中古マンション購入時には物件購入費以外に、管理費や修繕積立金、駐車場代など様々なコストがかかります。
固定資産税も同様で、いわゆるランニングコストと呼ばれるものです。
ランニングコストについては変動する費用もありますが、固定資産税はシミュレーションしておけば、どの程度の金額が必要なのかが事前に分かります。
しかし、税金の計算は面倒なことや複雑なことから「どうやって計算したらいいのか分からない」という方も多いでしょう。
そこで今回は、固定資産税についてと中古マンションにおける計算方法をご紹介します。
目次
評価額によって変わる固定資産税
毎年かかる固定資産税の金額は、各市町村が決定する評価額によって決まります。住んでいる場所によって評価額が違うので、同じような面積や形状でも都道府県が違えば評価額が異なることもあるでしょう。
固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額の前に、まず固定資産税について理解しておきましょう。
そもそも固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物などの不動産を所有している人に課せられる税金です。
不動産の調査によって評価額を算出し、その評価額に基づいて一定の税率がかけられます。
固定資産税納税通知書は毎年6月頃に発送され、納期は6月末や9月末などと定められています。
固定資産税は、一括での支払いもしくは分割での支払いが可能です。
固定資産税評価額とは、固定資産課税台帳に登録された不動産の価格です。
土地や建物の固定資産税を計算する時に使用します。
固定資産税評価額は、国土交通省が年に一回、当該地域の不動産売買取引において適正とされる価格を定めた、地価公示価格の7割を目安に算出されます。
土地の場合は、相続や贈与時の税金計算に利用する路線価に基づいて行われれますが、建物に適用されるのは再建築価格です。
再建築価格とは、評価の対象となった家屋と同一のものを同じ場所で新築するとした場合に必要とされる建築費です。
一般的に建物の場合、老朽化や経年劣化によって、新築時よりも価値が落ちていくため、固定資産税評価額は年々下がっていきます。
中古マンションの固定資産税が安く済むと言われるのは、価値が目減りしていくからに他なりません。
土地の価格は時代によって上下することもありますが、建物の固定資産税評価額については、特別な物件でもない限りは下がる一方と考えていいでしょう。
中古マンションにおける固定資産税
固定資産税は、所有するマンションの評価額に標準税率(1.4%)を掛けて計算されます。
「課税標準額×1.4%」で固定資産税が求められます。
課税標準額は税金の種類に応じて変動しますが、今回は中古マンションの税金を計算するため、課税標準額には固定資産税評価額を当てはめます。
固定資産税は地方税の一つであるため、各自治体によって税率が変動しそうですが、実際にはどの自治体でも1.4%と考えて問題ありません。
では、一般的な中古マンションの固定資産税は、いくらなのでしょうか?
仮に所有する中古マンションが、以下のような条件だったとします。
・専有面積:100㎡
・建物の固定資産税評価額(新築時)…1,000万円
・土地の固定資産税評価額…2,500万円
※土地の評価額は一定とする
【築6年】
築年数に応じて、固定資産税を計算します。
法務局が定める「経年減価補正率表」によると、経過年数6年における非木造建物減価補正率は、0.8335です。
土地の税額は、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地の場合は、課税標準額6分の1です。
これにより計算すると、
土地税額:2,500万円×1.4%×1/6=約58,300円
建物税額:1,000万円×0.8335×1.4%=116,690円
固定資産税額=約174,990円
【築10年】
法務局が定める「経年減価補正率表」によると、経過年数10年における非木造建物減価補正率は、0.7397です。
土地税額:2,500万円×1.4%×1/6=約58,300円
建物税額:1,000万円×0.7397×1.4%=103,558円
固定資産税額=約161,858円
上記の算出結果を見ても、中古マンションの場合は年々固定資産税額が減少していきます。
購入前にシミュレーションしておくと、賃貸経営後にランニングコストが高額となり、終始のバランスが安定しないといった事態に陥らずに済むでしょう。
いくらになるか計算してみよう
希望の物件が見つかって購入を検討しているのであれば、固定資産税を計算してみることをおすすめします。
予算を決定後、正確なランニングコストを計算しておくと経営のリスク回避につながります。
計算方法は、「課税標準額(固定資産税評価額)×1.4%」に数字を当てはめるだけです。
あとは専有面積と建物の固定資産税評価額(新築時)、土地の固定資産税評価額が分かれば、算出できます。
築年数の長い中古マンションを購入に備えて、築15年と20年についても計算してみます。
【築15年】
法務局が定める「経年減価補正率表」によると、経過年数15年における非木造建物減価補正率は、0.6225です。
土地税額:2,500万円×1.4%×1/6=約58,300円
建物税額:1,000万円×0.6225×1.4%=87,150円
固定資産税額=約145,450円
【築20年】
法務局が定める「経年減価補正率表」によると、経過年数20年における非木造建物減価補正率は、0.5054です。
土地税額:2,500万円×1.4%×1/6=約58,300円
建物税額:1,000万円×0.5054×1.4%=70,756円
固定資産税額=約129,056円
今年の固定資産税は自分と売主、どっちが支払うもの?
固定資産税を支払うのは、その年の1月1日時点で中古マンションの所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方です。
例えば、自分が今年度の4月に中古マンションを購入していれば、1月1日時点の所有者は売主であるため売主に固定資産税の納税義務が発生します。
しかし、4月に物件を手放した売主としては、残りの日数分も固定資産税を支払うのは納得いかないことでしょう。
そのため中古マンションでは、売主と買主との協議により、負担割合を決めるのが一般的です。
買主はマンションの引き渡し日を基準に日割り計算し、必要分の金額を売主に渡します。
まとめ
固定資産税の計算は、不動産の価格が示された固定資産税評価額を基準になされます。
通常、中古マンションに関しては、築年数が進むにつれて経年劣化の影響で固定資産税は下がっていきます。
固定資産税の税率は1.4%と住んでいる地域に関係なく、一律と考えて問題ありません。
中古マンションの購入を考えている方は、事前に固定資産税の金額を想定しておくと、後々コスト面で悩む心配がなくなるでしょう。