パイプクリーナーはキッチンだけでなく、浴室や洗面所の排水管にも活用できるため、定期的に排水管を掃除しておきましょう。
排水管に異常が発生していないか確認してもらう
排水管にひび割れや漏水などの異常が見られる場合、下水臭がしてくるケースもあります。
この場合、いくら排水口・排水管を綺麗にしても下水臭が漂ってしまう可能性が高いです。
もし掃除をしてもニオイが気になるのであれば、排水管の異常を疑ってみてください。
ただし、床下に設置されている排水管で異常が見られる場合、自分で確認・対処することができません。
排水管に異常が発生していないかは、プロの水道工事業者に相談してみましょう。
排水トラップを設置する
排水トラップがないと、ゴミ受けの下は排水管が露出しているため、下水臭が気になりやすいです。
排水トラップを設置する際は、まず排水口のサイズを計測します。
サイズは主に2種類が存在していますが、排水口にピッタリなサイズを見つけないと水漏れを引き起こす要因となってしまうので注意が必要です。
なお、設置自体は自分でもできますが、プロにお願いした方が水漏れなどのトラブルも回避できるでしょう。
万が一排水トラップがなければ、まずは大家さんまたは不動産会社へ連絡し、取り付けてもらえないか相談してみてください。
下水臭だけじゃない!マンションで発生しやすい異臭の種類
マンションで発生する可能性のある異臭は、下水臭だけに留まりません。
他にも様々な異臭が発生してしまうかもしれません。
具体的にどのような異臭が起こり得るのか、確認しておきましょう。
ペット臭
ペットを飼育できるマンションの場合、自宅では飼っていなくても隣室からペット臭が気になってくることもあります。
ペット臭の主な原因は、ペットの体臭と排泄物臭です。
体臭は犬の方がきついですが、排泄物臭は猫の方がきつくなる傾向にあります。
ペット可の物件であれば元々飼育できるマンションということもあり、ペット禁止にすることは困難です。
タバコ臭
隣に住む人がベランダでタバコを吸っている場合、風向きによっては自室にタバコのニオイが入ってくる可能性もあります。
分譲マンションだと管理規約にベランダなどの共用部分で喫煙することを禁止する旨が記載されている場合もあるでしょう。
しかし、賃貸マンションだとそのような旨が記載されていないかもしれません。
生ゴミ臭
隣の部屋から生ゴミ臭がしてくる場合もあります。
このケースでは隣に住む人がゴミの収集日まで溜め込んでいたり、掃除ができずゴミ屋敷化していたりする可能性も否定できません。
また、隣ではなくゴミ置き場が自室に近い場所にあると、ニオイが気になってしまう場合もあるでしょう。
マンション共用部からのニオイ
マンションは管理会社によって定期的に共用部の掃除がされています。
しかし、中には管理会社に依頼せず、大家さん自身が共用部の掃除を担当しているケースもあります。
大家さんであってもきちんと綺麗に掃除できていれば問題ないのですが、掃除の対応が疎かになっていると徐々に共用部が汚くなっていき、ニオイが気になってしまうかもしれません。
近隣環境からのニオイ
例えばマンションの近くに農地や畜産農場があった場合、堆肥舎や畜舎からのニオイが気になる可能性もあります。
また、周辺に飲食店が揃っていると、換気扇や生ゴミ、アルコールなど様々なニオイがマンションまで届いてしまうこともあります。
異臭を自分で注意するのはNG!
異臭が気になる場合、まずは原因となっている人に対して注意したくなるかもしれません。
しかし、いくら注意したとしても改善されず、むしろ状況が悪化してしまう恐れもあるため注意が必要です。
ここからは、異臭を自分で注意した場合のデメリットとおすすめの相談先についてご紹介します。
異臭を自分で注意した場合のデメリット
・発生源がどこか特定しにくい
まずはマンションのどこからニオイが発生しているかを突き止め、その証拠をつかまなくてはいけません。
しかし、集合住宅である以上、本当にニオイの原因は隣室にあるのか、それとも別の部屋からなのか明確に判断できない場合もあります。
また、発生源を特定できても法的責任を問うためには臭気測定を実施する必要があり、そのことを自身から直接相手に伝えても応じてもらえない可能性が高いです。
・聞く耳をもってくれない
いざ注意したとしても、自身の生活や環境に問題があると認識してもらえないケースもあります。
特にニオイは人によって感じ方がそれぞれであり、常にそのニオイの中で生活してきた人は慣れている可能性もあるでしょう。
そのため、いくら注意しても「自分は気にならない」と一蹴されてしまうのです。
・報復を受けてしまう恐れもある
異臭について注意したところ、その人から報復を受けてしまう恐れもあります。
ニオイだけでなく騒音やゴミを玄関前に置かれるなど、厄介な隣人トラブルに巻き込まれてしまう可能性が高いです。
異臭が気になった際におすすめしたい相談先
マンションの異臭が気になった時は、自分で解決しようとせず相談することが大切です。
おすすめの相談先は以下のとおりです。
・管理会社や大家さん
まずは管理会社や大家さんに相談するのがおすすめです。
管理会社に相談するとニオイについて注意してもらえるだけでなく、クレームを入れた人の個人情報を明かさずに対応してもらえるため、報復を受けるリスクも回避できます。
大家さんは異臭が発生している場合に、トラブルに対応する義務があります。
管理会社や大家さんによって対処法は異なるものの、初期段階では張り紙による注意喚起や原因の調査などを行ってもらえる場合があります。
・各自治体の生活課
管理会社に相談しても、希望どおりの対応をしてもらえない可能性もあります。
その場合、自宅がある地域を管轄する生活課に相談すると、対応してもらえる可能性が高いです。
生活課は各自治体によって直接対応してもらえる自治体ごとに異なります。
・弁護士
管理会社や大家さん、各自治体の生活課に相談してもトラブルが解決せず、長引いてしまうこともあるでしょう。
そんな時は弁護士に相談するのがおすすめです。
分譲マンションの場合、区分所有法から共同の利益に反する行為をしてはいけないと決められています。
この規定に則り、異臭が発生した場合は行為の停止や予防対策、専有部分の引き渡しなどが行えるようになります。
賃貸でも用法遵守義務や信頼関係の破綻から、賃貸契約の解除を求めることも可能です。
また、弁護士に依頼することで冷静な話し合いによる解決を目指せるでしょう。
ただし、弁護士に依頼するとその分コストがかかってしまうので注意してください。
異臭が原因で健康被害を被った場合の対処法
異臭がかなりひどいと、体調不良などの直接的な健康被害を被ってしまう可能性もあります。
万が一異臭が原因で健康被害を被った場合、受忍限度を超えているかどうか調べてみましょう。
受忍限度とは、異臭の他に騒音や振動などで生活妨害を受けている人が、同じ社会の中で生活している以上、ある程度までは我慢すべきとされる範囲です。
基本的に同じ社会で生きている以上、「お互い様」と考えるため、ちょっとしたニオイや騒音などが起きたとしても損害賠償請求や差し止めの対象にはなりません。
しかし、異臭で健康被害を被っている場合は受忍限度を超えている可能性が高いです。
受忍限度を超えているかどうかを判定するためには、臭気に対して客観的な調査が必要となります。
健康被害を被っているばあいは、医師から診察を受けて診断書も取っておきましょう。
臭気測定について
まずは客観的に調査するためにも臭気判定士による臭気測定を依頼しましょう。
なお、臭気は悪臭防止法第4条1項の規制基準から判断されます。
臭気測定の方法は、臭気判定士による個別の測定方法・分析方法や、ガスクロマトグラフを使った機器による測定方法などがあります。
受忍限度を超えていた場合は慰謝料請求できる可能性も
マンションの異臭が受忍限度を超えていた場合、慰謝料請求できる可能性もあります。
慰謝料請求は民法710条によって定められており、「他人の体や自由、名誉、財産権を侵害した場合、損害賠償の責任を負う者は財産以外の損害に対してもその賠償をしなくてはならない」と書かれています。
慰謝料請求の訴訟では異臭と健康被害の因果関係を立証する必要があり、医師からの診断書や臭気測定の結果が重視されるでしょう。
今回は、マンションの異臭トラブルについて詳しく解説してきました。
異臭トラブルの原因は下水臭が特に多く、定期的に掃除をして綺麗にする必要があります。
また、下水臭以外の異臭トラブルに発展する可能性もあるため、注意しなくてはなりません。
異臭によってトラブルが発生し、自身も健康被害を被っている場合は受忍限度を超えているかどうかで慰謝料請求ができるケースもあります。
受忍限度の判断は具体的な数値や医師からの診断結果も重要となるため、慰謝料請求を検討している場合は客観的な調査を実施するようにしてください。