土地には住宅地や駐車場などに使いやすい平坦な場所ばかりではありません。
山や森林、農地など様々な形態の土地があります。
山や森林などに建物を建てるには、整えるための工事が必要となり、その工事を造成工事と呼びます。
今回は、造成工事の詳しい内容や手順について解説していきましょう。
目次
造成工事とは

造成工事は、土地を整えることで宅地や駐車場として使えるようにするため、行われる工事です。
山地や森林、農地などを宅地として活用できるようにするために区画し、傾斜がある場合は平たんに整えていきます。
そのような工事を行うことで、ようやく建物を建てられるようになる訳です。
宅地として活用するには、それぞれの土地に合わせた工事が必要になります。
そのままでは当然ながら住宅を建てることはできないので、造成工事は建設の上で必要不可欠なのです。

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造成工事には種類がある

造成工事にはいくつかの種類があります。
続いては、造成工事にどのような種類があるのかみていきましょう。
整地
人の手が入っていない土地の多くは、傾斜や凸凹があります。
傾斜や凸凹がある土地を平らにするために行われるのが整地という作業ですが、宅地造成するためにも用いられる方法となっています。
土地の資産価値を高める効果も期待できるので、住宅を建てる際には必要となる工事だと覚えておきましょう。
伐採・防草
木や草が生えている土地を利用するためには、それらを除去しなければいけません。
そのために行われるのが伐採や防草といった作業になります。
木や草は、抜いただけではまた生えてくるケースが多いです。
頻繁に生えてくるようでは意味がないため、根こそぎ抜いたり、防草シートなどを使ったりして、生えてこないような対策を行います。
地盤改良
地盤が軟弱だと地盤沈下や建物が傾く原因になりかねません。
そのようなトラブルを回避するために必要となるのが、地盤改良です。
具体的には、表層改良工法や柱状改良工法、鋼管杭工法といった方法があります。
・表層改良工法
表層改良工法は、最もコストを抑えられる地盤改良方法であり、工期が短いのがメリットです。
基礎の下にある軟弱な地盤をセメント系の固化材で固めるという方法になります。
・柱状改良工法
柱状改良工法は、最も一般的で実績がある地盤改良方法です。
住宅のような規模が小さい建物はもちろんですが、中層マンションや工場などの中規模建造物にも適用できます。
一般的な方法なので、採用されるケースも多いです。
・鋼管杭工法
鋼管杭工法は、鋼製の杭を垂直に打ち込み、地盤上で構造物を支える地盤改良方法です。
軟弱な地盤が深い場合にはこの方法を採用するケースが多く見られます。
盛土・土止・切土
土地を活用しやすい高さに調整する際に行われるのが、盛土や土止、切土といった作業です。
その名の通り、不要な部分を削るのが切土、新しく土を盛るのが盛土です。
高低差を調整すると周りの土砂が流れ込みやすくなってしまうため、それを防ぐために土止工事を行う場合もあります。
残土処分
造成工事を行うと、余分な土が出てしまうことがあります。
そのような土地は残土と呼ばれており、処分するためにはコストがかかります。
一見するとただの土に見えても、異物が混ざっている可能性もないとは言い切れません。
そのような場合は、産業廃棄物に該当するため、残土として処分することができなくなります。
余分なものを取り除くためにはコストがかかることも念頭に置いておきましょう。
造成工事の手順

造成工事がどのような流れで行われるのでしょうか?
続いては、造成工事の手順について解説していきます。
・地鎮祭を行う
地鎮祭は、建物を建てたり、造成工事を行ったりする際に行われる儀式です。
土地の神様に対して、土地を使うことの許しをもらうため、古くから行われています。
安全に工事が進むことを祈願するという意味も込められています。
・道具を搬入する
地鎮祭が終わったら、工事に使う道具を搬入します。
大型の機材が搬入される場合もあるので、搬入可能かあらかじめ確認しておく必要があります。
・樹木の伐採や残土処分などを行う
造成工事を円滑に進めるために樹木の伐採などを行い、余った土に関しては残土処分を行います。
造成工事において最も重要な部分です。
・土の運び出しや入れ替え、使い作業を行う
採掘した土や残土処理をする土は運び出していきます。
土が不足している部分には新たに土を追加していきます。
・転圧作業で土を固める
土を整備するために必要となるのが転圧作業です。
ローラーのような道具を使い地盤を固めていくことで、地盤を強化していくのです。
こうした一連の作業を終えたら、造成工事は完了となります。

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造成工事の注意点

造成工事を行うためには、注意点を把握しておく必要があります。
最後に、どのような注意点があるのかみていきましょう。
・事前に説明を行う
いきなり工事を始めると、近隣トラブルに発展する恐れがあります。
工事が決定したら、事前に説明することが怠らないようにしましょう。
近隣トラブルを回避できるほか、工事中に気を遣い過ぎる必要もなくなります。
・マニフェスト制度を理解しておく
マニフェスト制度は、産業廃棄物の処理を法律に従って行っているかチェックするためのものです。
適切な方法を採用しているケースが大半を占めますが、劣悪な業者だと怠っているケースもあります。
不法投棄などをされると土地の所有者による違反だとみなされる可能性もあるので、マニフェスト制度はきちんと理解しておきましょう。
・自由に工事できない
造成工事は自由にできないことも注意点として挙げられます。
都市計画法と宅地造成等規制法という法律で制限されているからです。
非常に複雑な法律なので、個人で判断せず、専門的な知識を持つ業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
土地の造成工事は、住宅などを建てる際に必要不可欠な工事です。
工事がスタートすると土地の持ち主はすることはありませんが、どのような工程で進むのかは知っておいて損はないでしょう。
また、近隣住民から理解を得る必要があるなど注意点もあるため、あらかじめ把握しておくと安心です。
近隣トラブルなどに見舞われることなく、円滑に土地活用をするためには、最初が肝心なのです。
そのためにも、造成工事に関する理解は深めておくことが大切です。