賃貸物件の選び方!建物構造別の特徴やメリット・デメリットをチェック

賃貸物件の選び方

賃貸物件を選ぶ際に基準の一つとなるのが、建物構造です。
しかし、建物構造にはどんな種類があって、どんなメリットやデメリットがあるのかよく分からないという方もいるでしょう。
そこで今回は、「建物の構造とは?」また賃貸物件に用いられる建物構造の種類とそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
建物構造は、耐震性や防音性など様々なことに影響するため、慎重に選ぶ必要があります。物件選びで後悔しないためにも、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

建物の構造とは?

賃貸物件の選び方

建物の構造は、建物の骨組みの種類によって決まります。
賃貸物件の骨組みに採用されることが多い素材は、木材、鉄骨、鉄筋、コンクリートなどです。
つまり、骨組みに木材を使用している場合は「木造」、鉄骨を使用している場合は「鉄骨造」、鉄筋とコンクリートを使用している場合は「鉄筋コンクリート造」となります。
賃貸物件で採用されている主な建物構造は上記3種類ですが、他にも鉄筋鉄骨コンクリート造やアルミ造、コンクリートブロック造など細かく分類すると10種類以上にも上ります。

アパートとマンションでは構造に違いがある

賃貸物件の選び方

賃貸物件を探していると、似たような見た目でも不動産会社によって「アパート」と表示されていたり「マンション」と表示されていたりして、戸惑ったことがある方も多いのではないでしょうか?
実は、アパートとマンションには法律による明確な違いはなく、どちらを名乗るかは不動産会社や大家さんの判断に委ねられています。

とは言え、一般的には建物の構造で区別することがほとんどなので、ここで解説する内容を基準に考えればそこまで悩まずに済むはずです。
自分にピッタリの賃貸物件を見つけるためにも、アパートとマンションの構造の違いについてしっかり理解しておきましょう。

木造または軽量鉄骨造の場合はアパート

建物構造が「木造」または「軽量鉄骨造」の物件は、アパートとして扱われることが一般的です。
木造や軽量鉄骨造は材料も造りも簡素な分、建築費が安く抑えられるというメリットがありますが、耐久性の観点からすると3階以上の建物には不向きな構造です。
そのため、「2~3階建てまでの賃貸物件がアパートで、3階建て以上はマンション」というように階数で区別することもあります。

鉄骨造または鉄筋コンクリート造の場合はマンション

建物構造が「鉄骨造」または「鉄筋コンクリート造」の物件は、マンションに分類されます。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、木造や軽量鉄骨造よりも材料費や建築コストがかかりますが、耐久性はぐんっとアップするので、3階以上の建物でも問題なく建てられます。
マンションの中には、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせて造る「鉄骨鉄筋コンクリート造」という構造もあります。

アパートとマンションで構造以外に違うところ

アパートとマンションは、構造で区別するこが一般的ですが、最初に説明した通り、法律で明確に区分されているわけではありません。
従って、不動産サイトで「マンション」と検索したのに木造の物件が含まれていたり、逆に「アパート」と検索したのに鉄筋コンクリートの物件が含まれていたりすることがあります。
そのため、自分の希望通りの物件を効率よく探したいのであれば、構造にその他の条件を付けくわえて検索すると良いでしょう。
構造以外でアパートとマンションを区別できる要素を下記に示したので、参考にしてみてください。

・共用設備の充実度
一般的に、アパートよりもマンションの方が共用設備が充実している傾向にあります。
アパートの場合、比較的規模が小さかったり建築コストが抑えられていたりすることから、階段や外廊下、駐車場といった最低限の共用設備に留められていることが多いです。
一方、住戸数や階数が多いマンションでは、エレベーターが設置されているケースがほとんどで、廊下や駐車場の他にも、エントランスやロビー、ゴミステーション、宅配ボックスなど、物件によって様々な共用設備が存在します。
アパートに住むかマンションに住むかで迷った時は、共用設備の充実度を判断基準にするのも良いでしょう。

・内装や設備のグレード
共用設備だけでなく内装や各部屋の設備についても、アパートに比べてマンションの方が、グレードが高いことが多いです。
しかし、近年では入居者を集めるために高機能設備を備えるアパートも増えてきています。
築年数やリフォームがされているかどうかによっても、グレードが異なることを理解しておきましょう。

・家賃
家賃は、アパートよりもマンションの方が高く設定されていることが一般的です。
築年数や立地などが同条件であれば、基本的にマンション方が家賃は高くなります。
また、駐車場代や月々支払う管理費もマンションの方が高めです。

賃貸物件の建物構造の種類と特徴を解説

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つづいて、賃貸物件の主な建物構造の種類と特徴について解説していきます。
賃貸物件でよく見られる代表的な建物構造は、次の3種類です。

・木造
・鉄骨造
・鉄筋コンクリート造

それぞれの特徴を、以下で詳しく見ていきましょう。

木造

木造とは、梁や柱といった建物の主要部分に、木材が使用されている建物のことで、主に一戸建てや2~3階建てまでのアパートに採用されています。
木は、湿度によって伸び縮みする性質があるので、湿気の多い日本にはピッタリの構造とも言われています。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりは耐震性に劣りますが、「新耐震基準」を満たす物件であれば、震度6~7程度の地震で簡単に倒壊するようなことはありません。
ただし、その品質は職人や施工会社によっても左右されやすいです。

鉄骨造

鉄骨造とは、骨組みに鉄骨を使用して造られた建物です。
鉄骨の厚みが6mm未満のものは「軽量鉄骨造」、6mm以上のものは「重量鉄骨造」と区別されます。
軽量鉄骨造は、戸建てや2~3階建てまでのアパートで多く採用されており、重量鉄骨造はマンションや大型商業施設などで多く採用されています。
鉄骨造は、「プレハブ工法」と言って、工場で規格通りに生産したものを現場に運んで組み立てるという方法で建設されるので、比較的短期間で安定した品質の建物を完成させることが可能です。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造とは、コンクリートを鉄筋で補強して造られた建物です。
柱や梁などの骨格部分を構成するにあたって、事前に組み上げた型枠に鉄筋を配置し、そこへコンクリートを打ち込んで造ります。
コンクリートは圧縮力に強い一方で引張力に弱いという特性がありますが、そこに引張力に優れた鉄筋が加わることで、高い耐久性が生まれます。
木造や鉄骨造よりも高い耐震性、耐火性、防音性を発揮します。

建物構造別のメリット・デメリット

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ここからは、賃貸物件によく見られる「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3つの建物構造について、それぞれのメリットとデメリットをご紹介していきます。

木造のメリット・デメリット

まずは、木造のメリットとデメリットから見ていきましょう。

木造のメリット

木造の主なメリットは、次の3点です。

・家賃が安い
・吸湿性や通気性に優れている
・部屋を広く使える

木造の物件は、建築資材が木材であるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の物件に比べて家賃が安いことが魅力です。
間取りも部屋の広さも同じ木造アパートと鉄筋コンクリート造のマンションでは、木造アパートの方が家賃を10%程度抑えられる場合もあります。
建築コストが安価なので敷金や礼金なども控えめに設定されているケースが多く、共用設備も少ないことで月々に支払う管理費も安く済ませられます。
また、木造は吸湿性や通気性に優れていることから、自然に室内の湿度調整ができる、夏でも部屋の中に熱がこもりにくい、冬でも外と室内の温度差が少なく結露が発生しにくい、といったメリットも得られます。
さらに、もう一つ大きなメリットが、鉄筋コンクリート造とは対照的に梁や柱の出っ張りが目立たないので、部屋のデッドスペースが少なく、生活スペースを広く取れるところです。
梁や柱の凹凸で、家具の配置に悩むといった事態も回避しやすいでしょう。

木造のデメリット

木造の主なデメリットは、以下の3点です。

・密閉性が低い
・防音性が低い
・法定耐用年数が短い

木造の物件のメリットの一つでもある通気性の良さは、外気の影響を受けやすいというデメリットも併せ持っています。
通気性が良いということは、言い換えれば密閉性が低いということなので、冷暖房の効きが悪く夏場・冬場は光熱費がかさみがちです。
また、わずかな隙間から小さな虫が入り込みやすいので、虫が苦手な人は薬剤の散布や虫よけの設置といった害虫対策が必須です。
密閉性が低いことでもう一つ懸念されるのが、周囲への音漏れです。
上階から響く足音や隣の部屋の生活音などに悩まされる可能性だけでなく、自分が下の階や隣の部屋の人に騒音で迷惑をかける可能性もあります。
近所との騒音トラブルを防ぐためにも、防音カーテンや防音シートなどの設置をおすすめします。
木造は、他の構造に比べて法定耐用年数が短いことにも注意が必要です。
鉄筋コンクリート造であれば法定耐用年数47年のところ、木造はその半分以下の22年しかありません。
築22年を過ぎたからと言ってすぐに住めなくなるわけではありませんが、老朽化が進めば建て替えのために一時的に別のアパートに住むよう求められる可能性もあるので、木造アパートを選ぶ際は築年数をよく確認しておきましょう。

鉄骨造のメリット・デメリット

つづいて、鉄骨造のメリットとデメリットを見てみましょう。

鉄骨造のメリット

鉄骨造の主なメリットは、次の3点です。

・木造よりも耐震性に優れている
・品質が安定している
・害虫リスクが少ない

軽量鉄骨造や重量鉄骨造のように、骨組み部分に鉄骨を使用している物件のメリットは、木造よりも耐震性に優れているところです。
法定耐用年数は、鉄骨の厚みによっても変化しますが、4mmを超える鉄骨を使用していれば木造よりも10年以上長い34年となります。
家賃も、軽量鉄骨造であれば木造とそれほど変わらない値段で、より高い安全性を手に入れられるでしょう。
高層マンションでも採用されている重量鉄骨造の物件を選べば、さらに頑丈で大きな安心感を得られます。
鉄骨造の物件は、あらかじめ工場で大量生産された部材を、現場で組み立てているので、職人の技術による差が少なく品質がある程度担保されている点も安心です。
また、鉄骨造はシロアリなどの害虫を寄せ付けにくいというメリットもあるため、虫が苦手な方にもおすすめです。

鉄骨造のデメリット

鉄骨造の主なデメリットは、以下の3点です。

・リフォームやリノベーションがしにくい
・高い防音性は期待できない
・断熱性が低い

鉄骨造には、たくさんの骨組みが使われており、物件によっては複雑な造りになっていることもあるため、リフォームやリノベーションがしにくいところがデメリットです。
近年、リノベーションを前提に安く売りだしている賃貸物件もありますが、鉄骨造であるが故に、部屋づくりが思い通りに進まない可能性もあります。
防音性については、木造よりはマシという程度で、そこまで高い防音性は期待できません。
また、熱伝導率が高い鉄を使用していることで、木造に比べて断熱性が低いというデメリットもあります。
夏場は室温が上昇しやすく、冬場は寒くなりやすいので、窓に断熱フィルムを貼るなどの対策を検討すると良いでしょう。

鉄筋コンクリート造のメリット・デメリット

マンションや商業施設で多く採用されている鉄筋コンクリート造のメリット・デメリットもご紹介します。

鉄筋コンクリート造のメリット

鉄筋コンクリート造の主なメリットは、以下の3点です。

・耐震性が高い
・燃えにくい
・防音性に優れている

鉄筋コンクリート造は、他の構造に比べて耐震性が極めて高いところが最大のメッリトと言えるでしょう。
鉄筋とコンクリートの特性を最大限に活かした構造が、強靭さの鍵となっています。
加えて、鉄筋コンクリート造は燃えにくく火事で焼け崩れるようなことはほとんどないため、木造よりも火災保険の料金が安く済むのもメリットです。
また、鉄筋コンクリート造は気密性と遮音性にも秀でているので、木造や鉄骨造よりも優れた防音性を発揮します。
楽器を大音量で演奏する音まで完全に遮断することはできませんが、通常の生活音や車が通る音などは、ほとんど気にならないでしょう。

鉄筋コンクリート造のデメリット

鉄筋コンクリート造のデメリットは、以下の2点です。

・家賃が高い
・結露が発生しやすい

鉄筋コンクリート造の物件を選択するデメリットは、家賃が高額なことです。
木造や鉄骨造と比べて大幅に建築コストがかかるため、貸主はそのコストを回収する上でどうしても家賃を高くせざるを得ません。
ただし、高い家賃を払ってでも、優れた耐震性や防火性、防音性を手に入れたいという方なら、この点は気にならないでしょう。
家賃の高い鉄筋コンクリート造をあえて選ぶ方でも注意が必要なデメリットは、気密性が非常に高い故に結露が発生しやすいことです。
結露を放置しているとカビが生えて見た目が悪くなる上に、カビの胞子を吸い込めば健康にも悪影響を及ぼしかねないため、手入れを怠らないようにしてください。

抵当権を調べる方法

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賃貸物件で入居する際に、その物件に抵当権が付いているかどうかを把握してから入居したい方もいるでしょう。
ここでは、自分自身で抵当権について調べる方法をご紹介します。

契約時に確認する

抵当権について何も知らないままでは、自分自身がリスクを負ってしまう可能性が高いです。
そのため、抵当権の設定について事前に確認するのが望ましいでしょう。
抵当権は、一般的な賃貸物件でも設定されていることがあります。

オフィスなどではよくあることなので、居住用では関係ないと考えるかもしれませんが、そうではありません。
そのため、契約時に重要事項説明としてオーナーまたは不動産会社から説明を受けましょう。
ただし、抵当権に関してはオーナーや不動産会社から積極的に説明されないケースもあります。
自分自身が借りている住宅で、急な変更や退去などに巻き込まれたくない場合はきちんと説明を求めるように確認する必要があるでしょう。

自分自身で調べる

抵当権は、賃貸物件であっても調べられます。
「自分自身の持ち物でもないのに他人が調べて平気なのか?」と考えるかもしれませんが、所有者以外でも簡単に調べられるのが現状です。
必要なのは手続き費用と地番のみとなります。

地番は住所の番地ではなく、法務局で不動産ごとに整理された番号を意味します。
これさえわかれば、他人の抵当権の額を簡単に知ることができるのです。
もし、自分で勝手に他人の抵当権を調べるのは気がひけると思うなら、契約時に説明を求めても教えてもらえなかった場合など、最終手段として活用してみましょう。

与信情報を調べてみる

与信とは、その名の通り信用を与えることを意味する言葉です。
事業においての与信は、信用情報や支払い能力を評価して取引できる相手だと信用することになります。
オーナー側が信用できる相手かどうかを知るために、専門の業者に与信調査を依頼するのも良いでしょう。

オーナー側の与信情報が良いと、今の時点で抵当権に関するトラブルが起こらない可能性が高いです。
確認しても積極的に話してもらえない場合は、自分自身で与信情報を調べるのが良いでしょう。

登記簿で調べる方法

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抵当権に関して、設定されているかどうかは登記簿からも調査可能です。
ここでは、抵当権が設定されているかどうかを登記簿から確認する方法についてご紹介します。

全部事項証明書

法務局で取得できる全部事項証明書から抵当権について知ることができます。
全部事項証明書は、不動産に関する手続きで必要になることが多い書類です。
この書類から、所有権、抵当権などの不動産関連の権利が確認できます。
この書類が公開されているのは、不動産の権利関係を把握しないままでは偽物の売主から購入してしまうなどのトラブルを起こさないためです。

そのために、不動産に関しての様々な情報が掲載されています。
全部事項証明書では、不動産特定情報の他に現在の権利内容、以前の権利に関しても記載されています。
全部事項証明書は、誰もが法務局を訪れて交付申請書に必要な内容を記入し、印紙を付けて窓口に提出するだけで入手できます。

この書類に関しては、法務局の管轄が異なる場合でも取得可能です。
最寄りの法務局で手続きできるので確認してみましょう。

オンライン申請システム

法務局に出向くのが難しいという場合は、インターネットのオンライン申請システムから登記簿が調べられます。
一般財団法人 民事法務協会では、PDFファイルで登記情報が閲覧できます。

ここでは、不動産登記情報の全部事項、所有者事項、地図情報、図面情報、商業・法人登記情報などが表示できます。
請求した時点の情報をリアルタイムで保存できるので利便性も高いでしょう。
ただし、説明文や公印などが付けられていないため、全部事項証明書として提出や添付などができないので注意しましょう。

司法書士への相談

司法書士は法律の専門家であり、不動産登記などの代行も積極的に行ってくれます。
そのため、司法書士に依頼すればすぐ取り寄せてもらえるでしょう。
司法書士へ相談すれば、抵当権について詳しく教えてもらえるだけでなく、細かな部分まで質問しながら確認できます。

抵当権に関して不安な部分が多い場合は、司法書士への相談も視野に入れましょう。

全部事項証明書の見方は?

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全部事項証明書は、それぞれの不動産に関しての登記手続きを確認できるものです。
ここに記載されている登記記録の内容は全て、法務省が管理しています。
全部事項証明書があれば、簡単に抵当権の有無が判断できるだけでなく、内容が正しいことも証明しているのです。
ここでは、全部事項証明書の見方についてご紹介します。

登記事項証明書は4種類ある

登記事項証明書は、全部事項証明書を含めて4種類あります。

・全部事項証明書:今までの登記事項全てが記載されているもの(閉鎖されたもの以外)
・現在事項証明書:現時点で効力のある登記事項だけを記載しているもの
・一部事項証明書:甲、乙の順で指定して請求した内容だけを記載しているもの
・閉鎖事項証明書:閉鎖している登記記録のみを記載しているもの

全部事項証明書以外にもこのような種類があるので、知りたい内容のみを依頼することも可能です。
不動産関連すべての権利について知りたいなら全部事項証明書、現在の権利のみを知りたい場合は現在事項証明書でも十分でしょう。

全部事項証明書の項目について

全部事項証明書には、土地用と建物用があります。

土地用

①表題部:土地の全部事項証明書
②不動産番号:土地の不動産番号
③所在:土地の所在
④①地番:土地の整理番号
⑤②地目:土地の用途
⑥③地積(㎡):土地の広さ
⑦原因及びその日付:合筆、分筆、地目変更などがあった場合に記載
⑧権利部(甲区):登記目的、所有者になった理由などが記載
⑨権利部(乙区):所有権以外に関しての事項が表示され、抵当権なら借金をした日、利息なども記載
⑩共同担保目録(記号及び番号):共同担保目録の記号または番号
⑪共同担保目録(土地及び建物):共同担保となる土地、建物

建物用

①表題部:建物の全部事項証明書を示します
②不動産番号:建物の不動産番号
③所在:建物の所在
④家屋番号:建物の家屋番号
⑤①種類:建物の種類
⑥②構造:建物の構造
⑦③床面積:建物の各階の床面積
⑧原因及びその日付:新築、増築、取り壊しなど登記の原因
⑨所有者:表題部の所有者
⑩権利部(甲区):登記目的、所有者になった理由などが記載
⑪権利部(乙区):所有権以外に関しての事項が表示され、抵当権なら借金をした日、利息なども記載
⑫共同担保目録(記号及び番号):共同担保目録の記号または番号
⑬共同担保目録(土地及び建物):共同担保となる不動産

全部事項証明書でわからないこともある

全部事項証明書には賃貸物件に限らず、その土地や建物のことが全てわかります。
しかし、全部事項証明書でもわからないことがいくつかあります。
それは、売買による所有権移転登記についてです。
所有権移転登記は、不動産の所有者が変わった際に登記簿に記載することですが、売買の際には不動産の評価額が全部事項証明書に記載されません。
他にも、新築の建物を建てた際にも必要となる都市計画法や建築基準法なども全部事項証明書に載ることはありません。

全部事項証明書でおおよそのことはわかりますが、上記の内容を知りたい場合は他の資料を取得する必要があるでしょう。

全部事項証明書の注意点

全部事項証明書を不動産会社から受け取った場合は、取得した日付をチェックしてみましょう。
登記内容は、権利の変動を反映する関係上、現在の内容と異なっている可能性も考えられます。
全部事項証明書の最後には、登記官の認証分、職印、発行年月日も記載されているので、数ヶ月前であれば現在と内容が異なっている可能性があるので新しいものを提出してもらうようにしてください。

現在の全部事項証明書を取得した場合でも、直後に新たな内容が登記されると結果的に意味がない証明書になりかねません。
特に売買によって所有権移転登記などがされた場合は、費用がかかっても新たな全部事項証明書を取り直すようにしましょう。

抵当権のない物件はある?

賃貸物件の選び方

抵当権は、住宅を購入する際に金融機関からお金を借りた場合の担保として不動産に抵当権が付けられます。
このようなケースが一般的ですが、抵当権が付いていない賃貸物件も存在するのでしょうか?
実際に抵当権があった場合、お金を借りているオーナーなどが返済できなかった場合に抵当権実行となり、不動産が売りに出されることがあります。
このような場合、借りて住んでいる側としては追い出されるかもしれないという不安が付きまとうでしょう。
もし、売りに出されたとしても新しいオーナーがそのまま貸してくれるケースも多く、退去となるケースは少ないです。
しかし、退去にならないとは言い切れないため、このようなケースでは最低でも6ヶ月前までに予告が必要とされています。

デメリットを避けるためにも、抵当権のない物件の方が安心だと考えることでしょう。
ただし、実際には抵当権がない物件を探す方が難しいのが現状です。
通常の家を買う時と同じように、賃貸物件を建てる際には金融機関から多少でも、お金を借りることがほとんどだからです。
そして、お金を少しでも借りてしまえば抵当権が付いてしまうため、抵当権が付いている物件の方が普通であると覚えておきましょう。

登記に「差押」表記がある場合は注意!

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賃貸物件の登記を調べた際に、「差押」という表記を見かけたことがありますか?
実は、この「差押」表記がある場合は注意したい点がいくつかあります。

差押とは

賃貸物件の抵当権については、付いているのが一般的だとご紹介しましたが、差押に関しては注意してください。
差押と記載されている場合は、既に所有者の金銭債務などがあり、支払いが遅れている状態を表しています。
このような事情によって、担保物件となっている賃貸物件の登記に差押と記載されただけでなく、今後の状況によっては競売にかけられる可能性も考えられます。

これは、金融機関への返済が滞っているだけでなく、税金、保険、年金などの支払いの未払いも関係しているのです。
そのため、差押と記載がある場合は債務者の財産となる不動産の売却、他人への貸し出しで滞納金の回収などが検討されている状態だと理解しましょう。

差押は解消できる?

差押と記載されていた場合、住んでいる側としても家を失う可能性があるので不安な気持ちがあるでしょう。
差押に関しては、借金を全額返済するのが一番の答えでしょう。
しかし、すでに税金や金融機関への返済が滞っているから差押と記載されているため、今後賃貸物件を売って返済に充てようと考えている可能性も高いです。
基本的な差押を抹消するのは、買主が売買代金を全額支払う、売主が受領した代金を支払って借金完済する、債権者が差押登記を抹消するという手順で進まなければ解消できません。
そのため、住んでいる側はオーナー側がどのような考えを持っているかによって今後の動きが変わることを知っておきましょう。

同時履行で解除通知書が受け取れる

上記の手順で手続きをした場合、スムーズにいけば抹消手続きが可能ですが、万が一売買代金を売主が使い込んでしまえば手続きできません。
そのため、手続きは同時に進めていく必要があります。

売買決済時に売主、買主、仲介となる不動産会社、司法書士などの立ち合いによって残代金を支払って所有権の移転をさせます。
この行為は同時履行となり、債権者の同席によって決済の手続きが行われます。
税金なら税務署職員、金融機関なら担当者が同席して決済の手続きを進めていくのです。
自分自身に直接関係のないものかもしれませんが、住んでいる物件が差押と記載されている場合は住む場所を失う可能性があることを知っておきましょう。

抵当権は、金融機関などから借り入れをしている建物や物件にあるものです。
不動産ではよくあるものであり、大きな不安や心配を抱える必要はないでしょう。
抵当権に関する内容は自分で調べることもできますが、それより心配しなければならないのが差押についてです。
抵当権では、新しいオーナーに代わったとしてもそのまま住み続けてよいケースが多くなりますが、差押となっていた場合は売却されて競売にかけられて退去を迫られる可能性も高いです。
立ち退きを迫られる可能性があることも視野に入れておきましょう。