これまで住んでいたアパートから引っ越すことになった場合、どこまで掃除すべきか悩む方も多いでしょう。
実際に「賃貸物件を退去する際は、ここまで掃除をしなければならない」という明確な決まりはなく、入居者の判断に委ねられています。
中には、どうせ最後にハウスクリーニング業者が入るのだからと、あまり掃除をしない方もいるでしょう。
ところが、引っ越し前の掃除の仕方によっては、敷金の返金額やクリーニングの請求費用に大きな違いが出ることもあります。
今回は、賃貸物件から引っ越す際にしっかり掃除をした方が良い理由や、掃除のポイントなどを詳しく解説していきます。
目次
退去時に掃除をしなければいけない理由
退去時の掃除は、必ずしもしなければならないというものではありません。
しかし、次の入居者が少しでも気持ちよく住めるよう綺麗にしておくことは、マナーとして大切なことです。
さらに、退去時に掃除をしっかり行うべき理由は、もう1つあります。
原状回復の義務があるから
賃貸物件に入居するにあたって、多くの場合は事前に敷金を支払います。
退去時に敷金の中から入居中にできてしまった傷や汚れの修繕にかかった金額を差し引いて、残った金額が返金されるのです。
しかし、中には敷金がほとんど戻ってこなかったり、追加で請求されたりする人もいます。
これは、入居者に「原状回復」の義務が課されているためです。
原状回復とは?
原状回復とは、アパートなどの賃貸契約を終了して退去することになった際に、それまで借りていた部屋を入居直後と同様の状態に戻して貸主に返す義務のことを言います。
しかし、生活しているうちに自然と傷んでくるものです。
少しずつ汚れてしまうことも避けられず、入居期間が長いほど入居直後と全く同じ状態に戻すことは困難となります。
そのため、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルのガイドライン」を次のように定めています。
意図的もしくは不注意によって壊したり、傷をつけたり、掃除を怠ったことで汚れが沈着したりした場合、その修繕にかかる費用は入居者が負担しなければなりません。
例えば、家具を移動する際にぶつけたり、引きずってしまったりしてできた壁や床の傷、掃除をさぼったことでこびりついたカビや水垢などが該当します。
また、喫煙によって染みついた黄ばみやニオイも、原状回復の対象です。
経年劣化との違い
時間の経過とともに品質が低下することを、経年劣化と言います。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、この経年劣化については、入居者が修繕費用を負担する必要はないと定めています。
しかし、部屋の汚れや傷が原状回復義務の範囲に含まれるのか、それとも経年劣化に含まれるのか判断に迷うこともあるでしょう。
以下に主なチェックポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
・浴室やキッチン、トイレなどの水回り
水回りは、時間の経過とともに、様々な不具合が起きてきます。
浴室のタイルがひび割れたり、剥がれ落ちたり、水道の蛇口のパッキンが劣化して、水漏れが起きやすくなったりします。
キッチンについては、ガスコンロの点火スイッチが故障し、火が点かなくなることもあります。
これらの経年劣化による故障は、入居者が修繕費を負担することはありません。
一方で、入居者が掃除を怠ったことで汚れが落ちなくなったという場合は、その限りではありません。
油汚れや水垢は放置しておくと次第に落ちにくくなっていくため、普段から掃除をこまめに行っておくことが大切です。
・床
木製のフローリングも、経年劣化が生じやすい場所です。
日当たりの良い部分は、日焼けし色褪せしたり、反りや縮みが出て隙間が開いてしまったりすることもあります。
さらに、日焼けによる色褪せは、フローリングだけでなく畳にも生じます。
これらは、いずれも経年劣化に分類されますが、雨が降っている時に窓を閉め忘れていたことなどが原因で変色や傷みが生じた場合は、入居者が修繕費を負担することになります。
・壁紙
壁紙も経年劣化が生じやすい場所であり、特に日当たりの良い場所にある壁紙は日焼けによって色が褪せていきます。
他にも、テレビや冷蔵庫の裏側の壁には、電気焼けと言われる変色が起きることもあります。
また、トイレの壁紙も、主に男性が立って用を足す際に飛び散った尿によって黄ばみやすいです。
目に見えないくらいの飛び散りであっても、放置していれば徐々に黄ばんでいき、さらに雑菌が繁殖して嫌なニオイが染みついてしまうこともあるでしょう。
このような色褪せや変色、汚れは通常生活していく上で避けられないものなので、経年劣化とみなされます。
一方で、タバコのヤニによって黄ばみが生じた場合や、釘を打って目立つ穴を開けたりした場合は、入居者が修繕費用を負担することになります。
入居者負担になる例
先述でも述べたとおり、故意ではなかったとしても、部屋に傷をつけてしまったり、落ちない汚れを付けてしまったりした場合は、入居者が修繕費用を負担しなければなりません。
入居者の負担となる例は、以下の通りです。
・不注意で物を落としてできた傷
・掃除を怠ったためにできた水垢やカビ
・飲食物をこぼして放置したことによるシミ
・ペットがひっかいてつけた傷
・タバコのヤニによる黄ばみ
・椅子を引いてできたフローリングの傷
・子どもが描いて落ちない落書き
上記の他に、引っ越し業者が壁や床に傷をつけてしまった場合も、その修繕費用は入居者が負担することが求められます。
しかし、実際には引っ越し業者が付けた傷は保険での賠償が可能なため、入居者が実質的な負担を負うことはなく、大家さんと引っ越し業者との交渉となります。
大家さん負担になる例
経年劣化による損耗は賃料に含まれると判断されるため、その修繕費用は大家さんが負担することになります。
大家さんの負担となる例は、以下のとおりです。
・壁やフローリング、畳、カーペットの日焼けによる色褪せ
・冷蔵庫やテレビ裏の壁の電気焼けによる変色
・ボード交換を必要としない程度の壁の画びょう跡、ビスの穴
・壁紙、フローリングの通常損耗
この他にクッションフロアやカーペットに家具・家電を置くと、重みで凹むこともありますが、これは通常の損耗の範囲内とされるので入居者に原状回復費を請求されることはありません。
同じく、エアコンを取り付けるために開けた壁のビス穴なども大家さんの負担です。
退去時に賃貸物件の掃除をしないとどうなる?
ここまで、原状回復の重要性について解説してきました。
では、退去時に借りていた部屋の掃除をしないとどうなるのでしょうか?
ハウスクリーニング代を請求される
借りていた部屋を退去することになった場合、退去前にその物件の管理会社と部屋の状態を確認する「退去立ち合い」を行います。
管理会社は退去立ち合いの際に、ハウスクリーニングにかかる金額を調べます。
そのため、掃除を全くしていないと高額なハウスクリーニング代を請求される可能性があるのです。
さらに、入居時に敷金を支払っている場合、管理会社に部屋を綺麗に使っていなかったと判断されれば、返金される敷金の額も減ってしまいます。
退去後は、専門のクリーニング業者が入るため、ピカピカに掃除する必要はありませんが、最低限の汚れやホコリは取り除いておいた方が良いでしょう。
特約付きでも追加で請求される可能性がある
ハウスクリーニング特約といって、前もって退去時に支払うハウスクリーニング代を設定しておく特約が付いている物件も存在します。
この物件では、退去時に特約で設定されている金額で、部屋のクリーニングを行うことになります。
しかし、いくらハウスクリーニング特約があるとはいえ、あまりにも汚れがひどければ、通常使用の範囲を超えているとみなされて、追加費用を請求されてしまいます。
例えば、特殊な洗剤を使わなければ落ちないようなキッチンにこびりついた油汚れを落とすため、専門業者に依頼するとなると7,000~15,000円程度を追加で支払うことになるでしょう。
敷金なしの賃貸物件は特に注意!
アパートなどを借りる際、初期費用を抑えようと敷金なしの物件を選ぶ方もいます。
敷金なしの物件でも故意や過失による傷や汚れを付けなければ問題ありませんが、「絶対に傷も汚れも付けないから大丈夫」と言い切れるものではありません。
ケースによっては驚くほど高額な費用を請求される可能性もあるので、あらかじめ予防策をとっておくことをおすすめします。
敷金なしの物件では、入居時または退去時に清掃費として一定の金額を支払うよう求めていることも多いです。
まずは、入居前に必ず契約内容を確認し、その具体的な金額をしっかり把握しておくことが大切です。
また、入居時の部屋の状態を、写真や動画で撮影しておくのもトラブル対策になります。
入居時から付いていた傷や汚れについて、退去時に指摘を受けたとしても、撮影記録が残っていれば、自分が付けたものではないと証明できるので、修繕費の負担を免れます。
敷金なしの物件を選ぶのであれば特に、入居マナーを守って部屋を綺麗に使う、汚れたら放置せずすぐに掃除するといったことを徹底しましょう。
きちんと掃除したのに…高額請求された場合の対策
きちんと掃除したにもかかわらず、敷金が戻ってこなかったり、高額なクリーニング費用を請求されたりする場合もあります。
ここでは、その場合の対策方法をいくつかご紹介します。
賃貸借契約書の中身を確認する
賃貸契約書の中身をしっかり確認していなかったために、トラブルとなるケースは意外と多いです。
今一度、退去時の原状回復に関して書かれた部分を見直した上で、契約と異なる部分があった時には管理会社に確認をとりましょう。
管理会社・大家さんに連絡する
退去するにあたって、退去費用の見積もりを出してもらいましょう。
その内容を確認し、納得がいかないところがあれば管理会社や大家さんと金額交渉をします。
国土交通省が定める「原状回復のガイドライン」と照らし合わせながら交渉するのも有効です。
掃除費用の明細書をもらう
ハウスクリーニング費用を請求された時は、口頭だけでなくきちんと明細書でもらうことが重要です。
明細書を元に自分の責任ではないと判断できる部分について、管理会社や大家さんと交渉することで減額してもらえる可能性があります。
消費生活センターに相談してみる
管理会社や大家さんとの交渉が上手くいかなかった場合は、消費生活センターに相談する方法もあります。
国民生活センターへの相談は無料ですが、相談の際は賃貸契約書などを用意しておくとスムーズに話を進められるでしょう。
納得できないなら民事調停に
消費生活センターに相談しても納得できない場合は、民事調停に申し込むことも検討しましょう。
民事調停の申込は、簡易裁判所にある用紙に内容を記載し、500円~1,000円の手数料を支払うことで行えます。
裁判官や専門の職員に間に入ってもらうことで、問題解決につながりやすいです。
賃貸物件の掃除を行うポイントを場所別で解説!
日頃からきちんと掃除をしていたつもりでも、引っ越し前によく見てみると、今まで目に付かなかった汚れに気付くこともあります。
そこで、賃貸物件の退去前に掃除を行う上で、チェックしておくべきポイントを場所ごとに解説してきます。
キッチン
キッチン掃除のチェックポイントは、ガスコンロ周辺の油汚れ、シンクの水垢、排水口のヌメリです。
・ガスコンロ周辺
ガスコンロ周辺のしつこい油汚れには、重曹が効果的です。
油汚れの上に重曹を撒いてキッチンペーパーで覆い、さらにその上から霧吹きなどで水を吹きかけます。
そのまま10分程放置してから、キッチンペーパーで油汚れをこすり取ります。
・シンク
シンクの水垢はアルカリ性のため、酸性のクエン酸をスプレーすると、汚れが中和して落ちやすくなります。
マイクロファイバーのクロスや、メラミンスポンジで擦るとより軽い力で落とせます。
・排水口
排水口のヌメリや、カビ取りにも重曹とクエン酸が有効です。
まずは、排水口に重曹パウダー、クエン酸パウダーの順に振りかけます。
次に、そこに40℃くらいのお湯をかけると化学反応が起こり、発泡するので30分程放置します。
最後に、浮いた汚れを水または、ぬるま湯で洗い流せば完了です。
浴室
浴室の掃除は普段のお手入れが重要になってきます。
カビや水垢は頑固で落としにくいので、汚れがひどい場合、退去時にトラブルになるケースが多いので注意しましょう。
退去時に不要な費用を発生させないためには、汚れが定着しないようこまめな掃除を心がけ、綺麗な状態を保つことが大切です。
退去時の浴室掃除では、以下のポイントをチェックして掃除しましょう。
・排水溝や床の汚れ
ピンク汚れや床のぬめりなどは、比較的簡単に専用洗剤とブラシで落とせます。
しかし、床が黒ずみ変色している場合は、力強くこすってもなかなか汚れを落とすことは難しいです。
お風呂用洗剤で汚れが落ちない場合は、重曹とクエン酸を使って汚れを落としましょう。
まず、汚れがひどい排水溝や床の気になる部分を適度に濡らしてから、重曹とクエン酸を直接振りかけます。
ブラシを用いてこすり、1時間ほど放置し洗い流します。
汚れがひどい場合には、キッチンペーパーを泡の上から被せて汚れに浸透させるのもおすすめです。
・天井の汚れ
普段意識して見ることがないので、天井の汚れは見落としがちです。
浴室は湿気がこもりやすく、天井には水滴がつきカビが繁殖しやすいので注意しましょう。
掃除の際は、柄つきのモップやフロアワイパーにドライシートを装着したものを使うと掃除しやすいです。
洗剤を含ませたシートで汚れを取り、水を含ませたウェットシートで再度拭き取り掃除をします。
・ドアや溝のゴムパッキンのカビ
ゴムパッキンに発生したカビは、お風呂用洗剤では落ちない厄介な汚れです。
もしカビが発生してしまったら、塩素系のカビ取りスプレーを利用しましょう。
スプレーを吹きかけただけではカビは落ちないので、キッチンペーパーをカビ部分に置き、蒸発しないようにラップで密着させます。
1時間半ほど放置し、ブラシでカビ部分をこすり汚れを落とします。
ゴムパッキンのカビは頑固で落としにくいので、定期的に掃除をして対策をしてほしい箇所です。
・ミラーや水回り、蛇口の汚れ
お風呂場のミラーは、水垢が付きやすく、くもりやすいです。
お風呂場用洗剤で落ちない場合、クエン酸やお酢を使用して水垢を取りましょう。
スプレーボトルを用意し、クエン酸小さじ2/1杯、またはお酢100mlにお水100mlを入れて混ぜ、鏡に吹きかけます。
キッチンペーパーを貼り付け、その上からラップをかけます。
汚れが軽ければ1時間弱、ひどい場合は半日程度放置し、その後キッチンペーパーをはがして磨き、最後水で洗い流し、乾いたタオルで水分が残らないように拭き取りましょう。
蛇口裏や水回りの汚れも、黒カビや水垢が原因なのでクエン酸スプレーで汚れを落とせます。
汚れが溜まりやすく、掃除が行き届きにくい場所なので、歯ブラシなどを使って汚れを落としましょう。
まず、汚れた箇所にクエン酸スプレーを吹きかけ、1時間ほど放置し、汚れを分解させます。
その後、歯ブラシを使ってこすり洗いをし、水で洗い流してください。
頑固な汚れが多いお風呂場では、カビ取りに塩素系漂白剤を利用するケースが多いです。
その場合、浴槽でのクエン酸を使用するのは控えましょう。
塩素系漂白剤とクエン酸を混ぜると有毒ガスが発生するためです。
汚れがひどい場合は、カビ取りの日と水垢除去の日と別々に掃除を行うと良いでしょう。
換気扇
お風呂場やキッチンの換気扇は普段そこまで気にしない箇所ですが、毎日使用しているので、メンテンスナンス含め定期的なお掃除が必要になってきます。
スポンジ、ゴム手袋、中性洗剤、歯ブラシ、重曹水スプレー(水200mlに重曹小さじ2を混ぜたもの)、乾いた雑巾を用意してください。
換気扇掃除の手順は以下のとおりです。
①換気扇の電源を切り、カバーとファンを外す
カバーがネジで固定されている場合、工具を使って取り外します。
ネジがない場合は、カバーを持ち上げ、手前に引いて取り外しましょう。
次に、換気扇のファンを外しますが、種類によって取り外せないものもあります。
ファン本体を引っ張って外しますが、外せないタイプの場合はファン中心部がネジで固定されているのでネジを回し外しましょう。
②汚れを落とす
・お風呂場の換気扇
中性洗剤を使って汚れを落とします。
スポンジが届かない細かい部分は歯ブラシを使うと良いでしょう。
汚れがひどい場合は、カバーやファンに中性洗剤や重曹水スプレーを吹きかけ、時間を置いてからスポンジでこすり洗いします。
・キッチンの換気扇
油汚れは、中性洗剤ではなかなか落としにくいので、アルカリ性の洗剤を利用します。
重曹スプレーを吹きかけ、汚れを浮かせてからスポンジで落としていきましょう。
汚れがひどく、落としにくい場合は、バケツに重曹を溶かしたお湯を張り、ファンを浸け置きします。
30~40分経ったらスポンジやブラシを使って汚れを落としていきましょう。
なお、ファンの種類によってはアルカリ性洗剤で材質が変化する恐れがあるため、使用を禁止している場合もあります。
その場合は、お湯に中性洗剤を入れて浸け置きで対応してください。
③水洗いして、乾燥させる
洗剤が残らないように水洗いし、乾いたタオルで拭き取り乾燥させます。
その後、換気扇本体にファンを取り付け、カバーを元に戻しましょう。
洗面台
洗面台は、石けん、髪の毛、歯磨き粉など汚れや水分が付着しやすいため、カビや水垢が発生しやすい場所です。
スポンジ、重曹、重曹スプレー(水200mlに重曹小さじ2を混ぜたもの)、クエン酸スプレー(お水100mlにクエン酸小さじ2/1杯またはお酢100mlを混ぜたもの)、雑巾を用意しましょう。
基本的に浴室と同様の掃除方法です。
汚れた箇所に重曹スプレーを吹きかけ、スポンジでこすり洗いしましょう。
排水口には、直接重曹を振りかけて、歯ブラシを使って掃除しにくい内側の部分までこすり洗いします。
水垢がひどい場合には、クエン酸スプレーも利用しましょう。
よく水で洗い流した後、最後に乾いた雑巾で拭き取り乾燥させます。
トイレ
毎日利用するトイレは、定期的な掃除をしていないと尿石がつき、水垢やカビが発生して便器の黒ずみへと変化します。
頑固な汚れを落とすためには酸性のトイレ用洗剤、ゴム手袋、割り箸を用意しましょう。
まず、割り箸を使って黒ずみの表面汚れにキズを入れていきます。
次に、汚れ部分に酸性のトイレ洗剤をかけ、トイレブラシで洗い流しましょう。
汚れが落としにくい場合は、洗剤をかけた部分にティッシュを被せ、浸け置きしてから洗うと効果的です。
便器の黄ばみにも塩素系漂白剤は効くので、洗剤を含ませたティッシュを厚めに敷き、1~2時間放置して漂白すると良いでしょう。
壁・天井
目立った汚れがないように感じても、壁や天井は手垢や黒ずみ、タバコのヤニなどで汚れています。
壁が汚れていると部屋が全体的にくすんで暗く見えるので、退去の際は、壁や天井の掃除も行いましょう。
中性洗剤、重曹、重曹スプレー(水200mlに重曹小さじ2を混ぜたもの)、雑巾2枚、フローリング用ワイパー、フロア用シート、マスク、新聞紙を用意してください。
・壁紙の掃除
水に濡らして固く絞った雑巾を使い、中性洗剤を雑巾に垂らし上から下に向かって壁の汚れを拭いていきます。
次に、雑巾を水洗いし、洗剤が付いていない状態で水拭きをしましょう。
最後にもう一枚の乾いた雑巾で乾拭きをします。
ゴシゴシと力を入れすぎてしまうと、壁紙を傷つけてしまう恐れがあるので注意しましょう。
落としにくい油汚れ、落書き、家具裏の黒ずみ、タバコのヤニなどは、重曹スプレーで対応します。
・天井の掃除
手が届きにくく、掃除しにくい天井にはフローリング用ワイパーを利用します。
上からホコリや汚れが落ちてくるので、床に新聞紙を敷き、ホコリを吸わないようマスクを着けてから掃除を始めましょう。
フローリング用ワイパーにドライシートを装着し、天井を拭きます。
汚れが取れにくい場合はウェットシートで拭き、その後ドライシートで乾拭きしましょう。
壁紙と同様にタバコのヤニなど落とせない場合は、重曹スプレーを使うか、重曹をペースト状にしてワイパーにセットして天井を拭きます。
その後、ウェットシートや濡れた雑巾で水拭きし、ドライシートで乾拭きしてください。
床
床掃除では、溝などに溜まった細かい汚れやホコリを見落としがちです。
綿棒にフローリング用の洗剤をつけ、溝に沿って汚れを取り、乾いた雑巾で拭き上げます。
退去前に掃除していても、引っ越しの際に家具や家電の移動でホコリが出るので、最後に軽く掃除機をかけると良いでしょう。
窓・ベランダ
忘れがちですが、窓やベランダの掃除も退去時には必要です。
室内とは違い、砂埃や泥汚れで雑巾はすぐに汚れてしまい、すすいでも汚れが取れにくいので雑巾は多めに用意しておくと良いでしょう。
その他には新聞紙やバケツ、中性洗剤、ブラシ、ほうき、ちりとりを用意します。
窓ガラスは、濡れた雑巾に中性洗剤を含ませ、砂、泥汚れを拭き取ります。
雑巾を換えて水拭きし、ある程度汚れがない状態になったら、水で濡らした新聞紙を使い、窓全面を拭いていきましょう。
汚れが落ちたら、乾いた新聞紙で拭いて磨き上げます。
ベランダは、ゴミや私物は処分し、枯れ葉や砂埃があれば、ちりとりとほうきで集めて捨てましょう。
その後、中性洗剤をぬるま湯で薄め、ブラシを使って汚れを落とします。
最後に水で洗剤が残らないよう洗い流しましょう。
賃貸物件の掃除で出たゴミ、処分はどうする?
引っ越しの際、不用品をそのままにして出ていくのは違法となり、残置処分費を請求される可能性があります。
ここでは、退去時の不用品処分の方法についてご紹介しましょう。
自治体や業者に相談する
自治体や業者に連絡して不用品を回収してもらう方法があります。
粗大ごみなど自治体の回収基準のサイズ内であれば、比較的安く処分できるでしょう。
しかし、家電リサイクル法対象の電化製品やサイズが大きいもの、パソコン、ピアノなど回収が不可能な場合もあります。
その場合は、民間の不用品回収業者へ依頼すると良いでしょう。
買い取りを同時に行う業者も存在するので、処分品によっては利益が出る場合もあります。
まだ使えるものはどうする?
使用していないものやまだ新しいものなど、引っ越し先では必要がなく処分に困るものも出てくるでしょう。
そういった場合、時間に余裕があれば不用品を譲ってお金に換える方法もあります。
リサイクルショップ
まだ使用できる家具や家電などをリサイクルショップへ持ち込んで買い取ってもらいます。
出張買い取りサービスを利用すれば、引っ越しで慌ただしい時期でも隙間時間で対応できるのでおすすめです。
フリマアプリ
フリマアプリを利用すればスマホ1つで不用品を販売できます。
状態も良く、需要があれば、リサイクルショップよりも高く売れる可能性が高いでしょう。
しかし、商品ページを作成したり、購入者とやり取りしたり何かと手間がかかるので、引っ越し間際での利用はおすすめできません。
知人
親戚や知人などであれば、安心してスムーズな取引ができます。
車で運搬できるのか、配送業者を利用するのかなど引っ越し間際で慌てないよう話し合っておくと良いでしょう。
引っ越し業者
引っ越し業者の中には、不用品の処分、買い取りを行う業者もあります。
引っ越しと同時に、不用品の処分もできるので、手間も時間もかからず魅力的ですが、すべての不要品を引き取ってくれるわけではありません。
不用品によっては有料オプションを追加したり、処分料金が追加されたりするなど、高額になるケースもあります。
基本的に不用品処分サービスは、リサイクル家電限定の場合が多いので、見積もりの際にどういったサービスがあるのか相談すると良いでしょう。
不用品回収業者
引っ越しまでに時間がない、不用品の処分方法がわからない、と焦る場合には不用品回収業者の利用をおすすめします。
計画的に不用品を処分していても、退去時まで不用品を処分しきれない場合も多いです。
不用品回収業者は、不用品回収に慣れているので、退去時の時間がない中でもスムーズなやり取りが可能です。
単品利用だと割高になるので、ある程度不用品がある場合に、パック料金を利用すると良いでしょう。
今回は賃貸物件から引っ越しをする際の掃除の必要性や掃除方法のポイントについて紹介しました。
賃貸物件では退去前に掃除をし、私物や不用品はすべて処分する必要があります。
退去時にきちんと掃除していれば、ハウスクリーニング費用が抑えられ、敷金が多く返金されるケースもあるでしょう。
また、お世話になった大家さんに対しても良い印象で引っ越せます。
退去時に掃除不足が原因で高額な費用を請求されないように、この記事を参考に普段から定期的なお掃除や手入れを心がけましょう。