不動産に関するトラブルには様々なものがあり、そのうちの一つに「賃貸契約書をなくしてしまった」というものがあります。
本来は退去するまで保管しておかなければいけませんが、同じ場所に住み続けていれば書類1枚紛失してしまうことも少なくありません。
では、賃貸契約書を紛失してしまった場合、再発行はできるのでしょうか?
また、書類を紛失してしまったことによる不具合の有無についてもみていきましょう。
目次
賃貸契約書とは?
入居したいと思う物件が見つかれば次はいよいよ契約となります。
事前に重要事項説明を受け、大家さんまたは管理会社間で契約書を取り交わせば成立です。
賃貸契約書とは、アパートやマンションなどの賃貸物件を借りるための契約書のことを言い、契約を結ぶ上での規則や条件などが記載されています。
この書類は、平成5年1月29日に国土交通省によって作成されました。
主に、建物の名称・物件所在地や間取りなどの対象物件を特定する項目、契約期間や家賃などの取引条件が記載されている項目があります。
実際に書かれている内容は不動産会社や大家さん、物件によって異なります。
書類には文字がぎっしりと書かれ、印鑑が押されているため、重要な書類であると分かるはずです。
借主であることを証明するためにも活用できる書類です。
また、事前に渡される重要事項説明書とは全くの別物であることを理解しておきましょう。
重要事項説明書は、宅地建物取引士が借主や貸主に対して、特に重要な事項について説明し、渡す書類のことを言います。
宅地建物取引業法で義務付けられており、物件を生活拠点として使用する上での条件を、実際には必ず口頭で説明しなければいけないことになっています。
再発行はできない!?
書類をなくしてしまった場合、多くの人が考えるのは再発行が可能であるかどうかということです。
結論から言うと、賃貸契約書の再発行は基本的にはできません。
なぜなら、契約時と紛失時で契約内容と相違があった場合、何かしらのトラブルにつながる可能性があるからです。
初めに作成した書類と少しでも違った場合は、作成した日付が早い方が優先されます。
しかし、作成日が同じであればどちらを優先すれば良いか判断できなくなるのです。
もし最後まで決着を付けられなかった場合、裁判で争うことになるかもしれません。
裁判を行うとなれば、当日を迎えるまでに様々な準備をしなければいけないため、時間もお金も全て無駄になってしまいます。
賃貸契約書は内容を明確に記してある証明書類でもあります。
最悪の事態を招かないためにも、賃貸契約書は大切に保管してください。
また、不動産会社が再発行に応じてくれる可能性も低いため、紛失した場合、書類の再発行は諦めましょう。
しかし、契約書のコピーであれば簡単に入手できます。
賃貸契約書は不動産会社にとっても重要書類となるため、少なくとも契約時から5年は保管していると考えられます。
コピーが欲しいのであれば、紛失したことを伝えてみてください。
この際、不動産会社によって手数料を請求される場合もあるため、あらかじめ確認しておくのがおすすめです。
賃貸契約書を紛失することで何か不具合はある?
契約書はお互いの手元にあることでトラブルを未然に防げるため、出来る限りなくさないようにしなければいけません。
賃貸物件などの契約内容をめぐるトラブルは最悪の場合、裁判沙汰になる可能性があるため、注意する必要があります。
契約書は日常的に使うものではないため、いざ必要な時に探そうとするとどこに行ったか分からないというケースも多いです。
万が一、賃貸契約書を紛失してしまった場合、何か不具合は発生するのでしょうか?
以下では、紛失したら受ける影響についてご紹介します。
困ることはほぼない
賃貸契約書を紛失して困ることは意外にも少ないです。
基本的な契約内容さえ覚えていれば、普通に生活している限り必要になる場面はありません。
借主、貸主どちらも契約の内容を把握していれば、そもそもそのような書類を作成する必要もないのです。
しかし、それでは実際にトラブルが起きてしまった際対処できないため、書面化しています。
また、退去する際に必要になることもないため、紛失しても特に困りません。
書類よりも内容が重要
上記では契約書を紛失しても特に不具合はないとご紹介しましたが、それは書類として提出する機会がほとんどないからという意味です。
基本的に契約書は書類そのものではなく、内容が最も重要になります。
退去する際などに原状回復に関する詳しい条件が把握できていない場合、実際に書類が必要な場面で困るのは自分自身です。
たとえ契約内容を覚えていたとしても、正確だとは言い切れません。
損することがないように、しっかり大切に保管しておきましょう。
紛失=契約解除ではない
賃貸物件を借りている場合、「家から追い出されるのではないか」と不安に思っている人もいるはずです。
そもそも賃貸契約書というものは証明書類であって、賃貸借契約そのものではありません。
従って、書類をなくしてしまったからと言って、契約が解除・無効になることはないため慌てる必要はないのです。
ただ、契約をしたという証拠がなくなるだけであり、契約自体は書類に調印した時点で成立しています。
紛失を理由に退去を命じられることはないので安心してください。
まとめ
今回は、物件を借りる際に必要な賃貸契約書を紛失してしまった場合、再発行ができるかどうかということについてご紹介しました。
基本的に書類の再発行は不可能ですが、不動産会社に事情を話した上でコピーを頼めば、手元にある原本を出してくれるはずです。
しかし、新たな事業を始めるなどどうしても原本が必要な時もあります。
困ることはほとんどありませんが、いざという時のために賃貸契約書は退去するその日まで大切に保管しておきましょう。
あらかじめしっかり保管しておけば、対応に手間や時間を奪われることもありません。
すでに紛失してしまった人は仕方ありませんが、今手元にある人は失くさないようにしてください。